俺がプレゼントしてやったミュージカル用の衣装をドブに落としたタブンネ。
申し訳なさそうにおずおずと戻ってきたタブンネに激怒すると、身体を縮こまらせビクビクと震えている。
そんなタブンネに「探して来い」と告げた。
タブンネは泣きじゃくり、ドブまみれになりながら探すが見つからない。
日も暮れて来たのでタブンネを無視し家に帰ることにした。
俺の少し後ろを泥だらけの豚がすごすごと付いてくる。
しばらく放っておいたが、家の前で「綺麗にしないと家には入れない」と言って扉を閉める。
初めはミィ、ミィと弱々しく訴えるが聞こえたが、やがて静かになる。
窓から覗いてみれば地面のアスファルトに身体を擦り付け、必死に泥を落とすタブンネの姿。
代わりに擦り傷だらけになっているが。
通行人からも引かれたり笑われたりしている。
全部落とす頃には夜が明けそうなのでタブンネを放ったまま就寝。
翌朝、身体中ボロボロのタブンネが玄関前で震えていた。
身体に触れてみると熱い。
昨日身体を冷やしたせいで熱が出たらしい。
眼を潤ませながら助けて、とミィミィ鳴いてくるが、笑みを浮かべながら
「まだ尻尾に泥があるし、衣装も見つけてないからダメだよ」と言ってやった。
タブンネは息も絶え絶えに衣装を探しにドブ川へ向かうが、途中で力尽きて気絶した。
俺はそこでようやくタブンネを拾ってやる。
死んじゃったら面白くないからね。
生かさず殺さずじゃないと。
最終更新:2011年05月08日 22:18