節分

2月3日節分
せっかくなので俺は自分のポケモンと豆まきをしようと思い、
ダゲキ、ナゲキの住む試しの岩にやってきたのだ。
草むらに入るとすぐにポケモンが飛び出してきた。

「ミィミィ。」
甘い声を出しながら、タブンネが現れた。
…標的じゃないから逃げておこうか。
「相手が違う。引くぞピカチュウ。」

しかし、タブンネはピカチュウが豆を持っているのに気付いたのか、ピカチュウが後ろを向くと突進してきた。
「ピカッ!?」
タブンネの不意討ちをくらいピカチュウは転んでしまった。
辺りに豆が散らばった。それをタブンネは拾い集めては食べている。

「ピカチュウ、怪我してないか?」
目立った怪我は見つからない。だがピカチュウは右足を擦りむいていた。
顔を上げると豆に釣られたたくさんのタブンネが集まっていた。
俺は豆まきを楽しみにしてたピカチュウに言う。

「豆まきなら家でやろう。それよりは今はもっと楽しい事をやろうか。」
余りの豆も上に投げて、他のボールに手を伸ばした。
「いってこい、皆!鬼の代わりにタブンネを駆逐する!!」

俺は、ルカリオとゾロアーク、そしてペンドラーを繰り出す。
フライゴンは寒いから嫌だと言うかのようにボールから出てこない。
レベルの低いペンドラーに幸せ卵を持たせて、2匹にゴーサインを出した。

ペンドラーは豆を食べているタブンネの群れに突進していく。タブンネはペンドラーから逃げようとするが、最速のペンドラーからは逃げられまい。
すぐに追い付かれ補食されていく。十匹ほど食べて腹が膨れたのか、ペンドラーは補食するのを止めて体を丸めた。
タブンネは食べた仲間を返せと言うかのようにペンドラーに攻撃する者と、もう襲われることがないと安心する者が居た。
ペンドラーは丸まったまま上空へ飛び、攻撃していたタブンネたちをハードローラーで押し潰した。
無惨に押し潰ぶされた仲間を見たタブンネは再び逃げ出した。
ペンドラーは咆哮を上げ、逃げていくタブンネを追いかける。どうやら、つがいのタブンネを追いかけているようだ。
タブンネは角に追い詰められ、ペンドラーに許しを乞う。ペンドラーは容赦なく♂のタブンネを右の角に、♀のタブンネを左の角に突き刺す。
「ミィミィ…ミィ…。」
つがいのタブンネは互いに手を伸ばし、手を結ぼうとしている。
死にかけているのに手を取り合うとは…、相当に愛し合っているのだろう。
タブンネが手を握り合う前にペンドラーは角を振り下ろし、地面に叩きつける。
タブンネはまだ手を伸ばすが、ペンドラーの足に踏み潰された。
…同時に逝けただけ、タブンネも幸せだろう。

一方で、ルカリオはまだ俺の横にいて、ペンドラーを見つめている。
…どうやら彼はタブンネを狩る事を躊躇っているようだった。
そこで俺は、ピカチュウが傷ついた事を耳打ちした。俺にとっても大切なピカチュウは、彼にとっても大切だろう。
無言でタブンネの群れに歩いていく。

「ミィミィミィミィミィ!!」
ペンドラーから逃れた一匹のタブンネがルカリオに訴えかける。…きっと助けてほしいのだろう。
ルカリオはタブンネの顎を蹴り飛ばす。
「ミギュッ!」
変な声を出しながらタブンネは吹き飛ぶ。
「ミギガガガ…。」
どうやら顎が外れたらしい。涙を流しながら奇声を上げている。
ルカリオは手の棘でタブンネの首筋を切る。タブンネは暫くして地面に崩れ落ちた。
他のタブンネが癒しの波導をうちに来た。さっきピカチュウに突進したタブンネだった。
「ミィッ!!」
ルカリオはタブンネを押し倒し、タブンネの喉笛を踏みつける。
「ミィミィミィミィ!!」
徐々に力を加えていくにつれて、タブンネの悲鳴は大きくなる。
「ミゲェ…ミグュ…。」
普段のタブンネからは信じられない声を出す。ルカリオは瞬きせず、口角を上げて、タブンネの灯が消えるのを待っていた。
ぐしゃりという不快な音が聞こえ、タブンネは絶命した。

ペンドラーがタブンネを押し潰し、ルカリオが一匹ずつなぶり殺ししていくうちに、残るは小さな子を連れたタブンネのみになった。
今にも襲いかかりそうなペンドラーを制し、俺はタブンネ親子に近づく。
親タブンネは我が子を自分の後ろに隠した。俺は親タブンネに
「お前かその子供、どちらかは助けてやる。」
と、問いかける。タブンネは迷いなく子タブンネを助けてほしいかのように示した。
俺は子タブンネをボールに入れる。ルカリオとペンドラーもボールに戻す。
きょとんとするタブンネに「じゃあな。」と言い、その場をあとにした。

呆然とするタブンネの後ろで、ガザゴソと草むらが揺れた。ビクリとするタブンネだが、草むらから出てくるタブンネ
――夫のタブンネの姿を見ると、走り寄って嬉しそうに抱き締めた。
「ミギュッ!?」
しかし、タブンネは夫のタブンネによって心臓を貫かれていた。
何故…?という思いを巡らして、タブンネは草むらに沈んでいった。
夫のタブンネは俺を追いかける。俺は夫のタブンネに気づくと頭を撫でてやる。
「…ご苦労様、ゾロアーク。」


家に帰り、子タブンネを赤く塗る。丁寧に鬼の顔まで描いてやる。
俺はピカチュウに傷薬を使った後、豆を渡す。
「ミィミィミィミィミィミィ!!」
ピカチュウは笑いながら豆を投げる。子タブンネは豆から逃げ回る。


2匹の追いかけっこは深夜まで行われた。

2月4日
疲れ果てて眠っている子タブンネをペンドラーに放り投げた。
「ミギュッ!」と音がして子タブンネはペンドラーのムチムチのお腹に消えていった。


  • ピカチュウにケガさせた罪を命で償わされるとはさすがタブンネちゃんw -- (名無しさん) 2012-02-02 10:02:02
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最終更新:2011年05月09日 05:38
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