32スレ37

37 名無しさん@ピンキー sage 2010/09/20(月) 22:07:19 ID:sB65I6I3
 今年の夏は今までで一番暑いらしい。携帯で天気予報を見てみるとなんと驚きの34℃。
「うげー見なけりゃよかった……」
34℃の中3km程の急な坂道を二人乗りって俺もしかして死ぬんじゃないのか。
「ねえ、兄さん?」
背後から何か声が聞こえた気もするが、そんなのは無視だ。
「兄さん、無視するというのなら自転車の後輪に傘を突き刺し……」
妹が言い終わるより早く俺は返事をしていた。
「何だよ?」すると、妹は沙羅はおかしなことを言い出した。
「やっぱりやめませんか?」何言ってんだこいつ。
「何でだよ、お前が最初におばあちゃんの家に行きたいとか言い出したんだろ?」
すると、沙羅はすごく常識的なことを言い出した。
「こんなに暑いのに、自転車でそれも二人乗りで40kmも離れた家に向かうなんて無謀じゃないですか?」
やばい、自分が抑えられなくなってきた。
「それにあんまりこういうこと言いたくないんですが……兄さんって体力ないですよね(笑)」
俺のリミッターがものすごい音を立てて吹っ飛んだ。
「この野郎、俺は何度も行くことは不可能だって言ったじゃねーか、それを言うに事欠いて、俺の体力がないだと?こんな日に二人乗りで40km(そのうちの約半分は坂)なんて、全盛期のQちゃんでも無理だ!!」
沙羅よ確かにお前がかわいくて勉強もできて料理もうまいのは俺も認める。だが何で俺にだけこんな無茶をさせる?おっと、ヤバイな足がふらついてきた。ドシャ、薄れ行く意識の中、飲み物をまったく飲んでいなかった自分のアホさ加減を呪った。




 「......ぇぐ、兄さん、兄さん」
泣いているのか......沙羅?そう言おうとしたが思うように声がでない。
「ぐすっ、兄さん、早く起きてくれないと今日の夕飯は抜きですからね」
くそ、これ以上、沙羅を泣かせられるか。
「そいつは……困るなぁ」
頼むから泣き止んでくれよ、俺はお前の泣き顔なんて見たくないんだ。
「う....ひっ、ぐ兄....さん?兄さん兄さん兄さん」
ぐっふ、重いぞ妹よ。
「ぐすっ……ふぇぇ兄さんよかった、もう起きないかと思ったんだから」
「心配かけたな沙羅、とりあえず重いからどいてくれ」
沙羅が運んでくれたのかいつのまにか俺はなかなか涼しい木陰にいた。
「兄さんが倒れてからは水を飲ませるのも大変だったんですからね(本当は口移しで飲ませることができたから少しうれしかったけど)」
「それはすまなかったな......水?オマエハミズヲモッテイタノカ?」
「ええ、ホラ」
そういって見せてくれたバックには1ℓタイプのペットボトルが三本入っていた。
「オマエハオレガミズヲモッテイナイトトシッテテクレナカッタノカ?」
落ち着け俺、またもやリミッターが吹っ飛びそうになった。
「だって、兄さんが苦しんでる表情が私は好きですもの」
ブチッ..........もう疲れたからいいや
「帰ろうか?」
「はい、そうですね」



 これが俺の日常である。周りからよく言われることは「よく死んでないね」、である。

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最終更新:2010年09月26日 20:30
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