先進国(G7)の中で政府債務の規模は日本が抜きんでている。2010年における政府債務残高のGDP比は199%。イタリアが132%で他の国々は80-90%台である。データは財務省、日本の財政関係資料平成22年8月による。
債務残高が巨額であるにもかかわらず日本がギリシャのような事態に陥っていないのは豊富な家計資産のおかげである。ギリシャ国債は7割が海外マネーによって買い支えられている。一方で日本国債は95%は国内保有である。国債からの資金逃避は起きにくい構造にある。
この構造はいつまで続くだろうか。家計資産と国債残高の推移をグラフにした。左軸は家計資産と国債残高で単位は兆円。右軸は家計資産に対する国際残高の比率で単位は%。
家計資産は微減傾向にあり高齢化が進めば貯蓄の取り崩しによって資産残高の減少速度は早まるかもしれない。一方、国債残高の伸びに歯止めはかかっていない。このままでは家計貯蓄で国債を安定消化する構造は崩れる。
この点についていくつかシミュレーションがある。いずれも2020年には国債の安定消化が難しくなると推計している。ただし、東日本大震災で国債残高の伸びは加速したはずである。2020年という財政再建の期限は早まったことと思う。
残された時間はすでに10年を切っているだろう。
データ出所
最終更新:2011年05月02日 14:54