何故だ…。
何故我は………。
<我不解我等之所以>
「らぁアアアアァアアアアッ!!!」
大王が木槌を振るう。
『…無駄だと言うておろう…』
我は虚無の存在…実存の攻撃なんぞ当たっても当たらぬ存在…。
度重なる攻撃で、彼奴もその程度のことは分かっている筈であろう。
…だが、それでもこの男は木槌を振るう。
傷だらけの体を引きずり、口の端から垂れる血を拭いながら、立ち上がり、我に刃向かう。
…何故だ?
何故この男は倒れん?
我も我だ。
何故、確実に弱っているであろうこの男から…躯の支配権を奪えないのだろう…?
「はぁ…はぁ…」
大王は木槌を握り直す。
「お前…なんでこの星を…ッ!」
………。
所以か。
『それは………』
………。
『………』
我は答えられなかった。
―――化物!!!―――
『………ッ』
なんだ。
なんだ、今の『声』は…!?
「…チッ…やりにくいな…」
大王は木槌を下げた。
「…こんなやり方…誰も望んでねーんだよ。俺達も、お前自身も」
『…たわけ!知ったような口を…!』
「じゃあ聞くが…お前は何でこの星を狙うんだ?」
『痴れたことを…我は此の世界に耐え切れぬのだ。醜くて堪らぬ』
「…ホントにそれだけか?」
『何ッ…?』
「お前…ホントは、さ…」
ドンッ…
低い音がして、大王の体は吹っ飛び、壁に叩きつけられた。
叩きつけたのは勿論我だ。
『言うな…』
…ドウシテ…ボクヲ…キョゼツスルノ…
『言うな言うな言うな!それ以上は…それ以上は言うな!』
思い出したくない。
思い出したくない思い出したくない。
全 テ ガ 僕 ヲ 拒 絶 シ タ
嫌だ…思い出したくない思い出したくない…!!!
ダ カ ラ 僕 モ 全 テ 拒 絶 ス ル
これ以上…これ以上は………!!!
ソ シ テ 僕 ダ ケ ノ 世 界 ヲ 創 ル
違う…違う…ッ!
誰 モ 僕 ヲ 拒 絶 シ ナ イ 世 界 ヲ
違う…違う…ッ!
我は…我は…ッ!
独リナンカジャ…
「お前…孤独だったんだな」
『………ッ!?』
大王がボロボロの体を引きずり、立ち上がっていた。
「お前、孤独だったんだろ?だから…自分の世界を創りたくて…こんなことを…」
『…貴様に何が分かる…!?』
「分かるさ。…俺も似たよーなもんだからな…」
『………ッ』
…そうか…だから…
我は大王に近寄った。
…だから我はこの男に惹かれたのか。
そしてシンパシーを感じ…完全なる敵対心が抱けなかった…。
『…避けぬのか?貴様の躯…我が頂くぞ?』
「避ける気もねーよ。…勝手にしやがれ」
『随分余裕だな?』
「なんでだろーな。自分でも驚いてる」
大王は天井を見上げた。
「…おめーとは違う形で逢いたかったよ」
『戯れ事を…』
我は…笑ったと思う。
我は敗れた。
幼き戦士によって
我は果ての無い虚無へと堕ちた。
………。
…何故我は…
…何故我等は…
斯様な形で、出逢ったのだろう…?
<FIN>
…暗ッ!
えー…響智さんへの相互小説『旦那とゼロ様な話』です。
最終更新:2010年02月19日 16:02