あるタブンネさんの受難2

ここ、1番道路は比較的野生のポケモンが根付きやすい土地とされている
草花や木の実などが豊富で、近くには広く大きい水場がある
その水場に一匹のタブンネが居る、どうやらオレンの実を採った後喉をうるおすためにここに来たようだ
タブンネは水を両手で一掬いし、口の中に流し込む
音を立てて飲み込んだ後タブンネは口元を拭き、その場を後にしようとした
その瞬間、何かが水面から上がるような音がタブンネの背後から聞こえてきた
タブンネが後ろを振り向くと、そこには一人のトレーナーと、青い体が印象的なポケモン、シャワーズが居た
なみのりを終えた後なのだろう、体を振り体に付いた水滴を飛ばしている
タブンネは自分が見たことのないポケモンに興味津津だ
先ほど手に入れたオレンの実を差し出し、挨拶をする

──はじめまして、あなたはだあれ?──

トレーナーとシャワーズは一瞬困惑する、その様子を見てタブンネも少し困惑しているようだ
しかしトレーナーはすぐさまシャワーズに命令を行った
シャワーズはすぐに構えに入って、口から熱湯を勢いよく噴出した
熱湯がタブンネに振りかかる、熱湯が顔面に直撃したタブンネはその場で悶絶した
タブンネは顔を抑えて、地面でのたうち回る、その隙にシャワーズはタブンネが落としたオレンの実を食べ始めた
シャワーズがオレンの実を食べ終えた頃にはタブンネも落ち着いていた
火傷し、より一層醜くなった顔でシャワーズとトレーナーを見つめるタブンネ

──どうして、どうしてこんなことするの──

タブンネは涙ながらにそう鳴いた、しかしそれがトレーナーの耳に届くことはなかった
トレーナーが合図をすると再びシャワーズは臨戦態勢に入る
その姿に恐れを抱いたタブンネはその場にへたり込んでしまった
逃げることは不可能、そう判断したタブンネは媚びたような鳴き声でミィミィと鳴き始めた
どうやら見逃してくれるよう懇願しているようだ、タブンネは涙を流し縋りつくように鳴き続ける
それに苛立ちを覚えたトレーナーはシャワーズに再び熱湯をするように命令した
先ほどと同じように口から熱湯を噴き出すシャワーズ、今度はタブンネの体全体に当たった
体中に火傷を負って再びもがき苦しむタブンネ、その姿はあまりにも無様だった
シャワーズは地面に倒れているタブンネの頭を踏みつける
タブンネはただ弱く鳴くことしかできなかった

──痛いよ、体が痛いよ──

トレーナーはシャワーズをどけると、タブンネの頭を乱暴に掴んだ
ズルズル、とタブンネを引き摺り、水辺まで近づけるとしゃがんでタブンネの顔を水につけた
タブンネは息ができず苦しむ、体をじたばたとさせて必死で水から顔を出そうとする
しかし力強く頭抑えられて、更に弱っている状態のタブンネにはどうすることもできなかった
タブンネの抵抗は次第に弱くなっていく、その瞬間トレーナーはタブンネの顔を水から引き揚げた
苦しそうに肩で息をするタブンネをトレーナーは再び水につけた
タブンネは先ほどよりさらに大きな動きで暴れる、しかしその分ばてるのも早かったようだ
全くと言っていいほど動かなくなったタブンネを見てトレーナーは頭から手を離し立ち上がり、その場を後にした

タブンネは一瞬気を失ったがすぐさま意識を取り戻し水面から顔をあげる
体にたまった水を吐きだし、肩で息をする

──助かった‥‥助かったよ‥‥──

タブンネは涙を流しギュッと自分の体を抱きしめた
タブンネは恐怖心と安堵で体の震えが止まらなかった
しばらくし、体の震えが止まったタブンネは傷をいやす為に住みかに戻ろうとする
そして振り返ったその瞬間水流をまとった尻尾がタブンネを直撃した
胴体にモロに喰らって遠方へと吹き飛ばされるタブンネ
そこには先ほどのシャワーズが、その少し遠くにはトレーナーが居た
実はトレーナーはその場を離れたわけではなかったのだ
水面に叩きつけられ、溺れるタブンネをトレーナーは指さして笑う
そして一頻り笑った後トレーナーはシャワーズと共にその場を後にした
タブンネは散々もがいた甲斐もなく、水の中へと沈んでいった

──なんだか、眠くなってきたな──

水の中で緩やかに死を迎えるタブンネ、その横をヒンバスが何匹か通り過ぎる

──次に生れてくる時は、水ポケモンがいいな──

自由に泳ぐヒンバスの群れを見て、タブンネは目を瞑った
そんなタブンネに巨大な何かが近付く
巨大な何かはタブンネに近づくとその足に噛みつき、そして水面へと勢いよく上がっていく
急に勢いよく引っ張られたタブンネは再び意識を取り戻した
水面から美しいポケモン、ミロカロスが飛び上がる
ミロカロスはキラキラと光を反射する水滴をまとい、その姿はまるで人魚のようだった
ミロカロスは水に潜るのと同時に先ほど捕まえたタブンネを水面に勢いよく叩きつける
おおよそコンクリートに叩きつけられたのと同じくらいの衝撃をタブンネは喰らう
背面を叩きつけられ背骨や頭蓋骨が砕け、タブンネは水に浮きながら絶命した
ミロカロスは異物が気に入らなかったのであろう、その姿に若干の不満を残しつつも再び水中へと潜った
そこにはおおよそ水ポケモンとは無縁な、タブンネの水死体が残っただけだった

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最終更新:2011年09月10日 14:47
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