…お前たちが、新しく看守になる人間?
俺は、
センティ。主に作られた、エリア6の看守。
(ざわつく新人看守たち、を無視して説明を続ける)
お前たちは、看守になった。
けど、所属はまだ決まっていない。
…ここには、エリア1からエリア8まであるって、聞いた?
今から、各エリアを順番に回って、エリアごとの説明をする。
そのあと、さっき配った紙に、どのエリアに配属希望か書いて、提出。
必ずしも希望通りの配属になるとは限らない。それだけは覚えておいてほしい。
じゃあ、早く出発する。
***
ここが、エリア1。
ここは…ある意味、この刑務所の手本のエリア。
囚人に人権が一番ないのが、ここ。
だから…
\グシャッ/
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!」
「いやあああああああああああああああああああ!!!!?」
「ひゃははははははははははは!!!!」
………ああやって、気まぐれに檻の鍵を外して、逃げた囚人を殺す。
そういう、ゲーム。
(新人看守の何人かは青白くなるが、それを無視して説明を続ける)
ここの看守長は、シギ。さっき囚人殺してたやつ。
エリア1は、看守も弱肉強食。弱い者が強い者に搾取される。
シギに勝てる自信があるなら、入ってもいいと思う。
じゃあ次。……え、悲鳴をあげてた女の人は放っておいていいのかって?
うん。いつものことだし。 「Σセンティくんひどい!?」
ここは、エリア2。
エリア1よりは、まあまあ普通。
「あれ~、センティじゃな~い。お仕事~?」
…うん。エリアの、説明中。
「そっかそっか~。みんな~、おれはここの看守長の
アサトっていうの~。よろしくね~」
(じゃ~ね~、とぽえぽえしながら去っていくアサトを見送ってから)
…さっき言われたように、あいつがここの看守長。アサト。
あんなんだけど、強い。足も速いから、普通の人間はまず逃げ切れないよ。
要注意人物は、アルベールって白黒頭。「
フォリー」って呼ばれてる。
こいつ、ニホンジンってのが嫌いだから。お前らの中にニホンジンはいる?いるなら、注意すること。
手を変え品を変えあの手この手でいじめるから。
あと、エリア2の特徴として、「昼寝の時間」ってのがある。
お昼のあと、一時間くらい看守も囚人も寝なくちゃいけない。
寝ないで遊んでると、無理矢理寝かせられるから。そこも注意点。
じゃあ、次いく。
ここが、エリア3。
ここの看守長は…
……また?本当、よく飽きない。
「センティ殿、チェルメイシュ殿を知らないか?」
知らない。
「そう…いや、知らないならいいんだ。仕事中にすまない。…それじゃ」
(去っていく後姿を見つめてから)
………今のは、エリア3の副看守長の、リアン。
探されてたのは、看守長のチェルメイシュ。…女に人気。
…そのぐらい。
…あ、チェルメイシュ関連で何かあったら、さっきのエリアのアサトを呼ぶと、大体解決する。
さくさくいく。次。
ここが、エリア4。
ここの看守長は、
スズミ。
ルールを守らないと、バラバラにされるから、注意。
「………何か、用」
スズミ、いないの。
「…看守長と、副看守長、いない。…資料、探しに行った」
そう。
…こいつ、ここの看守。チヨ。
何でも聞こえる。
「……………」(さっと隠れる)
エリア4は、暴れたり、壊したり、少ない。
スズミが怒るとしばき倒されるけど、ルールさえ守れば、何もない。
厳しいけど、楽。
じゃあ次………あ、お昼。
お昼休みだから、いったん休憩。
さっきの会議室戻って、昼食と休憩。
午後から、エリア5~8の説明だから。
勝手に出歩いてもいいけど、何かあっても知らないから。自己責任。
昼休憩終了
…お昼休み、終わり。
じゃあ、残りのエリアを順番に見ていく。
……え。お昼吐いた人いるの。
どこで?トイレ?
清掃班の仕事、増やさないでよ。
あそこの
アイリって奴、俺も水洗いするんだもん。
関わりたくない。
じゃあ、行くよ。
***
ここが、エリア5。
ここは……特に話すことない。普通。
強いて挙げれば、看守長が変。
「ちょっと、それどういうことよ」
あ、いたの。
「さっきからいたわよ!」
この人、ここの看守長。クジョー。
男なのに女なんだって。変。
「無視すんな!あとその誤解招きかねない説明やめい!!せめてオネエって言ってちょうだいよ!」
……人間って、複雑怪奇。
「アタシにはアンタのほうが複雑怪奇よ…」
……うん、まあ、大体いつもこんな感じ。
じゃあ、次行く。
「あら、もう行っちゃうの。新人クン達ー、エリア5に来るなら歓迎するわよー♪」
……やっぱり変。
ここはエリア6。俺の仕事場。
ここの看守長は
ダニエラって人だけど…今はいない。大体いない。
ウンエイトウカツブガイコウカンヤクってので、外で仕事してるんだってさ。
だから、ここは普段、副看守長の
ユーベルって人が仕切ってる。
(きょろきょろとあたりを見回して)
……今はユーベルもいないみたい。
行き場所は大体分かってる。エリア回ってれば、そのうち会う。
話せる状態にあるかどうかは不明だけど。
じゃあ次。
ここは、エリア7。
ここは…………分からない。
俺も、あんまり来たことないから。
ああ、でも……………
ジンキ!
(廊下に通る大声で呼ぶと、2メートルはあろうか大男がやってくる)
「…俺に、何か用か?」
説明のサンプル用。
こいつ、エリア7の看守。ジンキ。
こいつには手を出しちゃ駄目。ダニエラのお気に入りだから。
ダニエラにも手を出しちゃ駄目。ジンキのお気に入りだから。
片方に手を出したら即座に片方から“だった物体”にされるから。要注意。最重要事項。
「…いや、俺はそこまで非道なことは………ああでも、ダニエラにもしものことがあったら、やっぱりそれは……」
……こうなると長いから。
とっとと次行く。次で最後。
(うんうん唸ってる男を放って、とっとと歩き出した)
最後はエリア8。
真面目なのと真面目じゃないのが混ざってるエリア。
看守長の
ペドロは真面目じゃない代表、副看守長の
イスカは真面目代ひょ―
「粛清ぇぇぇぇぇいっ!!!!!!!!!!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」
……あ、見つけた。
「……ん、センティ殿か。…シルヴァ看守長なら喫煙に行っているため不在だが…」
ペドロに用はない。エリアの説明と、あと……ユーベルの回収。
「…そうか。すまないな、いつも迷惑をかける」
ユーベルの自業自得。無問題。
ついでに説明しとく。
これ(電撃を喰らってのびてるユーベルを指して)が、エリア6の副看守長。ユーベル。
変態だから気をつけて。
「…センティ殿。仮にも貴方の上司なのだから、もう少し敬意を払ったら…」
やだ。
「………そうか(深いため息)」
うん。
「…エリアごとの説明と言っていたが、他のエリアは回ったのか?」
うん。ここで最後。
「そうか。なら速やかに戻り、必要書類の記入を済ませてもらいなさい」
分かった。じゃあ、戻る。
「ああ。私は仕事があるので、これで」
(一礼をして去っていく後姿を見ながら)
…イスカは、スズミと同じくらい厳しいけど、厳しいのと同じくらい、優しい。
エリア8の看守も、それを分かってる。
でも、生きていたければイスカにも手は出さないほうがいい。
ユーベルが尋常じゃないくらい怒るから。
俺の説明はこれで終わり。
この後は、会議室に戻って、希望するエリアを書いて提出。
なかなか決まらないなら、おまかせって書いておけばいい。
ぴったりなエリアを見繕ってくれるはずだから。
じゃあ、俺はユーベルの処理しないといけないから。
最終更新:2013年03月26日 23:35