私は彼女に恋をした

神無月の巫女 エロ総合投下もの

 私は彼女に恋をした

    ※現世のパラレル世界、舞台は乙橘学園ではなく大学生
    ※巫女の運命とか前世の記憶とか全然関係なし
    ※姫子←千歌音ちゃん

    「ごめんね、少しお部屋散らかってるよ」
    「いいえ、大丈夫だから気にしないで」
    大学でひょんな事で知り合った私と姫子。
    私が大富豪の令嬢だというのもあってそれを知った彼女の態度が一度は他人行儀になってしまったけれど、色んな意味で始めて友達と呼べる存在が出来た私は必死に彼女の後を追い、いつしか身分の差を越え大の仲良しになっていた。
    今日も一緒に街へと出掛け、一緒に映画を観たり喫茶店でお茶をしたりと遊び夕食も済ませこれからどうしようと話になったとき、「明日はお互い休みだし、姫子の家へ行きたい」と提案したのだ。


    「それにしても驚いた、千歌音ちゃんが私の家に来るの好きなんだなんて」
    自分の住む屋敷と違って一人暮らしの姫子の1LDKのマンションは狭くても仕方が無い。
    「ええ大好きよ、とても可愛いもの」
    それでも私は姫子の物で溢れてるこの部屋が大好きで何度も彼女の家に遊びに来ていた。
    姫子と遊ぶ事を姉のような存在の乙羽さんは当初あまり良い顔はしてくれなかったけど、何とか理解をしてもらいお泊りも許されるようになった。
    「そう言ってくれると嬉しいなあ。じゃあお茶淹れるから寛いでて」
    嬉しそうに笑い台所へと小走りでいく姫子の後姿を見ながらクッションに腰掛けた。
    紅茶を探してる時の「あれ?どこやっちゃったっけ?」と首を傾げる可愛らしい仕草、揺れる紅茶色の髪…。
    そんな姫子のひとつひとつをいつも目で追いかけてしまう。
    「あ!あった♪」
    その子供のような無邪気な横顔に、胸の奥が高鳴る。


    一体いつの頃からだろう――――


    姫子の傍にいるうちに――――


    気がつけば、私は姫子に恋をしていた――――



    それを自覚し始めたとき。
    「…姫子。私のこと、好き?」
    一度だけ、さり気無く聞いた事があった。
    「?もちろん、大好きだよっ」
    頬が赤くなるのを堪えぎこちなく聞いた私に不思議そうな顔したが返事は即答だった。
    だけど、その迷いの無い口調は私の好きと姫子の好きは違うのだと物語っていた。

    「そうじゃない、『愛してる』」

    だけどそれは決して口に出してはいけない言葉。
    私達は同じ女同士。受け入れてもらえる訳がない。
    冗談ならまだしも本気だと過って言ってしまおうものならばこの友達の関係が終わってしまうと思う。
    せっかく出来た友達、自分を下の名を躊躇わず呼んでくれる唯一の人。
    伝えてしまえば、一緒に並んで街へと出かけることも、今こうして彼女の家に居る事も無くなるかもしれない。

    そうなれば、また私は1人ぼっちになる。
    だから、この想いはそっと胸の奥に秘めておこうって、そう心に決めて接していた。



    「はい、千歌音ちゃん」
    「ありがとう」
    テーブル囲みながら座り、しばらく談笑する。
    すると姫子が両手で持っていたカップを置き、口を開いた。
    「ねえ、千歌音ちゃん」
    「なあに?」
    「今、好きな人とかいるの?」
    「え……?」
    頭の中が真っ白になった。
    どう意味だろう…?
    でもまさか「姫子が好き」とふざけてでも言えず、「いいえ、いないわよ」と返した。
    「そっか。でもこんなに美人な人に好きになってもらえる人って羨ましいな~」
    「………っ」
    チクっと胸に何かが刺さる。
    少し眉を顰めてしまったが、にこにこと笑う姫子は気付いてはいない。
    「あ、でも逆に千歌音ちゃんを好きな人は多いよね?」
    男性に告白される事は多々ある。
    一般男性から将来有望のスポーツ選手、政治家や医者の息子に自分と同じく名家の御曹司までありとあらゆる人に想いを寄せてもらったけれど、誰一人として姫子に勝る人はいなかった。
    「……あまり嬉しくはないのだけどね」
    「う~~ん、そっかあ……」
    素っ気無い私の返しに一体何を期待をしていたのか何故か残念そうな顔になる。
    でも、そんな顔やっぱり可愛い……。
    だけど何でこんな質問をしたのだろう?まさか姫子に誰か好きな人が―――?
    大学は共学だからたくさんの男性がいる。サークルにはお互い所属はしていないが出会いなど幾らでもある。
    そう考えると気になってしまって胸の奥がざわつく。
    少し恐いけど、私も聞いてみたくなった。
    「ねえ、…姫子は誰か好きな人いるの?」
    「え――――?」

    と、姫子が私を見たとき、ちょうど部屋にある電話が鳴った。



    「あ!ご、ごめんね!」
    一言謝ってあたふたと後ろにある電話の元へと行く。
    そんな離れてないところにあるため、四つん這いで少し進んだところにある。
    スカート姿で自分にお尻を向けられたものだから、ふしだらにも顔が赤くなってしまい慌てて顔を逸らした。
    そして姫子が受話器を取る。
    「もしもし、来栖が……あ、大神くん?」
    「―――――!!」
    姫子から出た名前に胸がまた締め付けられた。
    大神ソウマ。
    同じ大学で、スポーツ万能で清楚な彼は女学生の憧れの的だった。
    彼も自分と同様たくさんの女学生から告白を受けてるのだが、「今好きな人がいるから…」との一点張りで断り続けているようで。
    その彼の好きな人は実は幼馴染である姫子なのではと、大学のキャンパスで話をしている2人を見ているとそういう気がしてならなかった。

    …まさか、姫子の好きな人って――――?


    そんな詮索に姫子の方にもう一度目をやると、受話器の向こうの大神さんの声は私には聞こえない。
    「え?今?友達と一緒だよ?」
    「…………」
    笑顔でさらりと言う姫子。
    友達。そう、自分は友達なんだ。
    それでいいのだと心に決めたはずなのに。それなのに、今はとても胸が痛い。
    それから何度か姫子が「うん、うん」と相槌を打っていたがどんな会話していたのか考えるほど頭が回らなかった。
    「うん、それじゃあまた大学でね、はあーい」
    かちゃ。

    受話器を置き、姫子が振り返り「ごめんね、千歌音ちゃん」と言った。
    余りにも早く電話が終わって正直焦ってしまい、動揺を隠しながら首を振る。
    「いいえ、大丈夫。それよりも電話切ってしまって良かったの?」
    「え?うん、大丈夫だよ」
    にっこりと笑う姫子。
    どこか余裕そうに見えるのは考え過ぎなのだろうか……。
    電話も頻繁に掛かってきてるのだろうか……。
    一体何を楽しそうに話していたのだろうか……。

    「あれ?何かお話の途中だったよね?」
    私と向かい合うと姫子が首を傾げた。電話が掛かってきたせいで自分への質問を忘れてしまったらしい。
    だけどもう答えを聞くのが恐くなって私は「…何だったかしらね」としらばっくれた。

    それでもう~~んと思い出そうと考える姫子に話を紛らわそうと「そろそろお風呂にしない?」と無理やりふった。
    すると姫子は部屋の壁掛け時計を見た。
    「あ、そうだね。そろそろ良い時間だし、用意してくるからちょっと待っててね」
    そう言って立ちあがり、浴室へと歩いった。

続く

最終更新:2010年02月16日 20:24
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