「あっ…おねがっ……。やめ……。」
「本当にやめてほしいなら、本気で抵抗しなくちゃダメだよ……。」
何かに必死に耐えているような声と、赤ん坊をあやすような優しい声。
2人の少女の声が薔薇の塀で囲まれた「2人だけの秘密の場所」に響いている。
「でも、まさか千歌音ちゃんがあんなことをしているとは思わなかったなぁ……。」
艶のある黒髪の少女、姫宮千歌音を後ろからしっかりと抱きしめ、
背を木にあずけている少女、来栖川姫子はぼんやりとつぶやいた。
手は千歌音の太ももの内側をゆっくりと撫でている。時折首筋に唇を落とし、
そのたびにふるふると小さく震える千歌音の反応を楽しんでいる。
「あれは違っ……うの。」
眼に、うっすらと涙を浮かべて千歌音は消えてしまいそうな声でそう言った。
「なにが違うの?乙羽さんにあんなことされて、甘い声で鳴いていたのは誰?」
姫子は口元に妖しい笑みを浮かべて、昨夜の千歌音の痴態を思い出し、
体をゾクゾクと震わせた。まさか、あの千歌音がメイドである乙羽に一晩中、鳴かされているとは……。
寮生だった姫子は、タケノミヤカヅチや他のオロチによって破壊された
乙橘学園が復旧されるまで姫宮邸にホームステイをすることになった。
慣れない環境、いつまたオロチが襲ってくるかもわからない……。
そんな状況で広い部屋で1人で眠ることなどできなかった。
不安でなかなか寝付くことができなかった姫子は、知らず知らずのうちに隣りの千歌音の部屋に足を運んでいた。
千歌音の部屋の扉の前まで来たとき、姫子はあることに気が付いた。
(……千歌音ちゃんの声?)
その声は痛みを必死に耐えているような、嗚咽を堪えているような、そんな声に近かった。
(千歌音ちゃん、泣いているの……?)
もしかしたら、知らず知らずのうちに千歌音のことを傷つけてしまっていたのかもしれない。
だとしたら、謝らなければいけない。
そうでなくてもあの千歌音が泣いているのだ、なにかあったに違いない。
そう思った姫子はゆっくりと扉を開く。そして、姫子は目の前の光景に思わず目を疑った。
月明かりに照らされたベッドの上では、乙羽が千歌音の秘所に顔を埋め、
一方の千歌音は大粒の涙をこぼしながらも、抵抗するような素振りはなく甘い声で鳴いているのだ。
姫子はその光景から目を離すことができず、なにかに引きつけられるようにじっ、と見入っていた。
扉の隙間から、千歌音と乙羽に気配を感じ取られないように……。
短い時間だったのか、それともとてつもなく長い時間だったのか……。
千歌音の秘所から聞こえる水音が大きくなったと思うと、今までシーツを握っていた手を離し、
乙羽の頭に回し自らの秘所に押しつけるようにした千歌音は一際大きな喘ぎを漏らした。
それはまるで、千歌音自身が無意識のうちに乙羽から与えられる快楽を逃すまい、としているように見えた。
「乙羽さん、もっ……私、ああああっ!」
ベッドに横たわっていた千歌音の背が仰け反ったと思うと、糸の切れた人形のように動かなくなった。
千歌音が達した後も乙羽は秘所に顔を埋め、音をたてなめあげていた。
その光景を黙って見ていた姫子は、ゆっくりと音を立てないように扉を閉めると
自分に充てられていた部屋へと戻っていった。
「ふふ……千歌音ちゃん。私ね、昨日ずーっと見てたんだよ。」
我慢できなくなったのか、姫子は千歌音の大きな胸を制服の上から揉み始めた。
「あっ……姫子、やめっ……。」
千歌音は漏れてくる喘ぎを堪えながら懇願するが、姫子は止めようとするどころかより一層、強く揉みほぐす。
「千歌音ちゃんは、乙羽さんにしてもらうのがいいの?」
千歌音の耳に熱をもった吐息をふぅ、と吹きかけ太ももに這わせていた手を焦らすようにゆっくりと、
しかし確実に千歌音の秘所へと伸ばしていく。
「やあっ……違うの。そういう意味じゃ……あぁっ!」
言い訳なんて聞きたくない、と言わんばかりに姫子は長い髪から覗く首筋に吸い付いた。
「姫子、そんなに強く吸われたら跡が残ってしまうわ……。」
千歌音の言葉は熱を帯び、言葉では拒絶しつつも体は姫子に完全に委ねている。
「別にいいよ。跡をつけるためにやっているんだもん。」
そう言って、姫子は再び首筋を吸う。そして、ゆっくりと伸ばしていた手はとうとう目的地にたどり着き、
千歌音の秘所の核を擦り上げた。
「ひゃうっ!?」
いきなり強い快楽を与えられ、たまらず千歌音は大きな声を上げてしまう。
「あんまり大きな声を出すと、誰かに見られちゃうかもしれないよ?」
実際はもう、日も暮れこんな時間に生徒などいるはずもないのだが
千歌音にはそんなことを考えている余裕などない、耳まで真っ赤にしながら必死に喘ぎを漏らすまい、と耐えている。
「千歌音ちゃん、すごいよ。もう、こんなに濡れて……。」
姫子はそんな千歌音に加虐心を掻き立てられ、秘所に指を埋めた。
「あっ……んくっ……。」
責めたてられている千歌音は、ここからでは見えない「誰か」に気づかれるのをおそれてか、
必死に声を殺していた。
そんな千歌音を達しさせようと、姫子は指を激しく動かし始める。
秘所から聞こえてくる水音は大きくなり、それに比例するように千歌音の口から漏れる喘ぎも大きくなっていく。
「やっ、ああっ!姫子、もっとあなたを……んああっ!」
姫子は、胸に這わせていた手で千歌音の顔を自分の顔に近づけ唇を重ね合わせた。
喘ぎを漏らすために半開きになっていた千歌音の唇に舌を差し込み口内まで犯す。
「ふっ……うう……。」
お互いの舌を絡ませようとすると、千歌音はビクリと身を震わせた。
が、しばらくすると、自分から積極的に舌を絡ませてきた。
その間にも、姫子の手の動きは止んではおらず千歌音を責め立てていた。
「んっ……ぅんんんっ!!」
千歌音の喘ぎが一段と大きくなると、姫子に体をあずけたままグッタリとしている。
「は……。」
重ね合わせていた唇を離すと、姫子は千歌音の異変に気がつき声をかける。
「千歌音ちゃん……?」
返事はない。が、その代わり小さな寝息が聞こえる。すぅすぅ、と安らかな寝息をたて千歌音は眠ってしまっていた。
「ごめんね、千歌音ちゃん……。」
返答は求めていない。だが、大切な人にこんなことをした。胸の中で渦巻く罪悪感をはき出してしまいたかった。
なぜこんな事をしたのか。ただ一瞬でいいから千歌音が、
姫子のことだけしか考えられないようにしてしまいたかった。ただ、その一瞬のために……。
「私、最低だね。」
こみ上げてきた涙をこぼすまい、と姫子は空を見上げた。
黒に染まった空には満点の星と大きな輝きを放つ月。
ふと、そんな空が自分と千歌音のようだ、と姫子は思い自嘲的に笑った。
気高く、それでいて闇を照らす輝きを持った月は千歌音。
そしてその周り、月にはとうてい敵わない小さな輝きを懸命に放つ星の1つが姫子。
一際、大きな輝きを放つ千歌音にはたくさんの人が集まる。この月と同じように。自分はその中の1人にすぎない。
姫子はそう思ったのだ。
しかし。
「千歌音ちゃん、私は……。」
空に浮かぶ月、ただそれだけを見つめる少女の頬に一筋の涙がつたう。
「私は、あなたのお日様になりたいよ……。」