皆覚えているだろうか、あの
タブンネ狩り大会を・・・あの大会要項にはなぜか生け捕りの方が得点が高く設定されていた。
そうすれば当然参加者は生きたままタブンネを捕獲する。何故生け捕りにするのか?捕えられたタブンネは一体どうなるのだろうか?
今日は大会後のタブンネの処遇について見ていこう。
「大会中」
捕えられたタブンネはどんどん本部へと送られ得点に換算される。どのタブンネも不安の表情でいっぱいだ。
計算の終わったタブンネはタマゴと一部反抗的なものを除き大きな檻へと入れられ、ある建物へ連れていかれる。
その屋内には大きなスクリーンがあり、タブンネが集まるとある映像が流される。
それは一匹のタブンネが捕らえられた後、街へと行きとても幸せな生活を送るというものだ。
映像内のタブンネはオボンを頬いっぱい頬張り、寝たい時に寝て、何かあればすぐ人間が駆けつけて世話をしてくれる。
さらに特殊な訓練を受けてバトルに出れば百戦百勝のまさにタブンネにとって夢のような生活をしていた。
当然捕われたタブンネは自分にもそのような未来が待ち受けていると思い込み、
それまでの不安顔から一転いつものニヤケ顔に変わる。この一見無駄なような作業も、この後タブンネの反応を楽しむためには必須だという。
「大会後」
結果発表が終わり、優勝者が決定すると大会も閉幕だ。次の大会は秋なので、それまで今回狩られたタブンネは生き長らえる。
当のタブンネはこれからの甘い生活を確信して、狩られた直後は一言も発しなかったくせにあの映像を見た後ではあらゆる檻からから
「ミッミッ♪」「ミィミィ♪」という媚びた声が聞こえてくる。ここまで来ると滑稽を通り越して可哀想である。
後片付けが終わるとタブンネたちは多数のトラックに分載され街へと向かう、無論トラックの中でも「ミィミィ♪」の大合唱、
街が見えてくるとその声は一段と大きくなる。しかし皆知っているようにタブンネが幸せになることはない、
いや、なってはならないのだ。
トラックは街の直前、つまり郊外で停まる。そこには周りの広大な土地に不釣合な鉄筋コンクリートの建物が数十棟に分かれて建っており、
タブンネは檻から出された後、建物群の入り口で数列に並ばされる。
列の先頭ではタブンネが次々と振り分けられ、どの棟に入るか指定される。実はこのグループ分けが後々重要な意味を持つのだがタブンネ達は知る由もない。
タブンネたちが振り分けられた棟へと入っていく、先程のグループ分けだが、どうやら棟によってばらつきがある。
数百匹いるところもあれば、数匹しかいないところもある。また子タブンネや赤ちゃんタブンネのみの棟もある。
タブンネたちはこのような場所に連れてこられたことに疑問を持ちながらも、まだあの映像のことを信じていた。
太陽はとっくに沈み、見える明かりは各棟の照明ぐらいである。タブンネたちにはオボンのみが与えられ、
軽い洗浄の後就寝となる。数が多いので雑魚寝だが、昨日までは野生のタブンネ、そんなことは気にならない。
さて夜が明けると各棟ごとに活動が始まるのだが、先述したとおりここには多くの棟が偏在しており、
グループも数多である。よって便宜上ここからタブンネのいる棟及びグループをAやBというふうに記述して、個別に末路を見ていく。
けいとん編
「A棟」
A棟は200匹ほどで成る大規模グループである。Aグループはこの敷地内の馬場のような場所へ行き、
朝から晩まで走らされる。走ると言ってもマラソンではなく、各10匹ほど集まってかけっこをする。
かけっこで1位のタブンネにはオボンのみが与えられるので、それが競争意識を高める。しかしタブンネは短足である。
たしかに努力しているのはわかる。1位をとろうとする気迫も伝わる。だがあのピンクの塊がトテトテ走っている姿を遠目から見るとつい笑ってしまう。
それでも走ることに向いていない種族であるタブンネたちは、オボンによるアメと途中から追加されたビリに対する罰走のムチによって、
他のタブンネと比べて非常に足が速くなった。
そんなうちに秋となった。タブンネ狩り大会の季節である。A棟のタブンネたちは競技場の外にあるイベント会場へと連れていかれる。
半年前まで住んでいた場所を見てタブンネたちも「ミッミッ♪」とはしゃいでいる。タブンネたちの載ったトラックは大きな運動場のようなところへ入っていった。
その入口には「タブンネ競豚」と書いてある看板が・・・ついにA棟のタブンネたちがこれまでずっと走ってきた意味が明かされる。
時間が来て大会が始まったが、多数の見物客が競技場ではなくこの運動場へと入っていく、彼らの目的は狩りではなく同時開催される前回狩られたタブンネを使った興行である。
そしてここではタブンネ競豚が行われる・・・。
運動場内のタブンネは、8匹ごとに分けられ、色の違うゼッケンを着せられる。ゼッケンには番号が書いてあり、
指示が受けたらその番号のゲートに入るよう命令される。タブンネは観客がたくさんいるという、いつもと違う雰囲気に戸惑っていたが、
今回の賞品である山のように積まれたオボンを見るや、今か今かと待ちきれない様子になった。
「タブンネ競豚場、第1レースタブンネ記念、芝500、右回り、天候晴れ」
出走豚一覧
- 1白タブンネ 今回は厳しいか
- 2黒タブンネ 芝は苦手
- 3赤タブンネ 逃げ豚の本領発揮か △
- 4青タブンネ この距離では・・・
- 5黄タブンネ 調子上々 ○
- 6緑タブンネ 実力上位 ◎
- 7橙タブンネ 冷静になれない
- 8桃タブンネ 出遅れなければ ▲
タブンネ達がゲートに入り、ファンファーレが鳴る。そして観客の歓声と共にゲートが一斉オープン!
タブンネ競豚第1レースは、スタート直後はもつれたが、そのあと黄と緑のゼッケンを着た
タブンネ2匹が抜け出し
200メートル時点で他に8豚身の差をつけ圧倒的リード、下馬評通りこの二匹の勝負となると思いきや、残り100メートルで緑が転倒!
これで誰もが黄の勝利だと思った。しかしそうはいかないのがこの競豚、緑の転倒を見た黄が突如Uターンして緑に近づくと、
なんと足をくじいて動けない緑の肩を持ち一緒に歩き始めたではないか!結局ゴールするまでに他のタブンネに抜かれ最下位となったが、
タブンネ同士の厚い友情物語に我々も感動・・・・・・・・・するわけがねえだろ。
確定結果
1青タブンネ
2桃タブンネ
3白タブンネ
なんという大番狂わせ、しかしレース結果などどうでもいい、ここからがこのレースの醍醐味なのだから。
1位のタブンネにオボンが渡される間、運動場内にそれ以外のタブンネが集合させられる。どのタブンネも状況がわからず
「ミィミィ?」とあたりを見回している。そのタブンネたちの前に運ばれてくる7つのミキサー。もうお解りだろう、負けたタブンネがどうなるのかが。
係員によってミキサー内に入れられるタブンネ、まだ判っていないようで、「ミッミッ♪」とミキサー内でガラスにペチペチと手や触覚を当てて興味津々だ。
そんなタブンネに構わず係員がボタンをひとつ押した。
「ミブャァァァァァくぁwせdrftgyふじこlp・・・・」
ギュイーンという起動音と共に起こる一匹のタブンネの悲鳴、下半身から溶けるようにペースト状になっていき、悲鳴が消えたと思うと、
ミキサー内はタブンネだったもので満ちていた。この瞬間観客席のボルテージは最高潮、逆に残ったミキサー内のタブンネと次のレースの準備をしていたタブンネ、
あと1位となってミキサーから逃れたタブンネがこの光景に体を硬直させた。特にミキサー内のタブンネは次は自分だとやっと悟り、渾身の力を込めてミキサーからの脱出を図った。
「ミギャアアァァァァ!!!」「ミグアアァァァァ!!」
しかし間に合うわけがない、次々とペースト状になっていくタブンネ達、一斉にではなく順番にやっていくのがなんとも心憎い、最後の一匹となるともう茫然自失となり悲鳴も挙げずに散っていった。
だがこれで終わりではない、係員たちはミキサーを1位だったタブンネの周りに並べ、あたかもシャンパンファイトのように頭から浴びせかけた。これが勝者の権利である。
「ミギュアアアアァァァァ!!」
1位タブンネはかつての仲間のペーストをかぶると、発狂したように暴れだした。まだ次のレースがあるというのにここで無駄な体力を使っていいのだろうか?
第2レースは開幕と違い16頭立てで行われたがハプニング発生、ゲージが開いてもタブンネたちが出てこない。全員座り込んで「ミィィィ・・・・」と呟いている。
成程、レースが終われば誰かが死ぬ、ならばそのレースを全員でボイコットすればいいということか。
タブンネにしてはよく考えた方だが、甘い、甘すぎる。何年もこの競技を続けてきた本部がこんなハプニングを予測していないとも思っているのか、
その証拠に誰一人慌てていない、ただ時が過ぎるのを待っている。タブンネたちの本性が現れるその時を・・・
そして10分後、ついにその時が訪れた。
「ミッ!!」
突然一匹のタブンネが抜け駆けを図った!そう、いくら示し合わせたとは言え、どのタブンネも極限状態、とても信じあえる心理ではない。
互いに疑心暗鬼となっている中、一匹のタブンネがその重圧に耐えられず仲間を蹴落してでもこの地獄から抜け出すことを選んだのだ。
もちろんこの展開を読んでいた観客たちは大爆笑、観客席の雰囲気と必死に仲間を見捨ててトテトテ走るタブンネとのギャップは見事である。
さてまだゲージ内に残っていたタブンネたちは仲間のまさかの裏切りに呆然としていたが、やがて事態の重大さに気づき慌てて裏切りタブンネを追いかけ始めた。
しかし時すでに遅し、コースの中ほどに来たときにはとっくに裏切りンネはゴール板を過ぎていた。
「ミィ・・・・・・・ミィヤーーーーー!!」
悲鳴と共にコース上に倒れるタブンネたち、ピンクの体がブルブル震えていた。
その後タブンネたちは係員にミキサーに押し込まれる時も、そしてピンクのペーストになる時も一言も発しなかった。
代わりにただ只管裏切ったタブンネをものすごい形相で睨みつけていた。
裏切ったタブンネは最初顔を背けていたが、係員によって顔をミキサーに向けられたときに、
今まさにすりつぶされる瞬間のタブンネと目を合わせてしまい、「ミヒッ!」と一言鳴いた後動かなくなってしまった。
ペーストによるシャンパンファイトにも反応なし、どうやら精神がイカれてしまったらしい、
この分では次のレースでこのタブンネも仲間のところへ行けるだろう。その時謝ればいいじゃないか、良かったな。
その後残りのレースも順調に進められ、多くのタブンネが原型を留めず死んでいった。
競豚に敗者は要らない、敗者から天に召されるまさに命がけのレース、この地獄から抜け出すには裏切りンネのように
他者を蹴落さなければならない、それも一度ではなく最後の勝者が決まるまで。
そうして200匹の頂点に立ったタブンネだけが、ミキサーではなくみんなのサンドバックとして生涯を終えることができるのである。
タブンネ競豚編 終
ダンスダンスタブンネ編
「B棟」
B棟30匹ほどの少数グループ。このタブンネたちは最初棟内で一日中ポケモンミュージカルの映像を見せられる。
するとどうだろう、なんとタブンネたちがミュージカルの真似事をし始めた。まあ娯楽がこれしかないから当然だろうが、
それにしても酷い、全くダンスというものではない、ただ贅肉を見せびらかしているだけである。しかしそんな肉踊りも3ヶ月の間インストラクターの指導や、
ドレディア等による移動公演見学などによってだいぶ上達したようだ。ここで私はあることに気がついた。タブンネの顔が違う、
ダンスが少しうまくなっただけで自信に満ち溢れている。練習が終わると観ていた私に対して「ミッミッ!」と手を振って来る。
その時のタブンネたちの顔は俗にいうドヤンネ顔なのだろう。なるほど勘違い此処に極まりか・・・
そんなこんなで秋、タブンネたちは自信満々の顔で特別に用意されたバスへと乗り込む。他のタブンネは皆トラックなので、ここでも優越感を感じるのである。
会場は大きなホール、タブンネたちはそれぞれ綺羅びやかな衣装をつけ、入念にリハーサルを行う、どのタブンネも頭の中で今まで観てきた映像のように、
大観衆から拍手喝采を浴びる自分を想像しているのだろう。いや、現にムシャーナがそう見せてくれた。
とうとう開演である。会場内は満員、タブンネたちは舞台裏で円陣を組み「ミッ!!」と気合を入れると、インストラクターに一匹ずつ背中を押され、笑顔で観客の前に飛び出した。
「ミッ♪ミッ♪」
音楽に合わせて今までの練習の成果を見せるタブンネたち、しかし観客席は水を打ったように静まり返っている。
それもダンスに見入っているわけではなく、何かをずっと待っているようだ。
「ミッ♪・・・・・・ミィ?」
それでも精一杯踊るタブンネ、だがそろそろクライマックスだというのに全くダンスに集中していない観客たちを見て、
さすがのタブンネも疑問に思って来たらしい。
「ミィ・・・・・」
とうとう全演目が終わったが、観客席からは拍手ひとつ起きない、何故?どうして誰も拍手しないの?ドレディアなんかダンスが
終わったら花がたくさん投げ入れられていたのに・・・
自分の予想とは真逆の展開に、タブンネたちは上のセリフでも言いたそうな表情で「ミィミィ・・・」
とうなだれている。その時!突然観客席から何かが投げ込まれた!
「ミギャ!」
それは見事にタブンネに命中し、タブンネのピンクの体を黒く汚した。タブンネが恐る恐る投げられたものを確かめる・・・・・・・泥だ。
「ワアーーーー!!」
それが合図だったらしく、今まで沈黙していた観客席から鬨の声が上がり、次々とものが投げられ舞台上のタブンネを襲った。
「ミギャーーーー!!」
泣きながら必死に逃げ惑うタブンネたち、投げられているものは泥、石、ゴルフボール、ゴミ、パチンコ玉、黒い鉄球・・・おそらく観客にカイリキーがいるな・・・。
「ミブッ!」「ミビャッ!」
それらは面白いようにタブンネたちに当たっていく、これは最初不思議に思ったがすぐに分かった。タブンネの背中にいかりのこなが付けられている。だが一体いつ付いたのだろう。
「ミナブッ!」
衣装も体もボロボロにしたタブンネが転んだ。見るといつの間にか舞台上に水が撒かれている。いや、その水からは鼻をつくような強烈な臭いが放たれている・・・ガソリンだ。
最前列の客が撒いたらしいガソリンはタブンネたちを滑らせては体の毛に染みこんでいく、そして全てのタブンネがガソリンまみれになったと思うと、何か光ったものが舞台へと飛んでいったのが見えた。
「ミビャアアア!ミヤアアアア!!」
よく見るとそれはロケット花火、これもいかりのこなの効果でタブンネめがけて一直線に飛んでいく、
いつもはちょっと危険なだけの
夏の風物詩も、ガソリンが染み込んだタブンネにとっては死神同然である。
「ミグバァァァァァ!!!!」
ついに一匹のタブンネに命中し、そのタブンネは炎に包まれた。これはほのおタイプのデルタ種か?
「ミガガガガ・・・・・・・・」バタッ
違った。ただのタブンネだった。炎によって黒焦げになったタブンネが息絶え倒れこむと、体からは香ばしい匂いが立ち込めた。
「ミィィィギャアアアァァァァアア!!!」「ミニャアアァァァァ!!!」
死んだタブンネに続けとばかりに、続々炎を身に纏うタブンネたち、床に残っていたガソリンにも引火し舞台は一瞬にして業火のステージとなった。
「ミビャアァァァァアアァアア!!!」
タブンネたちは体と床の炎から逃れようと身をよじったり、スッテプを踏んだりしている。はっきり言って、先程の肉踊りよりもこちらのほうが格段に面白い。
バタリバタリと図ったかのように一匹ずつ倒れていくタブンネたち、とうとう最後の一匹が「ビィィィ・・・」と言って旅立ち、
舞台に30匹分のステーキが出来上がると会場内は拍手喝采。これこそタブンネたちが夢見てきたものではないのか、しかし哀しいかな、
そのタブンネたちはもういない、あるのは黒焦げの中にほどよくレアになった肉が覗ける死体が30体のみだった。このダンスダンスタブンネに出るタブンネは、
数ヶ月の練習の成果は認めてもらえないものの、己の命を張った即興ダンスは高く評価してもらえるので、
他のタブンネよりも幾分ましである。まあどうせ死ぬのでタブンネにとっては同じかもしれないが。
「ダンスダンスタブンネ編」 終
- 希望を持たせてから絶望に叩き落とすのが最高だなwタブンネちゃんが出来る事なんてストレス解消の道具にされるか、お肉として食べられる事だけだよ! -- (名無しさん) 2012-12-18 09:30:34
- 子タブンネちゃんやベビンネちゃん達だけの棟はまさかもうみんな立派なフードにされているのでは… -- (名無しさん) 2013-02-10 06:03:05
最終更新:2011年05月08日 09:51