「温泉気持ち良かったね、千歌音ちゃん」
「ええ、旅館ここに決めてよかったわ」
温泉から上がり、和室でくつろぐ2人。
新婚旅行で今日はこの旅館に泊まっている。
海外にしようか国内にしようかずいぶんと悩んだが、たまには温泉などもいいだろうとここへ決めたのだ。
「さあ、今日はもう寝ましょうか?」
「う、うん…」
部屋には布団が2つ敷かれていた。
「おやすみなさい、姫子」
「あ…千歌音ちゃん、おやすみなさい…」
千歌音はそう言うと、明かりを消して早々と布団に入ってしまった。
(千歌音ちゃん…もう寝ちゃったかな?)
薄暗い部屋の中、しばらくして姫子は隣で眠る千歌音をそっと見つめた。
千歌音は反対側を向いているため、顔はよく見えない。
姫子は意を決して布団から、そっと抜け出した。
「…う…ん?」
眠りかけていた千歌音は背中に温かいものを感じて、振り返った。
「…え、ひ、姫子っ!?」
眠りかけていた頭が一気に覚めた。
そこには頬をあからめ瞳を潤ませた姫子が、千歌音の布団に潜り込んでいた。
「ど、どうしたの姫子?」
「千歌音ちゃん、ひどいよ。寝ちゃうんだもん…」
そう言って千歌音の身体に、ぎゅっとしがみついた。
「あ…そ、そのごめんなさい、疲れてるんじゃないかと思って。」
確かに長旅だったし、少々疲れてはいるが…。
「だって…新婚旅行だよ。疲れてはいるけど…でも…」
姫子は千歌音の手を自分の浴衣の帯に誘導した。
「姫子…でも…」
戸惑う千歌音に姫子は優しく微笑みかけ…
「私ね結婚式も出来て、新婚旅行にも連れ来てもらって幸せだよ。」
千歌音の指で帯をほどかせながら、前をはだけさせる姫子。
「でも、もうひとつわがまま言ってもいい?」
「わがまま…?」
2人は熱い視線を絡ませながら、向かい合った。
「千歌音ちゃんとの赤ちゃんが欲しいの…」