転生恋生 第十五幕

66   名前:  転生恋生 第十五幕(1/4) ◆ U4keKIluqE   2009/11/06(金) 01:05:34   ID:/OQmEfyw
     異変を感じたのは電車の中だった。寒気を感じた。
     電車を降りて、家まで歩く間、どんどん体が重くなっていった。
     玄関にたどり着くと、先に帰っていた姉貴が昨日同様のエプロン姿で迎えてくれた。ようやく機嫌を直したのか、にこやかな顔だったのは覚えている。
    「たろーちゃん、これから連休だね。明日明後日まではふたりきりだから、絶対に一線を越えようね。逃がさないんだから……」
     そんな物騒な言葉が耳に入ったところで意識が飛んだ。姉貴の胸の中に倒れこんでしまったことはかすかに覚えている。
     俺は高熱を発して寝込んでしまったんだ。

     目が覚めると、真っ暗な部屋の中で俺はベッドに寝かされていた。頭を支えている枕がふにゃふにゃなので、氷枕を当てられているらしいと気づく。
     重い頭をゆっくりと右に回すと、サイドテーブルの上の時計が見えた。蛍光塗料で弱々しく光る時針は9時過ぎを指している。
     ……3時間以上も眠っていたのか。
    「……起きたの?」
     その声で初めて姉貴が傍にいてくれたことを知った。もぞもぞと体を起こして俺の顔を覗き込む。
    「……俺、どうしたんだ?」
    「風邪よ。凄い熱が出てる。玄関で倒れたの、覚えてない?」
     姉貴が部屋の電気をつけた。蛍光灯の光がまぶしくて目をつぶってしまう。その俺の額にひんやりとした感触が走る。姉貴が額をくっつけてきたんだ。
    「まだ熱が高いわね。氷枕を換えてくるわ」
     部屋から姉貴が出ている間、俺はぼんやりと記憶を辿り、自分の状況を把握することに努めた。
     多分、猿島から伝染したんだと思う。約1日の潜伏期間を経て、ウィルスが決起したってわけだ。せっかくの連休が台無しだ。
     それでも、今のところ症状は熱だけのようだ。咽喉は腫れていないし、腹も痛くない。
    「食欲はある?」
     姉貴が冷えた氷枕を持ってきてくれた。
    「何も食いたくないけど、咽喉が渇いた」
    「たくさん汗をかいたから、脱水症状になっているのよ。頭とか咽喉とか、痛いところはない?」
    「どこも……。とにかく熱っぽくて頭がふらふらする」
    「熱だけなら、おとなしく寝ていればすぐに治るわね。……はい、お水」
     姉貴が水差しで水を飲ませてくれた。用意しておいたらしいが、時間が経っているせいでぬるい。
    「もっと冷たいのがほしい」
     病気のときほどわがままを言ってしまうのは何故だろう。でも、姉貴は面倒がらなかった。
    「林檎をすり下ろしたの、食べる?」
    「うん」
     昔から俺が風邪を引いたときの定番メニューだ。
     ものの10分ほどで、姉貴がすり下ろした林檎に砕いた氷をまぶしたものをガラスの皿に盛ってきた。ガラスの皿だから、実際以上に冷たく感じる。
     こういうところの細かい気配りが嫁さん向きだ。
    「はい、あーん」
     姉貴がスプーンで林檎を食べさせてくれた。俺もこういうときはおとなしく食べさせてもらう。
     ひんやりして、甘くておいしかった。
     こういうときは、世話焼きの姉がいてくれてよかったと心から思う。
    「汗をかいたから、すぐによくなるわ。体を拭こうね」
     毛布が除けられ、俺は初めて自分がTシャツとトランクスだけで寝かされていたと知った。そして俺の体を覆っていたわずかな衣類が姉貴の手で脱がされた。
     俺は頭がぼんやりしていて、特になんとも思わなかった。風邪なんだから、しょうがないとさえ思った。
    「頭を洗うのは無理だけど、あとは全部きれいにしてあげる」
     姉貴がおしぼりで俺の顔と耳の裏をぬぐい、何度かおしぼりを洗面器の水につけ直しつつ、次第に胸・腕・腹と下がっていった。

67   名前:  転生恋生 第十五幕(2/4) ◆ U4keKIluqE   2009/11/06(金) 01:06:35   ID:/OQmEfyw
     股間を拭われたときはちょっと不安になったが、意外にも姉貴はあっさりそこを通過して足を拭いていく。
     一応、病人相手ということで自制するだけの理性は持ち合わせていたらしい。
     安心すると、むしろ姉貴への感謝の念が湧いてきた。
    「姉貴……」
    「なぁに?」
    「ありがとう」
    「バカね、水臭いこと言わないの」
     姉貴は手を休めずに答えた。
    「愛し合うふたりが健やかなる時も病める時も助け合うのは当然のことなのよ」
     ……まあ、家族愛という言葉もあるしな。突っ込むのはやめておこう。というより、そんな元気もない。
    「はい、ひっくり返って」
     姉貴の手で横向きに転がされ、俺はうつぶせ状態になる。姉貴は背面をおしぼりで拭いていく。
     足まで拭き終えたので、やっとパジャマでも着せてもらえると思ったが、その気配がない。このままだと体が冷えてしまう。
     そう思って顔を後ろへ向けようとしたとき、ひんやりした液体が肛門にかけられた。そのまま姉貴の指が俺の肛門の中に入っていく。
    「な……なにやってんだ?」
     姉貴の指が俺の肛門にぬるぬるした液体を塗っていると理解するまでに暫くかかった。
    「熱冷ましのためにお尻に葱を入れるの。このままじゃ入りにくいから、ローションを塗ってあげるわ」
    「葱!?」
     葱を尻に挿すと風邪が治るという民間療法は聞いたことがある。だが生まれてこの方それを実行したことはないし、本当に効能があるのかも疑わしい。
     とりあえずこの場で自分が被験者になるのは御免蒙りたかった。
    「やめ……アッー!!」
     いきなり異物が肛門にねじ込まれた。ローションを塗っていたとはいえ、あまりにも太かったので痛みが背筋を走りぬけた。
     部屋の電気が消えて真っ暗闇になる。
    「大丈夫よ、ずっとついていてあげるから」
     姉貴は耳元でそう囁くと、俺にのしかかってきた。冷たくも生温かい柔らかさが俺の全身を包んだ。いつの間にか姉貴は服を脱いで、裸になっていた。
     その上から姉貴は自分ごと毛布をかけた。
    「ゆっくり休みなさい。朝には熱が下がってると思うから」
     そんなことを言われても、尻から全身に痛みと熱が広がっていく。尻がとにかく熱い。こんな状態で眠れるわけがない。
    「抜いて……くれよ」
    「ダメよ」
     姉貴が手で俺の尻を左右から押さえて、葱が抜けないようにする。あまりの痛さと熱さに、全身から汗が吹き出てきた。
     ……ぴちゃぴちゃ。
     湿った生き物が俺の背筋を這う。
     いや、生き物じゃない。姉貴の舌だ。姉貴が俺の体から吹き出る汗を舐めとってる。
     姉貴は全身で俺の汗を受け止めるつもりだ。そう悟った瞬間、頭が沸騰しそうなほどに熱が出た。

     それからはもう記憶がたどれない。一晩中眠れなかったのは確かだが、何があったのかは覚えていない。
     ただ、全裸の俺が全裸の姉貴に抱き締められ、体中を舐めまわされたということはわかる。体が覚えている。
     とにかく尻が熱かった。やめてくれと叫びたかったが、声は出ないし手足もも動かなかったから、抵抗しようがなかった。

68   名前:  転生恋生 第十五幕(3/4) ◆ U4keKIluqE   2009/11/06(金) 01:07:19   ID:/OQmEfyw
     
     気がつくと、俺は自分の部屋で寝ていた。カーテンは閉めきられていたが、薄明かりが入ってくることから、今が日中だとわかる。
     枕は相変わらず氷枕だ。腕が動くので、自分の胸を撫でまわしてみた。裸だった。
     俺は全裸にタオルケットを巻きつけられた状態で、更に毛布をかけられていた。汗を吸い取るための配慮だろう。
     恐々尻に手を回してみたが、異物が入っている感触はなかった。葱は抜き取られたらしい。
     肌も乾いている。姉貴が体を拭いてくれたんだな。
     現状は理解したが、体に力が入らず、起き上がることができない。頭はぼんやりしているが、熱っぽさはなかった。
     一応快復には向かっているようだ。頭が働かないのは、ずっと眠っていたからだろう。体に力が入らないのは、まともな食事をとっていないせいか。
     ……一体、俺はどうなるんだろう。
     風邪ごときでどうなるはずもないのに、理由のない不安が湧きあがる。姉貴はどこへ行ったんだ?
    「姉貴……」
     弱々しい呼びかけに反応したかのようにドアが開いて姉貴が入ってきた。
    「起きたのね。制服のYシャツにアイロンかけておいたわよ」
     そう言いながら、姉貴は体温計を取り出して俺の脇に挟んだ。1分ほどして取り出すと、37度8分だった。まだ熱がある。
    「だいぶよくなったと思ったんだけどな」
    「40度近くあったから、すぐには下がらないわよ。食欲は戻った?」
    「それよりパジャマを着させてくれ」
     裸だと落ち着かない。
    「ダメよ。熱が下がりきるまでは汗をかかないといけないんだから」
     押し問答をする元気もない。さしあたり体力を回復するべく空腹を訴えると、30分後に姉貴はおかゆを持って来てくれた。
    「はい、あーん」
     案の定、姉貴は自分で食べさせようとする。口移しでないだけマシだと思って、おとなしく従った。
     おかゆを食べながらの会話で、俺は今が連休初日の夕方だと知った。いったい、何時間寝ていたんだ?
    「たろーちゃんは明け方まで寝付けなかったのよ」
     そりゃそうだろう。尻がとにかく痛かった。
    「でも、汗をたくさんかいたから熱が下がったんじゃない」
     でももうごめんだ。
    「それじゃ、私と汗をかくことしようよ」
     そんな体力はない。
    「むう……」
     俺が同意しようがしまいが、その気になったら襲ってくる姉貴だが、さすがに病人相手ということで自重してくれた。裸の添い寝で我慢することにしたようだ。
     ……それでも裸で絡み合わなきゃ気がすまないのか。
    体を拭いてもらった後、部屋の電気を消してから裸の姉貴がベッドに入ってきた。
    「いくらなんでもすぐには眠れないよ」
    「とにかく横になって汗をかくことが大事なのよ」
     そう言って布団を何枚もかぶせる。姉貴自身も肉布団だ。とにかく暑い。眠れるわけがない。
    「汗をかいたら舐めてあげる」
     気色悪いことを言うな。そう思う間もなく、姉貴が俺の首筋に舌を這わせてきた。相変わらず有言実行だな。ますます眠れない。
     というより、これじゃあ俺の体が唾液まみれになるじゃないか。体を拭いた意味がないぞ。
    「気持ちよくなってきたら、遠慮なく勃起していいのよ。私が飲んであげる。風邪ウイルスを外へ出した方が早く治るわ」
     だから気色悪いんだっていうのに。
     文句を言いたいが、力が湧いてこない。だんだん体が熱っぽくなってきた。やっぱりまだ熱が高いんだな。
     やっぱり体が休養を求めていたのか、姉貴に抱きつかれ、舐めまわされるうちに俺の意識が遠のいていった。

69   名前:  転生恋生 第十五幕(4/4) ◆ U4keKIluqE   2009/11/06(金) 01:08:57   ID:/OQmEfyw
    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

     夢を見ていた。
     夢だとわかるのに、夢の中の自分は現実のつもりでいる。そんな不思議な感覚に包まれていた。

     そこは電化製品も木製の家具もない、草を編んで組み立てたような、粗末な小屋だった。
     蝋燭1本の弱々しい明かりの中で、黒髪の美しい女が俺を見つめている。見るからに安物だが、清潔感のある着物を着ていた。
    「旦那様」
     女が俺に体を寄せてきた。
    「今宵もお情けを頂戴しとうございます」
     口紅を塗っているわけでもないのに、女の唇は艶めいていて、色白の肌が薄暗い小屋の中でほんのりと朱に染まっているのがわかった。
     女の体に手を伸ばして初めて、自分も着物を着ているのがわかった。下着も褌だった。
     俺は女の襟元に手を入れて、乳房をつかみ出した。ほどほどの大きさで、柔らかい感触が生々しい。
     しばらく乳房を揉みしだいていると、女の息が荒くなってきた。その細い指が俺の着物の裾を割って、股間をまさぐる。
     俺はたまらなくなって、褌をずらして、ナニを取り出した。既に十分固くなっていた。
     そのまま女を組み敷くと、女の着物をはだけさせ、股を開かせた。そこはもう濡れぼそっていた。
     俺は慣れた手つきで女の中に入っていき、とりつかれたように腰を動かす……

    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

     腰が爆ぜるような感覚がして、目が覚めた。俺は激しく腰を突き上げていた。
     自分のペニスが屹立して、激しく射精している感覚がする。それもなんだか生温かくて湿ったものに包まれている。
     ……やばい。夢精したか?
     反射的に股間に手を伸ばすと、硬い感触がした。人間の頭だ。
     ……!?
     とっさに毛布をはねのけると、俺の股間に姉貴が顔を埋めていた。
     いや、そうじゃない。姉貴が俺のペニスをしゃぶっている。寝ている間にフェラチオされたんだ。
     それなら前にもあった。だが……!
     認めたくないことに、俺は姉貴の口の中に射精していた。こんなことは今までになかった。たとえ意識がなくても、俺が姉貴にイかされることなんてなかったのに!
     姉貴はうっとりとした表情でしゃぶり続けている。口の端から白濁した液体がこぼれる。
     それが自分の出した精液だと悟って、俺は怖気が走った。強引に姉貴を自分の股間から引き剥がす。
    「離れろ! 俺に触るな!」
     嫌悪感むき出して俺は姉貴を突き飛ばした。姉貴はとろんとした表情で、力なく転がった。
     俺は慌ててティッシュをつかんで股間を拭く。姉貴の唾液まみれで、とにかく気色悪い。
     そのまま部屋を飛び出すと、浴室へ駆け込んでシャワーを浴びた。念入りに股間を洗う。
     服を着て、ようやく俺は落ち着いた。時刻は朝の6時だ。頭もすっきりしている。熱も平熱に戻ったらしい。
     とにかく、俺は姉貴にとうとう犯されてしまった。事実なんだから、しかたがない。不幸中の幸いだったのは、妊娠の心配はないということだ。
     だが、姉貴が俺をイかせることができると判明した以上、俺の貞操は極度に危険な状態におかれたことになる。
     俺は命がけで姉貴と談判して、二度と睡眠中の俺を襲わないと誓約させないといけない。
     だいたい卑怯にもほどがある。病気で弱っている俺を、意識がないうちに手篭めにするなんて。
    「姉貴! このクズ! 今日という今日は見損なったぞ!」
     部屋に戻ると同時に怒鳴りつけたが、姉貴は全裸のまま動かない。さっき俺が突き飛ばしたままだ。
    「おい、いつまでも寝てんじゃねぇ!」
     体をゆすったが、姉貴は反応しない。
     ……意識がないのか?
    「おい、姉貴」
     額を触ると、火傷しそうなくらい熱かった。尋常じゃない発熱だ。

     俺が快癒したのと入れ替わりで、姉貴が流行性感冒にかかってしまったのだった。


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最終更新:2013年06月05日 14:45
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