妹姫(その6)

117 名前:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/05/26(土) 17:46:11 ID:Y8bFnEqT
国主の信輝が勝利を祝って乾杯の音頭をとって無礼講の宴が始まった。
本当の出自を知らせていないため、清治は下級のものから妬まれても
いたが、この戦でその雰囲気も改められ、次々と杯を交わしている。
隣には舞姫が緊張した面持ちで座り、杯に酒を注いだりしていた。

「それにしても清治の手腕は見事であった。」
「恐れ入ります。ですが叔父上方、歴戦の士がいてこそ出来たことです。
 それに作戦そのものも一人で考えたことではありません。」
「ふむ、誰じゃ?」
「九条殿の娘、雪殿です。戦の前触れの察知から作戦の立案、地図の用意と
 多大な協力を得ました。自分だけの手柄ではありませぬ。」
雪の名前を聞いた瞬間、舞姫は自らの心に暗い炎が灯ったのを感じた。
(いや…)

「噂以上のようだな。清治は一人身、雪殿を嫁に貰ってはどうか。
 仲人はわしがしてやろう。同時に大上を名乗ればよい」
(いや…私から……)
「は、ありがとうございます。落ち着きましたら宜しくお願いいたします。」
(兄上様を離さないで!いやいや嫌!絶対そんなことはさせない!渡さない!
 どんな人でも絶対に!兄上様は私だけを…わたしだけを…!!)

「皆様方、戦での勝利お祝い申し上げます。」
そこに現れたのは、小柄な着物の女────雪だった。彼女は無表情に
皆に頭を下げ、清治の反対側の隣に座った。

「雪、どうしてここへ。」
「我が生きて帰ってきてくれた君にすぐに会いに来ない道理があるまい。
 芳之助に送ってきてもらった。」
「雪殿、此度の戦での働き、この信輝からもお礼申し上げる。」
「女は影で支えるもの…、手柄は全て清治殿に。」
余裕で応対していく雪を舞姫は、嫉妬と怒りを込めた気持ちで見つめていた。
それに気づきながら雪は清治の無事の祝いを述べ、改めて舞姫の隣に座った。
(この人が…兄上様を奪おうとする一番の敵…)

「お初にお目にかかります。舞姫様。九条春尚の娘、雪でございます。」
「…舞でございます。このたびの働き、お見事でございました。」
「愛するもののためなれば。」
「…」
「舞姫様、少々外に涼みにいきませぬか?」
「おい、雪!」
雪の言葉に清治はあわてて止めようとしたが、

「大丈夫、芳之助も一緒だ。清治殿、舞姫様は借りて行くぞ。」
「わかりました。参りましょう…。」
清治は、何事も起きないことを祈るほかに無かった。


118 名前:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/05/26(土) 17:47:48 ID:Y8bFnEqT
城門近くの先穂之桜は、ゆるい風にゆっくりと花びらを散らせながら
月明かりを浴びて春の最後の輝きを見せている。
桜の下では三人女がいて、そのうち二人が向かい合っていた。
片方は綺麗な髪の長い、か弱い雰囲気の美しい少女。
片方は短めの髪の小さいが、瞳に強い輝きを持つ女。

「さて、舞姫様は我に何かおっしゃいたいことがおありの様にお見受けしましたが…。」
「はい。兄上様に近づかないでください。」
「ふむ…。しかし、婚約者に近づくなとはどういう了見かな。」
「兄上様は、貴女を好いてはおりませぬ。」
「我は好いておる。それに清治殿も嫌ってはおるまい。何か問題が?」
舞姫は顔を怒りに歪め、雪は涼しい顔で受け流している。

「兄上様を束縛しないでください。」
「束縛したというのは心外だな。我が清治殿と結ばれるように状況を用意したのは
 否定はせぬが。好いたもののため、努力するのは当然であろう。」
「望みもせぬ地位に着き、好いてもいない人を娶る…そんなことを兄上様には
 させたくない。だから、貴女には渡すわけには行かない。」
「舞姫様は誤解しているな。清治殿は為政者として生まれた自分の人生を自らの
 意思で受け入れたのだ。我はそれを補佐しているだけに過ぎない。彼がもし、
 そうでない人生を選んだとしても我は彼と共にあったろう。それに清治殿が
 我を好いておらぬと何故決め付ける?」
「そ、それは…兄上様が貴女を好いてるはずがないんです!」
「我は毎夜清治殿と逢瀬を重ねておるのだ。昔からな。お互いの知らぬことは殆どない。」
「なっ!!」
「他に話がなければ今晩は失礼させていただこう。芳之助、行こう。」
(兄上様…どうして…どうして…)

二人が去った後も、舞姫は暫く呆然と月を見上げていた。

119 名前:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/05/26(土) 17:48:35 ID:Y8bFnEqT
数刻の後、清治は宴を抜け出してあてがわれている客間へと戻った。
元来それほど酒には強くはなく、今も尚続いている酒豪たちの宴会を
思うとため息しか出てこない。

部屋の窓から月を見ながら、外へと出て行った女性達を思う。
雪の性格は知っている。口論になれば妹に勝機はまずない。

「菓子でも用意しておくか…」
と、立ち上がろうとしたときスルスルと扉が開いた。
入ってきた舞は薄暗く照らされた明かりで、まるで生気の無い幽鬼のような
表情で佇んでいる。

「舞。どうした?今菓子を用意させるから少し待て。」
「そのようなものはいりませぬ。」
「顔色が悪いぞ。今日はもう休んだほうがいいぞ。」
「兄上様…雪殿を抱いたというのは本当でございますか…?」
「雪から聞いたのか…。事実だ。」
「兄上様…兄上様は嘘つきです!嘘つき!好きではないとおっしゃったではありませんか!」
「好きでなくとも男は抱けるのだ。それに雪は俺を好いてくれている。友情という
 形でだが好意もある。俺と雪の間には愛し合う上で何の障害も無いのだ。」
そこまでいい終えたとき、ぱさっと軽い音を立てて夜着が落ちた。
舞姫の白い裸身が、普段の姫としての清楚さとは違う妖艶さを帯びて、
薄暗い光に照らされ夜の客間に浮かび上がる。肌は羞恥で赤く火照り、
男を誘う香りを放つ────一人の女がいた。

「舞…お前何を…。服を着ろ!」
「兄上様…好きでなくても抱けるのであれば、私を抱いてください…。」
「馬鹿者!やめるんだ!」
「私には魅力がございませんか?」
舞姫は制止を聞かず、清治に体を擦り付ける。

「俺達は兄妹なんだぞ!」
「関係ありません…。一人の女として…見てください。」
「今お前を抱けばそこに待っているのは破滅だけだ。家は混乱し、国は滅ぶ。」
「そんなことはどうでもいいのです。兄上様さえ…兄上様さえ私を…
 私だけを想うて下されば、他は何も…。」
「俺は次期当主としての責任がある。」
「もしかして…お嫌いなのですか…お嫌いならそうといってください。兄上様に
 嫌われた私など生きている価値もないのです。死にますから…兄上様に愛されなければ…」
「舞…お前…。」
「何故!!私は雪殿が憎い!兄上様と何の問題もなくずっと一緒にいられるあの人が!
 兄上様の力になる才能を持つあの人が!私は兄妹というだけで抱いてすらもらえないというのに!!」
狂乱しながら彼女は清治の首を絞める。もう、離さないという気持ちを込めて。
清治は必死にもがく。


120 名前:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/05/26(土) 17:49:29 ID:Y8bFnEqT
「ごほっ…舞……やめ……」
「あ……私…兄上様を……傷つけ…いや…いやああ!!」
「舞っ!俺は大丈夫だ!お前を嫌いなんてならない!!」
清治は抱きしめる。力強く。そして、舞姫から力が抜けた。
同時に、舞姫の繊細な指先が清治の股間に触れる。

「これが兄上様のモノ…。私はもう我慢できないのです。…んっ…」
舞姫は清治を押し倒し彼のモノを子猫が舐めるように舐め、咥え、
美味しそうにじゃぶりはじめた。

「お前どこでこんな…。」
「……っ…以前………芳之助様に……殿方の喜ばし方を…伺い…っ…ました…」
「くっあの馬鹿……舞!口を離せ……」
「んんっ!!……苦い…これが子種…」
妹にされている背徳感と慣れぬ拙い攻めに逆に劣情を抱かされ、
普段にない快感を味わう。

「兄上様に否定されても…例え国を敵に回しても…今日だけは…
 兄上様は私だけのものです。私だけの…愛する人です。逃がしません…。」
「よせ…まだ間に合う…」
「動かないで兄上様!ここで逃げれば…私は自害します。兄上様の本心をお聞かせください。」
舞姫の目は真剣なのを清治は一瞬で悟った。逃げようとすれば死ぬ…。

「十余年も離れていたのだ。俺も…俺も女としてしかお前を見ておらぬ。
 だが、それでも兄妹なのだ。どれ程想っていても愛し合うのは不幸になるだけだ。」
「私は…私は今、幸福です。ですから…無理やりでも…兄上様…私を死なせたくなければ
 お願いですから抱いてください。抱いてくださらねば私は…。」
「舞は卑怯だ。」
「謀とはそういうものだそうです。」
艶っぽく笑うその表情は少女のものではなく今までに無い色気を出している。
清治は覚悟を決め、自分の夜着を脱いで下にひいた。

「初めは痛いぞ。」
「覚悟は…しております。お願いします。」
「…抱いている間は兄ではなく名で呼べ。」
「はい兄…清治様…………っ…!」
清治は舞姫の口元に自分の手を差し出す。

「噛め。」
「…いっ……んんんんんっ!!!」
「もう少しで全部入る。」
「…くぅ…あああっ…んんっ!!!!」
「舞…全部入った…これでお前も女だ。」
舞姫は痛みで涙を流しながらも、ゆっくりと噛んでいる手から口を離し微笑む。
清治の夜着には、初めての証がついていた。

「はぁ…想像以上に痛うございました…。でも、清治様…それ以上に幸せです。」
「動くぞ。」
そういうと再び手を噛ませてゆっくりと動き始める。
舞姫の表情は初めは痛みだけであったが徐々に快感の色も混じる。


121 名前:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/05/26(土) 17:50:46 ID:Y8bFnEqT
「…んっ……んっ………」
「舞…お前の中は気持ちいい。相性がいいのか吸い付くようだ。」
「やだ……清治…様…恥ずかしい…こと…いわない…で…」
「もう少し激しく行くぞ。」
今まで労わるように腰を動かしていたが徐々に、激しく腰を打ち付け初める。

「あっ…清治様!私は…私は…もう……」
「舞っ……だすぞっ!」
「あああああっ!!もっと愛して…!!清治様…中にください!!」
最後に腰を一突きし、清治は舞姫の中に精を放つ。同時に、彼のモノを
締め上げるように舞姫の全身が震えた。

「はぁ…はぁ…。清治様…私の中に清治様の子種が…」
「あ、お、俺は…なんてことを…」
「私は…兄上様に犯されました。もう嫁にはいけませぬ。もう兄上様だけのもの…」
舞姫は妖艶に微笑む。人倫を踏み外したことを後悔する所か誇るように。
清治の隣で添いながら囁く。

「兄上様は私だけの兄上様でいてください…。」
「俺には国を守る責務がある。」
「それでは、私を…お捨てになりますか?」
「…舞。お前は姫としての自分を捨てることはできるか?」
「兄上様と共にいられるのでしたら…。」
「雪と仲良くすることはできるか?」
「………兄上様が愛してくださるなら我慢します。」
「ならば俺が当主になるのを待て。そうしたらお前を死んだことにして
 姫としてでなく、一人の女として手元に置く。それでも良いか?」
舞姫は笑顔を見せた。先ほどまでの美しい女としての妖艶なものではなく、
いつもの少し子供っぽい妹としての笑顔だった。

「わかりました。お待ちしております…一つしたいこと忘れてました。」
「何でもいってみろ。」
「口付けを交わしておりませぬ。」
「それは…全て上手く行ったときの楽しみにしよう。」
「はい、楽しみにしております。」
舞姫は眠りながら嬉し涙を流し続けていた。この先のことを少しも想像することが出来ずに…。

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最終更新:2007年11月01日 13:25
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