俺は刈谷一樹。
今、アルバイトから帰って一人暮らしの部屋で幼馴染みの二葉明日香を待っている。
今日はバレンタインだが、もうすぐ日付が変わる。

話は数時間前に遡る。
アルバイトの同僚で大学生の阿波四葉が俺は気になっていた。
昨年のクリスマスイブ、2人でシフトに入りお互い恋人がいない事が分かってから少しずつだが距離が縮まって来ている気がしていた。
彼女も俺の事を気にしている様子が見受けられた。

そして今日のバレンタイン、彼女はバイト中、何か落ち着かない様子。
俺と何度も視線が合い、その度恥ずかしそうに俯いていた。
俺はバイト終わりでチョコが貰えると確信していた。

しかし、バイトが終わると彼女は「お疲れ様でした」の言葉を残し足早に帰っていってしまった。

“思い過ごしだったか“
深い溜め息をついた。
期待していた俺は膝から崩れ落ちそうな体を必死に支えて家路に着いた。
バイト終わりで2人で何処へ行こうかなどと楽しい妄想を繰り広げていた俺にとってはショック以外なにものない。
バイト中、頭の中では四葉と過ごす楽しい想像ばかりして、それを疑わなかった。

そしてそれは昨年末から育んできた四葉との関係が終わったことも意味していた。

彼女にはおそらく彼氏ができ、彼氏との約束が待ち遠しくて落ち着かないだけだったのだろう。
俺と視線が合って恥ずかしそうにしていたのは、ソワソワしている自分を見られたのが単に恥ずかしかっただけなのだろう。
そう考えると全て合点がいった。

帰る途中、明日香から電話がかかって来た。
「今日はあんた、バイトでしょ!」
「ああ」
朝、明日香にたまたま出会った事を思い出した。
落ち込んでいる俺とは裏腹に明日香はハイテンション。
「帰ったら家で待っててよ!」
「いいけど、何?義理チョコでもくれるのか?」
「まあ、そんなとこかな」

バイト終わりで家に帰るともう23時を回っていた。
そのまま、ソファーへ寝そべる。
明日香が来る頃には日付が変わっていそうだなぁと思った。

「ピンポーン!」インターホンの音で目が覚めた。
ショックから立ち直れず、横になりそのまま眠ってしまっていたようだ。
時計は午前0時を回っている。

「バレンタイン終わってるよ」
と呟きながら玄関へ。
扉を開けるとフードまで被った黒いダウンコートを着た人が立っている。

フードを取るとそこにはアスカ・ラングレー。
寝ぼけまなこだった俺は目を見開いた。
「アンタ、バカぁ!」
決め台詞のまま俺の部屋へと大きな段ボールの載せた台車とともに遠慮なく入ってくる。

玄関に入るとダウンコートを脱ぎ捨てる。

現れたのは赤い光沢のあるプラグスーツに包まれたアスカ・ラングレー。
夢でも見ているのかとキョトンとしている俺のほっぺをアスカがつねる。
「痛え!何すんだよ」
俺の言葉にアスカが口を動かずに反論する。
「一樹、アンタ行くって電話したのに寝てたでしょ」

目の前にいるアスカはやはり幼馴染みの明日香。
俺もコイツもエヴァの大ファンだ。
そして明日香の実家はマニアックなフィギュアも取り扱うおもちゃ屋。
俺も何度となくお世話になっている。

アスカのリアルフェイスをつけた明日香は履いていたエナメルの赤いロングブーツを脱ぐと台車で運んできた段ボールをリビングへとグイグイ押していく。

明日香が俺の制止を聞くわけがないので、好きなようにさせる。

リビングに運び込んだ段ボールをカッターで解体を始める明日香。
「これが義理チョコか?」
俺の質問には答えず明日香は箱を開いた。
中には銀紙に包まれた人のようなものが、女の子座りをしている。

明日香がその横に同じポーズで座る。
「なるほど、そうなっているのか」
思わず声が出る。

「おお、凄え!」
大きさもさる事ながら、アスカの実物大チョコとは。

驚き興奮している俺に特に関心を示す事なく明日香は玄関へ歩き出した。
「すごいよ!これ貰っていいのか?」

「ええ、いいわよ!」
明日香は立ち上がると、玄関へと歩き出す。
ギシギシと音を立てて、ブーツを履き、ダウンコートを羽織る。
「じゃあ」
アスカは全く表情を変える事なく帰っていった。
アイツは一体どういう心理をしているのだろう。
長い付き合いだがさっぱり分からなかった。しかし、今の俺にとってはそんな事はどうでもいい。

早く実物大のアスカ・ラングレーのチョコを拝みたいので玄関を施錠してリビングに戻る。

楽しみは最後にということで、足元から銀紙を外していく。
部屋がチョコレートの甘い香りに包まれていく。
足元を見る限りプラグスーツを着たアスカをモデルにしたチョコのようだ。
今からこのチョコをどうしようか悩む。
飾ったり写真は取るのは勿論だが、最終的に食べるのにはかなり躊躇しそうだ。

いよいよ、チョコでできたアスカとご対面という時に異変に気付いた。
顔の銀紙が揺れている、まるで呼吸する様に。

俺はキョロキョロと部屋を見渡す。
やはりエアコンも扇風機も動いていない、なのに銀紙が揺れている。

チョコの中に人が入っているのか。
動揺し実物大チョコから少し離れ様子を伺う。

離れて見ると銀紙は揺れていない。
近くで見てみるが、銀紙は揺れていなかった。
俺の見間違いか、少しの風で揺れたのだろうと自分を納得させ、今度こそチョコアスカとご対面。

「おお!」
思わず声が出る。
見事なアスカ・ラングレーがそこにはいた。
抱きつきたくなるが、相手はチョコ。
壊れてしまうかもしれない。

取り敢えず、いろいろな角度から写真に収めていく。
「凄えなぁ」
俺の口からは感嘆の声しかでなかった。

自宅で一人。
大好きなキャラがチョコになっている。
唇はどんな味なのだろう。
当然、チョコに決まっているのだが。

俺はゆっくりとアスカに顔を近づける。
目的は甘いキス。
こんな姿を明日香に見られたら何を言われるか分からないなぁと思いながらチョコアスカにどんどん顔を近づける。

もう少しで唇と唇が触れそうな時、俺は顔に温かい風を感じた。

ビクッとして、途端にわれに帰る。
チョコアスカと距離を取り、再び様子を伺おうとした時、“ピンポーン!“ スマホに着信。
二度びっくりし心臓の鼓動が速くなる。

スマホを確認すると、明日香からLINEが入っていた。

驚かされたことに少し腹を立てながら、内容を確認する。
“チョコは固いが、叩いてやると簡単に割れてたべやすいよ(笑)“と書いてある。
「そんなにすぐ食べねぇよ」
スマホに向かって言い放つ。

そんなことより、さっきの温かい風は何だったのか。
近づいてチョコでできたアスカの顔を調べる。
アスカの鼻には穴が開いていて、そこから温かい風を感じた。

俺はチョコアスカの鼻の穴を塞いでみた。
風が出入する感覚はない。
明日香の言う通りチョコは固く指の熱で溶けてくる感じが全くない。

“ピンポーン!“
また、ビクッとしてスマホを確認。
またしても明日香。
今度は動画が送られてきた。
かなり容量の重い動画。
先ほどと同じタイミングで送ったが、文章だけが先に届いたのだろう。

スマホに手を伸ばした時、チョコアスカの鼻を塞いでいた指が離れると同時に息を大きく吸い込むような音がした。

またもビクッとしながらも、送られてきた動画に秘密があると思い、チョコアスカを調べるのを一旦中止して動画を見る。


『はーい、一樹!』
そこには赤いプラグスーツを着たアスカが2人が並んで手を振っている。
一人は恥ずかしそうにしている様に見える。
元気に手を振っているアスカはリアルフェイスを外し顔を露わにした。
中身は明日香。

『独り身で寂しい一樹にチョコをプレゼントしてあげよう!』
そういうと明日香は隣に立っているアスカの背後へと回る。
そして、ウイッグを少し上げるとリアルフェイスマスクのファスナーが見える。
そのファスナーの二つあるツマミをくっつけると小さな南京錠でロックした。

小さな南京錠の鍵を手にすると、その横で明日香は笑顔を浮かべている。

次にリアルフェイスマスクの南京錠を仕舞い込むようにプラグスーツの首元を閉めていく。
そしてプラグスーツの首元のファスナーも同様に南京錠でロックした。

これでアスカのコスプレをした女の子は容易に自分の正体を晒せなくなったわけだ。

ゴクリと生唾を飲んで、俺のすぐ横で微動だにせずに座っているチョコアスカを見る。


その間にも動画は流れる。
南京錠の鍵を二つ並べて顔の横で持つ明日香。
『一樹!鍵、しっかり探してね』
明日香がそう言って場面が切り替わった。
女の子座りしたアスカは今のチョコアスカと全く同じ形。
体にはラップの様なものが巻かれて、じっとしている。
フレームインして来た明日香の手にはボールに入った溶けたチョコ。
それをアスカの頭からかけて塗り始める。

ここで場面がまたも飛んだ。
今度は全身が茶色一色のアスカが映る。
だが、チョコアスカには程遠くただのチョコの塊。
鼻のところにチューブが2本飛び出ていることから、中に人が入っていることは確認できる。
明日香がフレームインして来て先ほどの鍵をまだ固まっていないアスカの体に埋め込んでいるが、カメラの位置が悪く動画からでは分からない。

再び場面は飛ぶ。
映し出されたのは薄い緑色をした型の様なもの。
そこへ明日香が現れて、型を外していく。
よく見ると型からチューブが2本伸びている。
型が外されると前後の型で成形されたチョコアスカが現れる。
チョコアスカは型と型の間に余ったチョコが漏れ出てバリが出来ていた。
それを明日香が綺麗に外して仕上げをして完成。
途中から動画は早送りになっていた。

「中身は女の子よ、早く出してあげてね」と
ここで動画は終わっていた。

動画が終わり、音が無くなったことから自分を見られていると感じているチョコアスカの中の女の子は息を殺している。
鼻の穴に近づくが温かい風は感じない。

そんな健気な女の子を俺はいじめたくなっていた。

また、鼻の穴を塞ぐ。
今度はどれくらい耐えられるか、そして苦しさのあまり声を出すことを期待して。
10秒… 20秒… 30秒経った辺りで指先に温かい風を感じる。
1分を過ぎるとかなり苦しいようで、指先に吸い付いたり押し除けようとする圧を感じる。

どんな女の子かも分からないので、あまりいじめても可哀想かと思い指を離す。
「すぅーすぅーすぅーすぅー」
荒くいっぱい空気を吸おうとしているのが、よく分かるが、女の子の声は聞こえなかった。
でも、中の女の子の必死さに俺は興奮していた。

ものの5分も経たない内にまた鼻の穴を塞いでみる。
1分ほどして指を離す。
先ほどと同じように荒い呼吸。
それに合わせて俺はチョコアスカの尖ったように突き出ているプラグスーツで分からないが乳首の辺りを舐めた。

甘い、やっぱりチョコ。
勢いよく舐めたのでチョコが溶け始めた。
女の子の荒い呼吸がまるで興奮しているようで、俺の舌の動きも激しくなる。


そんなことを何度か繰り返していると、“ピンポーン!“スマホに着信。

明日香から“もう出してあげた?“と。

誰がチョコに閉じ込めたんだよと思いながら、“出してあげたよ“と返す。
間もなく、“鍵をしっかり探すのよ“と返ってきた。
返事はせずに俺はチョコを解体する事にした。

先ほど舐めて溶かした胸の部分が薄くなっていると思った俺はノックするように叩いてみた。
他の部分も叩いてみるが、音が軽い場所は薄いようだ。
叩いてチョコを割れそうな道具を探すが、DIYなどしない俺の部屋にはそんな都合の良い道具はなかった。

チョコアスカの背後に回ると、これで壊してくれと言わんばかりにプラスチックハンマーが置かれていた。

明日香が予め用意したものであることは明白であった。
俺はこのハンマーを使ってチョコアスカの解体を始めた。

少し叩いたくらいでは割れないが、気をつけながら少しずつ力を込めて叩いていくと、チョコに亀裂が入った。
亀裂を広げるようにして慎重に解体を続ける。
中に入っているのが女の子と分かっている以上手荒な事は出来ないが、急いで解体を進める。

チョコが剥がれ落ち中が見えた。
ラップ越しだが赤いプラグスーツが見える。
剥がれ落ちたチョコはタッパーに入れていく。
プラグスーツの見える範囲が大きくなっていくに連れて、俺の欲望も大きくなっていく。
“抱きつきたい、体を触りたい“
そんな衝動に駆られ、気づけば額に汗をかきながら解体をしていた。

顔のところは流石に叩けないと思っていたが、亀裂がうまく伸びていき顔の部分は叩く事なく割れた。

ラップで固定されたアスカを解放すべくハサミを使ってラップを解いていく。
ラップが解かれると、「ふぅ!」という声とともにアスカは床に寝そべってしまった。
肩を軽く叩いて「大丈夫?」と声をかけるとアスカはプラグスーツをギシギシと音をさせながら座り直し、指でOKサインを作った。

また、女の子座りに戻ったアスカは俺の部屋の中をキョロキョロと見ている。

明日香が連れてきたこのアスカの中の女の子は誰だろう?
男性の家に1人置いてかれて襲われたらとか考えないのかと頭を捻る。
それとも明日香から俺は人畜無害とでも教えられたのだろうか。

それにしてもリアルなプラグスーツにリアルなアスカのマスク。
舐めるようにして見てしまう。
見れば見るほど抱きつきたい衝動が膨らんでいく。

「あのー」
俺の言葉にアスカは首を傾けて“なんですか?“といったポーズを取る。
“可愛い!今すぐにでも飛びつきたい“
衝動を必死に抑え、言葉を選びお願いする。
「あのー、ハグしてもいいですか?」

アスカは顎の辺りに人差し指を当てて考えている仕草をする。
そしてその指を離すと立ち上がり俺の方へ近づいてきた。
見下ろすアスカ、見上げる俺。
“怒ったのだろうか“
ドキドキしているとアスカはしゃがみ込み座っている俺に抱きついてきた。

「え、あ、」
動揺する俺を押し倒すようにして抱きついてくるアスカ。
アスカの体重が体にかかる。
胸の硬質パーツが痛いが、今は我慢。
“すごく幸せだ!“
アスカを強く抱きしめた。

アスカの顔がすぐ近くに。
向こうからは俺が見えているだろうけど、俺からはアスカの中の女の子の目すら見えない。
ただ、アスカの熱を帯びた息が顔にかかる。

近すぎて口づけしそうな距離。
それに気づいたアスカは恥ずかしそうに俺から離れ、背中を向ける。

背中を向けたアスカに後ろから俺は抱きついた。
アスカは振り解くことなく受け入れ、俺の腕を握ってきた。

「プラグスーツ暑くない?」先ほど抱き合った時、中の女の子の息が熱を帯びていたので少し心配になった。
本心は彼女の顔を見たい気持ちが大きくなっている。
俺の質問に彼女はコクリと頷いた。

プラグスーツを脱がすに当たって問題を思い出した。
南京錠の鍵が見つかっていない!
大量のチョコの中から鍵を二つ見つけないと彼女を解放することができない。

いくつものタッパーに分けて入れたチョコを今から全部食べる訳にもいかない、早く出してあげないと中の女の子も心配だ。

チョコを全部鍋に放り込んで溶かして探そうかとも考えたが、一人暮らしの俺の家にそんな大きな鍋はない。
必死に頭を捻る。
“ ! “ 「そうだ!」
寝室の隅に金属探知機があるのを思い出した。
友人たちと浜辺で小銭を探そうと購入したが、それほど成果が上がらず、その後いつの間にか俺の家に置かれていた。

タッパーにチョコを小分けにしてから、並べて金属探知機で探す。
タッパーの3つ目と4つ目に反応があった。
「やったー!」
金属探知機を置こうとした時、7つ目のタッパーからも反応があった。
「あれ?鍵は二つのはず」
不思議に思いながらもそれぞれのタッパーから、鍵の入っているチョコ片を特定した。
それらのチョコ片をハンマーで割って鍵を取り出すことにも成功。

二つは南京錠の鍵のようだが、一つは南京錠の鍵とは違う。
明日香が誤って混入してしまったのかと思い別の場所に置いておく。

まずはプラグスーツの南京錠を外す。
プラグスーツの背中のファスナーを開き、上半身を脱がそうとするがグローブが邪魔をする。
二の腕まで覆うほどの長いグローブ。
プラグスーツの上半身を脱いだことで、ロンググローブは指先を引っ張ってやることで脱がせる事ができた。

これでようやくプラグスーツの上半分を脱がせることが出来た。
プラグスーツの下は、裸かと思ったがシリコンラバーの肌で覆われ、その上に赤い水球水着を着ていた。

プラグスーツを脱がせるのを続ける。
アスカは抵抗することなく、俺が脱がせるのに従う。
明日香ならこうはいかないだろう。
中の女の子は従順な女の子を連想させる。

プラグスーツを引き下げるとくびれのある腰から張りのあるお尻が現れる。
シリコンラバーの肌に赤い水球水着の微妙な食い込みがなんとも言えない。

そのままプラグスーツを引き下げていくと、すぐに太ももまで覆う赤いサイハイブーツが現れた。
「やっぱり!」
グローブの時と同じように簡単にはプラグスーツが脱げないようにしているようだ。

一旦、プラグスーツをふくらはぎ辺りまで脱がせてから、サイハイブーツの膝からくるぶしまであるファスナーを下ろす。
それから、サイハイブーツだけを引っ張り脱がせてやる。
こうして、ようやくプラグスーツを脱がせることができた。

赤い水着姿となったアスカもなかなかのもの。
中の女の子のスタイルがいいからだろうか、大きなお椀型の胸に、くびれた腰、張りのあるお尻が水球水着の中で窮屈そうに収まっている。

完璧とも思えるスタイル。
これは中のシリコンラバーで造られた体かも知れないが見惚れてしまう。

アスカの中の女の子の顔を見たい気持ちを抑えて、水着を脱がせていく。
水着を脱がせると窮屈に収まっていた胸やお尻が弾ける。

従順なアスカの中の女の子。
水着を脱がせていると、恥ずかしそうな仕草をするだけで抵抗はしない。
水球水着の背中のファスナーを下ろし、脱がせていくと、先ほどまで水着に押し潰されていたシリコンラバーの胸には乳首がピンと勃っている。

それを軽く撫でてやると、アスカはピクンと反応した。
まるで中の女の子が乳首を触られたような反応。
この子を今すぐにでも抱きしめたい気持ちを抑えてマスクを外すのに取り掛かる。

さあ、いよいよ、中の女の子とご対面だ。
金属探知機で見つけた南京錠の鍵を手にアスカの後ろに回る。
南京錠の鍵を解錠し、アスカのリアルフェイスのファスナーを開く。
いよいよ中の女の子と対面という時に今まで従順だった女の子が俺の手を掴んだ。

抵抗するのかと思ったがそうではなかった。
中の女の子は俺の手を掴んだまま、俺の寝室の方へと歩き出す。

アスカのリアルフェイスは歩くたびに、前後に動いて脱げそうだ。

寝室に入ると、俺をベッドへ先に行かせる。
照明のついていない部屋で中の女の子は自らマスクを外した。
目が暗さに順応しないため、女の子の顔は分からない。
顔を見ようと目を凝らすと、女の子は布団の中へと消えていった。

俺のズボンを手探りで脱がされる感覚。
もう既にだいぶ前から勃起していた俺のアソコを女の子が引っ張り出し、シゴキ始める。

俺は女の子に身を任せることにした。
なかなか気持ちいい。
女の子の方はというと布団に潜って俺のアソコをシゴイているせいか、体温が高くなっているのが分かる。

苦しいだろうと思い、俺は女の子を布団の中から引っ張り出した。
本心は顔を見たい気持ちが大きかったからだが。

布団から出てきた顔を見て驚いた。
“顔が無い!!“
てっきり、モジモジくんのように顔だけ見えているものだと思い込んでいた。

顔がないだけでなく、目や鼻、口にも全く穴が見つからない。
“どうなっているんだ!“
ゼンタイ のような布なら呼吸も出来るし、視界も良くないが少しは見ることも可能だろう。
しかし、この女の子が着ているのはゴムだ。

心配をする俺をよそに女の子は顔を擦り寄せて、抱きついてくる。
肌触りは悪くないがやっぱりゴムだ。
“大丈夫なのか?“

今までのことを思い返す。
この素体の上にリアルフェイスを被り、プラグスーツを着て、ラップ拘束された上にチョコでコーティングされ、銀紙に包まれていた訳だ。

呼吸出来ない訳ではないし、見えていた筈だから問題ないのだろう。
そう思い直すと、俺は服を脱ぎ素体となった女の子を体全部で感じることにした。
そうすることが女の子の望みであるように思えたから。

女の子は甘えるように俺の腕の中へ入ってきた。
俺は愛おしいこの女の子をギュッと抱きしめた。

顔もさることながら、このシリコンスーツはどこにもファスナーが見当たらない。
どうやってこのシリコンスーツを着たのだろう?

俺はてっきりモジモジくんのように顔の所がポッカリと開いていて、ゴムの伸縮性を生かしそこからシリコンスーツを着たのだろうとばかり思っていた。

もしかすると、この女の子は明日香の手によってシリコンスーツに閉じ込められたのではないのかと考え始めていた。

女の子は積極的で俺に“もっと“と要求するように抱きついてくる。
肌が触れ合う感触は気持ちいい、それに中の女の子の体温がシリコンスーツ越しに伝わってくる。

俺のアソコはどんどん大きくなり、女の子のアソコに擦り付けたが、それを拒むことなく女の子はそれを受け入れた。
お互い肌と肌は触れ合えない分余計に互いを愛おしく感じ激しく絡み合う。

キスをするように顔を擦り寄せ合うと、女の子の呼吸を感じた。

このシリコンスーツがなければ、この子と結ばれることができるのに。
そう思うと明日香に対して腹が立ってくる。

しかし、この状況を作ってくれたのも、また明日香であると思い直し怒りを鎮める。

抱き合いながら考える。
一体、この中の女の子は誰だろう?
男の部屋に1人で来て何をされるか分からないのに、怖くないのだろうか?
それとも俺のことが好きで身を捧げる覚悟があるのだろうか?
そういえば、ベッドに誘ってきたのは女の子の方からだった。

誰だろう?
いろいろ考えを巡らせても俺の中には1人の女性しかでてこない。
“四葉ちゃん?“

しかし、彼女はバイトが終わると慌てて帰ってしまった。彼氏に会うとばかり俺は思っていたが、よくよく考えれば彼氏に会うのなら休みを取れば済む話だ。

“!?“
もしかして、アスカのコスプレをしてチョコに入る為に早く帰ったのか。
ソワソワしていたのも、今の状況を考えると合点が行く。
チョコに閉じ込められて俺の家にやって来ると考えるだけでバイト中、落ち着かないだろう。

そう言えば、明日香がバイト先に来ていた。
そして、四葉が明日香と親しげに会話しているところを何度か目撃していたが、俺はたいして気にも留めていなかった。

俺の中で点と点が繋がり、線となった。

俺がいろいろと思考を巡らしていると、シリコンラバーの素体となった女の子は布団に潜り込んで俺の勃起したアソコを優しく握ると扱き始めた。

なかなかのテクニック。
優しく擦り上げて、グッと力を入れて掴まれるを繰り返し俺のアソコは更に硬く大きくなっていく。

俺は我慢出来なくなり、布団を捲り上げる。
素体の女の子の手を一旦止める為に。
しかし、布団から現れた女の子はそんなことには構わず、扱くスピードを上げていく。
そして、愛おしそうに俺のアソコを顔に擦り付けた時、我慢し切れずに射精してしまった。


当然のように素体の女の子の顔に俺の精液が大量にぶっかかる。
その精液も大事そうに顔中に塗りたくるようにする素体の女の子。

中身が四葉だとしたら、ここまで大胆になれるのかと感心してしまう。
普段のバイトの彼女からは到底想像が出来ない。

俺は顔にかかった精液を拭き取ってやると、自分の残りも簡単に処理し、再び素体と抱き合った。

抱き合いながら中身の女の子を出すべく、開口部やファスナーを手探りで探すが、なかなか見つからない。
どうやって、これを着たのだろう。
そんな事をしている間に俺のアソコは再び元気を取り戻していた。

それに気づいた素体の女の子は自分の股へと俺のアソコを誘導する。
そして俺のアソコを強く握ると自分の体へと押し込んだ。
妙な感覚の後、俺のアソコは熱を帯びたところへと入り込んだ。
それと同時に暑い吐息が素体の顔から漏れる。
俺は顔も見ていない女の子と合体した事を理解した。

相手から望んだことだ。
素体の女の子を下にし、俺が覆い被さる形になると、遠慮なくそのまま素体を突くように腰を振る。

素体の女の子は俺と手を繋ぎ、頭を激しく横に振るが声は出さない。
ならばと、俺は激しく腰を振り続けた。
そして俺も素体の女の子も逝った。
素体の股の割れ目から引き抜くと精液が流れ出る。

“中出ししてしまった“
勢いに任せて。

素体の女の子、おそらくは四葉に少し申し訳ない気持ちと同時に明日香の顔が頭をよぎった。
自分でもよく分からないが、この状況をセッティングしてくれたのに、本能に任せて四葉と交わったことがとても悪い事をしたような背徳感。

苦しそうに呼吸する素体の女の子を解放すべく横たわる素体の開口部を探る事にした。
程なくして背中に長く縦に走る窪みを発見。
指に力を込めると、指がシリコンラバーを裂いて入っていき指先にファスナーの感触。

ファスナーのツマミを探しながら、シリコンラバーを指で裂いていく。

ツマミは頭の天辺に存在した。
さて、ようやく解放してあげられると思ったが、ファスナーが全く動かない。
力を込めるがびくともしない。

ツマミの辺りもシリコンラバーを裂いて確認する。
見たこともないファスナーで、カギ穴のようなものがある。

俺の中で何かが閃いた。
先ほどのチョコの中から3つの鍵を見つけたことを。
2つは南京錠の鍵だとすぐに分かったが、1つだけ全く種類の違う鍵だった。

「あれだ!ちょっと待ってて」
そう言うと俺はベッドを飛び降り、明日香に返す予定だった鍵を取りに行く。

鍵を取って戻ってくるとすぐにシリコンラバーの素体スーツのファスナーに鍵を差し込む。
クルッと回すとロックが外れて、ファスナーが動かせるようになった。
頭の天辺から腰の辺りまで続くファスナーを一気に下ろす。

ファスナーの隙間から見えたのは、布地の肌色のタイツ。
“え、まだ全身タイツを着ているのか?“

隠れていたファスナーを開いてみたが、全身タイツの背中にファスナーは見当たらない。
シリコンラバーのスーツから女の子を取り敢えず引き出す。
全身タイツは厚手であるが、汗で大部分が濡れていた。

全身タイツは顔のところだけ穴が開いているタイプでフロントファスナー。
恥ずかしいのか顔を手で押さえて隠している。

「顔を見せて!」
優しく声をかけると女の子は顔を押さえている手を放した。
今度こそと思ったが、女の子の顔は見えない。
現れたのは白いビニールテープが巻かれた顔。

女の子は全身タイツのフードを外し、頭にグルグル巻きにされた白いビニールテープを外そうとする。

しかし、厚手の全身タイツの指では思うように外す事ができないので、俺もビニールテープを外すのに協力することにした。

“明日香やり過ぎだよ、中の女の子があまりにも可哀想だ“
と心の中で抗議する。

ビニールテープを外すのを手伝いながら顔をよく見ると、目と鼻の部分は隙間があり、見る事も呼吸も出来る。
ただ、口は塞がれており鼻へと続く穴の周辺は結露で湿っていた。

ビニールテープは徐々に外せ、口の辺りが露わになっていく。
そこで初めて女の子が声を全く出さなかった、いや出せなかった理由が分かった。
女の子の口いっぱいに布の詰め物がされ、その上からラップ、そしてビニールテープがグルグル巻きにされていた。

詰め物を取ってやると、糸を引いた涎とともに「ぷはぁ」と女の子の声を初めて聞けた。

「すぐ取ってやるからもう少し待ってて」
俺の言葉にコクリと頷く女の子。
もうすぐ女の子の顔が見られる。
ビニールテープを外す俺の手は速度を上げていく。

口元が見え女の子の肌を見たせいだろうか。
気持ちが焦り、先ほどまでと違い上手くビニールテープが外せない。

それまでは女の子を気遣って丁寧に外していたのだが、幾分か雑になったように思える。
心を落ち着けて丁寧にビニールテープを外すことを心掛ける。

『バリッ」
ビニールとともに顔に巻かれていたラップが外れた。

女の子の髪が肩にかかる。
下を向いていた女の子がゆっくりと顔を上げた。

俺はその顔を見てビックリして言葉を失った。

明日香によってコスプレのまま、チョコに閉じ込められてやって来て、その後俺と絡み合っていた女の子。

俺が何度となく女の子にした仕打ちに対して腹を立てていた明日香が目の前にいる。

明日香は顔を真っ赤にし「よっ!」と右手を軽く上げる。
そして何かを思い出したようで、伏し目がちで「ハッピーバレンタイン」と恥ずかしそうに言った。

そんな可愛い明日香を見て、頭を撫でながら「バレンタインは昨日だよ」と言って明日香にキスをした。

後日、明日香から驚いたのでどうなっていたのか聞いてみた。

協力者は四葉。
四葉もエヴァファンで明日香の実家の店に通って顔見知りになっていた。
バイト先に時々遊びに来ていた明日香。
目的は俺に会うこと。

四葉が明日香に気づき、明日香が俺への片想いを打ち明けたことから、このバレンタイン計画が始まったようだ。
俺を喜ばせて驚かせ、そして最後に告白する。

動画でアスカのコスプレをしてチョコに閉じ込められていたのは四葉で、計画を考え自分からチョコに閉じ込められることを提案したそうだ、

それを明日香が動画撮影。

当日、チョコを運んできたアスカの中身は四葉。
声は予め明日香の声を録音しておいたボイスレコーダーを使用。
だから、予想される答えしか録音しておらず用が済んだので四葉は慌てて撤収したと考えれば急いでいたのも肯ける。

LINEは明日香のスマホを使い四葉が送信。
ずっと明日香は一樹を思っていたが幼馴染みで照れ臭く告白できずにいた。

四葉のバイトでの行動は今から自分がアスカになり、チョコを届ける使命からソワソワしていたと考えれば説明がつく。
正に彼女は幸せを運ぶ“四葉“のクローバーだった。

明日香がずっと俺に対して想いを寄せていたが、恥ずかしくてチョコを渡すことも想いを伝えることもできずにいたバレンタイン。
ようやく訪れた明日香の遅れてきたバレンタインだった。

おしまい

(作者から)
新型コロナウィルスが酷くなって自粛が続いているので書けているような気もします。
自粛の暇つぶしになれば幸いです。
皆さまが感染せずにこの事態を乗り切れることをお祈りしております。
最終更新:2020年04月29日 21:35