生田吉三郎


「人を探しているんです。僕と彼女を幸せにしてくれる人を。……ああ、あなたは報われぬ恋をしていらっしゃるのですね。ご安心ください、僕が、幸せにしてさしあげますから」
「報われぬ想いは、火を着ければ叶うと思ったのです。火を着ければ、彼と逃げられると。それが、こんな……」

 

 

【名前】
生田 吉三郎(いくた きちさぶろう)

【種族/属性】
人間/ヒロイン属性

【学年/年齢】
不明

【性格】
慇懃無礼な態度が目立つ不遜な気分屋。他者をからかったかと思えば戯れに慈しんだり、時に小馬鹿にしたような態度をとってのらりくらりと相手をかわし、言動に一貫性がない。自分のやりたいことを第一に動くものの、それがその場その場で変化するために、行動パターンの予測は不可能。
慇懃無礼な態度は著者に対してのみ見えていたが、気分屋・言動の散逸、二転三転などはなかったため、ユガミによる影響だと見られている。本来は誰にでも礼儀正しく人当たりのよい好青年だったという。

【武具書】
題名:『新説八百屋お七 花恋奇譚』
著者:小田原辰真
概要:恋愛小説。東京のある一角に大火事が起こる。燃えた寺で修行していた坊主たちは、ある商人の家を借りて暮らすこととなる。その家の娘・七子は、坊主の一人・生田吉三郎と出会い、互いに心惹かれていく。寺の修復が終わり、吉三郎との逢瀬もままならない七子が思いついた行動の果ては……。『八百屋お七』の現代版+αパロディ。

【装備/能力】
『炎を操る能力』
ユガミの侵食後に得た。火種がなければ使用できないが、炎ならば自在に操る能力であり、持ち歩いている煙管の火を爆発させて攻撃したり、或いは相手が炎系の能力であった場合無効化出来る。
元々の能力は『暗闇でのみ身体能力が上昇する』というもの。

【備考】
一人称は僕、二人称は貴方・貴女。丁寧な敬語をするすると話す。身長は170cm。
1年前の9月20日、京都ツヅリ養成学校に在籍していた『新説八百屋お七 花恋奇譚』の著者であると共に己のツヅリであった小田原辰真を殺害。武具書本体を持って逃亡した。その後の調査により、ユガミの影響を受けて小田原辰真を殺したと判明し、有害図書に指定された。
「幸せにしてくれる人を探しているのです」と語りながら歩いている通り、『新説八百屋お七 花恋奇譚』をハッピーエンドで締めくくってくれるツヅリを探している。また、加筆を可能にするための武具書の筆権章も探している。こういった目的から、他の有害図書とつるむことはないが、楽しいためにたまにサイード・アルサラーンと手を組んだり、彼の庇護している有害図書に混ざったりしている。彼の庇護下にいるナヴィドの名前をいっこうに覚えようとしない。
小田原辰真を殺した理由に関しては「幸せにしたかった」と語り、詳細は不明だが、決して嫌悪や憎悪は感じられない。むしろ、容貌の似た小寺真朱に執着し、彼を生み出した加賀美叶斗を憎悪している様子がある。

すらっと痩躯を伸ばした凛とした青年……に見えるが、実は身体は女性のもので、彼自身も女性である自覚はある。花嫁修業のために寺に預けられた小姓で、そうとは知らない七子と恋に落ちてしまう。小田原辰真が『新説八百屋お七 花恋奇譚』で書きたかったテーマとは、お七と吉三郎の救済、そして同性愛者の幸福な日々である。勿論、物語自体は七子の火付けまでで未完で終わっているため、それを知っているのは亡き著者、小田原辰真と彼女本人である。
作中では七子に恋をしているが、召喚されて行動を共にしているうちに、恋人のいる辰真に恋い焦がれるようになってしまう。二つの想いに板挟みになり、それでも恋心を殺そうとしていたところにユガミの侵食を受け、『火を着ければ吉三郎様と一緒に暮らせる』という七子の思考が伝染り、歪み、『共に燃えれば幸せになれる』という思想が芽生え、その思想のままに彼と焼身自殺を試みた。しかし、彼の最期の言葉を聞き一人生き延びてしまう。拗らせた恋心と罪悪感、それにユガミの侵食が加わり、一貫性のない破綻した人格が完成した。

 

©アヤフミ

最終更新:2020年08月22日 12:48