「これが、あんたのお兄さんなんだろ」
僕は祠にまつられていた頭蓋骨を鬼に見せる。
ヒューヒューと呼吸の音が聞こえる。
しかし、鬼は何とも思わず、こっちに突進してきた。
そんな!やはり心まで鬼になってしまったのか?
振り上げる手斧を鉄パイプで流す。
「ほら、あんたの兄さんなんだろ?」
鬼は猛攻をやめない、まずい・・・。
右に、左にと逃げ回る。
PHSからは長野先輩の声が聞こえた。
今はそれに気を取られてはいけない。
走る、走る。
なるべく遠くへと。
港と反対の方向へと走った。
草木を分け、たどり着いたのは、崖。
まさに崖っぷち、笑えない。
「畜生」
鬼がガサガサと近づいてくる。
PHSを取り出す。
「長野先輩、船、出しちゃってください」
「なに?おまえまさか───」
「綾に、変わってください」
しばしの沈黙の中、綾の声に変わる。
「徹君!何してるの?早くこっちに逃げて」
「ごめんよ、綾、昨日言ってた言葉、聞けなかったみたいだ
それから、元気でな」
PHSをきる。
僕は鬼を抱きしめる。
手斧が肩に食い込んだ。
痛い、しかし力を弱めない。
そのまま崖に身を投げた。
「悪いね、今年もあんたを救えなかった」
ドサ
次の年───。
徹君の死は、私の心に大きく傷を作った。
いまでも忘れられない、忘れようもない。
あれから一年、新入生も入ってきた。
夏休みの課題。
部長になった長野先輩が指揮をとる。
そう、呪われた島、鬼哭島へのキャンプの。
――BADEND1
最終更新:2006年09月20日 22:16