もう姫子がいなくなってから1年が経つ・・・月の姫と陽の巫女の宴、そして・・・運命・・・でも・・・
あの時は無我夢中だった、私は完全に我を忘れていた、気がついたときには私の剣が姫子の胸を突き刺していた・・・我に返った私は姫子を傷つけたことに対して、そしてその状況に絶望し自害を企てようとした
でも・・・姫子が血を口から吐き出しながら小さく呟いた「駄目だよ、千歌音ちゃんがいなくなると乙羽さんも学園の皆も悲しくなるよ・・・だって皆の宮様だもん・・・だから千歌音ちゃんは生きて・・・」
「また・・・転生したら逢えるよ・・・きっと、だから悲しまないで、もう泣かないで千歌音ちゃん、ほら・・・綺麗なお顔が台無しだよ」
「ひ・・・姫子!・・・私・・・」私はあの後号泣した、そして姫子に対して私の想いを全て告げた、その後姫子が笑顔で微笑むとゆっくりと引き取った・・・
私は姫子の死に対するショックで数日ほど姫宮邸に篭りきっていた、学園にも顔を出すことはなかった・・・
「お嬢様そのようなお姿でこれからどちらに?」
月の巫女服に身を包んだ私は乙羽に曖昧に答えると姫宮邸を後にする、今日は姫子の命日・・・どうしても月の社に行かなきゃいけないのよ・・・
「ここも変わらないわね・・・」
月の社・・・そこはかつて私が・・・オロチ巫女が・・・ううん、もうあの惨劇は思い出したくもない
もうここには誰もいない、去年の出来事が嘘のように思える「ほんと静かね・・・」私はそう呟いた・・・
なぜいまここに来る必要があるのか?叶わない夢よね、でも・・・また姫子に逢いたい・・・誰よりも愛しい姫子にまた逢いたい、それだけが全てだった
結局はオロチの一件が終止符を迎えても私の生活は変わることはなかった、姫宮邸での主人としての毎日、そして学園では生徒会の仕事に弓道の部活動
そして相変わらず宮様と皆からもてはやされる毎日、大神ソウマももういない、でも普通はこれが平和なのだろうと実感した、でも違う・・・私の望んだことはそんなことではなかった、その中に姫子がいなかったから・・・
この生活の中に姫子がいたらどんなに幸せだったかしら、そう思う毎日が続いていた、そしてついに1年の月日が経つ、今日も変わらずいつも通りに乙橘学園に通い生徒会の仕事、弓道の部活動といつもと変わらなかった
ただこうして月の社に来た以外は、でも・・・そんなに物事って甘くないわね、神無月には姫子とまた逢えるなんて懐いていた私の尊い夢は叶えることはなかった、結局ここに来ても何もない
「・・・・・・」私は小さなため息をつくと月の社を後にした
「お帰りなさいませお嬢様」乙羽と大人数のメイドに迎えられる「ええ、ただいま」
「あの・・・来栖川様がお戻りになっておいでです」乙羽の一言に私は絶句した
姫子・・・姫子!「来栖川さんが・・・!?」
「はい・・・部屋にお連れしております」
「そう・・・ありがとう、すぐ行くわ」
私は早足で姫子の部屋に向かった、そしてゆっくりと姫子の部屋に入った
「姫子!・・・貴女なの?」
「うん、私だよ千歌音ちゃん」
陽の巫女服に身を包んだ姫子が佇んでいた、私は夢か幻かと思った、信じられない・・・だって姫子はあの時・・・
「だって・・・姫子はあの時・・・私が」
「う・・・うん、私にもよく分からないの、でもこうして千歌音ちゃんの前に戻ってきたよ」
私はその後姫子と夢のような時間を過ごした、姫子と2人だけの食事、姫子にピアノを聴かせてあげた、そして姫子と一緒に入浴・・・もう貸切状態だった、乙羽には一切介入することを禁じた
ただ姫子が時計を気になっていたのには不審に思ってはいた、どうしたのかしらとは思いながらも楽しい時間を過ごせた、しかし楽しい時間というのは早いもの、もう10時になっていた
「久しぶりだから・・・一緒に寝ましょう」私は姫子を一緒に寝るようベッドに誘った「うん、私も千歌音ちゃんと寝たかったの・・・良かった」
「ねえ姫子、これからもずっと一緒にいましょう、もう寮に帰る必要なんてないわ」
「ち・・・千歌音ちゃんあのね・・・私」
「え?どうかしたの・・・?」不審に思って聞いた私に姫子はなんでもないと言ってシーツの中に入った
「姫子・・・」
自然と姫子の体を優しく抱き締める、もう離したくない・・・そんな思うを胸に懐いていた
「ち・・・千歌音ちゃん・・・?」抱き締められて姫子の顔が染まった
「姫子・・・好き、好きよ・・・姫子・・・」
口から溢れ出てくる言葉に沿うように姫子の首筋に息を吹きかけるもう離したくない、あんな辛い想いはしたくない・・・
「1年ぶりだもの・・・姫子・・・貴女が恋しくて仕方ないのよ」
そう言うと姫子に顔を近づけた「千歌音ちゃ・・・・んん」姫子に覆いかぶさるとやや乱暴気味に唇を奪う
ああ・・・姫子は感じた、私・・・いま千歌音ちゃんに抱かれてるんだ・・・この温もり、でも嫌じゃなかった、大神君とはまた違う感覚に気持ちよさを感じた
ここまで私のこと好きでいてくれる千歌音ちゃん・・・とっても嬉しいけど私は・・・今夜で・・・いま11時だから神無月が過ぎるまであと1時間だね・・・
「姫子・・・?」早朝姫子の姿がない、慌てて部屋を出て乙羽に聞いてみたが「存じ上げておりません」の返答が返ってきた
あ・・・私のベッドの上に姫子の手紙が書いてある
「千歌音ちゃん・・・神無月にまた逢おうね・・・」
今日の日付を確認した私は涙を流した
そう・・・そういうことだったのね姫子・・・昨日の貴女は・・・私は静かに目を閉じると小さく呟いた
「姫子・・・また神無月にまた貴女を待ってるわ・・・1年に一度にしか逢えないけれど・・・私はそれでも満足よ」
昨日はおそらく夢のようなものなのだろう、だけど私はそれでも幸せだった・・・姫子・・・これからも永遠に貴女を好き
神無月にまた逢いましょう・・・私の愛する陽の巫女・・・月の巫女はいつでも貴女を待ってるわ・・・神無月で永遠に・・・
END