カメラをなくした。 父の形見のCONTAX。
ホテルで気がついて朝から鬱になった。
フロントに行ったら、「タクシーの運転手さんが多分
宿泊の人が忘れたものだろうからって届に来たけど
確信が持てないので運転手さんにまだ持ってもらっています。」
と言い、「タクシーを呼んでらっしゃいますよね。 先ほどのタクシー
をキャンセルして彼に来てもらいましょう」とフロントの人は
昨日ホテルまで来るのに使ったタクシー会社のその運転手を
呼んでくれた。
運転手はカメラを渡し
「高いカメラでしょう。 でも、思い出のほうがもっと大切だもんねえ」
と笑った。 ホテルの人も「いい運転手なんですよ。」と言うくらいの
有名人らしい方だった。 気がつくと涙。 止まらない涙。
タクシーの運転手も、ホテルマンもみんな笑顔
私は泣いたまま、タクシーは新緑の中を走り出した。
別れ際、チップを渡そうとしたけれど、彼は受け取らなかった。
「また今度乗ってくださいね。」とだけ言い残して。
最終更新:2008年10月14日 10:40