「まずはこのマスクを被るのよ。この椅子にお座りなさい。」
美少女着ぐるみ婦警さんが持ってきたのは、最初に用意されていたのと同じ顔のマスクだが口内が奥で開いていた。
進一は二人の美少女着ぐるみ婦警さんに押さえつけられ、後ろ手に鏡の前の椅子に座らされると、そのまま年長の美人着ぐるみ婦警さんに手錠を掛けられてしまった。
二つの胸の膨らみも気になるが、それ以上に治まらない股間のモノが恥ずかしくて仕方が無い。
しかし、美人着ぐるみ婦警さんはそんな進一の気持ちなどお構いなしといわんばかりに頭の上からマスクを被せてしまう。
「消毒してあるから安心してね。」口内にも容赦なくマスクが突っ込まれていく。
後頭部の特殊ファスナーが閉じられると、被っていたスーツが膨れはじめ、マスクと顔の隙間を埋めるように密着し圧迫してきた。
鏡には坊主頭だが一目で美少女と分かる女の子が裸で進一を見つめ座っていた。
口内部分も皮膚に張り付いて内側からも密着してきた。
進一の呼吸が荒くなる。
しかし鏡の中の美少女着ぐるみはなんとも可愛らしいく喘いでいる。
股間のモノがはち切れそうになるが、後ろ手に手錠を掛けられていては隠すことができない。
マスクの上から漆黒で艶のあるセミロングのウィッグが被せられると、まるでアニメから飛び出してきたような美少女が恥らいながら進一を伺うように座っていた。
進一は鏡を見続けることに罪悪感を覚え俯いてしまう。
「はわ~!」
「これまた驚いたぜ。」
「…背徳の美少女ってところかしら。あなたの名前は聖美子っていうのよ。」
「きよみこ…私の名前…」
「あれ? さっきは進一くんだったから進一ん子ちゃんにしよう、とかいってたんだから~」
「っ!? し、しんいちん…」何故か恥ずかしくなって最後まで声に出すことができない。
恐ろしく恥ずかしいことを言う美少女着ぐるみ婦警さんを美人着ぐるみ婦警さんが咳払いをして小突く。
「あーん、痛いんだから~」
「そうよ。容姿と名前と気に入ってもらえたかしら?」
身体の事を聞かれて再度鏡を見る。
「あ、あの…どうか服を着せてください…」
さっきもそうだった。早く服をくれ、と強く言うつもりだったのにどうしたことかか細い声しか出ない。口調も恥ずかしいほどにか弱い。
「このマスクはね、マイクロチップが埋め込まれていてソレが脳に働きかけて基本的な欲求はそのままに仕草や口調をコントロールできるのよ。」
目前の美少女が目を見開き驚く。
「おまえさんの被ったマスクのチップには聖美子としての性格が設定されているのさ。表現するときはそのとおりに味付けされて口が動いたり行動したりするんだよ。」
進一の脳裏に衝撃が走った!
「そ! そんなことが…」
できるのか? 勢いよく喋ろうとしても途中でうつむいてしまい、最後まで声が続かない。
「現にあなた自身がその身を以て実証しているわ? 自分で分かるわよね?」
美人着ぐるみ婦警さんが進一の顔を鏡に向けさせて諭した。
目に涙を溜めた美少女着ぐるみが鏡の中で潤んだ。
「あらあら、これは効果抜群ね? ちゃんと気に入ってもらえたのかしら…」
「大丈夫なんだから~ ホラ、ココは正直なんだから~」股間のモノを指差しながら喜んでる。
「まんざらでもなさそうだな。」
鏡の中の香澄子が頬を染めて身体をよじるのを観た。呼吸が激しくなる。
直接裸を晒してる訳ではなく、もう見られているんだから平静を保とうとしているのに羞恥心が消えない。
三人の美少女着ぐるみ婦警さんは黄色い声を上げながら悶える美少女着ぐるみを覗き込んでる。
一通り騒ぎが収まったところで美人着ぐるみ婦警さんが促した。
「じゃ、お洋服を着ましょうか。立ちなさい。」
「まずはショーツよ。」
「これ、かわいいでしょ? 私が穿かせてあげるんだから~」
見られる恥ずかしさと、着せられる恥ずかしさと、下着そのものへの恥ずかしさとが複雑に入り乱れる。
進一のそんな思いをよそにフリルの付いた白いシルクのショーツが穿かせられた。
しかし、股間のモノは小さくなっているとはいえはみ出してしまう。
「うふふ。お元気さんなんだから~。そのうち慣れれば大人しく隠れるんだよね?」
指先でツンツンつつく。
(そんなことしたら治まるものも治まらないって!!)
死にたくなるほど恥ずかしくて仕方が無いけど、後ろ手に手錠をれているのでどうすることもできない。
「や、やめて下さい…」やっとの思いで抵抗の意思を言葉として絞り出す。
「や~ん、可愛いんだから~」ピンッ!指先で弾く。
「そのぐらいにしてあげなさい。キャミソールは肩が外れるから手錠したまま着れるのよ。」
鏡の中で美少女着ぐるみに下着が着せられていく。
「次はタイツよ。右足を上げて。」
まるで着せ替え人形だ。
丸められた白いタイツが右のつま先を通す。
左足も通して少しずつ伸ばしながら丁寧に穿かされる
聖美子の両足に白いタイツが穿かせられた。
スーツを着たときとは違う伸縮する薄手の生地の圧迫感が進一の足に起こる。
股間のモノがタイツに上向きに挟まれて納まるが、微妙な圧迫感が進一を襲う。
小さいころ冬に寒いからとタイツを穿かされたときのことを思い出した。
あのころはタイツを穿かされるたびに感じるモヤモヤした感触を誰にも打ち明けられなくて、冬が嫌いになってしまった。
今、またその中途半端に気持ちよい感触が進一を逆に苦しめる。
じっとしていると暖かいのに美少女着ぐるみ婦警さんが動いて柔らかな風を巻き起こすとひんやりとした感触を進一に伝えた。
スーツが感覚を鋭くさせているのだろうか、つま先から下腹部までタイツに包まれた下半身全部がより一層敏感になっているようだ。
進一の鼓動は治まるどころかの高鳴るばかりだが、鏡の中に居るタイツを穿いた下着姿の聖美子の容姿だけのせいではなさそうだ。
「はい、ヒラヒラのミニスカート」
手錠をされたままリボンで飾られたミニのフリルスカートを穿かされた。
パニエが一体になっており進一の脚を擦る。聖美子が喘ぎ声を漏らす。
やっと股間のモノが隠れた。
「鏡を見てごらんなさいよ~」
「えっ!なんで…」鏡を見た聖美子は驚いて小さく悲鳴を上げた。
スカートはパニエの効果でフリル一杯の裾が派手に末広がりになっている。
ハイウエストなので鏡に股間が少し映っているのが見えた。
正面から見られると膨らんでる部分も見えているかもしれない。
「こんなの…恥ずかしすぎます…」
「収まれば多少はマシになるわよ?」
やはり見えてしまっているようだ。でも、聖美子は恥ずかしさのあまりそれに対する反論を言い出せない。
モノがタイツで圧迫されている上に、上向きになったモノの先端がボリュームのあるパニエの下側に擦れてますます微妙な気持ちよさが増したのだ。
「おかしいわね?なかなか落ち着かないわね?」
「でも後は手錠を外さないと着れないだろ。
聖美子の手錠が外された。
しかし、やっと両手が自由になったというのに、スカートの下のモノを隠さずに顔を覆い座り込んでしまう。
進一は直接股間を隠したかった筈なのにそんな行動を取った自分に困惑した。
「チップの効き目は抜群なんだから~」
二体の美少女着ぐるみ婦警さんが聖美子の両腕を取り押さえて立たせる。
しばらく聖美子はイヤイヤを繰り返したが渋々立ち上がった。
スカートの下の膨れてるモノが気になって内股になってモジモジしてしまう。
「次は上着よ。」
ロリータ風のフリルブラウスが用意された。
フリルにリボンがこれでもかといわんばかりにあしらわれた衣装に目が釘付けになる。レースの柄も可愛い。
進一はその上着を見て今までと違う感情が湧くのを覚えた。
「どう?可愛いでしょう?着てみる?」
聖美子がコクリと可愛く頷く。
羞恥心が消えたわけではないが衣装に対する興味が勝った。
上着を受け取って袖に腕を通す。柔らかな生地が肌を撫でる感覚が気持ちいい。
両腕を通して前のボタンを順番に留めると上半身が心地よいフィット感に包まれる。
聖美子が可愛く深呼吸をしてなんとか息を整えようとする。
女の子の服ってこんなに刺激的なものなんだろうか…進一は呆然としながらそんなことを考えていた。
鏡の中で着飾った聖美子がこちらを見ている。
「あらあら、なに呆けているのかしら?」
「もー超可愛いんだから~」
「見惚れてるんじゃねーのか?」
「い、いえ…」
「あら。じゃ、何かしら?」
そうじゃないんだけど、なんといえばいいんだろう。
改めて鏡を見てみる。まるでアニメから飛び出したような美少女着ぐるみが目の前にいた。手を頬に添えてみる。
「あれは絶対自萌えしてるんだから~」
「みんなそうだったのよ。」
「確かに自分も最初は衝撃が走ったぜ。」
ギャラリーが勝手なことを言いながらみているけど、進一の耳には届いてないようだ。
聖美子は自分の立場を忘れて暫く鏡の前で顔に手をやったり両肩を抱いたりして自身を眺め続けた。
「アレ、まだ治まらないんだから~」
「そろそろいいだろう。」
「ふふふ、そうね。」
「これから取り調べをするんだから~」
その言葉で聖美子の身体が硬直した。
「あら、お人形さんになっちゃった。しかたないわね。こっちに連れてきて。机の前に座らせるのよ。」
「しょーがねーな。」「等身大のお人形さん遊びみたいなんだから~」
美少女着ぐるみ婦警さんが二人で肩と腕を掴んで取り調べの机まで聖美子を歩かせる。
前に置かれた椅子は、座面がお尻の形に窪み、左右を隔てるように中央が少し盛り上がってなだらかなカーブを描いている。
更に中央付近が僅かに小山のように飛び出ていて先端に小さな穴が開いていた。
座面の左右の太ももが乗る部分と背もたれに金属のような光沢がある。
おぼつかない足取りの聖美子を抱えるようにしてなんとか座らせる。
お尻に当たる違和感と金属の冷たい感触が硬直している聖美子を現実に引き戻した。
「はい、逃避はここまでよ。」指で聖美子の額を突くと瞬きをして首を振った。
「あ、あの、足が… あと…お尻が…」恥ずかしくてどうしても最後まで言い出せない。
聖美子の肛門に座面の突起が当たっているのだが、椅子の脚が高く聖美子の足が床に届かないので腰を浮かして逃れることができない。
また、座面が背もたれ側へ行くにしたがって沈んでおり背もたれも曲面で背後へ傾斜しているので身体が椅子に沈み込むように密着する構造だ。
座る位置をずらすことができない。腰をよじって逃れようとしても逃れられない。
むしろ動く方が刺激が強調されてしまうようだ。
更にエアコンが効いているのか足に伝わる感触がスースーして心もとない。
両足をモジモジさせスカートの裾を摘んで隠そうとしても膨らんだ股間を隠すのが精一杯だ。
隠さずにいるのも恥ずかしかったが、下手に隠し続けても隠し切れずなおさらそこに視線が集まりやはり恥ずかしい。
けっきょく両手は顔を覆ってしまってうつむくばかりだ。
「じゃ、ロックして。」
はーい、と答えて美少女着ぐるみ婦警さんが「これでトドメよ」といわんばかりに椅子の金具にベルトをつけて聖美子の四肢と胴体を固定してしまった。
もう、どうにも逃れられない。
仕方なく聖美子は大人しく座ったが、時々局部に感じる違和感や足の不安感から自然に腰や足が動いてしまい、その度に羞恥心が襲った。
また聖美子の息が乱れる。お尻の刺激による高揚とその刺激から逃れるための運動で息が上がったのだ。
「最初に着たスーツは水分を通すようにできているの。動いたり風があたるとまた気持ちいいでしょ?」
いえ不安なんです、進一は心の中で訴えたが聖美子はうつむいてしまう。
「さっきから足の動きが止まらないんだよな。」
「大丈夫、そのうちこれが良くなるんだから~」
どうやら見透かされているようだ。
とにかく着せられた衣装が密着して全身が敏感になっていた。
聖美子はますますうつむいてしまう。
「はじめるわよ。名前は桜小路聖美子。15才。今年から高校1年生。筋金入りのお嬢様ね。」
「え?…それって…」
「聖美子さんは普段から食べ物の好き嫌いがあったそうね?」
「え!?何で…」
誰にでも多少の好き嫌いはある。しかし、進一はそう指摘されて驚いた。いや、聖美子がそう反応してしまうのだ。
「質問してるのは私よ。どうなの?」
「そんなことないで… ひぁっ!」
何かが噴出音とともに聖美子の肛門を割ってお尻の中に入り込んでくる。
ありえない違和感に思わず悲鳴を上げる。下腹部に湧き上がる圧迫感に口をパクパクさせる。
お腹が少し持ち上がるような格好になって股間の膨らみが強調されてしまうが、どうすることもできない。
「もうやったのか?」
「そうみたいね」
「その椅子はね、嘘発見器なんだから~」
「座面と背もたれにセンサーがあってな。おまえさんが嘘をつくと直ぐに分かるのさ。」
「え!?なにそれ… ヒドイ!」聖美子の表情が驚きを露にする。
「で、嘘が分かると座面の穴からガスが噴き出すんだよ。」
「ちょっと臭うんだから~!」
芋を食べたときに気を抜くと出る特有の臭いのするあのガスと同じ臭いが微かに漂う。
「うふふ、少し漏れたようね。でも、あまり嗅ぎたくはない芳ばしい香りね。」
聖美子の表情が強張る。
「ガスは香りだけの無害なものだけど、臭いは本物よりかなり強烈よ。ジェットの勢いで細く高速に噴射されるの。うまく座っていれば漏れずに肛門内のチューブに注入されていくわ。」
「でもお尻をずらしてると嘘がばれたときは漏れちゃってチョー悲惨なんだから~」
「ガスの注入口の奥には弁があってな、逆流しないのさ。しかも肛門と完全に密着してないだろ。気が緩んだらさっきの程度じゃすまねー。隙間から全部漏れるって寸法だ。」
「肛門内のチューブと避妊具は破れないでガスの量に応じて膨れるからその点は心配しないでいいけど、正直に話したほうが身のためよ。いいわね?聖美子さん。」
「!」聖美子の両目が大きく開かれる。
矢継ぎ早に繰り出される美人着ぐるみ婦警さんの説明が遠くおぼろげに聞こえる。
聖美子はうなだれる様に首を縦に振った。
名前を言われた後で年齢と学年が間違ってると言おうとしたけど、言わなくて助かったのかもしれない。
少しするとお尻と足に続いて下腹部に加わった違和感が再度現実に引き戻す。
圧迫感が気になるけど動けないしどうしようもない。
勘弁してくれー!進一は叫びたかったが、聖美子は口をパクパクするだけだった。
「よく聞きなさい。『私はお腹が空いたので食事を頼みました。私のために机に用意された丼をみたら見たくもないほど大嫌いな油揚げが乗っていたので一度も箸を付けずに机を払い退けました。勿論机を払うと丼が倒れ中の食べ物がこぼれて台無しになることはよくわかっていました。』」
「よって○月□日△時◇分、丼物を正しく摂取せず不当に投棄した飲食物粗相法違反で現行犯逮捕、罪名は机毎食料倒損罪だな。」
「間違いないんだから~」
「い、いんしょくぶつそそうほう!?」そ、そんな法律は聞いたことが無い。
そもそも卓毎食料倒損罪っていったいなんなんだ?
それ以前に逮捕とかいわれて連れてこられたのはそれより前だったじゃないか。
聞きたいことや言いたいことが一杯あった。
しかしパニックに陥った聖美子は相変わらず可愛く口をパクパクさせるだけだ。
「ぶっちゃけると『ちゃぶ台返し』のことなんだから~ ほら、古い野球アニメのオヤジがやってるアレ。」
なんなんだこれは。出鱈目じゃないか。滅茶苦茶だ。
「あら?何かしら? 何かご不満でもあるのかしら?聖美子さん。」
どうやら顔に表れたようだ。
「いったいあなた達は何者なんですか? 私をどうしようというの?」
口調をコントロールされているので迫力に欠けるけど、やっと言いたいことが言えた。
三体の着ぐるみ婦警さんが顔を見合わせている。
暫くすると目配せをして向き直る。
「聖美子さん、あなたは前から着ぐるみに興味があったわよね?」
「え!? い、いえ… あひっ!」
プシューっと勢い良くガスが流れ込む。
自ら他人に着ぐるみ好きなことを話したことがない。
知られたくないという思いからむしろ趣味としては隠してきた。
気をつけていれば肯定して嘘にならずに済んだのかもしれなかったが、突然の話題変更に意表をつかれ思わず否定してしまった。
「2発目が入ったな。」
下腹部の圧迫感が増した。
聖美子の呼吸が深呼吸になる。
「着ぐるみは好きなのよね?」
聖美子がコクリと頷く。
「では、聖美子さんはどんな着ぐるみが好きなの?」
「あの、び…」
「び?なに?」
心拍が上がる。恥ずかしいけど腹をくくって答える。
「び!美少女着ぐるみが好きなんでっ!すっぅひゃ!」
勢い良く答えたためか大きな悲鳴とともにガスが注入される。
「早くも三発目なんだから~!」
「え?なんで?正直に答えた筈なのに…ハァハァハァハァーフゥー」
また鼓動が激しくなる。
「あれ?こいつは美少女着ぐるみが好きで着たんじゃねーのか?」
「ふふ、そうじゃないのよ。えっと、聖美子さんは動物の着ぐるみがお好きなようね?」
「…はい、特にパンダと熊の着ぐるみが…好きです…」
進一は動物の着ぐるみはあまり興味が無かった。恐る恐る答える。
何故か椅子のセンサーは反応しなかったようだ。
「アフーゥ」安堵の溜息を吐いた。
しかしお腹が大分苦しくなっていた。
「じゃ聞くけど、今着ている聖美子の着ぐるみはどう?気に入ったかしら」
進一は迷った。
最初は興味が勝ってこの怪しい連中に付き合ってみたが、やはり異常だ。
しかしそれさえなければこの着ぐるみは素晴らしくて欲しいぐらいだ。
気に入ったと答えればガスは免れるだろう。しかし、この後、更にこの怪しい連中の罠に陥りそうだ。
しかし気に入らないと答えればガスが注入されるに違いない。
どちらも願い下げだった。
「この着ぐるみどう?気に入ったかしら?」
「どうなんだ?」
「気に入ったんだったら~」
「正直に答えたほうがいいわよ?」
「はい。き、気に入りましたーっあひいいぃゅぅ!」
ぷしゅーーーーー! っと今までより長めにガスが注入される。
「な、なんで…どうしてなの!?」
進一はパニックになっていたが、理不尽さが言葉となって聖美子の口をついて出た。
「うふふ、嘘発見器なんて、う・そ・よ。」
人差し指を立てて左右に振りながら嬉しそうにいう。
「最後のはご褒美に大サービス。」
な、なんて連中なんだ。
進一の下腹部は我慢の限界に達していた。
とにかくトイレに駆け込みたかった。
普段の進一でさえ人の前ではオナラを我慢するのだから、聖美子が人前でオナラをしてしまったらどうなることか想像できなかった。
「あ、あの、ベルトを外してください。こんな変な事して何が望みなんですか?」
三体の着ぐるみ婦警さんがまた顔を見合わせる。
「意外とガード固いわね?」
「そろそろベルト外してやるか?」
「その前に最後の質問するんだから~」
「そうね…」
こっちを見る。
「望みはね… これはむしろあなたが望んだことなのよ? 聖美子さん。あ、この場合は進一くんといった方がいいかしら?」
「おまえさん、この着ぐるみを見て着たいと思ったんだろ?」
「そ、それは、こんなことになるだなんて…」
「そうかしら? あなた、真っ先に着ぐるみの穴がどうとかいってスーツを確認していたわね?」
「これがどういう目的の着ぐるみか分かった上で決めたんでしょう?」
「え!? わ、わたしは…ふわっ!」
またプシューッとガスが注入された。
「はうっ!あうっ!えっ!ううっ! うぇっふぇっえっくふっ はーふーはーふーっ」
聖美子の口から嗚咽が漏れる。後は声にならず小さな口を大きく開けて深呼吸をしている。
「もうそろそろ限界のようだな?」
「大分入ったんだから~」
お腹の圧迫感が突発的に高まる。
椅子の注入口が肛門に当たって刺激を発し緊張が途切れそうになる。今にもガスが漏れそうだった。
手で肛門を押さえたいけど、椅子に固定されているので歯を食いしばって肛門を閉める。
「うふふ、なんだか凄い形相よ?聖美子さん。折角の美少女が台無しだわ。」
鏡を見てみる。悲壮な表情の聖美子が息を荒くしてこちらをみてる。何を訴えかけているのかは進一が一番理解している。
「落ち着いて深呼吸してみるんだから~」
聖美子が大きく深呼吸をする。
少し楽になった。でも、いつまで耐えられるか分からない。
首を振って耐える聖美子の両目が、さっきこぼしてしまった丼をとらえる。
進一はとうとう自分の負けを認めた。聖美子が堰を切ったように懇願する。
「私が間違っていました。これからは好き嫌いしません。食べ物を粗末にしません。もう許してください。うああああんうぇっうぇっひぐっひぐっううぅはふーはふーー」
「あらあら、いきなり素直になったわね?」
「い、いいんじゃねーの?」
「効果抜群なんだから~!」
「もう一度確認するわ。 その誓いを忘れちゃだめよ? いいわね?聖美子さん。」
「…うぇっうぇっぐすっぐすっ」
ガスのスイッチを机上に出す。「返事は?」
「!ぅぅ…約束します。ひっくひっく…」
「いいコね、聖美子さん。」
「それじゃ、これが本当の最後。」
「ひっくひっく… え? まだなの? 何をするの?」
そういうと、美人着ぐるみの婦警さんが引き出しからなにやら冊子を取り出して聖美子の前に差し出す。
製品カタログのようだが、表紙を飾っているのは人型や動物やロボットの着ぐるみだ。
中には野菜やなんだか良く分からない形のものまである。
美人着ぐるみ婦警さんが意味ありげに目配せをすると、二体の美少女着ぐるみ婦警さんが聖美子を拘束しているベルトを外しにかかる。
「あなた、私たちの仲間にならない? ここではいろんな着ぐるみを作ってるんだけど一緒に新しい着ぐるみを開発する気はない?
な、一体何を言ってるのだ? 突然の展開に進一の思考が止まる。
「たしかに前代未聞の異常なデモンストレーションになってしまったけどな。面白くてやりがいのある仕事だぞ?」
「たまにショーをやったりもするんだから~ もちろん普通の着ぐるみショーなんだから~」
進一は驚いた。
将来、着ぐるみの仕事ができたらいいと思ったことはあったが、ネットで調べた限りではどれも自分の理想とかけ離れていて躊躇していた。
というより、自分の特殊性が分かっていたから諦めていたといっていい。
しかし、この着ぐるみは進一が夢にまで見た理想の着ぐるみだった。
聖美子の拘束がすべて解かれて自由になる。
今までの理不尽な仕打ちもすっかり吹っ飛んでしまった。
今までの理不尽な仕打ちもすっかり吹っ飛んでしまった。
目の前のカタログへの興味が下腹部の圧迫感を打ち負かした。
両足をエアコンの風がくすぐる不安な感じも今はなんだか心地よく思える。
股間の膨らみが受ける微妙な刺激は相変わらずで、さすがに少し気になるけど…
目の前の美人着ぐるみ婦警さんが焦らすようにカタログをひけらかす。
受け取るために腕を伸ばすがとどかない。
拘束は解けたけど腰が深く沈んでるので自力でうまく起き上がれないのだ。
起き上がろうとしてお腹に力を入れようとしたらまた圧迫感がぶり返してきた。
しかし進一はやっとカタログを手にすることができたことがうれしくてパニックを起こしかけていた。
「別に今決めなくてもいいのよ。興味があるならいつでも見学にくるといいわ。可能な範囲で説明してあげるわよ。」
夢のような話に進一頭の中が真っ白になった。
「え!? あ!? だめよ! こんなところでなんてだめ… うそっ! あふっ! やだっ! はうっ! ひぃっ!」
三体の着ぐるみ婦警さんたちは申し合わせたようにどこからともなくガスマスクを取り出して装着する。
その直後、とうとう進一の緊張の糸が切れてしまった。
「いや~~~~~~~~~っ!!」
聖美子の悲鳴はもうひとつの音をかき消すほどにすさまじかった。
…
暫くして静寂が訪れた。
「あらあら、この子気絶しちゃったみたいね?」
息はしているようだ。脈を計りながら美人着ぐるみ婦警さんが言う。
「どうする?」
「決まってるじゃない。最初のコレ使うわよ。」
「そうこなくっちゃなんだから~」
「望みは最後までかなえてあげなくちゃ、ね。」