Ⅰ.解放的ナショナリズム (パトリオティズム) |
→ | Ⅱ.国民国家の成立 |
→ | Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズム (ジンゴイズム/ショーヴィニズム) | |
主に他国や他民族の抑圧に対して、①国家・国民形成を図りつつ、②政治的あるいは経済的自決(民族自決)を求める動き ※政治的・経済的自決を求めることから、この段階のナショナリズムは自由主義と親和的である。 |
→ | 国家の要請に適った国民を育成するために、①統一的・画一的な国民教育の実施、②歴史・文化の共有化、③「伝統の創造」(※)といった公定ナショナリズムとでも言うべき諸政策が政府主導で実施される。 ※英歴史学者ホブズボームの用語で、正統性に問題のある新興国家の政府が行いがちな一種のご都合主義的な「伝統」価値の捏造 |
→ | 増大していく大衆の自尊感情の現れとしてのナショナリズム(大衆の自己崇拝、ナショナリズムの市民宗教化)。 Ⅱ.の公定(=官製)ナショナリズムの結果、政府当局のコントロールが効かない状態にまで大衆の自尊感情が昂進してしまった状態。 | |
少数エリ-トの自覚的な活動(市民型ナショナリズムcivic nationalism)として始まり、次第に参加者を拡大していく | → | 国民の政治参加の意欲が高まる結果、大衆デモクラシーが成立するが、次第に衆愚化していく傾向を免れない。 | → | 理性よりも大衆の無定見な民族感情に流され易くなり(民族型ナショナリズム ethnic nationalism)、①国内的には排外的、②対外的には侵略的傾向を強めていく結果となる。 | |
例1 | フランス革命の最初期 | → | フランス共和国の建設(カルノーの徴兵制etc.) | → | ジャコバン政権樹立以降の「革命の輸出」~ナポレオンの侵略戦争 |
例2 | ドイツ統一運動 | → | ドイツ第二帝国の建設(ビスマルク時代) | → | ウィルヘルム2世の世界政策から第一次世界大戦へ。さらに敗戦からワイマール共和国の混迷ののちナチス政権による侵略政策の追求へ |
例3 | 明治維新~日露戦争・不平等条約改正 | → | 大正デモクラシー(男子普通選挙の導入=大衆の政治参加) | → | 日本の場合は露骨な対外侵略の肯定という形は憚られたが、アジア諸民族と結んで白人支配を覆すという大義(=アジア主義)が利用される形で拡張的ナショナリズムが発動してしまった。 |