長い夜 前編

391 長い夜 sage 2010/02/17(水) 21:25:57 ID:VB4If+kk
「―って、おい。人の話聞いてるか?」
「え?あ、えと。うん、聞いてるよ」」
いけないいけない。また弟くんに見とれてしまっていたようだ。
でも仕方ないじゃん、と軽くむくれてみる。もちろん心の中で。
なんといっても、弟くんは可愛いのだ。
高校生になっても、相変わらず。
別に小さいとか、童顔だとか、そういうわけじゃない。
そういんじゃなくて、…とにかく、可愛い。それはもう、食べてしまいたいくらいに。
そんなことを考えてまたぼんやりし始めたのだが、弟くんがさすがに怒り出しそうだったので、あわてて話を聞く。
「だから、今日は帰りが遅くなるって言ってんの。ご飯もいらないから」
ほら。ちょっと口調が乱暴かと思ったら、しっかり『ご飯』って言う。
そういうちょっとしたトコが、やっぱり可愛い。
―って、はい?
「そ、そうなんだ?で、でもやっぱり、うちで食べたほうがいいんじゃない?好きなもの作ったげるよ?」
弟くんと一緒に食べられないなんて寂しすぎる。
「いや、いいよ、姉貴も今日はゆっくりして。…たまには、ホラ、友達づきあい、ってやつだ」
…はっきり断られてしまった。こういうときの弟くんは、頑として聞き入れようとしない。
「…うん、わかった…」
しょうがない。それなら、私も今日は外で食べてこよう。
そのかわり、明日は弟くんに、買い物にでも付き合ってもらうとしよう。それはもう、朝から晩まで。
「…じゃあ、先に行くぞ」
「―あ、待って。おねーちゃんも行くよっ」
まあ、なんだかんだで、こういう毎日は悪くない。
さすがに、好きだ、とか言ったら引かれるに決まってるし、いろいろ問題がある。
だからまあ、一番近くにいられるだけで十分だと、そう思っていた―。



392 長い夜 2 sage 2010/02/17(水) 21:26:29 ID:VB4If+kk
「あーあ、どうしよ…」
外食しようと決めたのはいいのだが、いまいち食べたいものが思いつかない。
「弟くんがいっしょなら、もっと楽しいはずなのにな…」
やっぱり明日は買い物に連れ歩こう、そう改めて決心する。
「―って、あれ?弟くん?」
そうやって歩き回っていると、駅前で弟くんを見つけた。
だれか待ってるのかな…?
「そういえば、友達づきあい、って言ってたっけ…。いいなぁ、そのお友達は。弟くんとごはん…」
勢い余って、男友達にまで嫉妬していた。
そんなバカなこと考えてないで、さっさとその場を離れればよかったのだろうけど…。
「あれ、あっちは…」
向こうから、同じクラスの女子がやってくるのを見つけた。
割と可愛い、私と仲良しの娘だ。
ちょうどいい、夕食に誘ってみよう…と、声をかけようとしたのだが…。
「あ…れ…」
その娘は、弟くんに話しかけた。
おかしいな。あの娘と弟くん、知り合いだったっけ…?
そうしていると、弟くんとその娘は、手をつないで歩き始めた。
楽しそうに、まるで、恋人同士がするように―。


395 長い夜 3 sage 2010/02/17(水) 23:01:48 ID:VB4If+kk
その後、どうやって帰ったのかよく覚えていない。
家に着くと、明かりも点けずに駅前での出来事を思い出す。
―2人は、恋人同士なのかな…?
―いつからああやって逢っているのかな…?
―どのくらい親しい関係なのかな…?
そうやって考えていると、ふと思い出したことがある。
「…あの娘、彼氏と別れた、って…」
少し前のことだ。
あの娘は、そのことがあってから、前よりも私と親しくするようになった…。
「じゃあ、私と仲良くしてたのって、弟くんが目的で…?」
そうだ。
そうに決まってる。
私と弟くんは、よく一緒に登下校していたから、そのときにでも見かけたんだろう。
そうして、あの可愛い弟くんに目をつけて、私と仲良くして接点を作ったんだ。
「……許せ、ない……」
許せない。
許せない。
許さない。
許さない。
「…あのメス豚…ぜったいに、許さない…」
弟くんが帰ってきたら、すぐに教えてあげよう。
あのメス豚は、最っ低のクズだって。あんなのと一緒にいたら、弟くんまで腐っちゃう、って…。


397 長い夜 4 sage 2010/02/17(水) 23:16:12 ID:VB4If+kk
「ただいまー…?」
来た。
「おい、姉貴?…なんだ、起きてたのか。電気くらいつけなって」
「ねえ、弟くん」
「んー?」
「…今日は、誰と遊んできたの?」
「…っ、クラスの男友達だよ。姉貴も、一回会ったことあると思うけど」
…弟くん、ウソついてる…。
きっと弟くんは優しいから、あのメス豚をかばってあげようとしてるのかな。
でも、これだけははっきりさせないと。弟くんのためだから。
「へえ、そう」
「ああ」
「…弟くんは男友達と、手、つないで歩くんだ…?」
「はぁ?」
「その男友達は、女子の制服着てるんだ…?」
「…おい、姉貴…まさか…」
「その男友達と、恋人みたいに、楽しそうに歩くんだ?」
弟くんの動きが止まる。
「―見てた、のか」
あ…ちょっとキツイ言い方になってたかな。弟くん、怖がらせちゃったかな…?
「あ、ううん。怒ってるわけじゃないよ?…でも、あの女はね、人間のクズなの。メス豚なの」
「…は?」
「だから、弟くんのためを思って言うの。すぐに、あんなのとは縁きったほうがいいよ?」
「…いや、なに言ってんだ。姉貴とも親しいって言ってたし、その、…優しい人だぞ?」
ああ、ダメだ。ちょっと一緒にいただけで、もう弟くんが毒されちゃってる…。
「大体、姉貴には…関係、ないだろ」
…関係ない?
私は、こんなに弟くんのこと想ってるのに?
―仕方ない。
弟くんのためにも、弟くんが誰のものなのか、はっきり教えてあげないと…。


398 長い夜 5 sage 2010/02/17(水) 23:18:02 ID:VB4If+kk
弟くんにしがみつくと、体重をかけてそのまま押し倒す。
後ろはソファだから、大事な弟くんが傷つく心配はない。
「お、おい姉貴?なにやって…」
少しの間、弟くんには静かにしていてもらおう。
可愛らしい唇を、私のそれでふさぐ。
「―っ?」
弟くんはびっくりして、口を閉じる余裕はなかったみたいだ。
舌をねじ込み、弟くんの口内を堪能して、私の唾液を流し込む。
万が一、あのメス豚とキスでもしていたら大変だ。
じっくりと長い時間をかけて、弟くんの口をすみずみまで、私の舌で掃除してあげる。
「―っ、はぁ…」
長い間口をふさがれていたせいか。
眼を潤ませ、頬を上気させ、唇を私の唾液で光らせて喘ぐ弟くんは、本当に可愛かった。
弟くんの息が整わないうちに、ちゃんと教えてあげよう。
耳元に口を近づけ、優しく囁く。
「…ね、わかる?弟くんは、私のモノなの。…あんなメス豚よりも、私と一緒にいよ?」
そうして、弟くんの耳に舌を這わせる。
「―そのほうが、ずっと楽しいよ…?」
―ちゅぷ、ちゅ。ぬちゃ。ぁ…ん、ちゅ、ちゅくっ…。
湿った音が部屋に響く。
音をたてて、弟くんに刻み込む。
所有の刻印、私という存在。
弟くんの心が、私でいっぱいになるように―。

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最終更新:2010年03月07日 20:39
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