「愛してるよ千歌音ちゃん」
「っ・・・」
姫子の部屋内
千歌音の胸の中でそう囁く姫子に微笑する千歌音
「ふふ、姫子は先ほどそればかりね」
「だ、だってほんとのことなんだもん」
頬を染めながらそう呟く姫子
姫宮千歌音は世界でたった1人、私のことを待っててくれた人その人自身なのだから仕方ないだろうけど
運命の人なのだから、姫子は微笑んだ
「千歌音ちゃん、見せて・・・」
首飾りを見せ合う2人
「貝合わせの話ってほんとなんだよね、だって・・・こうして千歌音ちゃんと逢うことができたんだもの・・・」
「姫子・・・」
そして貝を合わせる2人、ぴったしだ・・・
「だから私、幸せだよ、とても・・・心から・・・」
その後、2人は語り合った
「さて、そろそろ部屋に戻るわ」
ベッドから立ち上がる千歌音。
「それじゃ、おやすみなさい、1人で寝られるわね?」
微笑みなだらそう囁きかける千歌音に姫子は頬を赤面し少し睨んだ
「千歌音ちゃん、私子供じゃないよ・・・もう・・・!!」
「ふふ、ごめんなさい、姫子・・・おやすみなさい」
部屋を出て行こうとする千歌音・・・しかし姫子は呼び止める
「千歌音ちゃん・・・待って」
小さく息をいた千歌音がベッド上の姫子に駆け寄る
「どうしたの・・・」
「あ、あの・・・私、その・・・」
頬を染めた姫子・・・千歌音を見上げ、ゆっくりと目を閉じた
「千歌音ちゃん・・・キスして・・・」
「・・・」
姫子の言葉に千歌音は一瞬戸惑い
「っ・・・わかったわ」
そう告げると・・・唇にではなく姫子の頬に唇を軽く触れた
「!?」
「これでいいかしら?」
「え?私・・・口がいいな」
「・・・っ・・・ふふ、また明日ね」
そう告げると千歌音は黒長い髪に優しく触れながら部屋を出て行った。
「口でしたかったのに・・・そう1人で呟く姫子」
以前(巫女の運命に巻き込まれていた世界でのこと)は千歌音からいつも積極的だった
でもいまは唇にあまりしてくれないのだ、姫子と想い逢えたから安心したのだろうか
「こんなに千歌音ちゃんのこと大好きなのに、心からキスしたいのに」
姫子はベッドでそう呟き続けた、その時、ドアがノックされた
「はい」
「来栖川様、乙羽です、よろしいでしょうか?」
まさしく千歌音の侍女、如月乙羽の声だった
「あ、はい・・・構いませんが」
「失礼します」
メイド服に身を包んだ乙羽がゆっくりと入ってきた
「来栖川様、なにか悩んでおられませんか?私でよろしけでば話だけでも聞いてあげてもよろしいのですが・・・」
「え?」
「ふふ、遠慮することはないのですよ」
最近の乙羽は以前よりも優しい、千歌音と愛し合うようになってからは・・・
嫉妬も少なくなってきた、なにより椎茸を食事に入れる回数が減ってきたのがおおきい
「あ、あの、キスってなんなんでしょうか?」
「キス・・・?」
姫子の言葉に乙羽は不思議そうな顔をした
「はい・・・」
思ったことを全て乙羽に打ち明けた
「そうですか、お嬢様が・・・」
「千歌音ちゃん、最近してくれなくて・・・」
乙羽は姫子の生足をまじまじと見つめ・・・呟いた
「ふふ、この乙羽が教えて差し上げますわ」
「え?」
「キスについて・・・色々と」
そう告げるとベッドに居る姫子の傍までやってきた
「乙羽さん・・・?」
姫子は嫌な予感がした
「あ、あの・・・。」
すっとベッドに腰掛ける乙羽、それに対して姫子は戸惑った
姫宮邸には居候させてもらってる身とはいえ、一応客である自分
その客の部屋のベッドに使用人が腰掛けるものなのか疑問に思ったからである
「来栖川様、普通のキスとディープキス、どちらがお好きですか?」
「え!?」
乙羽の大胆な質問に頬を赤く染める姫子
「えっと・・・普通の・・・です」
千歌音とは普通のキスしかしたことがないからである
千歌音からオロチであることを告げられ襲われた夜(演技だったが)舌を入れられた感覚があるが確かではない
「では、お嬢様以外の・・・そうですね、好きな人以外の人とキスすることはできますか?来栖川様」
「え!?」
姫子は考えた、好きな人・・・愛する人、千歌音ちゃん以外の人とのキス・・・
大神ソウマ、そう彼に一度キスされたことがある(オロチがいた世界での出来事)
それを思い出し・・・表情を曇らせる姫子、彼とキスして泣いた経験を思い出し・・・涙を流したのだ
「ええと・・・(嫌!!絶対に嫌!!千歌音ちゃん以外の人に唇を奪われるなんて嫌だよ、特に大神君とするくらいならマコちゃんとがいいかな)」
「答えられませんか?来栖川様」
顔色を覗き込んでくる乙羽
その積極的な行動に戸惑い、乙羽に背中を向けると小さく声を上げる姫子
千歌音ほどではないが乙羽も相当な美人なので少し照れてしまう
「あ、あの・・・私は」
「ふふ、では試してみましょうか、実戦ですわ」
背後から姫子の耳元に甘く囁く乙羽、その口調はまるで姫子を誘惑するような・・・
乙羽が姫子の肩をとんとんと、つついてきた・・・
「え?なんですか?・・・・・・っ!?」
そして振り向いた姫子の唇と乙羽の唇が重なったのはほぼ同時だった
「ん!?」
慌てて少し唇を離しキスから逃れようとした姫子を乙羽は逃がすまいと両手で姫子の顎を掴み唇を再び塞ぐ
一方、乙羽からの突然のキスに大きく目を明け驚く姫子、逃げようにも顎をガッチリ掴まれていて身動きが取れないでいた
唇を塞がれているため声を上げることができない・・・非力な姫子に脱出など不可能だった
・・・ちゅるる・・・んん・・・ぴちゃ・・・はあ・・・
乙羽にしっかりとキスされ・・・姫子は逃げ場を失った
「ん・・・んん・・・(な、なんでこんなことに!!)」
大人しくなった姫子を見て微笑む乙羽
そして姫子の唇の感触をしっかりと味わうとゆっくりキスから解放した
奪われた唇に慌てて手で隠すと乙羽に非難の声を上げる姫子
「な、なにをするんですか!?急にこんな・・・!!」
「・・・うふふふふ、来栖川様・・・一度貴女とキスしてみたかったんです、申し訳ありません、貴女の唇とても柔らかそうで」
そういうと姫子の唇に手をやり微笑む
「とても甘くて美味しかったですわ、ふふ・・・」
「で、でもこんな・・・強引に・・・(千歌音ちゃん以外の人とはしたくないのに・・・!!でも大神君のときのように涙は出ないね・・・どうしてかな)」
「申し訳ありません、でも来栖川様の唇・・・ほんとにとても甘くございます、蜜のように甘くて美味しい、うふふ・・・」
千歌音以外の人に唇を奪われショックを受ける姫子
「このことはお嬢様にはご内密に願いますね、ふふ・・・では私は屋敷の見回りをしますのでこれで失礼させていただきます、おやすみなさいませ来栖川様」
悲しみにくれる姫子に頭を下げると微笑みながら部屋を出て行く乙羽
1人残された姫子は悲しみにくれていた
千歌音の侍女に強引にキスされた・・・
もちろんいまの出来事を千歌音にいう勇気など姫子にはない
ただでさえ千歌音は忙しい身分、余計な心配はかけたくない
「千歌音ちゃんとキスしたいなあ・・・」
1人でそう呟く姫子、やっぱりキスは好きな人としたいものだ
乙羽やソウマのように想ってもいない相手とキスするのは・・・嫌な気分になる
少し考えた姫子はそっと部屋を出た
出た先に向かったのは千歌音の部屋だった、物音を立てずに千歌音の部屋に入る
いつ見ても宮殿のようなお部屋であるが感情に浸る余裕はない
お嬢様用の大きなベッドで眠りについていると思われる千歌音に駆け寄るとそっと唇に自分のを近づける
そしてそっと触れようとしていた瞬間、千歌音の目が開いた
「・・・姫子・・・?」
「あっ・・・千歌音ちゃん(お、起きてたんだね、心臓止まりそうだったよ)」
「どうしたの、眠れないの?そうなのね?」
「ううん、違うよ・・・あのね、私・・・その、千歌音ちゃんとキスしたくて・・・その」
「・・・」
「ご、ごめんね、以前はほら、あんなにキスしてくれたのに、転生後の・・・ううん、最近の千歌音ちゃんなにもしてくれないから」
「・・・わかったわ、してあげるから、今夜はもう寝ましょ、ね?姫子」
千歌音の言葉に少し喜びを感じ・・・嬉しさが込み上げて来る姫子
「うん♪」
そしてベッドで寝ている千歌音に顔を近づけると目を閉じそっと唇を差し出した
「・・・姫子・・・好きよ」
その言葉と同時に千歌音の唇が触れ・・・2人はキスした
そして姫子をベッドに押し倒しながらキスする千歌音
姫子は千歌音の背中に両腕をゆっくりと回した
・・・ん・・・ちゅっ・・・ぷは・・・はあはあ・・・
そう、これこそが恋人同士のキスである、姫子は心から千歌音と長いキスをした
女の子同士の綺麗な・・・可愛いキスだった
ぬるっと・・・千歌音が長い舌を口内に忍びいれてきた
そして姫子の舌を絡み合い交じり合う・・・離した2人の唇と唇から長い糸を作り出していた
「・・・ふふ、これでいいかしら、姫子・・・」
「うん、愛してるよ千歌音ちゃん」
「ええ、私もよ・・・さてと、今夜は寝ましょう」
「一緒に?」
「いいえ、姫子、今夜は部屋に戻って頂戴、明日からまた学校よ」
少し不満そうだが部屋に戻る姫子
部屋の前で満足そうに微笑むと部屋のドアを開ける
と同時に侍女の声がした
「来栖川様、キスの次は・・・・・・大人の遊びをお教えしますわ・・・うふふ」
姫宮邸、ここは男子禁制、そう・・・女だけの花園
END