「ち、千歌音ちゃん……だめ……、もう……耐えられないよぉ……」
姫子が頬を紅潮させ、白い頤を仰け反らせる。白いシーツにブラウンの髪が広がり、
月明かりに白い肢体が艶めかしく動いている。
「だめよ、姫子。我慢なさい。これは罰なんだからね」
さっきから千歌音が姫子の乳首を執拗に舐めていた。長く艶やかな黒髪を掻き分け、
赤い舌先を小さく尖らせて、薄桃色の乳首を掬うように舐めあげる。
そのたびに姫子の体はビクビクと震え、熱い吐息をつきながら切なげにシーツを
ぎゅっと掴んでいる。
「二人して約束したでしょう? 姫子の苦手な数学を克服するための特訓だって。
今日は姫子は15問も間違えたのよ? 一問間違うたびに服を一枚ずつとって、
それでも足りなかったら、罰として一問につき一分、エッチな事をされるって約束
だったじゃない?」
「だ……だって……。千歌音ちゃんの作る問題、難しすぎるよう……。私、数学苦手
だって知ってるんだから、もっと簡単な問題にしてくれても……はぁう!?」
抗弁する間も乳首を舐め続けられる姫子は、十秒と話を続けられない。
「そ……、それに、さっきから同じところばかり……ああん!」
「ふ~ん、姫子はここは気に入らないのかしら? だったら下の方の突起ばかり責めて
あげましょうか?」
「……!! あ、あれはダメ!! あれだけはお願い、許して、千歌音ちゃん!」
姫子の顔面が思わず蒼白になる。余程千歌音の言った事をされるのを怖がっているらしい。
「フフフ……。姫子、そんなに可愛らしい表情で怖がられたら、余計にしたくなっ
ちゃうよ?」
千歌音が少し意地悪に微笑む。姫子は思わずベッドを這い上がろうとしたが、千歌音が
乗っているので簡単には逃げられない。
「そうね……。明日からは間違えるたびに『あの部分』を一分舐める事にしましょうか?
そうすれば姫子も頑張って勉強するようになるだろうし……」
「そんな……! ダメだよぉ~~……」
気弱げに姫子は内股になった。千歌音が狙っている場所、それは勿論、女の子の一番
敏感な所である。
「そ、それに千歌音ちゃん、わざと問題を難しくするつもりでしょ? 今日の問題だって
絶対今の学年じゃ習わない所だったもの」
姫子の言うとおりであった。最近、この方式で勉強会を始めた結果、姫子の学力は
どんどん向上し、千歌音の作る問題を殆ど正解するようになってしまったのだ。
おかげで千歌音が楽しみにしている罰も減り、昨日などは下着の上下を残して罰が終了
するという、千歌音にとってはもどかしい結果に終わってしまっていた。
「そうかしら? 私はちゃんと解けたけど?」
姫子の問い詰めに眉一筋動かさず、しれっと答える千歌音。
「そ、それは千歌音ちゃんはお勉強できるもん……。このお勉強会は私の苦手克服が目的
なんだから、そんなに難しい事しなくても……」
尚もおずおずと口ごたえをする姫子に千歌音が目を光らせる。
「そこまで言うのなら姫子、証拠があるんでしょうね? 私がわざと姫子を虐めるために
意地悪に難しい問題を出したって証拠が?」
「そ、そこまでは言ってないけど……。わ、私。さっき千歌音ちゃんが席を外した時に
念のために調べたの。そうしたら十問以上が来年以降に習う問題で……」
「……」
姫子の更なる追及に沈黙する千歌音。天然っぽく見えても、千歌音が愛する陽の巫女は
決してお馬鹿ではないのだ。
「だ、だから……。その……千歌音ちゃん?」
「……それがどうかしたの?」
「……え?」
「姫子の言う通りよ。私が出した問題には上級生用の問題が入ってるわ。12問ほどね」
「あ、開き直った……」
「そう……。調べたのね。私の目を盗んで……。姫子は私の事を信じていないのね?
悲しいわ……」
本当に悲しそうな表情をする千歌音だが、いくら姫子でもそれに騙されるほど千歌音に
対して盲目ではない。
「だ、だって……。本当にそうだったじゃない……」
「そんな事はちっとも重要じゃないわ。今一番大事なのは姫子が私を信じず、私に隠れて
こそこそとあら捜しをしていたと言う事なの」
「ず、ずる~~い! あら捜しじゃないよぉ~。単なる事実……」
「私、心から傷ついたわ、姫子」
姫子の言葉には答えず、窓から射す月明かりに白い裸身を曝け出し、千歌音は立ち上がった。
「そんな悪い姫子には……お仕置きが必要ね……」
千歌音はベッドを降りると、脇机の引き出しから黒く長い教鞭の様なものを取り出した。
いや、それは教鞭でなく、本物の皮で作られた鞭であった。
「人の心の痛みを知るには頭でなく体で覚えるのが効果的なの。姫子の様な分からず屋さんは特に……ね」
月明かりに照らされた千歌音の美しい微笑みに、姫子は思わず息を呑む。
それは神話の中の月の女神そのものだと言っても過言ではなかった。