千歌音ちゃんが大好き。
やっと手に入れた千歌音ちゃんとの日々は私にとって何より大切な毎日…。
出来るだけ一緒にいたいけど、やっぱりお互い社会人だからそうもいかない。
まして千歌音ちゃんは姫宮グループを背負って立つ身だから
顔には出さないけれど私何かより、ずっとずっと大変だと思う…。
それでも、千歌音ちゃんはすごく私を大事にしてくれて
言葉でも…その…恥ずかしいけれど…身体でもそれを伝えてくれる。
でも少しだけ不安なことがある。
それは私の想いがちゃんと伝わっているかどうか…。
私は千歌音ちゃんみたいに上手くそれを口にできないし、それに
いつも私ばかり…愛されてるみたいな気がして、以前千歌音ちゃんにそれとなく訊いてみたら
「そんなことないわ…姫子が傍にいてくれるだけで、本当に幸せよ」と
言ってくれた。
でもやっぱり、私だってもっと千歌音ちゃんが好きだって伝えたい。
そんな想いだけが募るある日、偶然立ち寄った書店でたまたま手にとった雑誌に撃的な記事が載っていた。
恋愛相談が投稿されるページに“恋愛下手の失敗談”という特集が組まれていて
その中のひとつに目が釘付けになった。
それは、苦難を乗り越えてようやく結ばれたという今の私の恋愛にすごくよく似た内容だった。
けれど最後は「想いが伝えきれずに終わってしまった」と締めくくられていて
その文字に胸がぎゅっとしめつけられた。
千歌音ちゃんはすごく素敵で、私の傍にいるのなんか勿体無い位の人。
なのに私だけを見てくれる…私だけを愛してくれる…。
今が幸せすぎて怖いくらい…
でも、いつかもしこんな風に私達の関係が終わってしまったら!?
一瞬にして心の底にあった不安が爆発したみたいに体中を駆け巡り
体温を奪っていくように青ざめていくのがわかる。
「そんなの嫌だよ…やっぱりこのままじゃ駄目だよね…」
そう決心した私は直ぐに書店を飛び出して、千歌音ちゃんの待つ部屋へ
走り出していた。
「どうしたの!?そんなに息を切らせて」
大急ぎで帰って来た私に驚いた千歌音ちゃんが、心配して作りかけの夕飯も
そのままに私に駆け寄って来てくれる。
「何かあったの!?また痴漢にでもあったんじゃ…」
「ううん、そうじゃないの…」
そうじゃなくて…少しでも早く私の気持ちを伝えたいから走って帰って来たの
なんて事、やっぱり千歌音ちゃんを前にしたら言えないよ…。
そう怖気づいた瞬間、私の目の前に先ほど目にした記事がちらついて胸を突いた。
「姫子、本当に大丈夫?」
「う、うん。何でもないの…その…」
言わないと…私、ちゃんと千歌音ちゃんに伝えないと
あんな風にいつか終わってしまうなんて絶対に嫌だ、という想いが私の背中を
押してくれたのかも知れない。
私は途切れ途切れだけど、ようやくそれを口にする。
「あの、ね…わ、笑わないでね…?」
「姫子の言葉をそんな風に扱ったりなんてしないわ」
「えと…ち、千歌音ちゃんに…早く好き…って伝えたくて…それで…」
ようやく口に出せた、けれど弱弱しい私の発言に千歌音ちゃんは一瞬
すごく驚いた顔をして、それからすぐいつもの穏やかで優しい微笑を浮かべて
私の手を取ると「ありがとう」と額にキスをしてくれた。
「でもどうしたの?急にそんなこと言い出すなんて…」
「本当はね…もっと言いたいのに言えなくて…千歌音ちゃんが好きだって…」
「姫子、私はいつもその気持ちを貰ってるわ。だから頑張れるの…」
「うん…私もだよ千歌音ちゃん…。でもそれだけじゃ駄目なの」
「えっ?」
「千歌音ちゃんがそうしてくれるみたいに、私ももっと伝えたいの!
千歌音ちゃんが好きだって、愛してるって伝えたいの」
「ひ、姫子…」
「だからね…」
濡れたように艶やかな千歌音ちゃんの髪にキスをして、料理の為に束ねられて
いたその髪を解くと甘い彼女の香りがした。
「これからは…私、頑張るから…」
「えっ、ひ、姫子!?」
「私もっと、千歌音ちゃんに想いを伝えられるように…」
「ちょっ、待っ…ここ玄関っ…んっ!」
「もう場所も時間も関係ない。
迷わないって決めたの…何時だって千歌音ちゃんが好きだよ」
「や、駄目ッ…姫子っ!ちょっと待っ――ああ…っ!!」
その後のことは…ちょっぴり我を失っててよく覚えてない(テヘ☆)
途中で「もう駄目」とか「お願い許して」とかそんなことを言われた気も
するけれど千歌音ちゃんがそんなこと言うはず無いよね。
翌朝目が覚めると千歌音ちゃんがぐったりしてて微かに私をみる目が
怯えてた気もするけどそれも気のせいだよね?
なんだかあの一件で私の中で何かがふっきれた気がする…。だから
「千歌音ちゃん、大好きだよ…これからは毎日…ちゃんと伝えるからね」
って言ったら
「ひ、姫子はいつものままでいいのよ…もう十分伝わってるから…ね?
だからもう無理しなくていいのよ…」
そう言ってくれたんだけど…手にしていたティーカップを持つ指先が
震えて見えたのは昨日頑張りすぎちゃったせいかな??
それもきっと気のせいだYOね!!
不安な一夜が明けて外は晴天。なんだかとっても素敵な気分v
「千歌音ちゃん、今日も一日がんばろうね!!いろんな意味で!」
最後に千歌音ちゃんの表情が凍りついたように見えたのも、全部気のせい。
千歌音ちゃん、毎日大好きだよv
~~おわり~~