「お酒は飲める?」
演奏が終わると彼女はテーブルの上に用意されていたカクテルを勧めてくれた
「乙羽さんの…あのメイドさんの自信作なのよ おいしいから試してみて」
お酒は苦手だ 滅多な事がない限り口にはしない
体質に合わないらしくすぐに顔が真っ赤になってしまうから
でも断る勇気もなく、この穏やかな雰囲気を壊したくない私はグラスに口をつけた
甘い、なんだか心地良い甘さ…ジュースのようだ
「わぁ、おいしい…」
私は無意識のうちに声を発していた
「良かった…やっと笑顔を見せてくれたわね」
彼女が微笑む
「昨日もそうだったけれど、泣いてばかりだったからあなた…」
「笑顔、ステキよ 笑ってる顔の方がずっと似合ってるわ」
顔が熱い…アルコールのせいか彼女の言葉のせいか
何を言葉にしていいかわからなくて一気にカクテルを飲み干した
やけ酒ってこういうものなのかな…ぼんやりとそんな事を考えていた私の前に二杯目のカクテルが注がれた
「図書室でも…あなた、寝ながら泣いていたわ」
「千歌音ちゃんって、何度も寝言で言ってた…」
そうか、あの時に見られていたんだ
また顔が熱くなる
「余計なお世話だとは思うけれど…きっと会えるわよ うん、会える だから元気出してね」
ああ…神様には恨み言は沢山あるけれど、この優しさを再び彼女に与えてくださった事は感謝しなければならない
私は二杯目のカクテルを飲み干した
「大丈夫?顔赤いわよ…ゆっくり飲まないと酔っ払っちゃうわよ」
「いいんです…幸せだったら…」震えて声にならない声
私は三杯目のカクテルを口にしていた
「え?何?」
「思い出して…また苦しむなら…忘れたままでいい…ひとりじゃないならそれでいい」
頭がグラグラしてきた
「もう泣いて欲しくない…から」
なんだか意識が遠のいていく
「もう…私たちを縛り付けてた鎖なんてないんだよ だから安心してね…」
その日の私の記憶はそこで途絶えた
ここは…前世で姫宮家に居候していた時に私の部屋だった場所だ
天井の模様も照明器具も見覚えがある
私は天蓋付のベットの上で目覚めていた
頭が痛い…私は昨夜の記憶を辿る
(そうか…あのまま酔っ払って意識を無くしてしまったんだ…)
カーテンの隙間から差し込んでくる陽射しが眩しい
私はのろのろと起き上がると、カーテンを全開にした
もう陽は高く昇っていた
(何やってんだろう…私ったら また迷惑かけちゃった…)
とりあえず急いで身支度を整え(とはいえ、昨日の格好のまま寝かされていたから着替えをしたわけでもなく)
階下に降りてみた
食堂で人の動く気配がしている
「あの…」躊躇いがちに声をかけてみる
「おはようございます来栖川様 ご気分はいかがですか?」
乙羽さんが振り向いた
「二日酔いのようでしたら、お薬を用意いたしますが…お食事はどうなされますか?」
「い、いえ…」
「あの、その、ご迷惑かけちゃったみたいで…本当にすみませんでした」
私は頭を下げた
「仕事もあるので、本当にもう失礼します…それで…」
私は彼女に姿を探した
「あの…」
「お嬢様ならお出かけになってます 午後までお戻りにはならないと思いますが」
乙羽さんは私の心を見透かしたかのように言う
「それまでお待ちになりますか?」
「い、いえ…とんでもない…あの、また改めて御礼に伺います よろしくお伝え下さい」
何度となく頭を下げた後、私は逃げるようにして姫宮邸を後にした
自分の記憶が無くなった後、どんな醜態を晒してしまったか知るのが怖かったという思いもあったからだ
「はぁ…本当に何やってんだろ、私」
深い溜息をついて見上げると、そこには10月の高い空が広がっていた
私はあの突然の来訪者、「来栖川姫子」の存在を本当は知っていた
それはぽっかりと抜け落ちていた空白の記憶にゆっくりと浮き上がってくるように…
二週間前にお嬢様と対面した時から私の記憶は徐々に甦っていたような気がする
姫宮千歌音様…館で初めてお迎えした時に私の胸に小さな痛みが走った
(初めてじゃない…このお方は…)
この二週間余り、お嬢様の側にお仕えして私の疑念は確信へと変わっていった
前世でお嬢様の身に起こった哀しい出来事…何故そうなったのか私には解るわけもなかったが、あのお方が自らの存在を消し去っても何かを必死に守ろうとしていた事には気づいてしまっていた
来栖川姫子…そう、あの子の存在
お嬢様とあの子の間には、他の誰にも立ち入る事の出来ない強い絆がある
私はそれを知っている…
おそらく来栖川姫子の記憶も覚醒しているのであろう
あのお嬢様に接する態度を見ればすぐにわかる
愛しい主人に構ってもらいたくて必死になって尻尾をふり続ける子犬のようだ
取材というのは口実で、お嬢様に会いたくてここにやって来たのであろう
しかし、お嬢様には…記憶がないようだ
これは幸いな事なのであろうか?
そう、幸いと思う事にしよう
お嬢様の為にも、私の為にも…
私はお嬢様に忠義以上の好意を抱いていたから…それは愛情といっても差し支えない
この現世ではお嬢様は姫宮家を継ぐ大事なお方
近い将来、婿養子をとりこの家を守っていかなければならない
その為に今、お付き合いをしている良家の子息がいらっしゃる
私の役目は陰ながらお嬢様の支えになる事…
どんな時にでも…
「来栖川さん…帰ってしまったの?」
午後、予定よりだいぶ早い時間に館に戻られたお嬢様は残念そうに言った
「ケーキ買ってきたのよ 一緒に食べようと思って…」
ケーキならわざわざ買ってこなくともいつでも用意できるのに…お嬢様はあの子を気にしている
無意識のうちに何かを感じているのか?私の心は揺れた
「仕事でお忙しいようで…一応、お引き留めはしたのですが」
私は嘘をついた
引き留めなんてしなかった むしろ早く帰ってくれと願っていたから
「それより…一条様とはいかがでしたか?こんなに早く戻られるとは思っていなかったものですから」
私は自分の中に芽生えている醜い心を誤魔化すかのようにお嬢様に笑顔で話しかける
「別に…ただ会って、他愛も無い話ししてきただけよ」
お嬢様はティーカップを持ったまま窓辺に立った
「お父様の顔を潰さない為に…これも義務だから…」
「お嬢様…」
何でそんなに哀しい顔をされるのだろう
やはりあなたの心の奥底には…
「暇ね…少し馬の遠乗りでもしてこようかしら」
「うーっ、どうしよう このままじゃ記事なんて書けないし」
姫宮邸を出てから私は村のあちこちを廻ってみた
しかしこれといったネタにありつけるわけもなく、頭を悩ましていた
ここ数ヶ月、休みもほとんど取らずに仕事をしてきたので編集長からは「遅い夏休みだと思っていいから一週間くらいゆっくりしてきていいよ」と言われていたけれど
…
でも仕事は仕事だ
何とか結果を残さなくてはせっかくの編集長の厚意を無にする事になる
「ハァ、お腹も空いたな…昨夜もほとんど食べてないし」
お店も見当たらないし、一度駅の方まで戻ろうかな?
幸いな事にすぐ近くにバス停があった
「嘘っ…あと30分もバス来ないの??」
私がこの村を出てから四年余り…街の暮らしにすっかり慣れていた私にとって、この村の相変わらずの不便さに戸惑うばかりだった
仕方なくベンチに腰を掛けてバスを待つ事にした
ニャーニャー…
「?」足元から聞こえてくる小さな鳴き声
ベンチの下を見ると白い子猫が震えていた
「わぁ、可愛い…」
私はそっと抱き上げた
「捨てられちゃったの?可哀想に…」ふわふわとした暖かい感触
自然と笑みがこぼれてくる
「あなたもお腹空いてるの?私もだよ…待っててね 駅に着いたら何か食べさせてあげるから…一緒に行こう」
(バスに乗せて怒られないかな?鞄の中に暫く押し込んでおいて…)
そんな事を考えていた矢先…
聞こえてくる馬の蹄の音
「何?馬??」
土煙を上げて疾風のように近づいてくる影
そのけたたましい音に驚いたのか、腕の中の子猫が道に飛び出してしまった
「駄目!!危ないっ」
私は無我夢中で子猫を後を追っていた
けたたましい嘶き
黒い影が覆いかぶさって時、私は馬に踏み潰されたと思った…
「!!」
時が止まったように思われた
飛び込んだ自分の下で動く暖かな存在に気がついた時、子猫も私も無事である事を知った
「来栖川さん!?」馬から降りて私の元に駆け寄ったその人は、紛れもなく「私の愛しい彼女、姫宮千歌音」だった
「ち、ちかね…」似合いすぎる乗馬服に身を包んだ彼女は、私を抱き起こしてくれた
「びっくりしたわ…急に飛び出してくるから」
「ご、ごめんなさい…」
「血が…怪我してる」
子猫を庇って転んだ拍子に手を擦りむいたらしい
鮮血が流れ出ていた
彼女は白いハンカチを出すと傷口に巻いてくれる
「怪我をさせてしまったわ…ごめんなさいね」
「い、いいえ…悪いのはこっちだから…」
「早く手当てをしましょう バイキンが入ったら大変だわ さぁ…」
彼女は私に手を差し出す
「うちに行きましょう」
「でも…」私は手を伸ばす事が出来なかった
また迷惑を掛けるし、彼女の側に居れば辛くなるだけだ
「こんなの大した怪我じゃないし…本当に大丈夫ですから」
「それに、その…この子もいるし…」
私は腕の中で震えている子猫を彼女に見せた
「じゃぁ尚更ね…ねこちゃんも一緒に行きましょう」
彼女の鼓動が伝わってくる…私は背後から抱きかかえられるようにして馬に乗っていた
体が上下に動く度に、豊かな胸の柔らかさも否応なしに感じられてしまう
確か前も…前世でもこんな記憶はあった
(ソウマくんのところへ連れて行って!!)彼女の心も知らずに無神経なお願いをしたものだ
あの時、彼女はどんな思いで馬を走らせていたのだろうか?
(ごめんね…千歌音ちゃん…)
火照る頬に10月の風が心地良く感じられた午後だった
アメノムラクモを復活させたあの日、私は手に怪我を負った
今、あの時と同じように優しく手当てしてくれる彼女がいる
自ら手当てをするという彼女の言葉に乙羽さんの表情は強張っていたように見えた
「痛くない?…ごめんなさいね、怪我させてしまって」
息がかかるほどの距離…長く美しく伸びる指が優しく私の手を包んでいた
何だかもうそれだけで怪我なんて治ってしまうように感じられる
「お詫びに夕食にご招待するからゆっくりしていって」
「そんな…これ以上迷惑はかけられないし…」
「迷惑なんかじゃないわ」彼女は救急箱の蓋を閉めて言う
「最初に会った日に言ったでしょう?私ね日本には知り合いなんてほとんどいないの
だから友達もいないし…毎日が退屈…ひとりで摂る食事も寂しいわ」
(ひとり?寂しい?…千歌音ちゃんあなたは恵まれた生活の中で幸せに生きてるんじゃないの?)
長い睫毛を伏せて寂しそうに語る彼女を見て私の心は痛む
あぁ、そんな顔を私に見せないで…今すぐにでもあなたを抱きしめてあげたくなる…
ほんの少し手を伸ばすだけでその願いは叶うというのに…
「それにその子にも…ご飯食べさせてあげなきゃ」
彼女は私の隣で丸くなっている子猫に優しい眼差しを向けた
「ね、その子の為にもそうして」
私はただ小さく頷く事しか出来なかった
「本当に可愛いわね」
たっぷりとミルクと子猫用の餌を貰ったその猫は食事のお茶を飲む彼女の腕の中でじゃれついていた
「ねぇ、この子どうするの?あなたが飼う?」
そうか、拾ってきたのは良いがその後の事なんて全く考えていなかった
「どうしよう…うちのアパート、ペット禁止だったんだ…」迂闊だった
「いいわよ、うちで飼ってあげるから」
思いがけない彼女からの申し出
「但し条件つきよ」
「条件?」
「そう…時々はこの子の様子を見に来てあげて…それが条件」
(それってまたここに…来てもいいって事?猫の事を口実にして千歌音ちゃんに逢えるって事?)
「どう?」
「あ…はい…」混乱したままその言葉だけが先に出ていた
「良かった 契約成立ね」彼女は嬉しそうに子猫を抱き上げた
「良かったわねヒメコ…仲良くしましょうね」
「!?」
「フフ、名前…貰っちゃった ちょうど雌だし「ヒメコ」って名前、可愛いものね この子にピッタリだと思うの…嫌だったかしら?」
気のせいか彼女の頬が赤くなっている気がした
「い、いえ…嫌なんかじゃ…」それ以上に私の顔は茹で蛸のように赤くなっているはずだけど…
「その…ヒメコの事…宜しくお願いします」
「後でお風呂に入って綺麗にしましょうね…可愛いリボンもつけてあげるわ」
この猫のヒメコは幸せ者だと思った
これから先ずっと、優しい彼女の元で愛情を注いでもらえるのだから
そう思うと何だか嬉しいんだか哀しいんだかわからなくなってくる…
コンコン…
「失礼します」ドアがノックされ乙羽さんが顔を出した
「来栖川様に…面会の方がいらっしゃっていますが、どうされますか?大神神社の「大神ソウマ」様だと申されてますが…」
「ソウマ君が?」何でここに居る事がわかったのだろうか?
ともかく私は彼女に中座する非礼を詫び、玄関先まで出てみる事にした
「申し訳ないのですが、当館は旦那様がいらっしゃる時以外は男子禁制ですので、お知り合いの方でも中に入れる事は出来ませんのでご了承ください」
私はその乙羽さんの言葉に従い、玄関の外に出た
「よう、久しぶりだな」
少し照れ笑いをしてポーチに立つその人は、確かに大神ソウマくんであった
「神社に来てた近所のお婆さんが『姫宮の令嬢が街から来てる女の子と一緒に馬に乗ってた』って言ってたからさ…
たぶん来栖川の事じゃないかなって思ってさ」
「それで逢いにきてくれたの?」
「昨日カズキ兄さんから来栖川が来たって聞いてさ、またうちに寄ってくれるんじゃないかと待ってたんだけど…」
「結局、おまえ来なかったし…その、少しは…心配してたんだぞ」
ソウマ君は咳払いした
「昨夜はどこに泊まったのかなって…兄さんの話じゃ暫くこっちに滞在するみたいだって言ってたし、こんな田舎じゃろくな宿泊施設なんてないだろう?
まさか、野宿でも…なんてね」
「訳あってここに泊めてもらったの…ごめんね、心配させて」
ソウマくんも変わらず優しいな、と思ったら自然と笑みがこぼれてきた
「そうか…そうならいいんだ」
それから私たちは庭にある東屋でお互いの近況について語り合った
ソウマくんは大学卒業後、大手企業に就職したものの、会社の体質に疑問を感じたった三ヵ月で退社してしまったと笑いながら言った
「俺、そもそも都会の暮らしなんて肌に合わなかったんだよなぁ 大学の時も何となく勉強して何となく恋愛して、いつしか目的も失っちゃってさ…
今は…こっちに戻ってきて良かったと思ってるんだ 教職に就きながら神社の手伝いして…いずれは神社を継ごうと思ってるんだ
俺…ここの村で生きていく事にしたんだ」
「そうなんだ…一流の大学出て一流の会社に就職して、もったいないような気もするけれど、でも…ソウマくんらしいかも ふふっ」
何だか学生の頃に戻ったような時間が流れていく
「来栖川…おまえ…」
「何?」
「その…逢えたのか?おまえを待っててくれる人ってのには」
ソウマくんは夜空を見上げて言った
「うん…逢えたよ」胸に痛みが走った
「そうか…逢えたのならいいんだ 良かったな」
「…」
「?幸せなんだろ」
「うん…その人が…大切なその人が幸せに生きてきてくれたから…私はそれで幸せ
例え…私の事を思い出してくれなくても…今はそれでいいと思えるようになったの…」
声が震えてくる
「来栖川…おまえ…」
「バカだって思うでしょ?でもいいの…その人は昔、大きな運命の流れに呑まれて、とても哀しい想いをして、ひとりで寂しい時期を過ごしてきた…
だからもう二度と同じ事繰り返して欲しくないっ 幸せに笑って生きていて欲しいのっ…その為なら、私、我慢する、出来るって誓ったの…
その人の幸せを想いながら大好きな気持ちを忘れずに、ひとりでも生きていく、生きていける…
ごめんね、変な事言って…何言ってるのかわかんないよね…」
私はそっと目尻を拭った
「本当に…バカだよ おまえって…」
「そんな人生でいいのか?これから先の長い人生、そんな想いを抱いたままひとりで生きていくっていうのか?」
ソウマくんは突然、私の手を取り力強く握りしめた
「俺じゃ力になれないのか?やっぱり俺じゃ駄目なのかっ来栖川!!」
「ソウマくん…」
私はマコちゃんからも大神君を振るだなんてバカだと言われ続けた
本当にバカな話しだと自分でも思う
でも…でもやっぱり駄目だ…
「来栖川さん…」
振り向くといつの間にかそこに彼女が立っていた
瞬間的に私はソウマくんの手を振り払う
何だかドキドキしてしまう
彼女は猫のヒメコを抱いたままゆっくりと私たちに近づいてきた
「お話し中に悪いのだけれど…あなたのお仕事のことで大事な話しがあるのを思い出したから」
「あっ…じゃあ、俺」ソウマくんはバツが悪そうに頭を掻いた
「悪かったな、来栖川…その…また神社の方にも顔を出してくれよな じゃあ、またな」
ソウマくんは彼女に軽く会釈した
「お邪魔しました」
「ごきげんよう…」
やっぱりソウマくんの記憶の中からも彼女の存在は消えていた
無表情に去っていくソウマくんの後姿を見送る彼女…何だか、怖い…
「あの…」
私は躊躇いがちに彼女に声をかける
「仕事のことって…」
「ごめんなさいね、お話し中だったのに…忘れるといけないと思ったから」
ニッコリと笑う彼女
「乙羽さんから聞いたのだけれど、うちの敷地内に古い祠があるらしいの そこには何やら古文書も奉られているらしいわ
それってあなたの取材に役に立つのではないかと思うの…見てみる価値はあるかも」
「そうなんですか…」
「今日はもう暗くなってしまったから無理だけど、明日の朝、行ってみない?私もお供するわ」
「ありがとうございます…でも…」
「そうなさい…だから今晩も泊まっていってね 遠慮しなくていいから」
こういうのをなし崩し的に…とでも言うのであろうか?
正直、こんな状態のまま彼女の側にいるのは辛い…けれどもそれと同時に彼女の側にいられるだけで幸せだと感じてしまう自分がいる事も確かだ
そんな心の葛藤があるまま、結局、私は彼女の言葉の通り、またその日を姫宮家で過ごす事になってしまった