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マコちゃんのバレンタイン

神無月の巫女 エロ総合投下もの

マコちゃんのバレンタイン 


    時期ネタいきます

    千歌音ちゃん×姫子←マコちゃん、おまけで少しソウマ
    ほのぼの系

    放課後、珍しく緊張した面持ちの真琴は学園の門に寄りかかりながら立っていた。
    そろそろ来るかな…?
    ガサガサとカバンの中から小さな箱を取り出した。

    今日はバレンタインデー。
    本当なら女性が男性に愛を告白する日。そんでもってその想いと共にチョコを送る日。
    だけど宮様こと姫宮千歌音のいるここ乙橘学園の場合はちょっと別だけど、それはさておき。
    うん、まあ女の子同士で渡すのも不自然じゃないよね?実際自分も毎年部活の先輩や後輩からもらってるし。
    そう思って学園の寮でこっそり用意した甘いものが大好きな親友のために作った初めての手作りチョコ。

    だが想いを込めて作ったもののそれをどうやって本人に渡すのか悩んでいた。
    クラスも同じなのに下駄箱にいれるのは激しく不自然。
    かと言ってどこぞの漫画のように屋上に呼び出してもなんかそれも変。
    でも面と向かって渡すとなるとやっぱどこか照れくさいし恥ずかしい。そんでもって緊張して絶対にぎこちなくなるのが目に見えてる。
    だけどそんな変な風に渡して親友に自分の気持ちに気付かれたくないとも思う。
    大体告白するなんて無謀な事するつもりは初めからない。
    親友にはちゃんと宮様という背伸びしても届かない相手がいるし、あの2人の仲を邪魔するつもりも更々ない。
    それでも…ただ、渡したい。
    だからいつも喋るときみたいにさり気無くぱっと渡しちゃえば良いんだけど…。

    そんな事を延々と考えていたらあっとゆー間に当日を向かえ、朝は結局自分が部活の朝練で渡せず。
    昼は宮様との内緒の食事へ行ってしまって渡せず。
    授業の合間も何だかんだで渡せず、とまあこんな具合で放課後になってしまったわけで。

    まあ幸い今日は部活休みだし、うだうだ考えても仕方ない。ちゃちゃっと渡してしまおう!
    そう開き直って自分の作ったチョコが入っている箱に向かって微笑んだ。
    するとちょうど背後から聞きなれた笑い声が聞こえてきて振り返った。
    校庭を歩く少し背の低い紅茶色の髪に赤いリボン。間違いない、姫子だ。


    「あ、姫……!」
    門から姿を現し姫子に声を掛けた瞬間言葉が出なかった。
    自分の親友の隣を宮様が歩いていて、笑いあい楽しそうな仲睦まじい2人のその姿はまるで絵に描いたかのように綺麗で。
    見たことのない2人の笑顔に一瞬で引き込まれていた。
    えーと、宮様は前々からだけど姫子ってこんなに可愛かったっけ…?
    いつも宮様の周りには取り巻きがいるはずなのに、誰も割って入ってこないのは多分姫子のあの太陽のような笑顔のせいな気がする。
    隣で笑う宮様にしてもいつも以上に穏やかで、姫子に注ぐ愛情がひしひしと伝わってくる。
    なんか見てるこっちの方が顔が赤くなってしまうようなそんな2人に見取れていると「あ、マコちゃん!」と姫子が真琴に気がつきこちらに向かって走ってきた。
    まずい!と真琴は咄嗟に手に持っていたチョコをカバンの中に隠した。


    「どうしたの?そんなところで」
    「え?あぁ、別に何でもない、何でもないよ!」
    訊ねる姫子に慌てて首を振って返した。
    その不自然さに姫子が不思議そうに首を傾げると、何か思いついたのかはっとした表情になった。
    「あ!まさかマコちゃん誰かにチョコレート渡すつもりとか?」
    あんたにだよ!
    心の中で突っ込まずにはいられなかったが、まさかそう答える訳にもいかず。
    「え~~とまあそんなところ!部活の先輩と交換する約束でさ」
    適当に思いついた嘘で笑いながら誤魔化す。
    すると姫子はそれを信じ「へえ、そうだったんだ」と笑い、ほっと安堵のため息を心でつく。
    「じゃまた明日ね、マコちゃん!」
    そう言って手を振りながら少し離れたところで待っていた宮様のところへ戻っていった。
    「ごきげんよう、早乙女さん」
    「はい。ごきげんよう、宮様」
    そして2人は並んで目の前を通り過ぎ学園の階段を降りていった。


    遠ざかる2人の後姿に、カバンの中から渡すはずだったチョコの箱を取り出した。
    柄じゃないのは分かってるけど、頑張って作ったんだけどな…。
    少し残念に思う。
    でもあの姫子の笑顔を見ては逆に渡すことなど出来なかった。
    おどおどしてどこか頼りなかった姫子が、あの笑顔を出せるようになったのはきっと優しく見守る宮様が傍にいるおかげなのだから。
    そんな2人を見て、何だか他人が踏み込んではいけない絆のようなものがあるのかもだなんて思ってしまう。
    だからだろうかチョコは渡せなかったけど、どこか気持ちがスッキリとした。

    「幸せにね、姫子」

    口元を緩め晴れ晴れとした顔で夕焼けに染まる空を見上げた。



    ※おまけ


    「何やってんだ早乙女?」
    「あ、ジン様」
    背後から声を掛けられ振り返ると、これまた学園の貴公子大神ソウマがヘルメットを持って立っていた。
    「あ、ちょうどいいや。ジン様これあげる!」
    処理に困っていたチョコを無理やり受け取らせ、「じゃあね!」と学園の階段を駆け下りた。
    「え?ちょ!お、おい!」
    驚くソウマが止めようとするが、そこはさすがインターハイレベルの脚力。
    「言っとくけど義理だからねー!」とだけ言って真琴はその場から瞬く間に去ってった。

    「……」
    置いてかれたソウマ。
    渡された箱を見るとバレンタイン仕様なのは一目瞭然。
    しかしこれは勘だが多分これは自分のために作ってくれたチョコじゃないような気がする…。
    「はあ…これで何個目だ」
    ずっしりと重いカバンの中に溢れんばかりに入ってる姫宮に渡すことの出来なかった敗者達から押し付けられたチョコの群れの中に早乙女からもらった箱を押し込んだ。
    中には本命で貰ったチョコもあるのだが、割合が1:9という現実。

    「そして来栖川からはなし…と」

    そう呟いて溜息をつきながらソウマもまたトボトボと階段を降りていった。



    おしまい

最終更新:2009年02月19日 17:48
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