宮城急行電鉄(みやぎきゅうこうでんてつ)は、宮城県を中心に鉄道、バス事業を展開する名鉄グループの鉄道・バス事業者である。宮城県内の宮急線を中心とした鉄道・バス輸送のほか中・長距離の高速バスも運行している。
準大手私鉄に分類されるが、準大手私鉄各社のうち路線長は118.2kmと最も長く大手私鉄に匹敵する路線長を持ち、関連会社合わせて東北地方の私鉄・民営バス会社では最大規模である。
なお、
関東鉄道も同社に出資している。
会社概要
| 社名 |
宮城急行電鉄株式会社 Miyagi Express Electric Railway Co.,Ltd. |
| 種類 |
株式会社 |
| 設立 |
1922(大正11)年9月9日 (宮城電気鉄道株式会社として) |
| 略称 |
宮急、ミヤキュー、MER |
| 郵便番号 |
〒981-3201 |
| 本社所在地 |
宮城県仙台市泉区泉ヶ丘3-13-20 |
| 代表者 |
代表取締役社長 青沼xx |
| 業種 |
陸運業 |
| 事業内容 |
鉄道による一般運輸事業ならびに乗合バス、 貸切バス事業 |
| 資本金 |
3億5000万円 |
| 売上高 |
83億6300万円 |
| 従業員数 |
1086名 |
| 主要株主 |
名古屋鉄道 18.5%
|
| 外部リンク |
http://www.miyakyu.co.jp/ |
概要
宮城県を中心に鉄道・バス輸送を行う私鉄で、名鉄グループの一社であり、宮城県で交通事業を中心にいくつかの事業を行う宮急グループの中核企業を形成する。県内全域にて旅客鉄道事業を行う事業者であり、路線長は118.2kmと地方私鉄では有数の路線網を形成している。
かつてはバス事業も県内全域で行い県北部にも鉄道路線網を展開していたが、1970年代より県北部の路線は廃止や分社化が進み、またバス事業も後に地域ごとに分社化され、現在は仙台都市圏での鉄道事業とバス事業、加えて高速バスを中心に営業している。
また、同社には筆頭株主の名古屋鉄道の他、関東鉄道、東急、福島交通、山形交通なども出資しており、名鉄グループとは別に関連バス会社とともに宮急グループを形成し独自のロゴマークも導入しているため、グループ内では比較的独立性の強い企業となっている。
なお、宮急本体では鉄道と近郊・高速バスのほかに関連事業として蔵王ハイライン(有料道路)の管理を行っている。
歴史
宮城電気鉄道と仙南急行鉄道
宮急の前身となった会社は数社あるが、取り分け中心といえるのは、宮城電気鉄道と仙南急行鉄道である。
宮急は法人としては宮城電気鉄道、路線としては仙南急行鉄道のものを継承しているため、両者の関係は相鉄における相模鉄道と神中鉄道の関係と似たようなものと言える。
宮城電気鉄道は1922年、余剰電力の消費を目的に高田商会の資本のもと設立された。
創立から3年後の1925年には仙台から西塩釜までの区間を開業させたのち、1928年、石巻まで現在のJR仙石線にあたる区間の全線を開業。その後、途中の主要な景勝地である松島を通る路面電車「松島電車」を傘下に入れた。
法人格としては、この宮城電気鉄道を継承するのが宮城急行電鉄となっている。
一方、仙南急行鉄道は、1919年にやはり電力出費と地域開発を目的に東京の資本家を中心として設立された。
1920年1月より関係官庁から許可が降りた電気事業のみの事業者として営業を開始。本線開業前の1922年3月には救済措置という面も含めて、既に経営不振に陥っていた仙南温泉軌道を買収し鉄軌道事業を開始。1922年5月1日に自社で敷設した白石 - 長町間の鉄道を開業させた。
その後、1936年2月に同社は長町駅 - 新仙台駅間を開業させて悲願の仙台都心乗り入れを果たした。同社が敷設した路線が今の宮急の幹線級路線に当たる仙台本線の母体となっている。
宮急の発足と戦時中の宮急
1943年4月1日、陸上交通事業調整法に基づき宮城電気鉄道が仙南急行鉄道、秋保電気鉄道、仙台鉄道の3社を合併し宮城急行電鉄が発足した。発足時点での同社路線は現在のJR仙石線にあたる本線(宮急仙台 - 宮急石巻)・臨港線(宮急山下 - 釜)、現在の仙台本線南部にあたる仙南線(旧仙南急行鉄道本線、白石 - 新仙台、45.2km)現在の仙台本線北部の一部にあたる仙北線(旧仙台鉄道線、北仙台 - 西古川、43.9km)、遠刈田線、秋保線、閖上線(1948年廃止、高舘 - 閖上、8.7km)、松島線(休止中、3.8km)の6路線193.2kmであり、傘下に仙北鉄道、古川交通、塩釜交通の三社を有していた。また、合併後すぐ、空襲などで東北本線が不通になった際宮急の路線が迂回路としての使用できるという軍部の意向もあり、宮急仙台〜東照宮間の地下線と西古川〜築館間の工事も開始された。この間宮急のルーツである宮城本線が戦時買収私鉄に指定されて国有化された一方で仙北鉄道が宮急に編入されるといった変化があった。
大戦末期になると長町〜東照宮の地下線が運輸通信省に接収され空襲に備えて国鉄の車両避難所として使用された。
戦後
1945年8月に終戦を迎えると、地下線の接収も解除され1945年11月より営業を再開した。
また1948年から戦後復興の象徴として特別車両による特急列車の運行を開始。当時特急は自由着席制とされたため無料であり、当初は宮急仙台〜白石間に限られていたものも運賃だけで快適な車両に乗れると好評だったためのちに全線へ延長された。
路線
4路線、計118.2kmの路線を保有している。
現有路線
- 仙台本線 白石 - 西古川、69.8km
- 遠刈田線 宮急大河原 - 遠刈田温泉、24.4km
- 秋保線 南長町 - 秋保温泉、14.9km
- 空港線 高舘 - 仙台空港、第二種鉄道事業者(所有者は仙台空港鉄道)、9.1km
譲渡路線
- 宮急本線(宮急仙台 - 宮急石巻、50.5km) - 1944年5月1日国有化。現在のJR仙石線
- 宮急臨港線(宮急山下 - 釜、1.8km)- 同上
- 宮急栗原線 石越 - 細倉(後の細倉マインパーク前駅)、25.7km - 赤字路線かつ他の宮急線と離れているため1972年に栗原電鉄として分社化し譲渡、第三セクターくりはら田園鉄道を経て2008年廃止
廃止路線
- 宮急閖上線 名取 - 閖上
- 宮急松島線(松島駅前 - 松島海岸、3.8km) - 戦後復旧することなくバス転換された。
- 宮急登米線 築館 - 登米、41.2km - 1970年廃止
車両
近年は独自に発注した車両も存在する。
現有車両
車内設備
通勤型はロングシートを基本に車内端部にクロスシートを配置、近郊型はボックスクロスシートに加え列車便所が設けられている。
近年は、鉄道、バスの一般車両車内にau Wi-if SPOTが配置されるようになったほか2016年4月からは駅、待合所、特急車両などで自社の公衆無線LANサービス「Miyakyu Free Wi-fi」が開始された。
運賃
距離程のkm小数点以下は切り上げ小児運賃は半額(小数点以下切り上げ)
| 距離(km) |
運賃(円) |
| 1ー3 |
150 |
| 4ー7 |
180 |
| 8ー10 |
210 |
| 11ー15 |
240 |
| 16ー20 |
300 |
| 21ー25 |
380 |
| 26ー30 |
460 |
| 31ー35 |
530 |
| 36ー40 |
590 |
| 41ー45 |
670 |
| 46ー50 |
730 |
| 51ー60 |
810 |
| 61ー70 |
960 |
| 71ー |
1110 |
特別企画乗車券
宮急線全線が一日中乗り降り自由。
大人 1600円/小人 800円
特急について
宮急の特急は、原則乗車時に着席指定券を要する全席指定制で専用の車両が使用されるため、有料特急であると勘違いされやすいが、飽くまで全席指定の普通列車の扱いであり特急券を必要とする有料特急列車ではなく、多客時に臨時列車として設定されている自由席付運用では自由席に限り乗車券のみで乗車することも可能である。
要するに、親会社である名鉄における全車特別車特急に当たる運用が基本的に取られているのだが、特別車の言い回しは用いられず指定席・自由席の用語が用いられている。
なお、着席指定券の料金は乗車距離が50km未満の場合大人480円・小児240円、50km以上の場合大人620円・小児310円となる。
停車駅
白石 - 宮急大河原 - 槻木 - 高舘 - 長町 - 宮急仙台 - 東照宮 - 八乙女 - 陸前大沢 - 西古川
長町 - 磊々峡 - 秋保温泉
宮急大河原 - 村田 - 円田 - 遠刈田温泉
ICカード
宮急では仙台市交通局と共にICカードとして「icsca」を発行している。
宮急とJR線の乗り継ぎ円滑化のため、Suica仙台エリア限定でSuica・PASMOとの相互利用も行われている。
関連会社
このうち連結子会社の各社を宮急グループとしている。
連結子会社
- ミヤキューバス - 宮急より分社された地方でのバス事業者
- ミヤキューストア - 宮急線の主要駅や住宅街が近い駅の駅前にスーパーマーケットを展開
- 宮急観光サービス
- 宮急松島汽船
- 宮急自動車整備
- 宮急自動車学校
持分法適用関連会社
- 東日本急行(株式保有率33.3%)
- 三陸貨物(株式保有率20.0%)
- たいはっくる(株式保有率25.0%)
関連項目
最終更新:2025年09月20日 16:14