「もしも」一話で誕生日にオロチの襲撃が無く、二人だけの誕生日が行われていたら…

神無月の巫女 ハアハアスレ投下もの

「もしも」一話で誕生日にオロチの襲撃が無く、二人だけの誕生日が行われていたら…

「もしも」一話で誕生日にオロチの襲撃が無く、二人だけの誕生日が行われていたら…
を妄想してみた↓この千歌音ちゃんの言葉だけでもハァハア度の高さが伺えるw
(明日は今までの誕生日とは違うの
 明日のことを思っただけでこの胸の高鳴りが押さえられないくらい
 本当に、特別な一日)

毎年、繰り返されるもはや義務的となった行事
姫宮邸の大広間に村や学校、姫宮の仕事関係の人々を招いての誕生会
代表者からの型どおりのお祝いのスピーチに始まり、粛々と進行されていく誕生会に少し飽き飽きしていた
しかし…今年は違う 心がときめいていた
千歌音の視線は常に一人の人を追っていた
会場の隅っこで目立つ服装でいるわけもなく、静かに佇んでいる少女…来栖川姫子
そう、彼女の存在だけが今日の千歌音の心の全てを占めていた


あと数時間の後、二人っきりの時間がもてる
千歌音は一刻も早くこの退屈な時間が過ぎることを願っていた
姫子といえば、そんな千歌音の心を知ってか知らずか、早乙女真琴と離れることなく時折、屈託の無い笑顔を見せていた
(あの笑顔を自分だけのものにしてしまいたい…)

寮生活をしている生徒達の門限が9時である為、6時から始まったパーティーーは2時間を経過したところで終わりを告げる
千歌音は出席してくれた人々を見送った
姫子は今頃、乙羽の手引きにより千歌音の部屋に通されているはずだ
千歌音は最後の人を見送ると、急いで自室に向かった
「姫子!!」
部屋に入ると姫子は中央に置かれているソファに腰を掛けていた
千歌音の顔を見るとニコニコと太陽のような笑顔で迎えてくれた
やっと二人だけの時間…千歌音は部屋の鍵を掛けると姫子の隣りに腰を降ろした
テーブルの上には乙羽によって用意されたワインとグラス、幾つかのオードブルにケーキがある
「さぁ、二人だけの誕生会をはじめましょうか?」千歌音はグラスにワインを注いだ
「あの、千歌音ちゃん…私、ワインは無理だよ」姫子は手を振って断る
「一口ぐらいだったら大丈夫よ お祝いだもの、少しだけつきあって」
「う、うん…」
「せっかく蝋燭に火が灯ってるし…」千歌音は部屋の電気を消した
ぼーっと蝋燭の明りが浮かび上がり、神秘的な雰囲気を醸し出す
「お誕生日おめでとう、姫子…」千歌音はグラスを掲げた
「お誕生日おめでとう、千歌音ちゃん…」グラスが交わった
「蝋燭の明り…凄く綺麗だね」うっとりとしてグラスに口をつける姫子
可愛い…その横顔を見ながら千歌音は思った
口に含んだワインも味もいつもよりは格別に美味しく感じられた
「あ、千歌音ちゃんの今日のドレス姿も凄く綺麗だよ 本当に見とれちゃったし…」
「そう…姫子だってそのワンピースとても似合ってるわよ…可愛いわ」薄いピンクが姫子の肌の色にピッタリだと千歌音は思った
姫子は照れくさそうにワインを口に含む
「私ね…本当に嬉しいの 千歌音ちゃんと同じ誕生日でこうして二人でお祝い出来るなんて」
「私もよ 姫子…」
「千歌音ちゃんの誕生日が凄すぎて、仲のいいマコちゃんでさえ私の誕生日忘れてるみたいだったし…あ、でも大神くんは覚えてくれてたな」
「大神さん…が?」
「うん…本当は今日二人で会えないかって誘われてたんだけど」そこで姫子はアッと口を手で押さえた
(千歌音ちゃんと大神くんって…つきあってるっていう噂…)


まずかったかな…千歌音の気を悪くさせたと思って姫子は慌てた
「あ、あの…特別な意味はないと思うよ 大神くんとは幼馴染で…それだけだから…その、千歌音ちゃんと大神くんが親しいのは知ってるし、
別に二人の仲を邪魔するつもりなんてないし…」
「姫子?私と大神さんって何でもないわよ ただのクラスメートだけれど?」
「でも…みんなが言ってるよ お似合いのゴールデンカップルだって…」
千歌音はクスクスと笑った
「そんなのただの噂でしょ 彼とは本当に何もないもの」
「それより…」千歌音はグラスを傾け少し目を伏せながら言った
「姫子と大神さんが幼馴染だなんて始めて知った…もしかして彼の事…好きなの?」
「えっ…そういうわけじゃないけれど…」姫子はあきらかに動揺している、と千歌音は思った
「小さい頃から…守ってくれたから 嫌な事があっても…大神くんがその後で楽しい時間を作ってくれたの…」
そう、そういうことなの…姫子の恋愛感情は大神ソウマに向けられている
千歌音の心は沈んでいく
二人の間に暫しの沈黙の時間が流れた
「あ、あの…」姫子は千歌音が急に黙り込んでしまったことに戸惑っていた
「ち、千歌音ちゃんは…好きな人いる?」千歌音はハッとして顔を上げた
「千歌音ちゃんは私と違ってみんなからモテモテだし、色んな人から告白されてるって聞いてるから…その、選ぶのも大変かなあって…えへへ」
千歌音はグラスのワインを飲み干すと姫子の方を見た
「好きな人…いるわよ 誰か知りたい?」その熱っぽく潤んだ瞳を見て、姫子はドキっとした


千歌音の顔が近づいてくる
気がつけば千歌音の艶やかな唇が目の前にあった
(えっ…)姫子は瞬間的に目をつぶっていた
「姫子…」千歌音は姫子の耳元で囁く
「やっぱり…教えてあげない…」耳に直接かかる千歌音の熱い息…ゾクゾクとする
「大神ソウマに心を奪われているあなたなんかに…教えたくない」
「!?」(千歌音ちゃん…怒ってる)姫子は千歌音を見た
(千歌音ちゃん、やっぱり大神くんの事が好きなんだ…だから、私の事怒ってる…どうしよう)
長い黒髪に隠れて千歌音の表情を知る事は出来ない
姫子はただ戸惑うばかりだった
「あの…千歌音ちゃん…ごめんね、私…」
「姫子…」千歌音の手が伸びてきて姫子の頬を触る
「私からの…誕生日プレゼント、受け取ってね」
返事をする間も無かった
千歌音の顔が目の前にきたかと思うと、生暖かく湿った感触が姫子の唇に重ねられていた
「!?」(うそ…キスしてる…千歌音ちゃんと…)
重ねられた唇は少しずつ動いていた
やがてヌルッと千歌音の舌が姫子の唇を押し入ってきた時に姫子は体をビクリと震わせ、彼女から逃げていた
「そんなに…嫌…なの?」千歌音は酔っているのだろうか?瞳を潤ませ上気した顔つきで迫ってくる
「ど、どうして…何でこんな事するの?」姫子はたじろぎソファから立ち上がった

「ごめんね…」千歌音の手が伸びて姫子の手首を掴んだ
痛い程、強い力…
「こんな想い…絶対口にしてはいけないと思ってた でもね…」
千歌音は姫子を引き寄せると抱きしめた
「このままじゃあなたを誰かに盗られちゃう…」
「ち、千歌音ちゃん…」
「好き…あなたが好き…好きよ、大好き」耳元で何度も囁かれるその言葉に姫子の頭は混乱していた
千歌音は姫子から見たら仰ぎ見上げることしか出来なかった憧れの対象…
親しい友達になれただけでも信じられなかったのに、それが今は愛を囁かれてるなんて…
「嫌なら…嫌だったら言って…もう二度とこんな事しない あなたにはもう…近づかないから…」
「そんな…」もう近づかない?それって今までみたいな二人の関係が終わってしまうって事なの?
嫌だ…そんなのは絶対に でも言葉が上手く出てこない どうしよう…
姫子の目から涙が零れ落ちた
「姫子…」姫子が体を震わせ泣いているのに気がついた千歌音は体を離した
悲しげな目をして姫子の顔を覗き込む
「…そう…やっぱりあなたを苦しめてしまったのね…」
千歌音は扉に向かってゆっくりと歩き出した
ガチャッと鍵が開けられる音がする
「まだ…寮の門限には間に合いそうね 車で送らせるから…行きましょう」
千歌音は振り向く事なく言う
「ごめんね…せっかくの誕生日だったのに 嫌な思いをさせてしまったわ…本当にごめんね」


(きっと千歌音ちゃんを怒らせてしまったんだ…)
昨日、玄関先で見送った千歌音の表情が頭から離れない
悲しげな、苦悶に満ちた表情…今まで見た事のない表情…
本当なら昨日は千歌音の家に泊まって楽しい時間を過ごすはずだった
今朝だって二人して仲良く登校していたかもしれないのに…
結局、あれだけ悩んで買い求めた誕生日プレゼントも渡せず、未だ姫子の鞄の中にあった
嫌なんかじゃない、ただ驚いただけ…自分にとってはファーストキスだったわけだし、そう、まだ自分の気持ちがハッキリとわかっていないだけ
頭が混乱してるだけ…だからもう一度ちゃんと向き合えば…姫子は思った
(千歌音ちゃんと…ちゃんと話したい…誕生日の続きもちゃんとしたい)

姫子の背後で黄色い声が上がった
「宮様ーっ」
振り返ると千歌音が颯爽と登校してくるところだった
(千歌音ちゃん…)
千歌音は周りの生徒たちに「ごきげんよう」と優雅に声を掛けながら真っ直ぐに歩いてくる
姫子は立ち止まり千歌音を待った
「あ、あの…」一瞬の風を感じた「えっ…」
千歌音は姫子の存在など全く眼中に入らないかのように足早に横を通り過ぎて行ってしまった
(もう近づかないから…)千歌音の言葉が甦る
姫子はその時、初めて理解した
千歌音が自分から離れてしまう事が現実におこっているのだと

「姫子ーっ、どーしたボーッとして」
「マコちゃん…」
姫子は校庭のベンチに座っていた
その視線の先にはテニスコートで打ち合っている千歌音と大神の姿があった
「いつ見てもあの二人はお似合いだなぁ」真琴のその言葉に心が痛む
そう、誰だってあの二人を見ればお似合いだと思うだろう
自分だってあの二人はお互いに好意をもっているものだと誤解していたのだから

「おー、神さまがこっちに来るぞ」
テニスを中断した大神が足早に姫子たちの元にやってきた
「来栖川…ちょっといいか?」
「大神くん…」
真琴はニヤニヤ笑いながら手を振りその場を離れていく
「今度の日曜日、村の祭りがあるだろ?その…誕生日に渡せなかったものがあるから…一緒に行かないか?」
「え、でも…」
「五時に迎えに行く」大神は赤面しながらそう告げるとコートに戻っていった
姫子は次の瞬間、千歌音の姿を探していた
千歌音の姿はいつの間にかコートから消えていた


(神さまに誘われたのに行かないって!?アホかアンタは…せっかくのチャンスなのに)
躊躇い、行かないと言った姫子に真琴は呆れていた
(大事なものってのは失くしてからその大事さに気づくんだよ)
大事なもの…それは自分にとって本当は何なんだろうか?
午後から降り出した雨
傘を用意していなかった姫子は真琴をアテにしていたが、部活のミーティングがあるというので仕方なく一人で帰宅する
暫く玄関先で雨が弱まるのを待っていたが、変わらない様子に姫子は諦めて寮まで走った
10月の冷たい雨が体を濡らした
ただでさえ走れば転ぶという特技を持っている姫子のこと、後ろから来た車を避けようとして案の定、足を滑らせた
そして…かなり豪快に転んだ
「イッター…」鞄が飛び中の荷物が飛び出てしまった
「あっ…」水溜りに浸かってしまったそれは姫子のとても大切にしているもの
千歌音がくれたアルバム…
あわてて拾い上げたが、泥まみれになってしまっている
「ヤダ…こんなに汚れちゃって」姫子は袖口を使って拭いたが、白い表紙なのでかえって汚れが広がってしまった
「どうしよう…どうしよう…」涙が溢れてきた 
姫子はアルバムを抱きしめていた そう、本当に大切な大事なもの
(大事なものってのは失くしてからその大事さに気づくんだよ)真琴の言葉が甦る
自分にとって大事なものはこのアルバムの中で笑顔を向けていてくれるこの人だったのに…
姫子は雨にうたれながら泣き続けた


「ごめんね、私やっぱり一緒には行けないから」
日曜日、大神の誘いを断った姫子はひとり祭りの会場へ向かった
普段は静かなこの村もこの日ばかりは一気に賑わう
近郊の街からも人が集まってくるので、祭り会場はかなりの人でごった返していた
姫子は人の波に揉まれながら、ただひとりの人の姿を探して彷徨っていた
手紙を読んでくれたらきっと来てくれる…姫子はそう信じた
昨日、姫子は姫宮邸を訪れた
千歌音は不在だったが、応対に出た乙羽にこの手紙を千歌音に渡して欲しいと頼んだ
(千歌音ちゃん…)
篝火で囲まれた特設舞台では神楽が舞われていて観客が大勢集まっていた
その中で人々の熱気と篝火の暑さで姫子の頭はのぼせそうだった
なんだか頭がくらくらしてくる…
(!?)…その時、暖かい手が指に絡みつくようにしっかりと姫子の手を握った
姫子は横に立つその人の顔を確かめると、寄り添い肩にもたれかかった
「千歌音ちゃん…来てくれてありがとう…」
あとは言葉にならなかった
千歌音に引っ張られるようにしてその場所から離れ、人気の無い場所へと移動する
「汗…すごいわよ 具合悪いの?」千歌音は姫子の額に浮かぶ汗を指先で拭った
「熱…あるみたい」千歌音は自分の額をつっくけた
「千歌音ちゃん…」心臓が高鳴る
熱っぽいのはきっと千歌音ちゃんのせいだよ、と姫子は思った
「風邪ひいたかもね…雨の中…濡れてたでしょ」千歌音は額をくっつけたまま言う
「知ってたの?…」
「姫子のことは…いつも見てるから いつも姫子の姿を探してしまうから」
熱い息がかかる
「ごめんね…あの時だってすぐに飛んでいって助けてあげたかったのだけれど
もう…姫子に近づいちゃいけないって…」
「ヤダ…そんなの嫌だ」姫子は千歌音の背中に腕をまわした
「千歌音ちゃんが離れていってしまうなんて絶対に嫌っ…側に居て…お願い」
「姫子…」
「…すき…千歌音ちゃんのことが好き…大好き」
「姫子…でも」千歌音は姫子の頬に手をあてた
「姫子の好きと私の好きは…きっと違う 私の好きはね…友達としての好きじゃない あなたを抱きしめてキスしたいって…そういう欲望の塊の好きなのよ」
「違わないよ…私も…私も」姫子は目を閉じて顔を上向きに上げた


「姫子…」
「千歌音ちゃんの事考えただけでドキドキが止まらない…千歌音ちゃんに嫌われたら…私、たぶん生きていけないよ」
千歌音の指が姫子の唇をなぞる
「本当にいいの?」千歌音の言葉にそっと頷いた
ほどなくして熱い唇が重なった
ただ唇を合わせるだけのキスだったけれど、それでも二人の気持ちがひとつになれた瞬間だった
「誰かに…見られちゃうわね」千歌音は唇を離すと少し照れ笑いをした
見られても構わないと思って姫子はギュッと強く千歌音に抱きついた
「千歌音ちゃんと一緒に居られるのなら…どんな辛いことにだって立ち向かえるよ…例えね学校のみんなに虐められても平気…」
「あなたにもう辛い思いなんてさせないから…私が守ってあげる、絶対に」
少しだけ遠回りしたけれど、私達の気持ちは重なり合った
思えば私はあの最初に薔薇の園で出逢った頃から、彼女に恋をしていたんだと思う
ただ…少しだけ自分の気持ちに自信が持てなかっただけ、確信が持てなかっただけ…
「ねぇ…千歌音ちゃん…誕生日の続き…ちゃんとしたい」
「ええ…姫子」二人はしっかりと手を握り合って、祭り会場を後にした

最終更新:2007年05月24日 17:37
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