姫子を押し倒し、そのままキスしようとしていたときだった
「!?」
はっとした私は慌てて起き上がった
いまのはなにかしら!?私の欲望?願望?
「千歌音ちゃん・・・・・・」
姫子がベッドからこちらを見上げていた
「ご、ごめんなさい」
「それが千歌音ちゃんのしたいことでしょ?」
「ち、違うわ・・・姫子、今日はもう・・・ね、寝ましょう」
ベッドの中に入り静かに眠りにつこうとした千歌音だが
同じくベッドに入ってきた姫子に揺さぶられる
「千歌音ちゃん、起きて」
「姫子、もうやめて頂戴」
一度ベッドを降り、ネグリジェを掴もうとした千歌音の手を姫子が握った
そのまま押し倒される
「ひ、姫子・・・」
「千歌音ちゃん、好きだよ・・・」
これは姫子の欲望!?そう感じていたときには唇を奪われていた
「んん・・・・・・」
「はあ・・・・・すう・・・・・あう・・・・ちゅるるる・・・!」
(な・・・・!こ・・・・この味は・・・・!!)
それの欲望に・・・・・いえ願望に・・・・・・
いや違う、誘惑に勝てずに・・・・・・私は何度も嘗め回す
「はあ・・・・・はあ・・・・・・・・・・・・姫子」
来栖川姫子からしてみれば生まれて初めて体を許した相手もファーストキスの相手も姫宮千歌音・・・
優越感に少し浸った、そう・・・まるで姫子を自分のものに出来たような気がして
いえ、まるでじゃないわ・・・私のものになったのよ姫子は・・・・・!!
姫子のアソコを舐めるたびに快感を覚えた
「好き・・・・・好きよ姫子」
無意識のうちに口から零れる愛の言葉が姫子の体全体を熱くした
しかし心には響いて届くものの表向きには感じることはない
放心状態の姫子を見上げた千歌音はつい姫子の唇が欲しくなった
(柔らかい上に甘い貴女の唇・・・キスすると薔薇のように甘い吐息をくれる貴女の唇が・・・欲しいの)
状態を上げた千歌音は姫子の唇に顔を近づけ・・・一瞬の迷いもなく食いつくように自分の唇を重ねた
舌を入れるつもりはない・・・普通のキスを味わいたい、その一心でキスをした
「んん・・・」
姫子が目を明けこちらを見上げている
抵抗したり嫌がる素振りはない
でも背中に手を廻したりすることもなく唇を自分から押し付けてくることもない
されるがままが楽だということか・・・
それともただ呆然としているだけか・・・?
私は少し微笑んだ
(ふふ・・・どうしたのかしらね)
私は姫子の表情を確認すると再び小さく笑みを浮かべ・・・静かに瞳を閉じると・・・唇を動かす
それにしてもなんという甘さ・・・これが姫子の唇・・・
千歌音が欲しくなるのも無理はない
(ああ・・・・甘いわ・・・・とても甘くて美味しいわよ・・・・・姫子)
両手でがっちり姫子の体全体を固めて身動き取れなくするとじっくりとキスをした
長いキス・・・それも姫子を押し倒した状態での強引気味の過激さだ・・・
でも口内の舌をいれたりはせず普通のキスを千歌音は放心状態の姫子と交わしていた
「ふふ・・・好かれるだなんて・・・想われるの間違いじゃないかしら・・・」
微笑みながら私はそう告げた
笑みを消すと静かに姫子に問う
「姫子、いいのかしら?私・・・女よ・・・」
姫子が表情を変えずに静かに肯く
「ほんとにいいの?女の子同士なのに・・・」
「千歌音ちゃんが言ったんでしょ、私のこと好きだって」
(そうね、それはそうだけれど・・・)
姫子は自分がいま全裸状態であることに気付くと千歌音に抱きついた
「ひ、姫子!?」
「私・・・千歌音ちゃんが好き、ほんとに心から好き・・・」
「姫子ありが!?・・・・んん・・・」
千歌音の言葉を遮るように姫子からのキスが襲い掛かる
姫子からの突然のキスに一瞬驚き目を大きく明けた千歌音だが
落ち着き・・・静かに目を閉じる・・・
そのまま二人は抱き締め合いベッドの中に転がって行く
ベッド上で姫子に覆いかぶさりながら熱いキスを交わす
もうこれは無理矢理気味ではない、お互いの意思が通った上での行為だ
遠慮することはない
そう、なにも・・・・・遠慮することなどないのだ!!!
「あ・・・・・・・・!」
両胸を揉まれ姫子が悲鳴を上げる
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
そして顔を移動し・・・アソコまで到着する
遠慮なく嘗め回し堪能する・・・・・・・
「ああっ!・・・」
姫子が叫びを上げるが行為を続けようとしていたところ・・・
私はふと顔を上げた
「姫子・・・下着着けて?」
「え・・・・・?」
千歌音が小さく息をつくと黒い長髪を掻き揚げながら告げた
「そうね・・・全裸も少し飽きたわ、下着つけたほうがムードあるわよ・・・それに私達まだ高校生だもの・・・」
無言でお互いの下着を着け始める
ブラを着け終えた千歌音が先に口を開いた
「姫子・・・・・・寒くない?もし冷えるのなら・・・私の服をお貸しするわ」
もう結構長い時間姫子は全裸でいたのだ、体を気遣った
「ううん、私寒くなんかないよ・・・ありがとう」
姫子が微笑みそう告げた
「そう、ならいいのだけれど」
(姫子・・・私は貴女がいつも心配なのよ・・・)
パジャマとネグリジェをお互い着終えるとベッド上で再び抱き合った
「好き、好きよ・・・・・・姫子」
「私もだよ・・・私も・・・千歌音ちゃんが好き・・・・!!」
お互い愛の言葉を囁きながらお互いの首筋を舐め合う
もはや言うことはないだろう、これは親友同士の馴れ合いではない
もう恋人同士のごく普通の行為なのだから
恋人同士はキスをするのは当たり前
いまの二人に女同士などという言葉はもはや通用しない
お互い相手のことが好きなのだから当然だろう
姫子がなぜ千歌音を今夜あそこまで誘惑して襲ったのか
その目的は千歌音の気持ちを確かめたかい一心での行動だったのだ
あのファーストキスがなんだったのか、姫子はそれだけが気がかりだったのだろう
姫子をベッドに押し倒した千歌音の長いキスが始まった
今度は違和感はない、お互い服も着ている
(これは夢かしら・・・姫子と同意の上でキスしている)
あのファーストキスとは意味合いが全然違う
「ん・・・・・」
怖かった、私・・・ずっと恐れていた、姫子に嫌われたくなくて・・・
姫子に好きだって言う勇気がなくて・・・
私は姫子が思ってくれるような女じゃない、臆病で・・・
私も姫子と同じ女の子だから、一生叶うことのない、儚い想いなんだってずっとそう思ってた
姫子の好きと私の好きは違う、姫子の好きは友達としての好き
でも私の好きは女として貴女が・・・だからそれが苦しかった・・・
でも姫子のいまの好きは私と同じ好き・・・もう苦しむ必要はないわ・・・
「ん・・・」
随分長いキス、感じる・・・姫子の唇の感触の余韻に酔いしれる
長い・・・でも舌を入れるディープではない・・・ごく普通のキス・・・
蜜のような甘い吐息をくれる姫子の唇・・・私はいまそれを味わっている
幸せの絶頂にいた・・・・・・!!!
「!?」
背中に手の感触がある・・・
姫子は無意識のうち千歌音の背中に手を廻していた
そのまま一度唇を解放すると姫子の首筋に軽く唇を寄せ・・・
姫子のパジャマの中に右手を進入させるとそのまま胸元まで移動させた
抱き合い、勢いそのままに姫子のパジャマの中に手を入れた千歌音
下着そのままに軽く・・・いや、優しく揉み始めた
「や!?ち、千歌音ちゃん・・・」
キスは喜んで受け入れた姫子も、突然胸を揉まれ驚きの声を上げる
胸元に手を入れ千歌音の手を胸から引き離そうとする・・・
しかし千歌音のスラリと伸びた細長い指はびくりとも動かない
幼少の頃からピアノで鍛えてきた千歌音の指は細長くスラリと伸びており堅い、その上千歌音は力が強い
非力な姫子の力ではどうにもならなかった
姫子の軽い抵抗や悲鳴にもやめることはなく・・・いや千歌音の行動はますますエスカレートしていた
むにゅむにゅと・・・強く手の平全体で姫子の胸を揉み始めた
「はあ・・・はあ・・・好きよ・・・・・・姫子」
興奮がおさまらない千歌音は何度も無意識の内に姫子に対して愛の言葉を囁きかける
「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・あ・・・ん」
胸を強く揉まれ姫子は甘い声を上げる
「はあ・・・・・・好き・・・好き・・・好きよ・・・・姫子」
姫子は千歌音のいい意味での本性を見た気がした
こんなにまでも千歌音は自分のことを想ってくれているのだ・・・
あの学園のアイドルの宮様がだ・・・・・・・!!
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群という文句のつけようのない学園皆の憧れの対象・・・
だが姫子に対しては本性を曝け出している
「や・・・・・っ!・・・・・い・・・・・いく・・・・!ふぁ!?・・・あ・・・あん」
何度も胸を強く揉まれ姫子は興奮がおさまらなかった
千歌音の長い指が姫子の胸に容赦なく絡みつく
姫子自身も今夜は信じられない自分の行動に絶句していた
恋愛にはまったく鈍感な来栖川姫子・・・その自分が千歌音の真意を確かめるためとはいえ・・・
(お芝居のつもりだったけど・・・私から千歌音ちゃんにキスしちゃった)
そう・・・今夜姫子は千歌音を誘惑し強引に唇を奪った・・・
いくら千歌音の唇が柔らかくて美味しいからって・・・自分でもびっくりした・・・
でもいまは立場は逆・・・千歌音の抱かれている・・・
「あ・・・・・ああ・・・・・ち・・・ちか・・・」
千歌音から強く胸を揉まれ快感を覚えはじめた
強く揉んでいた手を千歌音は少し緩むと・・・優しく揉み始めた
「!?ん・・・・ああ・・・・・・・き・・・い・・・・い・・・よ」
気持ちいいと言うつもりだったが声にならない
興奮がおさまらないのだ
数分前、全裸で抱き合っていたのが嘘のように緊張する
体全体が固まり動けなくなる
なによりあの宮様にベッド上で覆いかぶさられ正面から胸元に手を入れられ胸を揉まれているのだ
されに首筋を嘗め回されている、千歌音の顔が間近で・・・興奮がおさまらない
千歌音の顔をまともに見ることが出来ないでいた
普段は取り巻きに囲まれ遠くから見ることしかできない千歌音に・・・
いま皆の憧れの的を独り占めにしている・・・いやされているの間違いなのかもしれないが・・・
千歌音の細長い指が姫子の胸に絡みつき何度も悲鳴を上げる
「ああ・・・・・・」
これは・・・夢じゃないよね・・・千歌音ちゃんと私が・・・
ふと千歌音が胸から手を離し首筋から顔を上げると姫子の髪に手をやる
「姫子・・・」
横を向いて直視できないでいる姫子の顎を優しく両手で掴むとこちらを向かせる
「んっ・・・」そして・・・ふいに塞がれた唇・・・
千歌音の甘くて柔らかい唇と優しい薔薇のような甘い吐息が姫子の体全体に広がった
(ああ・・・・・・・・!!こ、こんなにキスって感動するものなのかな・・・?)
まるで姫子は初めてキスしたような感覚に陥った
「そうね・・・と思ったけれど・・・今日はやめておくわ」
「千歌音ちゃん?」
私の上体を起こした千歌音ちゃんが微笑みかけてくる
「私はキスだけで充分よ、もうこんなことはやめましょう」
「え?」
「ごめんなさいね姫子・・・私、貴女が好きだからって欲望に負けてあんなこと・・・」
「ううん、いいの・・・最初に千歌音ちゃんを誘ったのは私だから・・・それに千歌音ちゃんの気持ちを確かめるためとはいえあんなこと・・・ごめんね千歌音ちゃん」
ベッドに腰掛け目を落としながら謝る姫子の髪に千歌音は優しく手で撫でた
「謝るのは私のほうだわ・・・乱暴なことして・・・ごめんなさいね」
引きちぎられたパジャマを見て言う
「ううん・・・いいの」
「なら・・・キスしてもいいかしら?」
そういってこちらを向いた千歌音ちゃんは綺麗だった・・・ほんとに・・・
いつも綺麗だけどいまの千歌音ちゃんはほんとに輝いている
千歌音ちゃんの顔が近づいてくる・・・
私は・・・千歌音ちゃんが好き・・・千歌音ちゃんの唇が欲しい・・・
2人は無言で唇を交わした・・・
「姫子・・・姫子・・・?おきて頂戴、朝よ・・・」
「あ・・・」
部屋の窓際から日差しが飛び出している
(あれ・・・じゃあ・・・昨日あのまま私・・・千歌音ちゃんと・・・)
朝の挨拶を交わす
「千歌音ちゃん、よく状況よめないけど・・・あのあとどうなったの?」
「さあ・・・どうかしらね」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら千歌音ちゃんがこちらを見下ろしている
最後にキスしたあと記憶がない・・・そのまま寝たのかな?
それとも・・・千歌音に抱かれたのかな・・・?
どちらにしてもいまは姫宮千歌音が好きだということだけは確か
姫子は自分の気持ちに嘘をつきたくなかった、それに昨日は親友の千歌音の体を捧げたのだ・・・
ああ・・・千歌音ちゃん
「着替えてくるわ、姫子も来て・・・」
あ・・・制服に着替えないと・・・でもその前に・・・乙羽さんを呼びに行こうと部屋を出ようとした千歌音の駆け寄り声をかけた
「千歌音ちゃん待って」
「!?・・・なにかしら」
「千歌音ちゃん好き・・・」
振り向いた千歌音の唇に姫子の唇が重なった
「んん・・・ちょっ!や、やめて姫子・・・まだ朝よ・・・」
姫子を慌てて突き放す
「え?だって・・・私、千歌音ちゃんのことが好きなんだもん・・・キスしよう?」
「ひ、姫子・・・」
戸惑う千歌音に今度は強引にキスした、その時・・・ドアが開く
「お嬢様おはようございま・・・・・・!?」
入ってきた如月乙羽は目の前の光景に絶句した「も、申し訳ありません!し、失礼致します!!」
「ああ・・・嘘・・・嘘だわ、そうよ夢よ夢・・・お嬢様と小娘が・・・」
お経を唱えるように声を吐き出しながら去っていく乙羽を見て姫子と千歌音は見合わせ絶句したあと・・・お互い噴き出した
END