アフターエフェクト 編集中級

著者:06期生 辻井 剛 ――――

はじめに

 アフターエフェクトを使用した、ちょっと高度でよく使われるエフェクトをいくつか紹介する。
 なお、ここでの説明は、アフターエフェクトの基本操作がわかっている事を前提に話を進めている。

1.グロー

 アフターエフェクトで、素材の一部 or 全体を光らせる事ができる。
全体を光らせる場合は、まずタイムラインに入れた素材を選択し、
「エフェクト」→「スタイライズ」→「グロー」を選択する。
「グローしきい値」で、画像の光る範囲を調整し、
「グロー半径」で、光の大きさを調整し、
「グロー強度」で、光の眩しさを調整する。
「グロー操作」にて合成方法を選べば、(デフォルトは加算)
いろいろなタイプの光らせ方を表現できる。

 また、「オレンジ色に光らせる」などの処理をしたい場合は、
「グローカラー」にて「A & Bカラー」を選択し、
「カラーA」にて、付けたい色を選択すれば良い。
また、「カラールーピング」の項目を変えれば、
光らせ方を変える事もできる。一概にどれが良いとは言えないので、
実際にいじって確かめてみると良い。


 素材の一部を光らせたい場合は、少しテクニックが必要である。
まずはタイムライン上で素材を選び、Ctrl+Dで、素材をコピーする。
その後、下の段になった素材を、目のマークを押して一時的に見えなくさせる。

 そして、上の段になった素材を選び、「エフェクト」→「キーイング」→「カラーキー」
で、光らせない色を透過させる。
「キーカラー」で消したい色を選び、
「カラー許容量」で消す色の範囲を広げる。
消した色の周りにジャギやノイズが残ってしまう場合は、
「エッジを細く」を1くらいにして、
消した色の境界線を広くすればよい。

 そして、光らせたい色だけが残るように、これを繰り返す。
カラーキーを複数使ってもOK。

 そして、光らせたい色だけが残ったら、そこに「グロー」をかける。
注意!
もし、光らせたい部分と違う部分に、
その光らせる色があった場合、
その色まで光ってしまうので要注意。
光らせる事が先に決まっている場合は、
その色を他の場所で使わないようにする事。
あとは、先ほど不可視にした下の段の素材を表示させて、光素材と元素材を重ね合わせる。
ブラー(ぼかし)をかけた方がそれらしく見える。随時調整する事も忘れずに。

 なおこの「グロー」は、古いバージョンのアフターエフェクトには
搭載されていない。使う時は新しいバージョンのアフターエフェクトを使用する事。


2.移動背景&集中線アニメ

 スピード感のあるシーンや、衝撃的なシーンなどで、直線の流れのようなものが背景に流れたりする。
アフターエフェクトを使って、それを簡易的に作る事ができる。
(あくまで手抜き作成法なので、良い物を作りたい場合には必ず手描きで作る事。)
まず、左上のプロジェクト欄にて右クリックし、
「読み込み」→「平面」で、適当な色の一枚板素材を作る。
タイムラインにいれ、背景位置に配置する。(キャラクターなどの後ろ側)
そして、「エフェクト」→「ノイズ&グレイン」→「フラクタルノイズ」
で、一枚板にもやをつける。

 その後、一枚板のスケールを開き、X、Yのいずれかのパラメータを極端に増やす。
(リンクボタンのチェックをはずす事)

 画像が伸びたら、位置を調整し、端っこにまで持っていく。

 そして、動き始めの時間にキーフレームを打ち込み、
動き終わりの時間にて、背景の位置を、さっきとは逆端に持っていく。
(画面上で移動させれば、自動的にキーフレームが打たれる)

これで、移動背景の完成である。(例の画像の場合は『右から左へ流れる背景』

 色を付けたい場合は、「エフェクト」→「チャンネル」→「単色合成」
を使う。
黒い部分に色を付けたい場合は「加算」を使い、
白い部分に色を付けたい場合は「乗算」を使って合成する。

白黒両方の色を同時にうまく変える方法は、今の所わかっていない。


 また、この素材を元に集中線アニメを作る事ができる。
まずは、この移動背景のみのコンポジションを作り、
(この時、移動背景は縦方向に移動させる事)
別のコンポジションを用意する。
そのコンポジションに、「キャラクター等の素材」と
「移動背景の入ったコンポジション」を入れる。

そして、「移動背景の入ったコンポジション」に対し、
「エフェクト」→「ディストーション」→「極座標」をかける。
パラメータは、
補間:100%
変換の種類:四角形から極線へ


これで、集中線アニメの完成である。

 このように、コンポジションで素材をまとめて、
別のコンポジションにて「動画素材」として使用する手法は、
編集においてよく使われる。覚えておけば、後々の制作にも役に立つ事だろう。


3.雑像ノイズ(仮)

 他に呼称が思い付かなかった為、仮名として付けさせて頂いた。
別の名前が存在するのならば、誰か編集しておいてほしい。

 アニメの1シーンにおいて、様々な画像が
走馬灯のように高速で流れる演出がある。
アフターエフェクトを使えば、簡単に作る事が可能である。
(ただし、この処理に限り、私は別のソフトも併用して使っている。)

 まずは画像集め。高速で流したい画像を、一つのフォルダにまとめておく。
心象描写を描きたい場合には、人の心を描くそれらしいシーンの画像を。
ただノイズのように使用したい場合は、フリーのテクスチャなどで
様々な画像を集めてみると良い。
いずれにしても、画像の拡張子は揃える事。
 画像を集めたら、それを連番のデータに置き換える。
(既になっている場合は、この処理は不要)
ここでは、フリーソフトの「ファイル名変更君」を使って話を進める。

(重要! 必ず実行前にバックアップを取っておく事!)

 まず、「フォルダ選択」で連続画像素材が入っているフォルダを選択し、
「取り込み」ボタンで、右側に画像のリストを表示させる。
あとは、以下の設定にて「実行」
リネーム方式 --- 連番
変更方法 --- 連番からファイル名を作成
連続文字 --- 数字
変更名 --- Sample_*	(この「Sample_」は好きな単語に変えてよい。「*」は変えないこと)
番号設定:
 開始番号 --- 1
 増減値 --- 1
 桁数 --- 3

 これで、連番データが完成する。

なお、ノイズ素材などで、画像の順番をさらに乱雑にしたい場合は、
上記の連番打ち込みの前に、以下の設定で実行し、
リネーム方式 --- ランダム
変更方法 --- ランダム文字からファイル名を作成
文字設定:
 文字数 --- 自由
 使用文字 --- 全部にチェック

その後、「ファイル名」タブをクリックし、ファイルを並び替えてから連番変換した方が、
よりアットランダムな並びになる。

 これで連番データが完成したら、あとはアフターエフェクトにて、
ファイルの読み込みで最初の番号の画像を選択し、
「○○○シーケンス」(○は拡張子名)にチェックを入れて読み込めば、
雑像ノイズの完成である。あとは、通常の素材どおりにタイムラインに入れれば、
アニメーション素材として使用できる。
 また、「雑像ノイズアニメーションをループさせたい」「雑像ノイズのfpsを変えたい」
などを考えた場合は、プロジェクト欄の雑像ノイズ連番素材を右クリックし、
「フッテージを変換」→「メイン」で、各種設定できる。
(連番データの設定は、基本的にここでできる)

 なお、私の場合、この素材をノイズとしてアニメーションに合成させるという処理を、
『しりとり’09』にて使用した。

合成させたい場合は、「モード」にて合成方法を選べばOKである。
(私はよく「乗算」系、または「色相・彩度」系の合成法を使用する)
モードが表示されていない場合は、下部の「スイッチ/モード」ボタンを押せば良い。

 合成を巧みに使えば、様々な処理が可能である。


備考
 ほぼ全てのエフェクトにおいて、タイムライン上でキーフレームを打ち、
移動、回転等と同じようにアニメーションをつける事が可能である。
覚えておくと良い。


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最終更新:2009年11月03日 00:38
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