寺生まれのTさんのエピソードに度々登場する、最強の対抗神話の父。
語られる事はありながら、物語自体にはその姿を表さない謎の人物。
Tさん自身が語る言葉から読み取る限りでは、Tさんを超える退魔の力を持つという。
その逸話から、特殊な力と特性を幾つか併せ持つ。
一つ、この都市伝説は対抗神話である。
寺生まれのTさんと同じく、この都市伝説は都市伝説に対して相性の上で有利に立つ事が可能。
一つ、寺生まれのTさんよりも強くなる。
寺生まれのTさんは、その逸話の中で何度も「親父には敵わない」と発言している。
よってこの都市伝説はその実力に関わらず、その時代における寺生まれのTさんよりも少しだけ強い力量を振るう事が許されている。
一つ、この都市伝説の息子は必ず『寺生まれのTさん』と成る可能性を内包する。
逆説的な証明ではあるが、父と子という関係性がこれを成す。
父と子。
人がそう在って欲しい願う祈りの向く先は、どこまで行っても子の方だ。
故にこれは単体ではそれほど強力な対抗神話にはならないし、人が望む定義によって突き動かされる事もない。
そして、何より四つ目の特性がある。
この都市伝説の保有者は、物語の中に登場する事を許されない。
希望の父となる、人々に望まれなかったもう一人の寺生まれの都市伝説。
初出は二十四話終了後の閑話。現象型の都市伝説。
京太郎の父である須賀未来こそがこの都市伝説そのものであり、『口裂け女』である青山士栗と同種の存在。大沼秋一郎によって育てられた。
大沼にとって未来は純正の『寺生まれのTさん』を生み出すための材料でしかなく、その過程で愛する家族の思い出を得た後に苦しめて殺すという嗜好のためだけに、愛する人の心を殺され甚振られた。
最終更新:2013年09月08日 21:21