爆弾投下予告
注意
1.パラレルわーるど
2.エロはない
3.だいぶ話がめっちゃくちゃ
原作のイメージぶっ壊したくない方はスルーして下さい
昔ある所に来栖川姫子という紅茶色の髪をした可愛らしい娘がおりました。
幼い頃に両親を亡くした身寄りの無い姫子はイズミ、ミサキ、キョウコの住まう家へと預けられ一生懸命働きました。
しかし高飛車で意地悪な3人は毎日のように姫子をこき使い虐めていました。
「ちょっと来栖川さん、ここにまだ埃が残ってますわよ」
「は、はい!ごめんなさい…」
「ご飯まだですの?」
「あ、今作ってますんで…」
「も~相変わらずとろいんですのね」
「ご、ごめんなさい……」
それでも心の優しい姫子は文句一つ言わず耐えていました。
そしてある日の夜、お城でダンスパーティーが開かれることになりました。
噂によるとそのお城に住まう王子様はとてもイケメンだとか。
噂を聞きつけたイズミらは着飾って姫子を置いてダンスパーティーへと行くことにしました。
「じゃあ来栖川さん、お留守番よろしくね」
「はい、いってらっしゃいませ」
「せっかくのパーティーですのに残念ですね、ドレスがないだなんて」
「はは…」
「ま、貴女の分まで楽しんでくるからご安心なさってね」
「はい、お気をつけて…」
イズミら3人を見送った後、一人家で待つ姫子は本当は自分もお城のダンスパーティーに行きたかったのです。
「行きたいなぁ、パーティ…。でもこんな格好じゃ入れてくれないよね」
しかしドレスを持ってない姫子は自分の薄汚れた服を見て諦めていました。
その時、突然部屋の中で声が響きました。
「行ってくればいいじゃない」
「え!?だ、誰??」
声のするほうを見るといつの間に部屋に入ったのか、月をバックに黒い法衣に身を包んだ綺麗な女性が立っていました。
「こんばんわ、姫宮千歌音よ」
腰まで伸びた艶のある漆黒の髪に白く透き通った肌の美しいその女性は手には何やら杖のようなものを持っておりどうやら魔女のようでした。
姫子はと言うとその彼女の余りに美しい笑顔に見惚れてしまい顔が火照ってしまっていました。
「行きたいのでしょ?パーティーに」
「え?///あ、はい。でも…こんな格好じゃ…」
「大丈夫よ、ほら」
「きゃあっ!」
千歌音が杖を振ると姫子の着ていた服は光を纏い忽ち鮮やかな真っ赤なドレスへと様変わりしました。
「わぁ、きれい…」
「とても良く似合っているわよ。さ、急いで」
千歌音のしなやかな手に引かれ家の外に出ると両親の形見と同じ大きな貝殻の馬車が用意されていました。
「さあこれに乗ってお城に行きなさい」
「で、でも…」
「大丈夫よ、これは今まで頑張ってきた貴女へのご褒美だもの」
「な、何で?何でそんなに私のことを知っているの?」
馬車に乗ったあと、姫子は千歌音に尋ねました。
すると千歌音は白い頬をほんのり赤く染め答えました。
「貴女のことずっと見てたの」
「え…?///」
千歌音の答えに姫子はまたも顔が赤くなり胸がドキドキしました。
「さ、早く行かないと貴女にかけた魔法は12時で切れてしまうの、それまでに戻ってこなくてはならないわ。もう余り時間が無いの」
千歌音がそう言うと馬車はお城に向かって動き出しました。
「ありがとう!千歌音ちゃん!!」
姫子は馬車から顔を出し千歌音に向かって何度もお礼を言いました。
「楽しんでおいで、姫子…」
手を振って姫子を見送り、馬車が見えなくなったときポツリと呟いた千歌音の声はどこか淋しげでした。
千歌音の用意した馬車はあっという間にお城へと着き姫子はパーティー会場へと急ぎました。
「うわ~凄い…」
入るとそこは宝石箱の中のような世界でした。
初めて見る綺麗なシャンデリアに至る所に飾られた豪華な飾り付けに目を奪われました。
お洒落な衣装に身を包んだ貴族達が優雅に踊る会場の中にイズミらの姿も見えました。
しかしいざ会場に来たもののどうしていいのか分からずオロオロしていると黄色い声と共に1人の青年が声をかけて来ました。
「もしかして姫子か?」
「え?あ、ソウマくん?」
声をかけてきた青年は昔の幼馴染の大神ソウマでした。
「久しぶりだな」
「本当だね、でもソウマ君どうしてここに?」
「う~ん、それが俺実は王子だったらしいんだ」
「えぇ!そうなの?じゃあ噂のイケメン王子ってまさか…」
ソウマらしいです。
通りでソウマの周りに黄色い声がすると思ったら…。
「な、何ですの!あの小娘私達の王子様に向かって!」
「本当っ!不躾にも程がありますわ!!」
至る所からチクチクと嫉みの視線がして堪りません。
「な、なあ、一緒に踊る相手がいないなら俺と一緒に踊らないか?」
「わ、私と?ダ、ダメだよっ!私踊ったことないし…!///」
「じゃあ外に行こ!外っ!!」
そう言ってソウマ王子は無理やり姫子をバルコニーへと連れて行きました。
「ごめんな、疲れたか?」
「ううん、大丈夫。でもびっくりしたソウマ君が王子様だっただなんて」
「俺もびっくりさ」
今回はそういう仕様だから仕方ないんです。
2人はそこでパーティそっちのけでしばらく昔話を楽しみました。
しかし今夜は月がとても綺麗で姫子はいつしか千歌音のことばかり考えていました。
「(千歌音ちゃんと一緒に来たかったなぁ…。)」
「あのさ姫子…///」
「え!な、何?」
「その~良かったら俺と付き合っt…」
その時…ゴーン!ゴーン!と12時を告げる鐘が鳴り響きました。
「いっけない!もうこんな時間!?ソウマ君私帰らなきゃ!!」
千歌音との話を思い出し姫子は慌てて出口へと駆け出しました。
「な!?お、おい!姫子…!」
「ごめんねーっ!…きゃあっ!」
焦ったせいで階段で履いていたガラスの靴が片方脱げてしまいました。
しかし姫子は焦るあまり取りには戻らずそのまま追いかけるソウマを置いて馬車へと急ぎ家へと戻っていきました。
翌日。
何とか魔法が解ける前に帰れた姫子は、いつも以上に機嫌の悪いイズミらの言うことを聞きながら朝の仕事をしていました。
どうやら昨日のパーティーで王子様に相手にされなかったのが気に入らないようです。
しかしその王子を姫子が独占していたとは思ってもいないようで、会場にいた事すら気づいていないようです。
でも姫子は昨日の出来事が忘れられず夢見心地でした。
と、そこで家の玄関をノックする音が響きました。
姫子が出るとなんと大神ソウマ王子ではありませんか。
「探したぜ、姫子」
「ソ、ソウマ君…!?」
「え!王子様ですって!!?」
家中のものが玄関に集まる中、ソウマは昨晩姫子が忘れたガラスの靴を手に持ち姫子に履かせると当たり前ですがピッタリ合いました。
「あ、ありがとう!ソウマ君ここまで来てくれて…!」
あまりの感動に姫子の目に涙が浮かびました。
その可愛らしい表情に王子誇らしげに照れ笑い浮かべてます。
「いや、いいんだ。じゃあ俺と一緒に城にk…」
「これで私千歌音ちゃんにキチンとお礼が言えるっ!」
「は?」
「千歌音ちゃーん!いるんでしょ?」
ソウマの横をすり抜け空に向かって千歌音を呼ぶとすぐ返事が聞こえました。
「もう、ガラスの靴ぐらい良かったのに」
頬をかき少し困ったように苦笑を浮かべた千歌音が姫子の目の前に現れました。
昨日家に戻ったとき時間が過ぎても魔法が解けないドレスに驚いていると再び千歌音が現れ似合っているからとプレゼントされていたのでした。
しかしガラスの靴の片方を置いてきてしまった事を姫子は気にしてしまっていたのです。
「だってだって!せっかく千歌音ちゃんがくれたのに私置いてきちゃって…」
「泣かないで、姫子に涙は似合わないわ」
「うん、でもこれでやっと何も気にすることなく一緒になれるね」
「本当にいいの?私と一緒で…」
「もちろん!昨日言ったでしょ?私は千歌音ちゃんじゃなきゃダメなんだって!」
「きゃあ!ひ、姫子!///」
姫子ここで千歌音に向かってジャンピングハグ。
勢いあまって皆の前でキスまでしそうでしたが恥ずかしがり屋の千歌音ちゃんに慌てて止められました。
「あのー…」
完全に外野と化したイズミさんらも含むソウマ王子が2人の世界に入ってる2人に声をかけると千歌音ちゃんに肩を抱かれた姫子が幸せそうな笑顔で振り向きました。
「じゃあソウマ君、そういう事だから私千歌音ちゃんと行くね。イズミさん達も今までありがとう!」
「ご機嫌よう、皆さん」
そう言って千歌音が杖を振ると2人の姿が消えてしまいました。
こうして失くしたガラスの靴が揃った姫子は美しい魔法使いの千歌音と共に誰にも邪魔されることなく幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。