一髪千鈞 いっぱつせんきん


    意味:非常に危険なこと、きわめてむりなことのたとえ
       (一本の髪の毛で千鈞もの重さの物を引く意味)

    訓読:一髪、千鈞を引く

    出典:韓愈の文

    類義語:一縷千鈞 いちるせんきん
        危機一髪 ききいっぱつ
        一触即発 いっしょくそくはつ


一嚬一笑 いっぴんいっしょう

    ※一顰一笑とも書く

    意味:顔にあらわれるわずかな表情。ちょっと顔をしかめたり、ちょっと笑ったりすること
       (「嚬」は不愉快そうに顔をしかめて眉間にしわをよせること)

    出典:『韓非子』<内儲説・上>

    同義語:一笑一嚬 いっしょういっぴん


鷸蚌之争 いつぼうのあらそい


    意味:両者が譲らずに争っていると、第三者が骨を折らずに利益を横取りしてしまうこと
        (「鷸」は水鳥のしぎ「蚌」はどぶがいのこと)

    故事:中国戦国時代、趙が燕を討とうとした時、燕の昭王は蘇代という人物に、
       攻撃を思いとどまるよう趙の恵文王を説得させようとした。
       蘇代は恵文王に「鷸(しぎ)と蚌(どぶがい)が争っているところへ漁夫が
       やってきて、いとも簡単に両方捕らえてしまった」という話をして、
       今趙と燕が争えば強国秦に両国とも滅ぼされてしまうと説いたという故事から

    出典:『戦国策』<燕策>

    同義語:漁夫之利 ぎょふのり


猗頓之富 いとんのとみ


    意味:巨万の富、膨大な財産のこと。
       (「猗頓」は中国、春秋時代の代表的な金持ち)

    故事:大きな財をなしたはんれい(人名)の教えを受けた猗頓は、牛や羊を
       十年飼ううちに財産は王公になぞらえるほどになり、天下の人は金持ち
       といえば猗頓の名をあげるようになったという故事から

    出典:『史記』<貨殖伝>

    類義語:陶朱猗頓 とうしゅいとん 


倚馬七紙 いばしちし


    意味:すらすらと名文を書き上げる才能。
       (馬前に立ったまま一息に七枚の紙に文を書き上げる意)

    故事:晋の袁虎が桓温に布告の文を書くように命ぜられ、馬前に立ったまま
       一息に七枚の名文を書き上げ、その才を王に賞賛された故事から

    出典:『世説新語』<文学>

    類義語:倚馬之才 いばのさい
        万言倚馬 まんげんいば   


夷蛮戎狄 いばんじゅうてき


    意味:中国周辺にいた異民族の総称。四方の野蛮民族。えびす。
       (東夷・南蛮・西戎・北狄の略で、中国人が異民族を卑しんで言った語)

    出典:『礼記』<王制>


渭浜漁父 いひんのぎょほ


    意味:渭水(川名)のほとりで釣り糸をたれていた呂尚(太公望)のこと

    類義語:渭川漁父 いせんのぎょほ


異聞奇譚 いぶんきたん


    意味:きわめて珍しい話のこと。
       (「異聞」は珍聞・奇聞、「奇譚」は奇談で、ともに珍しい話の意)

    類義語:珍聞奇聞 ちんぶんきぶん


葦編三絶 いへんさんぜつ


    意味:書物を繰り返し読むこと。読書や学問に熱心なたとえ。
       (「葦編」は木簡(木の札)やち竹簡(竹の札)をなめし皮で綴った昔の書物。
        「三絶」は何度も断ち切れる意)

    訓読:葦編三(み)たび絶(た)つ

    故事:孔子が『易経』を何度も読んだため、その書を綴ったなめし皮の紐が
       何度となく断ち切れたという故事から

    出典:『史記』<孔子世家>


一狐之腋 いっこのえき


    意味:貴重なもののたとえ。(一匹の狐の腋下から少量しか取れない白い毛皮の意)
       また、希少なという意味から、直言の士のたとえ。

    出典:『意林』<二引『慎子』>


倚門之望 いもんのぼう


    意味:子を思う母の愛情のこと
       (「倚門」は門に寄りかかる意味で、母親が家の門の前で子の帰りを
        待ち望んだ様子から)

    故事:中国春秋時代、衛の王孫賈の母が、朝早く外出して夜遅く帰る賈を、
       家の門に寄りかかって待ち望み、夕暮れに外出した時には、村里の門に
       寄りかかって賈の帰りを待ちわびた故事から

    出典:『戦後策』<斉策>

    類義語:倚閭之望 いりょのぼう
        倚門倚閭 いもんいりょ


異類無礙 いるいむげ

    ※異類無碍とも書く

    意味:異質なものどうしが、何の障害もなく互いに通じ合うこと
       (仏教語で、火と水のような異質なものが差し障りなく通じること)


殷鑑不遠 いんかんふえん


    意味:失敗を戒める例は近くにあるということ
       (「殷」は古代中国の国名、「鑑」は鏡。殷において、前代の夏王朝の
        暴政による滅亡を参考にして、国政をすすめたことによる)

    訓読:殷鑑(いんかん)遠(とお)からず

    出典:『詩経』<大雅・蕩>

    類義語:商鑑不遠 しょうかんふえん


婬虐暴戻 いんぎゃくぼうれい

    ※淫虐暴戻とも書く

    意味:淫らな生活をし、乱暴で非道なこと
       (「婬虐」は淫らでむごいこと、「暴戻」は乱暴で道理にもとること)

    類義語:放蕩無頼 ほうとうぶらい


慇懃無礼 いんぎんぶれい


    意味:表面上は極めて礼儀正しく丁寧であるが、実はひどく尊大であること
       また、言葉遣いや態度などが丁寧すぎるのは、かえって無礼であること

    類義語:慇懃尾籠 いんぎんびろう


因循苟且 いんじゅんこうしょ


    意味:古い慣習や方法にこだわって、その場しのぎの手段をとること。
       また、決断力に欠け、ぐずぐずしてためらうさま
      (「因循」は、古い慣習に従うだけで改めようとしないこと
       「苟且」はかりそめ、まにあわせ、一時のがれの意)

    類義語:因循姑息 いんじゅんこそく


引縄批根 いんじょうへいこん


    意味:力を合わせて他を排斥すること
       わなを仕掛けて他をおとしいれること
       先に慕い後に背を向けたものたちに報復して、恨みをはらすこと
       (「引縄」は縄をつけて引くこと、「批根」は根こそぎ取り払うこと)

    訓読:縄を引き根を批(ひら)く

    故事:前漢の高官潅夫と親友魏其候は、権勢を保持していた時は自分達に慕い
       寄っていた者達が、権勢を失ったからは背を向けてしまったので、
       根こそぎやっつけてやりたいと思ったという故事から

    出典:『史記』<潅夫伝>

    類義語:引縄排根 いんじょうはいこん


飲鴆止渇 いんちんしかつ


    意味:目先のことだけ考えて、後の結果を顧みないこと
       (「鴆」は鳥の名で羽に猛毒を持つ。「飲鴆」はこの羽を浸した酒を飲む意
        渇きを癒すために鴆毒の入った酒を飲んでしまうこと)

    訓読:鴆(ちん)を飲みて渇(かつ)を止(とど)む

    出典:『後漢書』<霍しょ伝>


陰謀詭計 いんぼうきけい


    意味:人を欺くための密かな悪巧み。




最終更新:2008年11月26日 15:12