〔刑裁・刑弁・検察〕

(刑訴法実務書)
  • 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規(2011年3月・3訂版)……普通に基本書として使われることもある。
  • 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。
  • ☆高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I,II(別冊判例タイムズ34,35号)』判例タイムズ社(2012年8月,2013年1 月)……令状関連実務について実務家が解説。全2冊。I・・総論、逮捕・勾留。II・・保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告。上 記令状基本問題の実質的な後継本。修習生必読。
  • 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。
  • 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。
  • 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2010年6月・平成21年版)……司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。
  • 法曹会編『刑事裁判書集上下』法曹会(1984年3月,1985年5月)……刑事裁判書事例集
  • 小林充『刑事控訴審の手続及び判決書の実際』法曹会(2000年6月)……元裁判官による控訴審判決書作成マニュアル書。控訴審弁護人にとっても有用。
  • 石井一正『刑事控訴審の理論と実務』判例タイムズ社(2010年5月)……元裁判官による刑事控訴審実務書。
  • ☆門野博『裁判員裁判への架け橋-刑事裁判ノート』判例タイムズ社(2012年10月)……元裁判官が自身が担当した高裁刑事事件について解説したケースブック(裁判例も収録)。判例タイムズ連載に、布川事件、少年事件編を追補して単行本化したもの。裁判官志望者は必読。

 

(刑事事実認定)
  • 石井一正『刑事事実認定入門』判例タイムズ社(2010年8月・第2版)……(元)刑事裁判官による刑事事実認定テキスト。
  • 木谷明編著『刑事事実認定の基本問題』成文堂(2010年5月・第2版)……木谷古希記念。刑事事実認定の基本テーマ15題を解説。
  • 小林充・香城敏麿編『刑事事実認定上下』判例タイムズ社(1992年9月,1992年11月)
  • 小林充・植村立郎編『刑事事実認定重要判決50選上下』立花書房(2007年4月・補訂版)……判例タイムズ社の方が改訂されないまま古くなった ので、現在はこちらが代表格。重要論点に関する重要判例を多数収録しており、そこにおける判例の準則や、あてはめの指針を見極める上で非常に有益。 新司法試験対策にも直結 するので、当然、ロースクール生も読むべきである。
  • 大阪刑事実務研究会「事実認定の実証的研究(1)-(13)」(判例タイムズ227-322号)……刑事事実認定に関する古典的文献。
  • 司法研修所編『自白の信用性』『情況証拠の観点から見た事実認定』『共犯者の供述の信用性』『犯人識別供述の信用性』法曹会(1991年7月,1994年5月,1996年7月,1999年6月)……刑事事実認定に関する司法研究報告書4部作。
  • 最高裁判所事務総局刑事局監修『自白の任意性・信用性に関する刑事裁判例集』司法協会(1997年9月)
  • 守屋克彦『自白の分析と評価─自白調書の信用性の研究』勁草書房(1988年12月、OD版2005年4月)……(元)刑事裁判官による著作。
  • 渡部保夫『無罪の発見─証拠の分析と判断基準─』勁草書房(1992年3月)……(元)刑事裁判官による著作。一般向けの著書として『刑事裁判を見る眼』岩波現代文庫(2002年8月)
  • 木谷明『刑事裁判の心』『事実認定の適正化』『刑事事実認定の理想と現実』法律文化社(2004年8月・新版,2005年7月,2009年8 月)……元刑事裁判官による著作。調査官時代の論文、講演録、小論等からなる。いずれも冤罪防止という観点から論じられており、刑事裁判に関わる者ならば 必読。
  • 植村立郎『実践的刑事事実認定と情況証拠』立花書房(2011年12月・第2版)……刑事裁判官による著作。刑事事実認定にも要件事実的思考が有 用であるとする論文と、情況証拠に関する論文からなる。改訂頻繁。なお、刑事裁判官志望者は、同著者による「実務現代刑事法(その3)・刑事の裁判に関す るワンポイントアドヴァイス集」(判タ1345号74頁)を読むべし。
  • 原田國男『逆転無罪の事実認定』勁草書房(2012年7月)……量刑法の第一人者である元刑事裁判官が、自身が担当した控訴審で逆転無罪となった16件の判決文とその解説をまとめた書。

 

(刑事弁護)
  • 佐藤博史『刑事弁護の技術と倫理─刑事弁護の心・技・体』有斐閣(2007年5月)……藤木英雄の元助手である弁護士による著書。刑事弁護のスピリットを伝える。
  • 『刑事弁護ビギナーズ』現代人文社(2007年12月)……季刊刑事弁護増刊。まずはここから。
  • 大出良知・高田昭正・神山啓志・坂根真也編『新版 刑事弁護』現代人文社(2009年10月)
  • 三木祥史『Q&A類型別刑事弁護の実務』新日本法規(2010年3月・改訂)……元刑事弁護教官による著書。
  • 東京弁護士会刑事弁護委員会編『実践刑事弁護当番弁護士編』現代人文社(2010年6月・新版補訂版)、同『国選弁護編』現代人文社(2011年12月・新版2版)……東京における刑事実務の運用につき詳しく載っている。
  • 東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編『刑事弁護マニュアル』ぎょうせい(2012年3月・全訂)
  • ☆山内久光『Q&A刑事弁護の理論と実践-実務における基本的思想』日本加除出版(2012年10月)……元刑事弁護教官である弁護士が公判前整理手続・裁判員裁判時代における刑事弁護の標準を明らかにした著書。刑事弁護人ならば必読。
  • ☆宮村啓太『事例に学ぶ刑事弁護入門-弁護方針完結の思考と実務』民事法研究会(2012年10月)
  • 日本弁護士連合会編『法廷弁護技術』日本評論社(2009年3月・2版)……裁判員制度をふまえた日弁連公式の弁護技術テキスト。修習生以上なら必携。しかし著者はおおむね修習所教官と世界観を異にしている。
  • 日本弁護士連合会編『裁判員裁判における弁護活動─思想と戦略』日本評論社(2009年1月)……上記「法廷弁護技術」の続編。自由と正義連載の 単行本化。公判前整理手続についての解説は特に詳しく、「証拠開示の最前線」と題する章は司法試験受験生にも役立つだろう。修習生以上必携。

 

(裁判員裁判・公判前整理手続)
  • 司法研修所編『裁判員裁判における第一審の判決書及び控訴審の在り方』法曹会(2009年4月)……控訴審の運用については、東京高等裁 判所刑事部陪席裁判官研究会(つばさ会)「裁判員制度の下における控訴審の在り方について」(判タ1288号5頁)、東京高等裁判所刑事部部総括裁判官研 究会「控訴審における裁判員制度の審査の在り方」(判タ1296号5頁)もチェックすべし。
  • 司法研修所編『裁判員制度の下における大型否認事件の審理の在り方』法曹会(2008年4月)
  • 司法研修所編『難解な法律概念と裁判員裁判』法曹会(2009年4月)……司法研究報告書。「裁判員に分かりやすい審理の実現のために、専門用語 の平易化という道を選ぶのではなく、各用語・法律概念の本当に意味するところを、刑事法に関するこれまでの研究成果と裁判例を分析することによって検討 し、これを裁判員に伝えるための説明方法を考えようとする」司法研究。
  • 大阪刑事実務研究会「裁判員裁判における法律概念に関する諸問題」(判例タイムズ1350号-連載中)……上記『難解な法律概念と裁判員裁判』の 難解概念研究のアプローチをも参考にしながら、裁判員裁判において争点となることが想定される法律概念や論点について、実際の裁判員裁判における実例を踏 まえつつ、公判前整理手続や審理、評議の在り方等について研究する連載。全14回を予定。
  • 酒巻匡編著『刑事証拠開示の理論と実務』判例タイムズ社(2009年11月)……公判前整理手続における証拠開示を題材とした論文集。多数の未公刊裁判例を収録しており参考になる。
  • 大阪刑事実務研究会「公判前整理手続に関する諸問題」(判例タイムズ1294-1331号・全16回)……関西の刑事裁判官による共同研究。
  • 日本弁護士連合会裁判員本部編『公判前整理手続を活かす』現代人文社(2011年7月・第2版)……公判前整理手続の運用状況をふまえて改訂された日弁連の公判前整理手続(半)公式テキスト。

 

(量刑理論)
  • 原田國男『量刑判断の実際』立花書房(2008年11月・3版)、『裁判員裁判と量刑法』成文堂(2011年11月)……量刑研究の第一 人者である刑事裁判官による二部作。『実際』に収録されている論文はいずれも重要文献だが、とくに「量刑基準と量刑事情」、「量刑判断の実際」は刑事裁判 における標準的な量刑実務を解説したものであり、修習生ならば必読である。
  • 大阪刑事実務研究会編『量刑実務大系(全5巻)』判例タイムズ社(I・2011年9月、II・2011年10月、III・2011年11月、 IV・2011年12月)……判例タイムズに連載された実務家・研究者による共同研究「量刑に関する諸問題」(判例タイムズ1183号-1325号・全 26回)を単行本化したもの。第5巻は裁判員裁判該当罪種のうち代表的なものについて、当該罪種において特に重視すべき量刑因子についての類型的研究で書 き下ろし(第1巻『量刑総論』、第2巻『犯情等に関する諸問題』、第3巻『一般情状等に関する諸問題』、第4巻『刑の選択・量刑手続』、第5巻『主要犯罪 類型の量刑』)。
  • 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『量刑調査報告集』第一東京弁護士会(I・2000年8月、II・2008年8月、III・2010年4月、量 刑不当破棄編・2011年3月)……一弁の「国選弁護結果報告書」を基礎資料として、罪名ごとに量刑その他の関連情報を集めた資料集(現時点で3冊+量刑 不当破棄編1冊)。量刑不当破棄編は上訴審における量刑不当による破棄自判事例を集めたもの。刑事弁護人ならば必携。一般書店では市販されていないが、弁 護士会館ブックセンターや至誠堂書店などで購入可能。
  • 日本弁護士連合会裁判員本部編『裁判員裁判の量刑』現代人文社(2012年5月)……裁判員裁判における量刑データ集。
  • ☆司法研修所編『裁判員裁判における量刑評議の在り方について』法曹会(2012年10月)……司法研究報告書。裁判員裁判に相応しい量刑評議の 在り方、判決書の在り方、審理・公判前整理手続の在り方についての考察。第4章、量刑事情の考慮の在り方、は様々な量刑事情の意義を検討していて興味深 い。
最終更新:2013年02月24日 20:23