Episode 3:Return Kiss その1

神無月の巫女 エロ総合投下もの

Episode 3:Return Kiss その1

 

視聴者の皆様、こんばんわ。毎度ご愛顧頂きまことに有難うございます。
インターネット配信・百合脳大河ドラマ「神無月の巫女:番外編」のお時間です(違
第三部は長編映画「神無月の巫女・ザ・ムービー―Return Kiss―」ですので、
深夜枠の放送時間の都合上、数回に分けてお送りする予定です。
なお、こちらはガチレズ18禁指定(笑)ですので、あらかじめご承知おき下さい。

今回はその第1回「その彼女のキスの理由」を投下。 16レスほど1時間半以上枠を予定しております。
合言葉は「千歌音ちゃん、私の第三部、受け取って!」

(明け方近くなり申し訳ありません^^;)

↓では、どーぞ。

【前回までのあらすじ】(Episode 2:Remember Kiss)

ナレーションby川澄綾子(+下屋則子)

昏睡状態の来栖川姫子は、無意識のうちに前世の記憶の断片に触れていた。眠りから
覚めた姫子は、献身的な看病をする姫宮千歌音に淡い恋心を抱く。一方、巫女として
の心の古傷が癒えない千歌音は、無知な姫子を慮って自分の本心を打ち明けられずにいた。
満月の夜、二人は抱擁しながら言葉を交わし、情意投合しえたかに思われた。
だが姫子へのキスをきっかけに、今、二人の乙女の運命は狂い始める……。
脳内補完SS三部作遂に完結…かな?

千歌音「ずっと好きだったの、貴女が。でも、私の好きは、姫子の好きとは違うの…」

姫子「千歌音ちゃん、私の『本当』受け取って!」


【OP】♯「Re-sublimity」by KOTOKOの脳内演奏お願いします♪

【タイトル】Episode 3:Return Kiss

 

 

時刻は、すでに午後11時を回っていた。

千歌音の抱っこが気持ちいいので、姫子はついつい、うとうとし始めた。
千歌音は一睡もしていないにもかかわらず、姫子の様子が気になって寝つけない。
それどころか、姫子があまりに無防備な寝顔をみせるので、目が冴え冴えとしてくる。

姫子の寝顔も、そして唇の味も千歌音はよく知り尽くしていた。
時おり姫子の寝室に忍び込んでは、熟睡している顔をじっと眺めつくしたり、
気づかれない程度に軽くキスを繰り返していたのだ。

さっきの口移しで飲ませた薬のことを思い出す。

――もう一度、熱く口づけを交わしたい……。


情動の波が高まりつつあったけれども、千歌音は病の身の姫子を案じていた。
膝から姫子を降ろすと、その身体をそっと横たえた。

今晩は、こんなに近くで愛しい人の顔を眺めながら夜を明かすことにしよう。
そして添い寝をしようとした矢先、姫子が突然目をぱちりっと見開いて顔を上げた。


「あら、姫子。今夜はこうやって側にいてあげるから、安心してぐっすりお眠りなさい」
「あ、うん。私、実は千歌音ちゃんにさっきから尋ねたいことがあって。
眠って忘れないうちに聞こうと思って…」

姫子はどう話を切り出そうかと考えあぐねて、口をもごもごさせている。
千歌音との口移しのシーンとその後の挨拶代わりのような軽いキスの場面が、
交互に頭に浮かんで、再び赤面する。
しどろもどろになりながらも、ようやく声を押し出した。

「あ…あの…千歌音ちゃんは、そ、その…キスについてどう思うっていうか…」
「え…?」

千歌音は内心、自分の本心を見透かされているのではないか、とどきりとした。
が、あくまで平静を装ってみる。

「いや、だから…ね、私はソウマくんとが、その……ファーストキス…
だったんだけど……」
「そう…ファーストキスなの……」


―――ズキッ…!

姫子の言葉に愕然とする千歌音。その彼女の中で、心の亀裂音がした。
今の姫子の耳には入らないほど小さな…。


姫子との初めてのキスは、二人の16歳の誕生日であり、最初のオロチの襲撃で学園が
崩壊した最中の出来事だった。
人事不省に陥った今回の転倒事故ほどではないが、そのときも姫子は気を失いかけて
いたのだから、覚えていないのも無理はなかった。

けれど姫子の、自分よりソウマとのキスの思い出の印象が深い事実に接して、
千歌音の胸が今更ながら、ズキズキ、と痛む。

さらに、照れ隠しに笑みをうかべる姫子の顔と、明るい喋り口調が幸せそうにみえて、
なおさらそれが、心に楔を打ち込んでくるのがはっきり感じられる。

「それで、私はそうだったんだけど…。ほら、よく初恋の男の子とのキスは甘酸っぱい
 レモン味っていうけど…千歌音ちゃんは初めての相手とはどうだったのかな…とか、
 な、なんて……」

「――――……姫子…。ずいぶん残酷なことを聞くのね………!」


かなりの間をおいて、千歌音が腹の底から搾り出すような声色で答えた。

姫子は、その声がかつてなく恐ろしく低いので、思わず口を噤んだ。
驚いて千歌音のほうへ振り向く。

黒髪の少女の赤い唇はぎゅっと噛み締められたまま、わなわなと震え、目つきは
鬼気迫るものがあった。

 

自分が嬉々としてファーストキスの話を持ち出したのが、癪に障ったのだろうか?
ここはひとつ自分の疑問点を単刀直入に聞いてみようか。

ご機嫌斜めな千歌音を前に、姫子はさらに大仰な作り笑いと上目遣いで、
彼女の怒りを和らげる、という手にうってでる。

「あの…千歌音ちゃんのさっきの薬の口移しとか、手慣れてるっていうか…
 あ、いや、上手いって褒めたかったんだけど……?」

「……私は…男の子とのキスはまだしてないわ………」

―――そうですか…って、…ええッ――?!…て、ことはもしかして……。

「そう、私のファーストキスの相手は……」

―――千歌音ちゃんの初めてのキスは……この私――っ?!

 

姫子は身を仰け反らせて、少し心の距離をとるかのように、千歌音から離れた。
間延びするような声を発して。

「え、ええぇ――っ?!うそでしょ?そんな…千歌音ちゃん、みんなに
 モテモテだから、てっきりキスぐらい経験済みだと……」

 

千歌音は、ずいっ、と間合いを詰めてくる。
暗く沈んだ面持ちで、けれど姫子の両腕をがっしりと掴みながら。

「……姫子は、もしかして私とが嫌だったのかしら……?」
「え、ううん、そんなこと絶対無いけど…でも、さっきの薬の口移しとかは
 『初めて』の部類には入らないよね……私たち、女の子どうしなんだし……」


そう言いながら、姫子は目を逸らして、どぎまぎしながら頬を赤く染めた。
瞼をさかんにしばたたかせては、目が泳いでいる。
両の人差し指の先で円を描くようにつつき合わせている。
動揺が隠し切れないのだ。

千歌音には、姫子の言動から鑑みるに、はっきりと拒否されていないことは
嬉しかったが、姫子の人を傷つけない善意の言葉であるように思われた。

千歌音を気遣っての言い回しが、逆に鋭く、深く、激しく心に突き刺さってくる
ことを、無邪気な姫子は知らない。


姫子の口からは、誕生日のファーストキスはおろか、蘇生のセカンドキスのことすら
語られないのだ。

まったく心臓をえぐられるような思いだ。先ほどまでの甘美な夢見心地の抱擁が嘘のよう。
いっぺんに地獄の底に突き落とされた気分。
それほどまでに千歌音の失望は深い。

「―――…やっぱり、覚えてないのね……姫子」
「いや、むしろ、すごいはっきりと、忘れられないものになったっていうか…。その、…
 …千歌音ちゃんにとっての最初になるキス、なのかなぁ?の…さっきの口移しで私、
 何かを思い出した気がするの……とっても大事な。
 た、例えば、…そ、そうだ…も、もしかして私たちの前世に関係あるの…かなぁ……とか?」


千歌音の落胆した顔色を伺いつつ、姫子はあたふたと弁解をする。

――…私たちの「前世」ですって……!


千歌音は姫子の声から距離をとるように、彼女の身を突き放していた。
そしてひたすら目を合わせないようにして、ただじっと千歌音は耳を傾けていた。
抑えていたはずの情動に、自分がいまや全身を支配されていくのがわかる。

「前世」という言葉の響きに、張り詰めた神経の糸がぴーん、と反応して、
千歌音の心の弦を弾いてゆく。
太古からの心の古傷に塩を塗りこまれるような、痛々しい悲哀歌(エレジー)の旋律が
脳内を流れてゆく…。

 

千歌音の脳裏に焼き付けられた、あの哀しい別離のヴィジョンが、
いつもより鮮明に再生される。

  本当はあのまま二人で、奈落の底まで堕ちてゆけば
  よかったのかもしれない……。


千歌音の中で、何重もの理性の留め金がガチャリ、ガチャリと外れてゆく。
囲っていた激情が、柵をどんどんのり越えてなだれ込んで来る。

――もう一人の「私」が魔笛のように囁きかける。

  もう我慢の限界だ。失いたくないのだ、この人を…!
  「貴女」が生きているうちに……
  まだ、この身があるうちに……
  今こそ本懐を遂げてしわなければならない……―――!!


千歌音は顔を向き直すと、姫子に突き刺さるような視線の矢を投げた。

姫子の瞳の中に、じっと目をこちらに見据えた蒼く冷たく光る瞳の少女が
クローズアップされる。


「…それなら貴女自身のカラダに直接、覚えていることを
 聞いてみたらどうかしら?」


甘く誘惑するような言葉と、鋭く危険な目つきで言い放つ千歌音。

姫子は対峙した千歌音が、ずいっと詰め寄ってきたので、どきっとした。
千歌音に、自分の瞳を的にして射抜くような視線と、
上品だが棘のあるような言葉を送られて、姫子の驚きが戦慄に変わる。
一瞬にして、身を竦める。

――……ち、千…歌音…ちゃん……?!


やっとのことで驚きの言葉を紡ぎ出そうとした姫子の口に、
二の句を告げさせまいと、千歌音の唇が覆いかぶさった。
少し口を離して逃げようとした姫子の唇を逃すまいと、千歌音は右手で
顎をがっしり押さえつけた。

…んんっ、むちゅっ、ちゅぅ…ちゅうう……。

唇の表面を貪るように、口元に食らいつく過激な口づけがはじまる。

「ふふふっ……姫子の唇はやっぱり、甘くて柔らかくて、美味しいわ。
 貴女の唇は永遠に私だけのもの……もう他の誰にも渡したくないの、
 もちろん大神君なんかにも、……絶対に、ね!」

 

姫子は、千歌音の血走ったような言動にすっかり怯えきっていた。

――…こんなの、いつもの千歌音ちゃんじゃない…。なんか、凄く、こわい……。


千歌音の唇に塞がれて、声を発することが出来ない。
何より、千歌音の鍛え上げられたリーチの長い両腕で、腰から背中にかけての
上体と腕とをがっちりと絡めとられているので、身動きがとれない。

姫子が顔を引き攣らせながら、ぶるぶると身を縮ませている。
それに合わせ、ますます姫子の身をがんじがらめにするように、千歌音の唇と
手に籠もる力に拍車がかかる。

右手で姫子の後ろ頭を抱え、左手ではぐいぐい腰を引き寄せて、身体どうしが
擦れあい、胸や内股の窪みといった身体の凹凸が重なりあうほど密着してゆく。
もはや、二人の間でいかほども身動きできうる隙間などないくらいに。
 
姫子は千歌音と密着した下半身に、再びうず痒く不思議な、けれど今度こそ明瞭な
湿度を帯びた感覚を覚える。
淫蕩な汁気をもったような、その部分の恥ずかしい状態を知られたくない一心で、
身を離そうともがく姫子を、千歌音がますます拘束してゆく。


「このキスは何度目かしら?二度目、三度目?いいえ、数え切れなくらいのはずよ…
 軽く唇を奪うだけなら、ね……でもこれからが貴女と私の『本当のキス』……―――!」

そう言い終るやいなや、千歌音は舌を強引に挿入すると、執拗に絡めてきた。
姫子の歯にかち当てたり、舌を押し上げて、舌先で付け根を突ついたり、頬の内側の皮膚を
なぞったり…ありとあらゆる敏捷かつ緻密な動きで、太陽の少女の口内は犯されてゆく。

千歌音の舌は長いのか、姫子の口の奥へ奥へと進み、咽元まで達する。
さらに奥へ進んで、まるで食道から体内へ入り込まれるような錯覚まで起こしそうだ……。
千歌音のあまねく自在に動き回る舌運びにあわせて、ぴちゃ、ぴっちゃ、と、
いやらしい水音が姫子の口から聞こえる。

「んんっ…姫子、私の唇の味はいかがかしら?…ちゅぅ…貴女の蜜のように甘い唇に、
 私以外のキスの想い出が…くちゅ、…刻まれるなんて許せない……!
 私達のこの唇の間に図々しく割って入ってくる、…グチュ…大神君とのキスの印象なんて…
 だから消すの、…じゅるっ…私の口づけで邪魔者の記憶なんて…全部ね!」


当初は、初めての濃厚なキスに驚愕していた姫子も、その華麗で巧みな舌捌きに、
次第に心を束縛され身体を翻弄されていく。
千歌音の精力的な舌遣いとその左腕に掴まれた渾身の力とで、姫子は腰のくびれで
二つに折れそうなほど身が反り返る、それを千歌音の右腕がすかさず背中を支えるといった具合。
痛みよりは快感で腰が砕けそうで、唇を吸い寄せられたまま、釣られるように、千歌音の背中に
両腕でしがみつく。


  これ、気持ちいい…まるで脳が蕩けそう…。
  でも、この感覚、やっぱりどこかで…?

 

―――ピカッ!

―――あ………っ?!


その刹那、姫子の全身の神経を逆なでする様な衝撃が走って、頭になにかが
フラッシュバックした。

その反動で姫子の口が閉じられ、千歌音は舌の先を噛まれてしまった。
思わず顔をしかめる千歌音。
口内から出血してしまったらしく、唇に少し血が滲んでいる。

「痛ッ…!」
「あ…ご、ごめん、千歌音ちゃん!」

思わず条件反射で謝ってしまった姫子に、千歌音は少し目を丸くする。
その素直さが千歌音の征服欲を逆に駆り立てたようだ。
千歌音は丁寧に唇の血を手で拭い取って、その口元でにんまりとした笑みをつくった。
舌先のぴりりとした痛みに構わず、口づけを再開する。

姫子は、さきほど頭に叩き込まれたヴィジョンの断片が気がかりであった。
そして、不可抗力とはいえ千歌音を傷つけてしまったという後悔も加わって、
されるがままの口づけに寛容になるどころか、積極的になりさえした。

姫子は自分から、舌を千歌音の方におずおずと挿しいれて、千歌音の真似をするように
もごもごと、動かしてみた。
もう少しで何かを思い出すかもしれない、という期待と、覚えたての危険な快楽への
好奇心とをこめて。


姫子の申し出に、今の千歌音の愛情の渇ききらない唇が応じないはずがない。


糸を引くほどに絡まりあう二つの舌先。
少女たちの口内を行きつ戻りつを繰り返して、互いの内部を慰め合う。
時おり息が苦しくならないように、少しずつ唇の接点をずらす。
その都度、並びのいい白い前歯が二人の隙間から覗いては、はぁっ、はぁっ、
と漏れ出る幾つもの桃色吐息。

千歌音と姫子は、口元の角度を変えては、何度もキスを繰り返す。
お互いの唾液を咽元へ流し込み、飲み下しあう。

…んんっ、ぅちゅっ…っちゅる…、ちゅぱっ…れろ…ぷはぁっ…はむっ…。


粘り気のある液体を交換しあう音。
頬に垂れた銀色の引き糸を唇で辿るように吸い寄せる音。
唇の表面が口角や口元の周囲にべたべたと押し付けあって弾む皮膚の音。
上下の唇を交互に口でくわえたり、舐めあったり、甘噛みする音。
淫らにかき乱れた息遣いのリズム。

それらが静かな室内では、一層いやらしい旋律となって響き渡る。


「んんっ…むちゅぅっ…ひ…めこ、どう…したの…?」
「んっ、はぁ…っ!ち…かねちゃんとのキス…な…にか、思い…出しそ…う、だから、
 んっ、くちゅっ、ぱふっ、…もっ…と、続け…て…」


千歌音は唇に意識を集中させつつも、心の片隅では、姫子の能動的なキスとその根拠に、
少し躊躇いと戸惑いを感じていた。
自分は本能に駆られて、今まさに姫子に欲望をぶつけてしまった。
それなのに姫子はそれを、記憶を取り戻すという好意的な所作に解釈しているのだ。


  確かに「思い出してみたらどう?」
  という煽り文句で姫子を挑発してしまったけれど…。
  それに万が一、キスによって姫子の前世の記憶までが取り戻され、
  あの悲しい「私たち」の結末を知ってしまったら…。


千歌音は頭の中を整理しようと唇を離して、少し冷静になった口調で、尋ねてみる。
濡れた二人の口元には、艶やかな雫の垂れた跡も残っている。
情熱が渇ききらない唇で、少女たちの対話がはじまる。

 

「……姫子は、自分の前世の記憶が甦ったほうがいいのかしら?」
「私…だって、前世の千歌音ちゃんと過ごした遠い昔のこと知りたいの……」
「それが、姫子と私にとって…どんなに酷い事実だったとしても……?」

  二人の今の関係に楔を打ち込むような、
  あの凄惨な月と太陽の巫女の宿命でも…?


「千歌音ちゃんは、月の巫女としての記憶がちゃんとあるんでしょ?
 知っているなら、教えて欲しいの!私が陽の巫女として、
 生まれ変わる前の世界ではどんな人で、どんなふうに生きていたのか……」

姫子が両腕に縋りついてきて、言葉を発する。
答えを出してくれるはずの千歌音の口元を、食い入るような目線で捉えて。

「…………………」


姫子の問いかけに、ただただ沈黙で応ずるしかない千歌音。
目を床のほうに落として、ひたすら思案に明け暮れている。

発作的な情熱の捌け口として奪った姫子の唇に、逆に、自分の暴発への熱さまし
のごとき返り水を浴びせられ、それによって欲情に操られた自分の心を封じられている。

「前世の記憶」という、これまで幾度も自分を制してきたキーワードが姫子の口から
積極的に発せられたとき、千歌音は今まさに、それをどう乗り切るかという、
大きな分水嶺に立たされているのだった―――。

 

最終更新:2007年04月21日 17:07
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