「もうすぐ生まれてくる赤ちゃん、名前はどうしようかな♪?」
一匹のメスタブンネが歩いていた。それも普通のメスではなく妊娠した固体。
ただでさえ大きいお腹が一層大きくなっており、少しバランスを崩せば即座に倒れこんでしまいそうだ。
「赤ちゃんどんな子かなぁ♪?私に似て可愛い子かなぇ♪?」
タブンネは相変わらず歩いている。するとその時、タブンネの腹部に激しい痛みが襲い掛かった。
どうやら陣痛が始まったようである。そこでタブンネは、事前に呼んでおいた友達に頼み、病院へと連絡を取った。
ここは妖精グループのポケモン達が仕事をする自然の病院。ここに先程のメスタブンネが運ばれてきた。
「奥さん!大丈夫ですか!?しっかりしてください!!」必死に痛みに耐えるタブンネを医師のハピナスが励ます。
「もう少し!もう少しですよ!」トゲキッスもタブンネを励ます。
ハピナスやトゲキッスを始め、各地の妖精グループのポケモン達が一丸となって
タブンネの出産を手伝っている。
「ミィヤァアアアアアアァァッッ!!!(もうすぐ、もうすぐ赤ちゃんが生まれる・・・!!)」
タブンネは目を覚ました。いつの間にかキノガッサのキノコの胞子を受けて眠っていたようだ。
「奥さん、おめでとうございます。母子共に異常なし。健康です」ハピナスが自愛に満ちた笑みを浮かべて言う。
そして、ママとなったメスのタブンネに数匹のベビンネを手渡す。
「チィチィ♪」「ベ、ベイビーちゃん!」タブンネは感激の余り、涙を流す。
「まあ、どうせすぐにサヨナラするんですけどね」「・・・え?」ハピナスは先程の自愛に満ちた顔から一変して冷酷な表情になった。
そして、ベビンネの一匹を取り上げ、床に落とし、片足を乗せて体重をかけ始めた。
「お!・・・お医者様!どうしてそんな事を!?」タブンネは驚き、問うがハピナスは聞く耳を持たない。
「ヂィ・・・ヂィイイイ!!」ベビンネは痛みに耐えかねて泣き叫ぶ。だが、幾ら泣き叫ぼうがハピナスが足を退ける事は無かった。
ベビンネはそのままハピナスに踏まれ、木の実が潰れたような音を出し、真っ赤な肉塊と化した。
「ヂ・・・ィ・・・」「ベ・・・!ベイビィーちゃあああああん!!!」
「媚び諂うしか能の無い家畜が一人前に子供なんか生むんじゃ無いよ!」トゲキッスがベビンネの一匹にエアスラッシュを放った。
研ぎ澄まされた真空の刃はベビンネを射抜き、ベビンネの首と本体が綺麗に分かれさせた。
「お願い!お願いだからもう止めてぇえええ!!」タブンネはハピナスに泣き付く。そんなタブンネに対してハピナスは哀れみとも取れる表情で言った。
「あなた達タブンネと言う妖精グループのなりそこないは粛清される運命なのです。分かりますか?」「・・・・・」タブンネは言葉も出ず、目に涙を浮かべて目の前の惨状から目を背けた。
そこへ、小型の氷塊が飛んでくる。ユキメノコの氷の礫だ。氷の礫は直撃こそしなかったが少し掠ったようで、タブンネは頬から血を滲ませていた。「何処を見てるの?自分の子供の最期くらいしっかりみとどけなさい。」
「チィチィ♪」「チィチィうるせぇんだよ!」キノガッサがベビンネに向けて気合パンチを叩き込む。
ベビンネは吹き飛ばされて壁に激突し、粉砕される。衝撃で辺りに血を撒き散らし、壁を紅に染めた。
「さて・・・この子はどうするか・・・?」ロズレイドがベビンネをどうするか考えていた。「・・・そうだ・・・!踊ってもらうとするか」ロズレイドはベビンネの肛門をこじ開け、そこに毒の棘をねじ込んだ。
「チィ・・!?・・・チィ・・・ウヂィィィイイイ!!!」毒が回って来たベビンネが苦しみ、もがき始める。体を捩るようにして暴れるベビンネだが、幾ら暴れようと体の毒が消える事は無い。
始めは暴れて悶絶をうっていたベビンネも徐々に動きが鈍って行き、そしてピクリとも動かなくなった。
「当然子供だけじゃ済まないよ。次は君だ。」マリルリがタブンネを指差す。当のタブンネは完全に死んだ魚のような目をしていた。
そして、何の抵抗も無くそのままマリルリにされるがままに馬鹿力で全身の骨を砕かれて息絶えたのだった。
「・・・ふう。これにて仕事完了。やはりタブンネの出産は疲れますね」
ここは妖精グループのポケモン達が仕事をする自然の病院。そしてここに入ったタブンネが生きて出た試しは無い。
最終更新:2011年10月08日 19:47