この板に張り付いてもう十年以上になるが、先だっての質問が初めての書き込みだった。
アニメの知識もパソコンの知識も無いが、キグルミ、ゼンタイ、マスクが大好き。カノジョにガーゼマスクとプリーツマスクを二重に付けさせ、やったこともたびたびある。
初めてのマスクエッチは、五年ほど前のことだった。
ピンクの小さめプリーツマスクを付けさせた。眉間に皺を寄せても、表情は目しか分からない。ゴムひもの下の、紅潮した頬。開ききったプリーツの下端と、喉の境目。
ペースを速めてやると、体をよじらせ大きなあえぎ声を上げる。くぐもったあえぎ声と同時に、マスクが下あごに引っ張られる。マスクの上部は針金で鼻に引っかかる。マスクは縦方向に皺を作りながら、ピンと張る。
愉楽の絶頂が過ぎると、はぁはぁと荒い息遣い。息を吸うのと同時にピンと張ったマスクは、ペコペコと彼女の唇へ張り付く。彼女の温かく湿った、濃厚な女性の匂いをたくわえた吐息が、視覚として俺の脳に迫る。
額に汗がにじんでいる。ゴムひもの間の頬にキス。彼女の湿った息がマスクの端から漏れ出し、俺の皮膚と嗅覚を誘う。マスクをはずしてやり、湿った頬と唇にもう一度キス。
マスクに覆われた空間は、どれくらいの湿度で満たされていたのだろうか…。
俺は、はずしたばかりの彼女のマスクに目が釘付けになる…。あえぎ声を上げている間ずっと、マスクはカノジョの吐息に含まれる湿気と、彼女の唾液をたっぷり吸っていた。
一時間以上、彼女の頬と唇に張り付いていたのだ。カノジョは恥ずかしげに、俺には渡すまいとマスクを握り締める。
マスクエッチは何度もした。ただ、それ以上はしたことが無かった、あの日までは…。
俺は某語がわかるもので、過疎化の叫ばれる今日、ネタ不足のときはよく某国のきぐるみファンのサイトをあさる。案外財宝も埋もれている。
中でも一番のお宝は、日本のアニメを操演した事もあるアクショングループ所属の、アクトレスの個人ブログだ。面下、汗染み、その他のきぐるみファン垂涎ものの画像は残念ながらアップしていないようだった。
しかし、素顔はばっちりさらしていた。ガードがそれほど固くないのだろう。
面下が大好物な俺としては若干残念だったが、某アニメのショーに関していえば、総勢5人いるキャラクターそれぞれに、誰が入っているのかばっちりわかる。全員の素顔をさらしていた。
ショー会場に貼り付けてあった各キャラクターのポスターの前で、メンバーそれぞれがジャージ姿のままポスターと同じポーズを取った写真がキャラごとに一枚ずつ計五枚、ブログにアップされていた(五人のうち一人、しかも一番背が高くスタイルの良いプリプリブルーは、何と男だった…)。
その他楽屋でキグルミのまま戯れて写メを撮り合ったもの、ショーの一場面、握手会の様子、Tシャツとジャージ姿で移動・休憩するメンバーたち、自撮り(素顔と、キグルミ着用と、どちらもしっかり)、などなどまさに宝の山だった。ものすごい数の写真だ。カノジョの留守中、何度お世話になったことか…。
さらには全くの偶然だが、彼女たちの追っかけが作ったサイトまで発見できた。ショーを撮影したムービーまであったものだから、発見当時は有頂天になっていた。
そんな俺に、某国へ一ヶ月ほど行くチャンスがめぐってきた。会社の用事だが、今まで幾度行ったか知れない某国であったから、何の不安も無かった。
某国到着後3日目。俺は昼飯のため、安い飯屋が軒を連ねる、人でごった返した通りを歩いていた。
忘れもしない、コンビニの角を曲がったときだった。
炎天下、額に汗をにじませながらテイクアウトの飯屋に並ぶ女性。一目で分かった。
あのアクトレスだ。見つけた瞬間、心臓が飛び出そうなほど興奮したのを今でも覚えている。
紛れも無い。ディスプレイに穴が開くほど眺めた、あのアクトレスだ。
きぐるみの中に並々ならぬ執着心を持つ俺ではあるが、実際に「中の人」にお目にかかったことは一度もない。何たる奇蹟か!俺は思わず凝視してしまった。
Tシャツにホットパンツというラフな格好で立つ彼女。ピンク色のタイトなTシャツが、彼女の体にぴったりとくっついている。背中にブラの紐がくっきりと浮かぶ。
写真では気づかなかったが、背がなかなかある。160cmはあるだろうか。
胸が大きいことにも気づかなかった。ぱっと見た勘定では、D~Eの間くらいだろう。カノジョと同じくらいだから、大方目算に狂いはないはずだ。
肌は白くキメ細やかで、太腿が南国の太陽を照り返している。髪は、センターで分けた肩にかからないくらいの長さの黒髪。
目はくっきりとした二重。一目見れば、誰しもが可愛いと思える顔立ちだ。
芸能人で言うと、目元と顔全体の雰囲気はサエコに似ているかもしれない。化粧が濃いのと、若干歯並びが悪いのが玉に瑕だが、むしろそれくらいの欠点があったほうが、親しみが出る。
タイトなTシャツと、汗で額に張り付いた前髪に変な妄想を覚えながら、俺は必死で考えた。このチャンスを絶対にモノにしなければ。意を決し、俺は彼女に話しかけることにした。
しかし何といえばよいのか。あなたのきぐるみで何度も抜きました!とは言うわけにもいくまいし。
そうこうしているうちに、弁当を買い終えた彼女がこちらへ歩いてきた。徐々に距離が縮まる。
俺はあせってポケットに手を突っ込み、不自然にならない程度に姿勢を前かがみにした。
思わず立ち止まり、凝視する俺。彼女と目が合ってしまった。すると、思いがけないことに、彼女の方から話しかけてきた(あぁ、八百万の沢山いる神様、とくにキグルミの神様ありがとう!)。
「どうしたの?あなた日本人?」
「え、あの、はい。あの、日本から来タ。」
俺はあえて片言で話した。
「何かありました?」
「えー、あのー、お弁当買いたいデス。その弁当、どこ?」
「これ?」
左手の手のひらに弁当を乗せ、それを右手で指差してみる彼女。クリクリの上目遣いが、憎らしい。
「そう、それ欲しい!デモ買い方分からナイ…。」
心臓が喉まで出かけている。変な汗が止まらない。脇がヒヤッとする。
「OK!ついて来て、一緒に買おう!」
某国国民のもはや国民性としか言いようのない、底抜けの親切さとお人よしに救われた。
「え、でも、時間大丈夫ですか?忙しくないんですか?貴重なお時間をすみません、本当に。」
緊張と興奮で、自分で何をしゃべっているのか分からない。
「わお、某語上手ね!すごい、すごい!」
そんなこんなで俺は彼女に連れられて、実は馴染みの弁当屋へ行き、無事弁当を購入した。
並んでいる間にあれこれ話し、近くの公園で一緒に昼飯を食べることになった。もちろん、その間中俺のあそこは破裂寸前だった。
今目の前にいるこの美女は、美少女キグルミの中から出てきた美女。肌タイと面に包まれ、本来ならば寸分の肌すら見せず、ぎらぎら輝く太陽に蒸されながら、声を発することも許されない存在。
笑顔の面の下で、口で呼吸をしながら湿った赤ら顔でいる彼女。その美女が、俺のそばに立っている、美しい肌と整った顔立ちを惜しげもなくさらして…
俺は何と幸運に恵まれているのだろう。あのときのことを思い出すと、いまだに笑いがこぼれてしまう。
食事をしながらなんだかんだと話をしつつ、俺は彼女の情報を頭の中で整理していた。
名前は「サエコ」(仮)、年は21歳でなんとまだ大学生だった。中学生のころから日本のアニメや漫画が大好きで、高校に入ると、趣味でコスプレをしていたそうだ。
大学に入り一人暮らしをはじめるが、なかなかバイトが見つからずに困っていたところ、運よく舞い込んできたのがスーツアクターのバイトの話だった。
ショーは週末だけだし、もともとバスケをやっていたから運動神経も抜群。しかも大好きな日本のアニメや戦隊モノを演じられるとあって、二つ返事で引き受けた。そんなこんなで、かれこれ2年以上バイトを続けているそうだ。
―(中略)―
明日は、待ちに待ったサエコの生キグルミを拝める。お昼からデパートで、おもちゃの販促イベントがある。
仕事の疲れもそっちのけで、俺は布団の中でサエコとのL○NEに夢中になっていた。
サ―「ちょっと恥ずかしい」
俺―「俺に見られるから?」
サ―「うん…」
俺―「握手してくれよ」
サ―「本当に来るの?」
俺―「約束したじゃんよ。そのままきぐるみ持って、夕食すませて、お前の家行くって。
サ―「どうしよう、興奮してきた…」
俺―「明日も暑いぞ」
サ―「もしかして暑いからって喜んでる?」
俺―「暑いほうがお楽しみも増える」
サ―「もうすぐ日本に帰っちゃうんだね…。」
イベント会場は子ども連れでごった返していた。デパートの入り口近くのステージには、でかでかと「プリプリ少女ショー」と書かれた横断幕が張られている。
ステージ脇には、普段はデパートの地下物品倉庫の扉があるあたりに接続して設けられた白いテント。今まさに、あそこでサエコがキグルミに着替えている。
サエコは5人いるキャラクター中、主役のピンクを務める。ピンク色で、頭の上に輪っか状になった髪が、猫耳のようにふたつ乗った愛くるしい髪形。
面は、典型的な美少女きぐるみといえる。ブログで見たかぎりでは、瞳の部分と眉毛の縁がのぞき穴になっている。
面の大きさは、標準的な美少女キグルミに比べると、だいぶ小さい。お祭りで打っているお面と同じくらいだろうか。
しかし、あごはきちんと覆われている。好みは分かれるのだろうが、実写版セーラームーンのきぐるみを眺めながら青春のエネルギー放出し続けた俺にとってはまさにどんぴしゃりだった。
写真から判断するに、面とウィッグは別々になっているか、或いはほぼ分離された状態で恐らくおでこの少し上あたりで一部くっついているものと思われる。
セーラー服を模した衣装は、白を基調に、ピンクで縁取りがされた近未来的デザイン。上半身はノースリーブになっており、二の腕の肌タイが露出している。
スカートはミニで、足元は白いブーツ。肌タイの露出が多いのがたまらない。
日本のショーで使われている肌タイは、ジャージのような素材が多かったと記憶している。
しかし彼女らが着ている肌タイは、写真で見るかぎり目が細かくかなりさらさらしているような印象を受ける。若干光沢もあるから、サテン地に近いようなものかもしれない。
オリジナル作品ではピンクの手甲をつけているが、肌タイの指の先が破けてしまったため、肘丈の白いサテンロングローブを着用している。
破けた指先の写真と、手袋着用のあらましがブログで紹介されていた。俺の趣向としてはうれしいかぎりだ。
それにしても着替えを見たい。もう一つの肌に包まれてゆくサエコを見たい。南国の太陽に蒸されたテントの中では、何が起きているのだろう。
夜が待ち遠しい。しかし、夜はどうせクーラーの効いた室内だ。
サウナのような暑さの中で、スパッツとキャミソールを身につけ、もう一つの肌に身を包み、息苦しい密着性の高い面で顔を覆う。肌の上にさらに肌、その上にはさらに衣装。どれほど暑いだろう。
面の暗闇の中で、火照ったサエコの肌はつぶつぶと汗をたくわえていることだろう。
顔を滑り落ちる幾条かの汗が思い浮かぶ。脇や首から噴き出した汗は、肌タイに吸い取られ汗染みとなり、南国の太陽に蒸されてすえたにおいを放つ。
ショーが始まる前から妄想を膨らませ、俺の興奮は頂点に達していた。束ねた針が皮膚を刺激するような太陽光に焼かれ、俺のTシャツはすでにじとじとだ。頭皮に汗がじっとりとまとわりついている。
今日はサエコ一人での活動だ。司会のユウコが子どもたちを盛り上げ、会場のボルテージが徐々に上がる。
「サぁーみんな!大きな声で、『プリプリピンクゥー!!!』」
最終更新:2014年11月05日 21:29