姫宮邸のある一室で広い部屋を落ち着かないように、キョロキョロと前世千歌音が見回している。
前世千歌音「あの…姫子さまは?それに千歌音さんも…」
そう言えば先ほどから前世姫子と現世千歌音の姿が見当たらない。
現世姫子「さあ‥?千歌音ちゃんが、姫子さんをお屋敷の中でも案内してるんじゃないかな?」
前世千歌音「そうですか…」
前世姫子が居ないせいか、若干不安を覚える前世千歌音。
その時…。
前世千歌音「‥…!?」
部屋の明かりが突然消えた。
驚いた前世千歌音は慌てて立ち上がる。
カチャっとドアの鍵が閉まる音がした。
前世千歌音「あ、あの…姫子さん…?」
暗闇の中、現世姫子が近づいてくる。
現世姫子「千歌音ちゃん…」
前世千歌音「あ、やあっ…!やめてくださ…んっ!」
現世姫子に抱きしめられ、唇を奪われてしまった。
現世姫子「今日は一晩、私だけの千歌音ちゃんになってね。」
前世千歌音「いやっ…姫子さまぁ‥っ!」
混乱する前世千歌音は思わず前世姫子の名を呼ぶ。
現世姫子「姫子さんなら…来ないよ。今頃、千歌音ちゃんと…だから大人しくしてね。」
前世千歌音「そんな…い、いやああっ…!」
「千歌音ちゃん…」
前世千歌音をベッドに押し倒し、巫女服に手をかける姫子。
「あ、だ‥だめです‥っ!姫子さん‥!」
巫女服をはだけさせると、現世千歌音より若干小ぶりだが豊かで形のいい胸に姫子が触れてくる。
「あっ…やあっ…」
胸の先端を口に含むと、千歌音の身体が震えた。
「んっ…やめ‥てください‥」
顔を真っ赤にして、いやいやと首を横に振る千歌音が可愛らしくて姫子の欲情をさらにそそる。
「可愛いね…前世の千歌音ちゃんも‥」
うっとりと千歌音を見つめる姫子の瞳に、恥ずかしくて視線を合わせる事が出来ない千歌音。
だが姫子の手によって巫女服を全て剥ぎ取られてしまう。
「すごく綺麗…」
「やっ…」
上から下まで千歌音の美しい裸体を全て見られ、千歌音はぎゅっと瞳を瞑った。
「ね‥いいよね千歌音ちゃん…」
姫子の指が千歌音の下腹部辺りを撫でる。
その言葉と、触れられた場所に千歌音はハッとした。
「だ、だめですっ‥!そこは姫子さまにしか…」
「姫子さまって…もしかして千歌音ちゃん。もう、姫子さんに…」
「あ…」
「…そうなんだ。でも今晩は私のものだから、姫子さんの事は忘れてね。」
そう言うと姫子は千歌音の入り口に指で触れる。「ああっ…ひ、ひめ…」
指先でそこを愛撫すると、すぐに蜜が溢れ出した。
「あ…すごい。千歌音ちゃん‥もう、こんなに。」
指先についた千歌音の蜜を口に含み、味を確かめる。
「いやっ…やめて…!」
「千歌音ちゃんと同じ味…やっぱり千歌音ちゃんなんだね。」
嬉しそうに微笑む姫子は、前世姫子と同じお日様のような温かい笑顔。
(あ…姫子さまと同じ笑顔…)
その笑顔に千歌音の心が和らいだ。
「千歌音ちゃん…ごめんね。」
「あ…ああっ…」
姫子の指が千歌音の中に入ってくる。
前世姫子にしか許した事のないその場所に。
「いつもはどんな風に抱かれてるの、千歌音ちゃん?」
「そ、そんな…事っ‥言えな…ああっ!」
指は休む事なく千歌音の中で動いている。
「姫子さんより気持ちよくしてあげるね…」
「んぁっ…やあっ…姫子さん…」
「愛してるよ…千歌音ちゃん」
その夜、前世千歌音は現世姫子にも全てを奪われてしまった。
その頃…。
「ずいぶんと広いのね。」
千歌音は前世姫子に頼まれて、姫宮邸の屋敷内を案内していた。
「ここが千歌音の部屋?」
「え、ええ…」
姫子は千歌音の部屋を物珍しそうに見渡した。
「あの…そろそろ姫子達の所に戻らないと…」
案内してから、ずいぶんと時間が経っている。
そろそろ戻ろうと姫子に声をかけるが、前世姫子はベッドに興味を示したようでベッドの上に楽しそうに座っていた。
「これは何?お布団かしら?ふかふかね。」
(やはり、間違いないのね…姫子とは違う好奇心旺盛な性格…この方は前世の…)
千歌音の記憶にある前世と同じ姫子の姿に、千歌音は懐かしさと戸惑いを感じていた。
「千歌音もこっちにいらっしゃい。」
「え、わ‥私は‥」
千歌音に手を差し伸べる姫子。
「いいから、ほら。」
「あっ…」
姫子に手を引っ張られ、ベッドの上に座らされてしまった。
その力強さは現世の姫子とは違う。
「あの…っ!」
肩に手を回され、千歌音の胸がドキドキと高鳴ってしまう。
「なぁに?千歌音。」
「い、いえ…」
密着してくる姫子の積極さに、千歌音は頬を赤らめ何も言えなくなってしまった。
「そうゆう所は変わってないのね…」
「えっ…あっ…!」
クスリと笑う姫子の声に、千歌音が顔を上げると不意に腰を撫でられた。
「千歌音…」
「ま、待って…私…」
近づいてくる唇に、千歌音は慌てて顔を逸らした。
「どうして?」
「だ、だって‥私には姫子が…」
「あら、私だって姫子よ。」
「そうだけれど…でもっ‥んんっ!」
姫子に頬を引き寄せられ、唇を塞がれる。
「ん…っ…」
姫子の舌が入ってくると、身体の力が抜けてしまうのが分かった。
キスに気を取られている間に、姫子の手が千歌音のシャツのボタンが一個ずつ外されていく。
「あっ…!」
「あら…あの子より大きいのね。」
はだけられた胸に姫子が手を這わせる。
前世の千歌音よりも大きい胸を姫子は優しい手つきで揉み始めた。
「や…」
「千歌音、これどうやって取るのかしら?」
どうやらブラの外し方が分からないらしい。
千歌音はなんとか外そうとしてくる姫子の手を力の入らない手で阻止した。
「あ、あのっ…止めましょう…私には姫子がいるんです。貴女にも前世の私がいるのに…こんな事っ!」
「そういう真面目な所も一緒なのね。」
「え…っ?」
「きゃっ…!」
力強い力で、千歌音はベッドに押し倒された。
「真面目で奥手で…臆病なあの子と同じ。」
「そんなこと…」
「強がらなくてもいいのよ…千歌音。」
優しいお日様の笑顔を見て、千歌音の瞳が涙で潤む。
「わ‥私は…前世で貴女を殺してしまった。だから…今度は貴女を守りたくて…だから…!」
涙声で話す千歌音の唇を、姫子が人差し指で止めた。
「ごめんなさいね。貴女に辛い思いをさせてしまって…もう無理しなくてもいいのよ。」
「ひ…めこ‥さま…」
千歌音は自然と、前世と同じ呼び方に戻っていた。
「だから前世の分まで、貴女を愛したいの…千歌音。」
「でも…姫子が…」
千歌音の脳裏に現世の姫子が浮かぶ。
「姫子なら、今頃あの子を抱いているわ。」
「な…どうして…っ!」
「私が頼んだのよ、あの子を抱いてあげてって。姫子も私と同じ気持ちなの…前世で貴女に辛い思いをさせた分、前世の貴女の全ても愛してあげたい…」
「姫子が…」
「妬いているの…?心配しなくていいわ。これは浮気ではないから…ただ、私達は貴女達を愛したいだけなのよ。」
千歌音の溢れる涙を指で拭ってやる。
「愛してるわ、千歌音。貴女の全てを頂戴…」
「あっ…」
千歌音の細い首筋に姫子の唇が這う。
腕が背中に回ってブラのホックを外された。
「こう外すのね。千歌音…前世の貴女も綺麗よ。」
「や…恥ずかしい…」
姫子は先ほどとは違って心を許したのか、しおらしくなった千歌音に愛おしさを感じながら愛撫する手を進める。
「あんっ…やぁ…」
「ふふっ…感じやすいのね。前世の貴女も…」
姫子の手が、肩、胸、腰など千歌音の身体をなぞっていく。
やがてスカートも脱がされ、残るはショーツのみになった。
「千歌音…腰を上げなさい。」
「あ…でも、まだお風呂に入っていないから…」
千歌音は顔を真っ赤にして、恥ずかしそうな眼差しを姫子に向けてくる。
「気にしなくていいわ。千歌音には汚い所なんてないわ…そうね、たとえあったとしてもその場所も愛してあげる…」
「姫子…さま…」
千歌音のショーツに指をかけ、焦らすようにゆっくりと時間をかけて脱がしていく。
千歌音は恥ずかしさのあまり、瞳をぎゅっと瞑っている。
やがてショーツも脱がされ、生まれたままの姿を姫子にさらした。
「これが…貴女の全てなのね…」
姫子はうっとりと千歌音の美しい裸体を見つめた。
「力を抜いて…千歌音。」
「やあっ…」
姫子は千歌音の膝を手をのせて開かせた。
「綺麗よ、あの子と同じくらいね…」
そう言うと、姫子の顔が千歌音の大切な所へ近づいていく。
(あ…姫子にしか…許したことがないのに…)
千歌音はぼんやりとその様子を眺めていたが…。
「ひゃんっ…!」
可愛らしい悲鳴を上げて、千歌音は身体をのけぞらせた。
ぴちゃぴちゃと姫子がその場所を舐めている。
それだけで千歌音は達してしまいそうだった。
「あ‥んっ…はぁっ…!」
「素敵な声ね…もっと聞かせて…」
「だめ…そこはっ…ああっ!」
姫子は千歌音のそこを、愛おしそうに強く吸いあげた。
千歌音の身体がビクビクと痙攣する。
「いってしまったのね。でも、まだよ…」
姫子は自分の巫女服を抜き出し、千歌音とはまた違う綺麗な裸体をさらした。
「ひ…め…こさま…」
「まだ、貴女を愛し足りないわ…千歌音。」
姫子が覆いかぶさってくる。
千歌音は前世からの最愛の人に抱かれながら、夜が明けるまで過ごした。
翌日…。
「おはよう、千歌音。良く眠れたかしら?」
前世姫子は何事も無かったかのように、前世千歌音に話しかけた。
「は、はい…姫子さま…」
前世千歌音は頬を赤く染めたまま、俯いている。
首筋をちらりと見るとそこには昨夜、現世姫子に愛された証が残っていた。
「昨夜は姫子に可愛いがられたみたいね。」
そっと耳元で囁くと、前世千歌音はさらに顔を赤くした。
「も、申し訳ありません、姫子さま…っ!」
千歌音は現世姫子に抱かれた事を怒られると思い、姫子に誤る。
「誤らなくていいのよ。それより、姫子は優しくしてくれた?」
「えっ…あ…その…」
「正直に言っていいのよ。」
「……はい。」
昨夜の事を思い出したのか、千歌音は耳まで真っ赤に染めた。
「そう、よかった。」
姫子はその様子に優しく微笑んだ。
その時、ドアがコンコンとノックされた。
「どうぞ。」
姫子が声をかけると現世の姫子と千歌音が部屋に入ってきた。
「おはよう、姫子さん。千歌音ちゃん。」
「おはよう、姫子。」
「お、おはようございます…千歌音さん…姫子さん。」
姫子は現世姫子に挨拶する。
前世千歌音も見習って頭を下げた。
「朝食の準備が出来たから、乙羽さんが呼んで来てくれって。」
「そう…分かったわ。おはよう、千歌音。」
「…おはようございます…」
前世姫子がまだ挨拶をしていなかった現世千歌音を見つめると、気まずそうに視線を逸らした。
「千歌音、挨拶する時はちゃんと人の目を見なさい。」
「えっ…あ、はい…ごめんなさい。」
まるで子供を叱るような前世姫子の声に、千歌音は思わず視線を戻して誤った。
その様子にクスッと笑った前世姫子は千歌音に近づく。
「あの…?」
「いい子ね。」
そう言って前世姫子が千歌音の唇を突然奪った。まるでご褒美のように。
「……!!」
その場にいた前世姫子以外、皆が驚いた。
「あ…の…」
現世千歌音は現世姫子の前でキスされ、固まっていた。
「あのっ…姫子さん。一晩だけって約束ですよ…!」
現世姫子は自分の前で千歌音とキスする姿を見せられて、むっと頬を膨らませた。
「あら、いいではないの。貴女も昨夜、千歌音を可愛いがったのだし…」
「そうだけど…」
2人の姫子は、はずかしげも無く2人の千歌音の前でそんな会話を続ける。
「そう言えば、しばらく元の世界には戻れそうにみたいなの。それまで此処でお世話になってもいいかしら、千歌音?」
姫子がなぜか突然そんな事を言いだした。
「え、…ええ…それは構わないですけれど…」
「ありがとう。なら大丈夫ね。」
「……?」
前世姫子の言葉に、その場にいた皆が不思議そうな顔をした。
「だってしばらく、交代で互いの相手と夜を過ごせるでしょう?取り合いにならなくて済むわね。」
お日様のような笑顔で微笑む前世姫子に、現世姫子以外の2人の千歌音はさらに固まってしまった。
この先、2人の千歌音は苦労が続きそうだ。