無題(千歌音,姫子) ◆BW7uBN9p1c氏

神無月の巫女 エロ総合投下もの

無題(千歌音,姫子) ◆BW7uBN9p1c氏

 

復活したオロチが世界の滅亡をもくろみ起こした一連の事件は、二人の巫女と一人の青年、
そして彼女たちを支える人々の働きによって終結した。
邪神の脅威が去った後、引き裂かれた大地で巫女たちを見つけだしたのは神官・大神カズキと助手ユキヒトだった。
巫女装束で倒れていた二人のうち、陽の巫女・来栖川姫子は気を失っているだけだったが、
月の巫女・姫宮千歌音の体は冷たく瀕死の状態である。
世界がリセットされたため、刀で貫かれた腹部の傷は消えていたが、
破壊された世界を救う代償として千歌音の生命力のほとんどが必要だったのだろう。
彼女はすぐに病院に搬送されたが、助かるのか、そのまま息絶えてしまうのか、どちらとも言えない状態が何ヶ月も続いた。
伝承には、オロチによって破壊された世界を元に戻すには、最後の儀式として巫女の命を巫女の手で捧げなければならないとある。
その通りなら世界が元に戻っている以上、千歌音が助かる可能性はないはずだった。
しかし病状は少しずつ回復し、ついに彼女は目覚める。
この伝えられたシナリオとは異なる結末を迎えたことについて、カズキは伝承にはないイレギュラーな出来事が――
つまり巫女ではなく敵の一員の大神ソウマとツバサがオロチを滅したということが、
予定とは違う結果を呼んだのではないか、と推察した。
ただし彼はその後で「いや、運命に逆らおうとする二人の巫女の強い意志がそうさせたのかも知れないな」と付け加えたが。

そして一年がすぎた。
日常の生活に戻った姫子と千歌音は今では17歳になっている。
今年も例年通り乙橘学園・学園祭の季節がやってきた。
メインの出し物は当然今年も「宮様」こと姫宮千歌音と「神様(じんさま)」こと大神ソウマが主演する劇である。
ただ、いつもの年と少し趣向が違っていたのは、劇の内容がファンタジー調の物ではなく現代劇という点にあった。
千歌音が演じるのは敏腕な女刑事。一方ソウマは妹を守るために心ならずも罪を犯してしまった逃亡者の青年役。
二人は互いの素性を知らずに知り合い、惹かれ合っていくが、追う者と追われる者という立場はこの愛を許さなかった。
青年の命を狙って襲いかかる組織と戦いながら、二人の許されぬ愛がたどりつく運命は……? こんな筋書きのサスペンスドラマなのだ。
姫子は「二人にはいつもみたいに王子様・お姫様役が似合ってるのに」と言ったが、マコトに「だから姫子はお子チャマなのよ」と一蹴されてしまった。
もっともそんな姫子も、衣装合わせの時にスーツをビシッと着こなした千歌音を見た瞬間から、これはこれでいい!派になってしまったのだが。

今日は休日。千歌音は姫子と一緒に、自分の部屋で劇の稽古をしていた。
二人きりの練習もまた例年通りのことであり、主役の千歌音に対して、裏方の姫子という立場も変わりないものだ。
しかしこの稽古の時に思いがけないアクシデントが発生した。
「えっ!」
姫子は自分の身に起こった出来事に驚きの声をあげた。
なぜなら、ガチャリと音がしたかと思うと、背中の下に回した姫子の両手には芝居で使う手錠がかけられていたからだ。
「ち、千歌音ちゃん、何をしているの?」
「学園祭でやる演劇の練習よ」
「それはわかるけど、なんで後ろ手に手錠をかけてるの?」
「えっ? 手錠ってこう使う物じゃないの?」
「違うよ! あたしもテレビとかでしか見たことないけど、たぶん刑事さんはこういう使い方はしないと思うよ」
「ごめんなさい。私テレビのドラマとか、あまり見ないもので……」
「う、ううん。謝らなくてもいいよ。こういう手違いをなくすためにもリハーサルってやるんだし。で、手錠の鍵はどこにあるの?」
「鍵ならサイドテーブルの上に置いてあるわ」
「ここね……、きゃあ!」
「姫子!」
いつも何もない所で転ぶ姫子の特技がこんな所で出てしまった。
足をもつれさせた姫子は肩からサイドテーブルに突っ込んでしまう。
テーブルにタックルしてしまった姫子は床の上を何回かゴロゴロ転がって、ようやく止まった。
周囲を見るとテーブルは倒れこそしなかったものの、テーブルの上の物が床にばらまかれていた。
「姫子! 大丈夫? 今テーブルにぶつかったけど、角とかで怪我しなかった?」
床の上にあお向けに寝転がっている姫子を、千歌音が心配そうにのぞきこむ。
「うう……、へへ、痛いけど平気だよ。転んだりぶつかったりするのは慣れてるから怪我しないコツはつかんでるんだ」
「そう、よかった……」
千歌音は両手が使えない姫子の肩に手を置いて、その体を抱き起こした。

「でもテーブルの上の物、落っことしちゃった。ごめんね」
「いいわ、落ちた物は拾えばすむことですもの」
「すぐ拾うから…、あっ、でも、あたし手が……」
「フフッ、後ろで手錠をかけられていては拾うのは無理ね。元はと言えば私が悪いんだし、拾うのはまかせて」
「ごめんねぇ、千歌音ちゃん……」

「ないね……」
「ないわ……」
「困ったね……」
「困ったわ……」
あれから早、一時間。どういうわけか床の上に落ちた物の中で、手錠の鍵だけが見つからなかった。
「ごめんなさい…、私が稽古の相手を頼んだばかりに……」
「そんな! あたしがテーブルにぶつかったのが悪いんだから、千歌音ちゃんは謝らないで」
「それにしても変ね。これだけ探して見つからないなんて」
さすがに「宮様」と呼ばれる人をこれ以上、床をはいずりまわさせるわけにはいかない。
姫子があきらめの言葉を口にしようとした時、千歌音が困ったようにつぶやいた。
「手錠と言ってもオモチャだし、せめてペンチでもあれば鎖を切ることができるのに、
ごめんなさい、この家にそういった工具はないの」
「え…、まさか、こんな大きいお屋敷で?」
「ええ、ないのよ」
「でも、どこの家でも一つくらいある物だし、探せば……」
「修理とかは、そのたびに出入りの業者を呼んでいるし」
「だけど探せばどこかに……」
「姫子、まさか私が嘘を……」
「えっ! いや、違う! 違うよ! そうよね、どこの家にでもあるなんて決めつけちゃいけないよね。
こういったお屋敷は私たちの暮らしとは環境が違うんだし」
「ありがとう姫子、わかってくれて」

「それでね、あの~」
姫子が何か言おうとしたが、どうやらそれに気づかなかったらしく、先に千歌音が言葉を続けてしまった。
「おまけに車もないのよ。故障してしまって、ちょうど連休で私たちを学校に送り迎えする必要もないので修理に出しているの。
車があれば工具を調達して来られるのに」
「そ、そんな。だって確か他にも車はあったような……」
「姫子、まさか私が嘘を……」
「えっ! いや、違う! 違うよ! そうよね、そういう事もあるよね」
「ありがとう姫子、わかってくれて」
「もしかして合い鍵とかは……?」
「ごめんなさい、それもないの」
「え、エヘヘ……、いいの、言ってみただけ…、はぁ……」
「そんなに気を落とさないで。明日にはなんとかしてみせるから」
「ありがとう、千歌音ちゃん、でも、あの、あのね、私、話したいことが……」
「じゃあ、気分を変えて、乙羽さんが置いていってくれたお菓子でもいただきましょうか」
芝居の稽古をするために菓子や飲み物は離れた机の上に置いてあったため難を逃れていた。
「えっ? でも、この手じゃ……」
そうなのだ。
両手を後ろで拘束された状態ではとても食べ物を口に運ぶことはできない。
「さ、姫子、口を開けて」
「えっ!」
どうしようかと考えていた姫子が、声をかけられて千歌音の方を見る。
すると彼女はケーキの一角を切り崩してその一かたまりをフォークで姫子の前に差し出していた。
「え~と、千歌音ちゃん? 何をしてるの?」
「姫子は今、両手が使えないのだから私が食べさせてあげる」
「ええっ!」
(こ、こ、こ、これってテレビの恋愛ドラマとかで、恋人同士が「あ~ん」とか言って食べさせ合う、あれをやるってこと?)

「姫子? ケーキは好きだったわよね?」
(そういえば、さっきテレビのドラマとか見ないって言っていたっけ。
だから千歌音ちゃんにとってこんなのは変に意識したりする必要のない、自然な事なんだ。
俗世に毒されてないっていうか、やっぱり千歌音ちゃんは純粋な人なんだなぁ……)
「姫子、私の顔をじっと見つめて、どうかしたの?」
「う、ううん! そんな事ないよ、じゃ、じゃあ悪いけど食べさせてもらおうかな、何か照れるけど」
「さあ、姫子、フォークの先に気をつけて食べてね」
「うん」
平然とした顔の千歌音の前で自分だけドギマギしているのもおかしいと思った姫子は、首を伸ばして差し出されたケーキのかけらを口にした。
「どう?」
「うん、おいしい」
「よかった。それでは夕食もこうして私が食べさせてあげるわ」
「ええーーっ!」

そしてそのまま本当に夕食の時間が来てしまった。
メイドの如月乙羽が食事の準備ができたと告げに来たので、千歌音は席を立ち部屋の出口に向かったが、姫子はまだぐずぐずしている。
二人きりならともかく、手錠姿をメイドたちに見せるのは抵抗あるのだろう。
鍵があきらめきれないのか、姫子はまだサイドテーブルの周りをうろうろしていた。
そんな姫子を千歌音が気づかう。
「姫子、急病ということにして食事は部屋に運んでもらいましょうか?」
「う、ううん、それじゃ、いらない心配をかけちゃうし、どうせ結局はわかることだから変に隠したりしない方がいいよ」
テーブルを背にした姫子は吹っ切ったようにそう言うと、今度は素直に千歌音の後に続いて部屋を出た。

結局、夕食も千歌音の手で食べさせてもらうことになった。
予想はしていたものの、やはり夕食は姫子にとってティータイム以上に身の置き所がない時間であった。
なにしろ食事係のメイドたちの見てる前での「あ~ん」「おいしい」である。
もちろんメイド達は主人のやることに口は出さない。
しかし姫子にしてみれば何人もの前で、千歌音の手で食べさせてもらう事はたまらなく恥ずかしいことだった。
そのため食事の間中、心臓の鼓動が高鳴りっぱなし。
いや、食べ終わって緊張が解けてからも他人の視線が気になって仕方がなかった。
もっとも、それでいて、あるメイドの嫉妬の眼差しにはまったく気がついてないのだから、彼女は幸せ者と言えるのだが。
(許せない、許せない、許せない! 手錠を使ってのプレイなんて、無垢なお嬢様を倒錯した世界に引きずりこんで! 
何も知らない様な顔をして、この真性M娘はどこまで好き勝手をやれば気が済むんでしょうか、キィ~~ッ!)
メイド約一名のこんな魂の叫びにはまるで気がついていない二人は食後の呑気な会話を楽しんでいた。
「来栖川さん、お腹がこなれたらお風呂にしましょう」
「え……、やっぱり千歌音ちゃんと一緒に……?」
「もちろんよ。困った時には遠慮なんてしなくていいのよ。私が洗ってあげるから心配しないで」
「う、うん……」
「お嬢様、そのような事でしたら、このわたくしが!」
ついにたまりかねて乙羽が口をはさんだ。
「いいえ、来栖川さんがこんなに困っているのも私のせいなの。だから償いのためにもこれは私自身でやらなければ意味がないのよ」
「で、ですが……」
「乙羽さん、私を思ってくれる気持ちはありがたいけど、それに甘えてしまったら私は自分の過ちの後始末を人にやらせる人間になってしまう。
だからあなたの厚意は次に私が困っている時にあらためて差し伸べて欲しいの」
「わかりました。出過ぎたことを言って申し訳ありませんでした」
「いいえ、乙羽さんの私への思いやり、いつも感謝してます」

バスルームの隣にある脱衣所に二人はいた。
「姫子、少しの間、じっとしていて。今、服を脱がせるから」
「うん……」
入浴前に裸になるのは当たり前。それでも他人の手で服を脱がされるという事に、姫子はつい緊張してしまう。
「それにしても今日、姫子が着ているのがそでを通すタイプではなく、肩ひもを首の後ろで結ぶ形の服でよかったわ。
これなら首の後ろの結び目をほどくだけで脱げるけど、そうでなかったら服が脱げずに入浴はできない所だったわ」
「うん、千歌音ちゃんに薦められた時は、背中が大きく開いている服で恥ずかしかったけど、まさかこんなことになるなんてね」
「でもブラジャーだけは肩ひもを切らないとダメね。ちょっと刃物を使うから動かないでね」
「う、うん」
千歌音は小さなはさみで注意深く肩ひもを切り、それを姫子の体から取り除く。
「うう~」
姫子にとってちょっとしたコンプレックスになっている、なだらかな胸が露わになるが、両手を後ろで拘束されていては隠すこともできない。
「じゃ、下も脱がすから少し足を開いて」
千歌音はそう言うと姫子の足下にしゃがみこみ、残った最後の一枚に手をかけた。
ちょうど千歌音の目の前に姫子の股間がある。
これからその部分を千歌音の目に晒すと思うと、姫子の頬が赤く染まった。
ゆっくりと千歌音が姫子の下着を降ろしていく。
やがて薄く生える茂みが顔をのぞかせた。
そして秘められた器官が、憧れの親友の前に露出する。
「う~っ」
姫子は自分の心臓の鼓動が早くなっているのを感じていた。
「姫子、足を交互にあげて」
姫子が恥じらっている間に、下着は足首まで降ろされていた。
言われた通り足を上げると、千歌音は起用に下着を両足から抜き取る。
「じゃ、私もすぐ脱ぐから待っていてね」
「うん」

姫宮邸の浴室。そこはバスルームというよりは大浴場といった方がしっくりくるような広大なスペースだった。
千歌音と一緒に入浴するのは今晩が初めてというわけではないが、今の姫子は両手を後ろにまわしたまま。
恥ずかしい所を隠すこともできず、千歌音の前に晒して歩くのはどうにも落ち着かない。
「さあ、姫子、お湯をかけるからそこに座って」
「うん」
食事の時は第三者の目が気になったが、二人きりの時にこうして何もかもまかせきって甘えてしまえるのは確かに心地いい事だった。
手が使えないのは困るけれど、そのおかげでこうして千歌音がかいがいしく自分の世話をしてくれている。
このやっかいな状態に、少しだけ感謝したい姫子だった。
「姫子の肌はきれいね。こういうのを赤ちゃんみたいな肌って言うのね」
「エヘヘ…、胸も赤ちゃんみたいだけど」

しかし姫子にとって幸せな時間は長くは続かなかった。
(あっ、ど、どうしよう……)
姫子はあることに気がついて顔をこわばらせた。
「姫子? どうしたの? 何かソワソワしてるみたいだけど」
「う、ううん、何でもないよ」
そうは言ったものの、今の姫子は正真正銘の緊急事態に直面していた。
(こんな時にトイレに行きたくなるなんて、色んなこと考えてたから、お風呂に入る前にすませておくの忘れてた……)
一度気がついてしまうと尿意はどんどん強くなっていく。
ひざをモゾモゾと動かせている彼女の様子は明らかに不審だった。
(でもトイレに行くってことを千歌音ちゃんに伝えるのは……ああ、だけどそんなこと、もう言ってられない。
仕方がない、お風呂場やトイレのドアは何とか後ろ手でも開けられるよね。でも…もし開けられなかったら? 
どうしよう、千歌音ちゃんに一緒に行ってもらおうか……)

「姫子、あなた、やっぱり様子が変よ。どうしたの?」
「あ、うぅ…、あのぉ……」
「もしかして、それは口に出すのがはばかられることなのね」
「うう~」
「わかったわ、私もお行儀が悪いとは思うけど、こんな時ですもの、ここで済ませてしまうのも仕方がないわね」
「ええっ!」
「もちろん、良くないとは思うけど……、あっ、もしかしてシャワーの水くらいでは流せない方の……」
「わー、わー、わーーーーっ! 違う! 違うよ、千歌音ちゃん!「小」の方だけだよ!」
「え……」
「ああ~ん、もう、イヤーッ!」
「……軽い冗談のつもりだったのだけれど、本当にそうなのね」
「冗談って…、千歌音ちゃ~ん……」
思わず泣き出しそうな声を出す姫子だったが、考えてみればこれで千歌音に切実な事情を伝えることはできたのだ。
あとはトイレに行くだけと思うと、姫子は正直ほっとした。
「だからトイレに……」
「いいわ、ジョークとはいえ、前言を翻すのも潔くないこと、水で流してしまえばいいのだし、思い切ってここでしていいわ」
「ここでェッ! できない、できません! 絶対無理です!」
「でもこの浴場は広いから歩いていくだけでも一仕事よ、
それにバスルームやトイレのドアをその不自由な状態で開けられるかどうか……、
もし開けられなかったら困るわ。高校生にもなって、もしもトイレの前で粗相をしたりしたら一生消えない心の傷になるかも」
「で、で、で、でも、千歌音ちゃんっ!」
「できない……かしら?」
「絶対、できないよぉ~!」
「そう、そうよね、私、姫子の気持ちを考えていなかったわ」
「千歌音ちゃん?」

「人の見てる前でそんな姿をさらすなんて嫌だ、誰だってそう思うでしょう。私はそんな姫子の気持ちを察するべきだったわ」
「う、うん、だからトイレに……」
「でもこのままでは体によくないわ、姫子、あなただけ恥ずかしい姿を晒すからつらいのよね」
「え?」
千歌音は何を言おうとしてるのだろう。姫子は彼女の真意を測りかねていた。
その間に千歌音は姫子の前にまわりこんで、そこにしゃがむ。
「姫子、私を見てて。私がまず、それをするから。そうすれば姫子も決心がつくでしょう」
(ええーーーーっ!)
姫子は今、耳にした事が本当に千歌音の口から出た言葉とは信じられなかった。
千歌音は自分の言っていることがわかっているのだろうか?
「こんなことができるのは相手が姫子だからよ。世界中でたった一人、あなたの前だから私はこんな事ができるの」
「千歌音ちゃん……」
姫子が手を伸ばせば届く距離に千歌音がいる。
もちろんその近さでは、しゃがんでいる彼女の下腹を飾る黒々とした恥毛もはっきりと見えた。
(わ、わ、わ、わ……)
その部分が小さく震えている。そこの筋肉に力がこめられるのが姫子にもわかった。
「姫子、見ていてね……」
宮様が人前で用を足す。それはとても正視できない光景だった。
しかし千歌音は姫子のためを思って自分から恥をさらそうとしているのだ。
目をそむけるのは彼女の自己犠牲を裏切ることになる。

「あぁっ……」
千歌音が切ない声を漏らした瞬間、漆黒の繊毛の下から雫がこぼれた。
そして小さな流れはあっという間に量を増し、一すじの水流に変わる。
肉の裂け目から湧き出た金色の放水が弧を描いて落ち、床を叩くはしたない音がバスルームに響く。
シャワーを使ってからしばらく時間がすぎているので、床の上のお湯はすでに引いていた。
そこにわずかに色の付いた新たな水たまりが、小さな波を立てながら、みるみる広がっていく。
浴室の床に生まれた水たまりからは、薄い湯気があがっていた。
「うう……」
こみあげる羞恥心に耐えているのだろう。
頬を朱に染めた千歌音が哀切な溜息を漏らした。
(千歌音ちゃんが、千歌音ちゃんが……!)
千歌音は薄く目を閉じ、整った顔を紅潮させてその行為を続けていた。
その表情はまるで排泄の解放感にひたっているようにも見える。
もし椅子に座っていなければ、衝撃的な光景を目にして、姫子はきっとそこにへたりこんでいただろう。
目の前で繰り広げられる黒髪の美少女の恥態に、思考が麻痺してしまった姫子は、ただただ放水を続ける部分を見つめていた。
やがて水流は勢いを失い、二、三度、残りの雫をしたたらせて終わった。
「はぁ……」
大きく息を吐き出すと、ようやく千歌音は顔をあげる。
普段は理知的な輝きが印象的な瞳が、今は妖しく潤んでいた。
「姫子、姫子もこれで度胸がついたのではなくて? あれからずいぶん時間がたってしまったし、我慢を続けては本当に体に悪いわ」
そう言われてみれば尿意はすでに限界に達していた。
姫子は再び両ももをすりあわせて耐えるが、今からではトイレまで歩くどころか、
立ち上がっただけで暴発してしまうのは目に見えていた。
「あああ……、ち、千歌音ちゃん、どうしよう? あたし、あたし……」
全身をワナワナと震わせて限界を訴える姫子。

「姫子、恩を売るつもりで言うのではないけれど、私は姫子一人に恥ずかしい思いをさせたくなくて、あなたの前でそれをやったのよ。
お願い、私を救うためにも、どうかもう我慢をするのはやめて」
千歌音は姫子に身を寄せると手を伸ばして、相手の下腹部に手のひらをのせた。
そしてそこにぐっと手に力をこめる。
「ああ、千歌音ちゃん、押しちゃダメ! もう、ああ、手をどけて! あたしから離れてっ!」
体をガクガクと震わせながらも、姫子の精神はギリギリの所で踏みとどまろうと勝ち目のない苦闘を続けていた。
しかし、もう体が言うことを聞いてくれない。
内ももの筋肉が痙攣し、膨張しきった内圧を解放しようと動く。
「千歌音ちゃん! ゴメン! ごめんね!」
姫子は目の前の少女への謝罪を繰り返しながら、たまりきった物を爆発させた。
つつましやかに生える縮れ毛の下から、シャッと一条のしぶきが飛び、その後に続いて激しい放水が始まった。
もちろん、すぐ前にいた千歌音の手に、腹に、胸に容赦なくそれは叩きつけられ、
それどころか気品ある顔にまで、はじけたしぶきがかかっている。
「あ、ああ、あああ、止まらない、止まらないよ~」
一度、堰を切った勢いは姫子自身にもコントロールできない。
姫子は下肢をブルブルふるわせ、悲痛な声をあげて泣きじゃくった。
本来、放物線を描くはずの水流は、勢いが激しい事に加え、距離が近いため、直線のまま千歌音に浴びせられる。
「千歌音ちゃん、ごめん、ごめん」
「姫子、後で洗えばいいのだから、そんなに泣かないで」
自分でも止めることができず、ふるえながら放水を続ける姫子を、千歌音は愛おしそうに見つめる。
千歌音はその身を汚されながらも、嫌悪するどころか、
うっとりと夢を見ているかのような陶酔の表情で、姫子の体から噴き出している熱い水流を浴びていた。

姫子にとっては長い長い恥辱の時間がようやく終わろうとしていた。
体内からあふれ続けたしぶきはようやく量を減らしていき、名残の雫を数滴こぼすと、やっと止まった。
しかし体の内側からの、はちきれそうな苦痛から解放された後も、姫子はずっと体を丸めてすすり泣いていた。
両目から次々と涙があふれるが、手が使えない彼女はそれをぬぐうことさえできない。
「ううっ、ごめんね、ごめんね、千歌音ちゃん、ごめんね」
震えた声でただ、それだけを繰り返す姫子の裸身を千歌音はそっと抱きしめた。
「姫子、もう泣かなくていいの、二人とも同じ事をしたのだから、どちらかが負い目を感じる必要はないのよ」
「で、でも……、あたしは千歌音ちゃんを汚しちゃった。千歌音ちゃんの顔にまで汚い物をかけて……、
う、うっ、千歌音ちゃん、あたしどうすれば許してもらえるの?」
「許すも何も、私は姫子を怒ってなどいないのよ、もう気に病むことはないわ」
「ダメだよ、千歌音ちゃんは優しいからそう言ってくれるけど、あたしは自分が許せない」
「そう、姫子は何か形にして償いをしないと気が晴れないのね」
「うん……、自己満足でわがまま言って、千歌音ちゃんを余計に困らせているのはわかってる、でも……」
千歌音はそれがわがままだとは思ってないし、姫子を責める気もない。
しかしこのまま姫子が気まずい思いを引きずるのは、せっかくの連休がもったいない、そう考え、ある提案をすることにした。
「じゃあ、姫子が私をきれいにして」
「う、うん、でも手錠を外さないと……」
「姫子、犬や猫の母親は子供の体をきれいにする時、全身を舌で舐めるの。
手が使えない今の姫子にはそうするより方法がないのではなくて?」
「うん……」
すでに石鹸で洗った体を舌で舐めて、それが体を清めることになるのか? それは問題ではなかった。
千歌音がそれを求めている。姫子にとって大事なのはただそれだけだった。

「さあ、姫子……」
姫子は差し出された千歌音の手の甲に口づけた。
そして舌を伸ばすと、そのまま甲を舐め、さらに口で指をはさんで手をひっくり返し、手の平にも舌をはわせる。
次に細くて長い指の一本一本に唇を寄せ、指の先を口にふくんで舐めしゃぶった。
五本の指をすべて舐め終わると、手首からひじ、さらに上腕へ舌を移動させる。
もう一方の手にも同じ行為を繰り返し、その後は奉仕の対象を足へと変えた。
足の甲にも裏にも、手を抜くことなく舌を這わせていく。
もしこれが他の人間なら、いくら洗いたてであっても、足の指の間にまで舌を入れることなど決してできないだろう。
相手が千歌音だからこそ、姫子はこんな奉仕もためらいなくできるのだ。
チュッ、チュパッ。
姫子がその小さな口を開けて千歌音の足の指をくわえこみ、頬をへこませて吸う音が聞こえる。
さらに口をもぐもぐ動かせて無心にそれをしゃぶる姫子の姿を、千歌音は何も言わず見つめていた。
愛しい少女の奉仕を受ける彼女の頬は上気して薔薇色に染まっている。
後ろに回した両手を手錠でつながれた全裸の美少女に足の指を舐めさせている、
そのことで千歌音の心に倒錯した嗜虐の悦びが芽生え始めていた。
(姫子、ああっ、私のかわいい姫子、私だけの姫子……)
ぷはっ……
姫子が足の指から口を離すと、口内にたまっていた唾液が唇からあふれて浴室の床に糸を引いて落ちた。
あごから透明の糸が一筋たれているが、両手が使えないので唾液をぬぐうことができない。
姫子は顔をあげて千歌音を見た。
千歌音同様、その頬は紅潮して、夢見るような表情を浮かべている。
千歌音は口を開かずに、ただ微笑みを返す事で奉仕の続きをうながした。
それを受けて、姫子はもう片方の足にも舌を這わせる。

手の時と同じように足の先から足首、ふくらはぎ、ひざ、と舐めながら場所を移していく。
産毛の生えた白い表皮に唇を寄せ、愛おしげに吸う。
そんな行為を一心に続ける姫子の胸の内に、妖しい情感がこみあげてきた。
手首に触れる手錠の感触が、まるで自分が千歌音に支配される所有物になったような錯覚を与える。
子宮の底から全身へと、甘く切ないしびれるような感覚が広がっていき、しだいに姫子は初めて味わう被虐の情念に酔っていった。
今、千歌音に命令されたら、トランス状態のシャーマンが神託を受けたかのごとく、その命まで捧げてしまうかも知れない。
そんな妄想さえ、今の姫子には現実味を持っていた。

四肢を一通り舐め終えた姫子は、千歌音の上半身への奉仕を始めた。
まず首筋に口づけをして、徐々に鎖骨の窪みへと舌を移動させる。
そのまま休まず動き続けて、舌はボリュームある乳房へと達した。
(千歌音ちゃんの胸、やっぱり大きいな。それなのにあお向けになっても形が崩れない……、
弓道やってて、胸の筋肉が発達してるからなのかな?)
そんな事を思いつつ、伸ばした舌を引っ込めて、変わりに唇をとがらせ柔らかい胸の表面を吸う。
すると千歌音は赤ん坊がむずかる様な声をあげた。
手が使えたらこの胸にさわれるのに、そんなもどかしさで、姫子の愛撫はいっそう熱のこもった物になる。
姫子はぱくっと口に千歌音の乳首をくわえると、歯は使わず唇だけで、そこを噛むように刺激する。
すると敏感な胸の先端が充血してコリコリとしこってきた。
さらに舌の先でそこを上から下へ、下から上へ、何度も舐めあげる。
その度に千歌音の裸身はビクッ、ビクッとわなないた。
姫子は千歌音におおいかぶさっている上半身を持ち上げると、同じ行為をもう一方の乳房にも繰り返す。
「千歌音ちゃん、この胸にもあたしのがかかっちゃたんだよね。あたしが全部舐めるから許してね」
姫子の奉仕を受ける千歌音は無意識の内に太ももをよじった。
羞恥の源泉の奥にともった小さな火が段々と大きくなってくる。
千歌音の媚肉はまだ触れてもないのに自然と扉を開いていった。
「ああ……」
黒髪の少女の奥底から湧き出したしずくがトロリとあふれて流れ出た。

そして姫子の奉仕は胸から下に移っていった。
しかし千歌音の腹部を見るたびに姫子の心は締め付けられるような苦しさにさいなまれる。
なぜなら彼女はそこに目には映らない傷跡を見ていたからだ。
剣の舞踏会の際に姫子の刀がこの白い腹を貫いたという事実……
千歌音を殺しかけたという出来事が刻んだ、姫子の心の傷はまだふさがってはいない。
しかし千歌音を傷つけたというだけで、これほど苦しむのなら、前世で姫子を殺した千歌音の絶望はどれほど深かったのだろう?
それを思い出してからの現世の千歌音はどんな思いで姫子に接していたのだろうか?
彼女の気持ちを想像すると、姫子の「千歌音ちゃんにはどんな事でもしてあげたい」という思いはさらに強くなる。
だから姫子は心の傷から目をそらさなかった。
そっといつくしむ様に見えない刀の跡にキスをして、そこから舌による奉仕を再開した。
腹を舐め、さらに形のいいへそに舌先をさし入れる。
その少女の頭に千歌音はそっと手を当てた。
「姫子…、下もお願い……」
「うん、千歌音ちゃん……」
姫子はうなずくと顔を下に移動させる。
そして鼻の頭を黒い茂みにこすりつけた。
千歌音の春草は姫子の物よりも密生していたが、ほとんど直毛と言っていいくらい縮れは少なく、ツヤがある。
(きれいな人は、どんな部分もきれいなのかな?)
姫子はそう思ったが、決してずるいと言いたいのではなく、むしろ千歌音だからそれが当然だと感じていた。
そのあと繊毛の林から頭をあげると、太ももの間に頭をうずめて肉の裂け目に口づけをする。
あっ、と小さな声をあげて千歌音が体をのけぞらせた。
姫子は盛り上がった肉丘へのキスを繰り返し、舌を這わせる。

二人の恋が成就してからのこの一年間で、彼女たちが肉体の関係を持った回数は意外なほど少ない。
死の淵から生還したと言っても、生命力はいちじるしく衰えていて、入院、リハビリ……、
千歌音の体が元に戻るまでかなりの時間を必要とした。
そのような経緯をへたため、二人が心だけでなく、体も結ばれたのは最近の事だった。
そして肉の悦びを知った体は、ただ一方的に愛されるだけでは物足りなくなったのだろう。
千歌音は上体を起こして、姫子に話しかけた。
「姫子、手で体を支えられない状態でその姿勢を続けるのはつらいでしょう? 今度は私が上になるから、あなたはあお向けに寝て」
「うん」
姫子は千歌音の言葉通りに床に横になった。
手首の上に腰を乗せるのは体重がかかってつらいし、手錠が肉にくいこんで痛いので、なんとか手の位置を調整して楽な姿勢を選ぶ。
千歌音はその上をまたいで、姫子とは上下を逆にして体を重ねた。
今、姫子の顔の真上に千歌音の性器が、千歌音の顔の真下に姫子のそれがある。
「姫子のここは小さくてピンクでかわいらしいわ」
千歌音が指摘した通り、紅茶色の髪の少女のその部分は、童顔の容貌と同じで、まだ子供の面影が残っている。
しかし童女そのものの姿ではなく、かといって成熟した女の物でもない。
そんな微妙なバランスを持った固いつぼみが、千歌音の指と舌で、花開こうとしていた。
千歌音は舌を伸ばすと、壊れ物を扱うような心づかいで、その部分を愛撫した。
陰唇の右の外周を舐め、次に左の外周を舐め、最後に中央に縦に走る肉の溝の間で舌を踊らせる。
千歌音は目を細めて、真下にある姫子の秘唇へと舌を伸ばしていった。
その舌の先をとがらせて狭い膣口にもぐりこませる。
まるで埋もれている何かを舌でほじくり出すかのような動きで内部をえぐった。
「あ、ああ……」
悶える姫子のピンクの肉洞がトロトロと蜜を吐き始めた。
それを舐め取るように千歌音の舌が動く。
しかし姫子の反応は次から次へと豊かにあふれ出て、とても舐め取れる量ではなく、千歌音の口のまわりはベトベトに汚れてしまった。
「もう、こんなになって…」
感心したように言うと、次に秘裂の始まる部分に身を潜めてるクリトリスを舌の先で何回かノックする。
そして唇を寄せ、音を立ててそこを吸った。

「うっ、ああ…!」
一番敏感な突起に強烈な刺激を受けて、姫子の腰が跳ねるように震えた。
さらに左手の指で割れ目を開くと、右手の指で口を開けた入り口を円を描くようになでていく。
千歌音は注意深くそこに指を挿入し、幾重にも重なるヒダを一枚一枚めくり返すように動かした。
「うっ、ああっ……」
そのまま指の愛撫を続けながら、唇を陰核に寄せてキスをする。
器用に舌先を操って包皮をめくり、舌を時計回りに動かせてくすぐった。
「はあ、はあ…」
「姫子のここ、固くなってきたわ」
クリトリスからこみあげてくる快美感を、首を左右に振って訴える姫子。
その顔のすぐ前に千歌音の女の部分がある。
すでに千歌音の肉唇はぱっくりと開き、内部が奥まで見えていた。
媚粘膜を濡らす粘液がバスルームの照明を反射してキラキラと光っている。
(さっきの続きをしたい…、千歌音ちゃんのここを舐めたい…)
そう思った姫子は目の前の千歌音の媚肉に唇を近づけていった。
姫子は大胆にも、ハンバーガーを食べる時の様に、大きく口を開けると陰唇をまるごと口にふくんだ。
「ひっ」
突然の感覚に千歌音が短い悲鳴をあげる。
千歌音の女陰を口にくわえこんだ姫子は、舌の先を膣口へとさしこんでいく。
「あっ、ああっ、姫子!」
千歌音の腰がガクガクと震えたが、それでも姫子は吸い付いたまま口を離さない。
しばらく頬をモグモグさせて味わった後、ようやく口を離した。
「千歌音ちゃん、気持ちいい?」
「ええ、姫子、ああっ…、素敵よ」
恋人の愛撫を受けて千歌音は恍惚の表情で答えた。
「姫子、ちょっと変わったやり方をしてみるわ」
横になったまま手を伸ばした千歌音は、浴室の鏡のそばに置いてある浴用用品の中からタオルと電動歯ブラシを手に取った。
そして姫子の下腹部の上でタオルを広げる。
「千歌音ちゃん……?」

いぶかしげな声をあげる姫子にはかまわず、千歌音は指でタオル越しに秘裂の位置を確かめると、
もう一方の手に持った電動歯ブラシをそこへ近づけ、スイッチを入れた。
「ちか…、あっ!、はうっ!」
とまどっていた姫子の体が電流を流された様にビクッと大きくはね上がった。
千歌音が震動する電動歯ブラシの先を、タオル越しにふくらみきったクリトリスに当てたのだ。
「あっ、ああっ! が、はぁ…」
姫子は峻烈な刺激に我を忘れ、意味不明な声をあげながら、全身をガクガク震わせた。
直接触れたら痛いくらいの震動が、間に布をはさむことによって程良く減衰される。
「どう? 姫子。本当はガーゼとかを当ててやるらしいのだけれど、タオルでも充分いいのではなくて?」
だが姫子にはそれに答える余裕などない。
開きっぱなしの口から泡を吹きそうな勢いで嬌声をあげ続けた。
「う、うぅ…、これ、あたし、ダメ、ダメェ…、あ、ああ、クゥ…、キャウッ!」
子犬のようなかわいらしい悲鳴をあげて、姫子はあっけなく絶頂をむかえてしまった。
少女はブリッジをするように体をのけぞらせて快感を受け止める。
「はっ、はっ、はっ…」
荒い呼吸のため、大きく上下するなだらかな胸。
頬を紅潮させてあえぐ姫子は、半分失神状態に陥り、ぼんやりとうつろな目で宙を見つめ続けていた。

「姫子、今度は一緒にね」
千歌音は姫子の左の太ももをつかむと、ぐいっと自分の肩にかつぎあげた。
持ち上げた膝の裏を肩の上に乗せる。
そのため床についたままの右足と、担ぎ上げられた左足が90度近い角度に大きく開かれた。
千歌音はその大きく開いた両足の間に体を入れる。
そして腰を押し出して、姫子の割り裂かれた足の付け根に自分の股をすりあわせていった。
「あ……」
いまだ夢うつつの表情をしていた姫子だったが、自分の体が動かされていることに気がつき、ようやく我に返った。
千歌音の盛り上がった肉丘が自分のそれにすりあわされている。
「あ、ああっ…」
黒髪の少女は腰をただ前後にゆするのではなく、恥丘を中心にして「の」の字を書くように回転させた。
あふれる愛液にぬめる媚肉同士がこすれあわさり、ねばっこい水音が立つ。
姫子もまた、無意識の内に、もっと快感を得ようとして腰をうねらせ始める。
アクメを極めたばかりの子宮が新たな性感でジンジンうずいていた。
「あ…、ああ、くぅう~っ」
千歌音は担ぎ上げた姫子の左足を右手で支えながら、空いている左手を相手の秘部へと伸ばした。
そしてクリトリスを覆う包皮をめくり、敏感なそこに指の腹をあてて、バイブレーションを加える。
「ひっ! ああっ、ち、かね…、ちゃ…っ、はぁっ!」
過敏な器官を、絶妙な震動で刺激されて、姫子のよがり声のボルテージがさらにあがる。
千歌音は指と目で姫子の陰核の位置を確かめると、そこを目がけて今まで以上に腰を突きだした。
狙いはたがうことなく、千歌音のクリトリスと姫子のそれが接触、押しつけられる。
そのまま、もっとも敏感な神経のかたまり同士がこすれあう様に千歌音は腰を使った。
「う、ううっ、姫子…」
「ああ、ち、千歌音ちゃん……」

絶頂を極めて、まだ余韻が抜けきらない状態から、休みをはさまず
次のさらなる高みへと押し上げられていく姫子の体がビクッ、ビクッと震えた。
切なげなまなざしが二度目の頂点が近いことを訴えている。
それをさとった千歌音は最後の瞬間を合致させようとして腰のうねりをさらに激しくした。
過敏な肉粒と肉粒がこすれあうたびに、甘い痺れが下腹部から全身に広がり、二人の膣孔からは熱い愛液が次々とあふれ出てくる。
「ち、千歌音、ちゃん…、あたし、ああっ、も、う……」
「姫子、私も、あっ、ダメッ、イッ…、ちゃ、う……」
激しい摩擦によって彼女たちのクリトリスはパンパンに膨れ上がり、包皮はめくれて根本までが露出していた。
その器官がぬるぬるの愛液をローション代わりにして、こすれあわさっている。
千歌音がひときわ激しく腰を突き出した瞬間、女同士の交わりは頂点をむかえた。
「あ、ああっ、ちか、ね、ちゃ、ああああーーーーっん!」
「姫子、姫子!、ひっ、くぅっ、はああぁぁぁーーーーっ!」
高い声で互いの名前を呼び合いながら、恋人たちは昇りつめた。
絶頂を極めた二人の体がのけぞり、全身の筋肉が硬直する。
千歌音の肩に乗った姫子の左足が、ピンッとつま先まで伸びきっていた。
「あ、ああ……はぁ……」
やがて激しかったあえぎがおさまりはじめ、体の緊張が解けていく。
直線を描いていた姫子の足が、次第にぐんにゃりとなった。
そのまま力の抜けた足が、同様に脱力している千歌音の手を離れてずるずるとすべり落ちる。
それを追う様に、千歌音の体が、あお向けの格好で浴室の床に崩れていった。
「はぁ……」
抜け殻のようになった体を横たえて絶頂の余韻にひたる二人だったが、
執拗にこすりあわされて充血した媚肉はいまだに収縮を続け、淫らに蠕動を繰り返していた。

入浴を済ませた二人は、寝るまでの時間を千歌音の部屋で談笑してすごした。
彼女たちはそれぞれの寝間着に着替えていたが、姫子は相変わらず腰の後ろで手錠をかけられているので、
そでに手を通すことができない。
仕方なくパジャマの上を肩にはおっていたが、前のボタンを止めることができず、
少し動いただけで胸が露出してしまうので、いささか落ち着かなかった。

二人の時間はあっという間にすぎ、壁にかかった時計が日付の変わる時間を知らせる。
「わっ、もうこんな時間なんだ」
「そうね、おとぎ話だと魔法が解ける約束の時間ね」
千歌音は少しだけ寂しげに微笑んでそう言った。
そして椅子から立ち上がると、机まで歩いていき、引き出しから何かを取り出して手の中にしまう。
そして姫子の所まで戻って来ると、背後にまわった。
「ちょっと、パジャマをめくらせてね」
「えっ?」
千歌音は姫子のパジャマをめくって、手の中の小さな銀色の金属片を、手錠の鍵穴にさしこむ。
そしてカチッと音がして、あっけなく手錠は外れた。
「ち、千歌音ちゃん、そ、それ! どうして鍵があるの?」
姫子が驚いて立ち上がった拍子に、肩にかけてあっただけのパジャマが床に落ちてしまう。
「あわわ……」
上半身、何も身につけない姿になってしまった姫子はあわててパジャマを拾い上げると、千歌音とは反対側を向いて急いでそれを着た。
「ごめんなさい、姫子。無いと言ったけど、合い鍵は本当はあったのよ」
「それ、合い鍵なの?」
「ええ、いつでも外せると思ったから、軽い気持ちで無いと言ってしまって……
でも、姫子が何もかも私にゆだねてくれるのがうれしくて、つい言い出せなくなってしまったの。本当にごめんなさい」

神妙な顔の千歌音を見て、姫子はなぜか責めようとはせず、バツの悪い顔をした。
「千歌音ちゃん、謝らないで。私には謝られる資格はないの」
姫子はそう言うと、昼間彼女がぶつかったサイドテーブルの前まで歩いていった。
そして台の上のこまごまとした物を手で動かす。
千歌音が不思議そうに見守る中、姫子は小物の影から何かを手に取った。
「千歌音ちゃん、これ……」
姫子が手にしたそれを千歌音の目の前に差し出すと、それを見た千歌音の目が大きく開かれた。
「それ! 手錠の鍵? どうしてそこにあるの?」
「テーブルにぶつかって、私、あお向けにひっくり返ったでしょ、あの時偶然、手の真下に鍵が落ちていたの。
それで思わず握りしめて手の中に隠しちゃった。本当はすぐ冗談だよって鍵を出すつもりだったけど、どんどん大ごとになっちゃって、
そしたら言うに言えなくなって……それで…、千歌音ちゃん、ごめんね!」
「でも、お風呂に入った時は鍵を持ってなかったでしょう?」
「うん、夕食に呼ばれてこの部屋を出る時、あたしテーブルの周りをうろうろしてたでしょ。
あれ、鍵を探してたんじゃなくて、本当は千歌音ちゃんの目を盗んで鍵をテーブルの上の目立たない所に置いていたの。
一度徹底的に探した場所はかえってわかりにくいって、以前マンガで読んで試してみたんだ……」
もしその時、鍵を置いていかないで浴室まで持っていっていたら、あんな抜き差しならない事態にはならなかったのに、
そう思うと姫子は自分の失策がたまらなく恨めしく感じてしまう。
一方、あっけにとられていた千歌音の顔に笑顔が戻ってきた。
「フフッ、被害者が犯人だったなんてオーソドックスな謎解きだけど、すっかり引っかかってしまったわ」
「えーっ、だって千歌音ちゃんだって合い鍵隠してたじゃない! 工具や車がないっていうのも嘘なんでしょ」
自分だけが悪者のような言われ方をされて、姫子の顔が思わず、むーっとふくれた表情になる。
そんな素直な反応がいかにも姫子らしくて、少し笑った後、
千歌音はパジャマ姿の姫子の両肩に手を乗せ、相手の体をそっと自分に引き寄せた。
そして頬と頬が触れるくらい近くまで抱き寄せると、目を閉じて世界でもっとも大切な人に語りかける。

「そうね、ごめんなさい、姫子」
「う~っ、でもやっぱり悪いのはあたしだから…、ゴメン、千歌音ちゃん」「私たち、知らずに同じ事をしていたのね」
「うん、色々迷惑をかけておいて、こんな事言っちゃいけないのかも知れないけど、千歌音ちゃんに甘えられて楽しかった」
姫子は顔を千歌音の肩にあずけたまま、幸せそうに微笑む。そして二人はそのままの姿勢でしばらくの間、クスクスと笑い合った。
その後、千歌音は体を姫子から離すと、相手の細い手を取る。
「千歌音ちゃん?」
「たしか手錠って、こう使うのよね」
そう言うと千歌音は手に持っていた手錠の一方を姫子の手首にかけ、もう一方を自分の手首にかけた。
「え……?」
この思いがけない行動に、姫子はどう反応していいかわからなかった。これも芝居のリハーサルなのだろうか? それにしても唐突な……
「ねえ、姫子、お休みはまだ一日あるのだから、ここで魔法を解いてしまうのはもったいなくないかしら? 
このまま月曜の朝、登校の前まで過ごしてみない?」
「丸一日、手錠でつながれたまま?」
「そう、食事も、お風呂も、寝るときも一緒よ」
「う……、え~と……」
つい先ほど自分がバスルームで晒した醜態を思い出して姫子は言葉につまった。
「あのね、トイレの大の時だけは外すって事で良かったら……」
「その条件をのめばいいの?」
「千歌音ちゃんとなら…、いいよ…」
姫子は頬を赤く染めながらうなずいた。
二人の視線が交差する。姫子はそっと目を閉じた。幼さの残るその顔に千歌音の顔が近づいていく。
つややかな姫子の唇に千歌音のそれが重ねられた。
「んっ……」
手錠でつながれた手と手が結ばれ、指がからみあう。
しばらくお互いの口内を味わった後、甘い吐息をもらして唇を離した。
「メイドのみんなには、鍵は見つかったけど、手錠をかけた後でまた無くしたと言いましょうか」
「えーと、さすがにそれ、信じてくれないかも」
「フフッ、それでも別にいいわ。ああ、素敵な休日になりそうね」

【終わり】

最終更新:2007年04月21日 11:30
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