千冬と浩司

500 名前:千冬と浩司[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 06:48:16 ID:PGpb2i+A

「お姉ちゃんゴメンナサイって千回言うのと、ここでいつもの格好でオナニーするのとどっちがいい?」

 千冬(ちふゆ)はそう言い放った。
 十秒以内に答えなさい、と。
 
 オナニーは嫌だった。
 それだけは嫌だった。
 しかも千冬はいつもの格好と言った。
 つまり彼女の、女子高生時代のセーラー服を着なければならないという事だ。
 姉の制服を強制されての自慰行為となると、その羞恥は倍増する。
 しかし、しかし、……千回謝罪の言葉を言いつづけるよりは、まだマシだった。
 千冬は几帳面だから、本当に千回キッチリ言い終わるまで、自分を決して許してはくれないだろう。そうなると、今がもう夜中の二時だから、下手したら、明け方までかかってしまうかもしれない。

 そう考えると、ぞっとした。
 明日は学校で、苦手な科目の小テストがあり、部活でタイムを測る日であり、その後はアルバイトの初入店の日であった。
 つまり、結論は一つだった。

「――お、おなにー、させて下さい。お姉ちゃん」

 千冬の眼前で、弟が肩を震わせながらペニスをしごいている。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、……」
 とは言え、そのペニスが彼女の眼前に露出しているわけではない。
 姉は弟に女装させる際、つねに自分の脱ぎたてのショーツを着用する事を強制しており、その下着越しに勃起したペニスをしごかせるようにしている。

 今回に限ったことではない。
 姉曰く、その方がシルクのショーツの感触が気持ちいいだろう、という、彼女なりの親切心らしかった。
 何より、勃起してもなお、ショーツからはみ出す事さえ出来ないペニスの矮小さを、弟に自覚させるための措置でもあった。


501 名前:千冬と浩司[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 06:49:42 ID:PGpb2i+A

「ふふ……ほんっと小さいわよね浩司、あなたのおちんちんって」
 その一言に浩司――彼女の弟――は、紅潮した顔をさらに赤く染めさせる。
 千冬はソファから立ち上がり、浩司の背後に回りこむと、セーラー服に手を入れ、スポーツブラの上からそっと乳首をつまんだ。

「っっっ!!!」
「おちんちんは小さいくせに、おっぱいはこんなに大きくしちゃってるのよねぇ」
「~~~~! やめてっ、やめてよっ、お姉ちゃんっ!!」
 しかし、千冬の指は、当たり前のように彼の胸から離れなかった。
 そのまま彼女は、背後から乳首を弄りつつ、無言で弟の耳を甘噛みする。
(おいしい……)

「ひいいぃぃぃ~~~」
 もはや、浩司の下半身は力を失いつつあった。
 膝が笑い、腰が震え、今にもその場に崩れ落ちそうになる。
――がぶり。
「っっっはあああっっっ!」
 どくん、どくん、どくん、どくん!!
 千冬が耳に歯を立てた瞬間、浩司は、その激痛のショックに、自らの腰を包むショーツの中に射精していた。


 ぐずっ、……うっぅぅぅ……。

 浩司はすすり泣きが止まらなかった。
 膝には、もう一切の力が入らない。
 彼は床に額をこすりつけ、全身を震わせて、泣いた。
 精液でぐしゃぐしゃのショーツの感触が、いまの自分の情けない現状を、容赦なしに意識させてくれる。

 姉が怖かった。
 怖くて怖くてたまらなかった。
 でも、それ以上に自分が怖かった。
 姉から与えられる、羞恥と屈辱の極致ともいうべきこのシチュエーション。
 だが、こんな常識では考えられない羞恥と屈辱の中で、かつて普段、一人で慰めていた頃の、十数倍から数十倍と言っていいほどの快感に酔っている自分がいる。

――慣れてきてるんだ。こんなひどい……ひどすぎる目に遭わされてるっていうのに……。


502 名前:千冬と浩司[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 06:51:24 ID:PGpb2i+A

「顔を上げなさい」
 千冬の声が聞こえる。
 だが、浩司は無視した。
「泣きやみなさい」
 その声も彼は黙殺した。
 が、その途端、意識が吹っ飛ばされるような衝撃が、彼の脇腹を襲った。

 姉が、浩司の横っ腹を、見事なまでに美しいフォームでキックしたのだ、とは彼は気付かない。
 彼に分かるのは、胃袋がひっくり返るような激痛と共に、
(殺される)
 と思わせるほど、姉が怒っているという事だった。

 胃の内容物が、彼の腹部で攪拌される。
 以前の浩司なら、ひとたまりも無く反吐を床に撒き散らしていただろう。
 だが、今は違う。

――姉を本気で怒らせたら、命が危ない。
 という事を、今の浩司は本能で知っている。
 そして、少々の快楽や苦痛に任せて、彼女の許可を得ない射精や排泄、または嘔吐すらも、どれほど姉の怒りを招く結果となるかも。
 浩司は喉元まで出かかった反吐を懸命に飲み込み、激痛おさまらぬ横っ腹を押さえて、姉を見上げた。

「どう、涙は止まった?」
「はっ、はひ……」
「笑いなさい」
「はい……」
 浩司は懸命に口元を緩ませ、何とか笑顔を作ろうとしたが、その作業には、死に物狂いの努力を要した。
「いい子ね」
 千冬は、そう言うと、眼前の愛する弟の頭を、よしよし、と撫でた。

「でも、浩司」
 千冬の両手が、弟の両頬に、そっと添えられる。
 確かにオナニーしなさい。私はそう言ったわ。でも……、
 そこまで言って千冬の両手が、弟の頬から頸部まで下がる。

「誰が、勝手にイっていい、なんて言ったのかしら?」

――浩司の笑顔が、再度凍てついた。


503 名前:千冬と浩司[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 06:53:42 ID:PGpb2i+A

 千冬の様子が変わったのは、一週間前だった。

 それまでの彼らは、仲が悪いとまでは言えずとも、それほどまでに仲がよい姉弟ではなく、互いに程よく無関心な、どこにでもいる只の姉と弟に過ぎなかった。
 現に、浩司は、今までの千冬の男性遍歴を知らないし、千冬は、浩司が童貞であるという事すら知らなかったのだから。

 また、彼らに親はいないという事も、二人の距離を適度に乾燥させる一因だった。
 彼らの両親は、姉弟が子供の頃に離婚し、そのまま二人は父親に引き取られたのだが、父は典型的な仕事人間であったため、浩司より七歳年長の千冬が家事を引き受け、自然、二人の関係は姉と弟と言うより、母と息子といった方が近かった。
 だから数年前、卒中で父が突然死した時も、残された二人の悲しみはともかく、生活的には大した変化は無かった。
 教師であった千冬の月々の収入に、父の保険金を合わせれば、二人が暮らしていくには充分すぎるほどの額になったのだから。

 しかし一週間前、二人の、――いや、少なくとも浩司の生活は劇的に変化した。

 千冬が、数年来の恋人に、いきなり婚約を破棄されたのだ。
 しかも、その婚約破棄の直接原因は、千冬の幼馴染みの親友による、略奪愛であったらしい。
 そして、その日は――非常に間の悪い事に――浩司が初めて同級生から告白された日であった。
 唯一無二の親友に将来を誓い合った恋人を奪われ、失意のどん底だった千冬にとって、残った最後の家族である浩司に、
「姉ちゃん、聞いてくれよ! やっと俺にも彼女が出来たんだよ! 永かった冬の時代がようやく終わりを告げてくれたんだよ!」
 と、言われた時の心境はいかばかりであったろうか。

 その日、千冬は暴力を持って弟の肉体を蹂躙し、彼の童貞を、文字通り奪い取った。
 浩司も部活(水泳部)で体を鍛えてはいたが、柔道二段の現役体育教師の千冬が、狂気の如き怒りと共に振るう暴力の前には、ほとんど抵抗らしい抵抗はできなかった。
 

504 名前:千冬と浩司[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 07:01:51 ID:PGpb2i+A
 
 その日から、千冬の浩司を見る目が変わった。
 それまでの千冬は、むしろ男性的な、細かい事にこだわらないサバサバした性格だったのだが、その日を境に、ねっとりとした陰気な、暗い独占欲にまみれた視線を浩司に送るようになった。
 彼に告白したという同級生の家へは、千冬自身が直接出向き、衆人環視の中、その少女を徹底的に罵倒し、あやうく少女の家族に警察を呼ばれるところであった。
 つまり、典型的な情緒不安定な性格に変化してしまったのだ。

 腕力では敵わない。
 そういう思いは確かにある。
 しかし、それ以上に浩司は、今の姉が本当の姉ではない、時間が彼女の心を癒してくれれば、再び以前のサッパリとした姉に戻ってくれるはずだ。そう信じているからこそ、千冬の凌辱に必死に耐えているのだ。
 が、もはや、千冬はそうは思っていない。

 一週間前に浩司の肉体を味わった時、彼女の心に走った電流は、それまでの千冬の心を支配していた悲嘆と絶望を、一挙に180度逆転してしまったのだ。

 千冬にとって恋人とは、確かに将来を誓い合った無二の存在ではあったが、どちらかというと、それほど体の相性がいい方ではなかった。しかし、それでも彼女は恋人を愛していたし、それ以上に尊敬していた。
 だから千冬は、体の相性という事実をそれほど重視してはいなかった。

 しかし、浩司の身体は違った。
 違いすぎたと言っていい。
 千冬にとっては、その恋人以前にも彼氏がいなかったわけではない。だが、この血の繋がった弟の肉体は、千冬が知る男たちの誰よりも、彼女に快楽を提供してくれたのだ。

――あああ、これが、これこそが、本当のセックスなんだ……!!

 千冬は処女ではなかった。
 しかし、この日、この瞬間に初めて“男”を知ったのだ。
 短小包茎の、どう見ても世間的には評価されないそのペニスによって。

 彼女は当初、自分の感情に大いに戸惑いを感じた。
 無理も無い。
 その日、突然彼女を襲った悲嘆と絶望、それ以上の憤怒。それらの大量の負の情念が、いきなり彼女の中で化学変化を起こしたのだから。
 しかも、その相手は常識的にはまず考えられない、実の弟なのだから。
 やがて、千冬は結論を下した。
 これは“愛”なのだと。
 例え、世間からどれだけ白眼を以って見られても、これは愛なのだと。

 千冬は今では、かつての恋人や親友に、何の感情も抱いてはいない。
 むしろ礼を言いたいくらいだ。
 あの二人が自分を裏切ってくれたおかげで、千冬はかつて存在すら知らなかった快楽の世界を垣間見る事が出来る。
 その桃源郷への水先案内人は弟。
 だから、もう千冬は、浩司を手放す気は毛頭ない。
 彼の体を支配するために、彼の心を屈服させるために、繰り返し、繰り返し快感と苦痛を、交互に与え続ける。


506 名前:千冬と浩司[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 07:03:37 ID:PGpb2i+A

「お仕置きよ」

 そう言うと、首に添えた両手に力を込め、頚動脈を圧迫する。
「……お……ねえ……ちゃ……!」
「んフフ……苦しい?」
 そのまま千冬は、浩司の唇を奪う。
 舌を絡ませ、唾液を送り込み、彼の舌を前歯で甘噛みすると、そのまま自分の口内に吸引する。
 当然その間、頚動脈を圧迫する両手は緩めない。

 浩司のもがきが、本格化してきた。
 このままでは、あと数秒しないうちに彼はチアノーゼ状態に陥るだろう。
 そのギリギリのタイミングを見計らって、手を離す。
 
「ごほっ!! ごほっ!!」
 フローリングの床に倒れ伏した浩司が、顔面を紫色にして、咳き込んでいる。
「ねえ、浩司」
 だらしなく身体を震わせる弟。その股間を、姉の右足がちょんちょんとつつく。
「なにこれ?」

――え?
 という表情で、浩司が顔を上げる。
「首を絞められて興奮してるの?」
 本当、どうしようもない変態ね、あなたって。
 千冬は言葉を続ける。
 短小だわ、早漏だわ、包茎だわ、変態だわ、――ふふふっ、四冠王って言うより四重苦って言うべきかしら。


507 名前:千冬と浩司[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 07:05:26 ID:PGpb2i+A

 浩司は、羞恥と屈辱で顔も上げられない。
「変態坊やにはご褒美を上げないとね……」
 そう言いながらスカートをめくり、千冬はカチカチになった弟のペニスを手に取った。
「ちっちゃいわ……。これで勃起してるつもりなの?」
 罵りながら、浩司のペニスを、精液まみれのショーツの横から引っ張り出し、その上に自分の腰を据える。
「こんな変態が弟だなんて……お姉ちゃん、恥かしくて死んじゃいそうよ」
 ゆっくり、ゆっくり、腰を降ろしてゆく。

 すでに千冬の下半身を包む下着は無い。
 そのショーツは今、浩司の腰で、彼のスペルマまみれになっているからだ。
――つぷッ……。

 はいった。


「ああああああっ!! おねえちゃんっ!! おねえちゃんっ!!」
「ひいいいっ!! 気持ちいい? ねえ、浩司はきもちいいのっ!?」
「いいですっ!! いいですよぉっ!!」
「ごめんねっ!! ごめんねっ、こうじっ!! だめなお姉ちゃんでごめんねっ!! あんたをこんなへんたいにしちゃって、……本当に、ほんとうに、ごめんねぇぇっ!!」


 浩司は、泣きながら自分を犯す実の姉を、とてもとても、美しいと思った。
                                  (了)

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最終更新:2007年11月01日 02:08
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