カーくんが溶岩お化けを倒したら、下から急にマグマが噴き出してきて…私たちは無我夢中で、火山から抜け出した。
辿り着いたのは山頂。
まだまだ未発達のこの星はとても綺麗だ。
「ふひぃ…なんだったんスか、今の!」
ワドルディが言った。
「多分…あの黒い方達が溶岩を操ったのかと…」
リボンちゃんが答えた。
「まぁ、なんにせよ…これでこの星ともおさらばだな」
旦那が言った、その時だ。
リボンちゃんの持ってたクリスタルが輝き出して、ワープホールを作り出したのは…。
「これが…次の星…」
私が言うとカーくんが
「よし、行こ!」
とガッツポーズをした。
まさにその瞬間だった。
巨大な地響きと熱気。
ワドルディが転んだのは分かったけれど、私はそれどころじゃなくて、後ろを見た。
火山が火を噴いていた。
次の瞬間、岩が雨の様に降ってくる。
私たちは走った。
まず、リボンちゃん、そしてカーくんがワープホールへと飛び込んだ。
続いて旦那も。
元々インドア派で運動は苦手な私とワドルディは遅れをとっていた。
だんだんとワープホールが遠ざかる。
その間にも岩は降ってくる。
私は必死で手を伸ばした。
でも届かない。
「ま…待って…!」
ワープホールは遠ざかる。
私たちを置いて。
その時だった。
「手ぇ出せ!早く!」
低い声。それでも温かい声がした。
涙と陽炎で朧な視界の向こうには…
「だん…なぁ…」
旦那がいた。
旦那が遠ざかるワープホールの向こうから、青いその手を伸ばしていた。
「大王様!オイラは…後で…いいッスから…先に…アドを…!」
ワドルディがゼェゼェ言いながら叫んだ。
「…分かった」
旦那は真っ直ぐ私を見た。
「アド、つかまれ!」
「………っ!」
私はもう、必死になってその手を掴んだ。
掴んだら、後は早かった。
旦那は軽々と私を引き上げ、ワープホールの中へと引き込んでくれた。
ワドルディもカーくんに無事(多少荒っぽい方法で)引き上げられて、私たちは命からがらコレカラスターを後にした。
「こ…怖かったぁ…」
ワープホールの中で、私はため息をつき、そこで気が付いた。
気付いたら途端に恥ずかしくなった。
私…旦那にしがみついてる!?
…でも…。
「ホントに…怖かった…」
旦那のモコモコのガウンにしがみついて泣きじゃくる私を、旦那は何も言わずに、ただただ背中を摩ってくれた。
「旦那ぁ…ありがとぉ…」
「…ったりめーだろ。民を守るのが王ってもんだ」
私が御礼を言うと、旦那はそう言って明後日の方を見た。
<FIN>
『星のカービィ64』のムービー『だいふんか』より。
この時の旦那は心底からカッコイイと思えたのは私だけ?(笑)
最終更新:2010年02月19日 15:24