303 名前:聖のお兄様2 1/5 ◆49or6cS0q. [sage] 投稿日:2007/05/30(水) 22:59:07 ID:S/f4KJvn
「冬也さん。聖さん。学園の方はいかがですか?」
お母様が聞いてくる。
今日は珍しくお父様とお母様とお兄様の四人そろっての夕食です。
普段はお兄様と二人きりなので、家族全員がそろうと嬉しいものがあります。
「えぇ。生徒会に部活に、毎日が充実しています」
「私も、お友達も大勢出来ましたし、学業も運動もおろそかにしていませんわ」
お父様とお母様が嬉しそうに頷く。
私はお父様とお母様が好き。お父様とお母様とお兄様が居ればそれで十分。
「ところで冬也。そろそろ浮いた話の一つでも出て来ないのか?」
「そうですね。実は・・・と言いたいのですが。まだです。少し理想が高すぎるせいかもしれませんが」
「あら。学園の女生徒でも冬也さんのお眼鏡に適わないなんて、随分と高い理想を持っているのですね」
お母様の言葉にお兄様が微笑む。
「僕の理想は、長い黒髪と透き通るような白い肌。慎ましやかで優しい、和服の似合う子ですから」
「ほう。それにしても、なんだかひ・・・聖のことを言っているみたいだな」
「え・・・えぇ。そうですね。確かに聖は僕の理想にぴったりです。というより、聖と一緒だったから理想が高くなってしまったのかもしれませんけど」
そう言って、お兄様とお父様が声を上げて笑い出す。
お兄様・・・
テーブルの下で握り締めた左手から流れる血が、カーペットの染みになってた。
「くっ!」
私の投げた枕は、壁に当たって弾け、中の綿をそこいら中に撒き散らしていた。
憎い。居なくなって尚、お兄様の心を縛るあの女が。
『長い黒髪と透き通るような白い肌。慎ましやかで優しい、和服の似合う子』
お兄様の言葉が頭をよぎる。
これは私のことではない。
私のような紛い物のことではない。
「イラつく。頭にくる。腸が煮えくり返る」
はぁはぁはぁ・・・少し、地が出てしまった。
落ち着け・・・落ち着くのよ。
けど。結局、私はあの女に負けているだけ。あの女に勝った例が無い。
いつまで。いつまで私はあの女の亡霊に悩まされなければならないのだろう。
304 名前:聖のお兄様2 2/5 ◆49or6cS0q. [sage] 投稿日:2007/05/30(水) 23:00:33 ID:S/f4KJvn
「ありがとう。美味しかったよ」
「えへへ。そう言ってもらえるとすごく嬉しい。じゃあ、また来るね」
「あぁ。今日はありがとう」
私とすれ違いに見た事の無い女子生徒が生徒会室から出て行く。
「何かあったんですか?」
「ん?あぁ。これを貰ったんだ」
お兄様の机の上には、子瓶に入った黄色い・・・プリンが並べられていた。
「今日の調理実習で作ったのを持って来てくれたんだ」
お兄様は笑顔で中身の詰まったプリンにスプーンを突き刺す。
見ていると、自分の心臓まで突き刺されているようで、すごく苦しい。
「先ほどの方のお名前。教えていただけますか?」
「え。なぜだい?」
「いえ。お兄様の代わりに私から何かお礼をと」
「いや、それは俺がちゃんと」
「ちゃんと出来る人は、妹の誕生日を二回連続で忘れたりはしませんわ」
お兄様が言葉に詰まる。
「・・・2年の同じクラスの五十嵐ひとみさんだ」
「五十嵐・・・ひとみ?」
「あぁ。別に珍しい名前でもないだろ」
お兄様が珍しく苦笑する。
「そうですわね」
お兄様は本当に美味しそうに食べている。
私に言ってくれればすぐにもっと美味しいものを作るのに。
「聖もどうだい?」
「いいえ結構です。一日の食事量は決めてますから」
「そうか?美味いんだけどな」
腹が立つ。
ひょっとして、お兄様が甘いものを好きだと知っての行動かしら。
ふふ。
どっちでもいいわ。彼女・・・もうお兄様に会えないのですから。
305 名前:聖のお兄様2 3/5 ◆49or6cS0q. [sage] 投稿日:2007/05/30(水) 23:01:30 ID:S/f4KJvn
もう何年も前に廃屋となった雑居ビルの一室。
「んっ・・・ぁぁっ・・・ゃっ・・・はぁっ」
私の目の前で醜女が3人の男に輪姦されている。
口に秘部にお尻。
太い男根をくわえ込んでよだれをたらして。
「どう?」
「あぁ。なかなかいい具合だな・・・んっ。出すぞ」
「ふ、ふがぁっ・・・げほ・・・が・・・えほっ」
口に咥えさせていた男が、口の奥深くまで男根を突き入れ、中で精液を吐き出す。
溢れ出た精液が、口の端から漏れてくるのが見えた。
「う・・・げほっ・・・えほ・・・えほ・・・あ、あ、あぁぁぁっっ」
後ろの男たちも果てたのか、二人の男たちも女から離れる。
あぁ。すごい量の精液。
鼻が曲がりそうな匂いね。
「無様ね」
私はうな垂れた女の髪を掴み、顔を持ち上げる。
五十嵐ひとみ。
そう、数時間前にお兄様に取り入ろうとした女だ。
「うぅ・・・ぁ・・・聖・・・さん?」
「はじめまして。五十嵐先輩・・・そして、さようなら」
そのまま後頭部を掴み、地面へと顔面をたたきつける。
「うがっ」
グシャリという音と共に、アスファルトに赤い染みが広がる。
「あぁあ。聖。こいつ何したんだ?そこまでやる必要あるのかよ」
「さぁ。でも、これくらいやらないと気がすまないのよ」
私は心の中に湧き出した黒い感情に身も心も委ねる。
「さて。あんた等はもう気が済んだでしょ。後は、私の時間よ」
そう言って、私は立ち上がると、女の脇腹らを力いっぱい蹴り上げる。
「ひぐっぅ」
あぁ・・・久しぶりだ。この感触。
人を壊す感触。気持ちがいい。
「・・・ど、どうして」
顔面を真っ赤にしながら女は顔を上げる。
なかなかタフだな。
306 名前:聖のお兄様2 4/5 ◆49or6cS0q. [sage] 投稿日:2007/05/30(水) 23:02:15 ID:S/f4KJvn
「どうして?はっ、決まってるだろ、名前だよ名前。私はその『ひとみ』って名前が大嫌いなんだよ!!」
今度は後頭部目掛けて足をまっすぐと振り下ろす。
先ほどよりももっと、醜くて鈍い音。
あぁ・・・壊れた。
私の体をゾクゾクとする、快感が駆け抜ける。
「はぁ・・・さ、これで最後。おい、そいつをそこの椅子に座らせろ」
男の一人が、醜女を椅子に座らせ、大きく足を開かせる。
顔はぐちゃぐちゃにつぶれてるけど、息はあるな。
「・・・うぅ・・・」
よしよし、死んでもらっちゃ困るんだよ。少なくとも、最後の瞬間まではな。
私は、カバンから電球を取り出す。
そして、それを女の開ききった膣に押し込んだ。
「ぐっ」
「おい、そこのバット貸せ」
「聖。そいつはさすがにやりすぎじゃ」
「いいから貸せって言ってんだろ!!」
私は男に渡されたバットを持つ。
先端で下腹部を軽くたたくと、硬い電球の感触がわかる。
「・・・や・・・め・・・・・・やぁ」
私はちょうど女の後ろに鏡が立っているのに気づいた。
鏡に映る目つきの悪い女。もちろん私だ。
そこに映る私は、普段の私ではない。
長い黒髪は跳ね、口元には悪魔にも似た笑みを浮かべていた。
「死ね」
私はバットを女の下腹部目掛けて振り下ろした。
307 名前:聖のお兄様2 5/5 ◆49or6cS0q. [sage] 投稿日:2007/05/30(水) 23:03:26 ID:S/f4KJvn
「聖。今日は遅かったな」
「えぇ。少しわからない問題があって、先生に教えていただいていたので」
「そうか。うんうん。聖は勉強熱心だな」
今日は私とお兄様二人だけの食事。
ううん、今日はではない。今日もだ。昨日が珍しく四人だったというだけだ。
そう四人。
私とお兄様とお父様とお母様。
四人でいい。三人でも五人でもだめだ。四人。
「どうした?疲れでもでたか?」
「え?えぇ。そうですわね・・・今日は早めに休むことにします」
「あぁ。それがいい。お前に風邪でもひかれたら生徒会が成り立たん」
「あら。お兄様一人で十分でしょうに」
私とお兄様が笑う。
私の前で仮面をはずすお兄様とお兄様の前で仮面を被る私。
仮面はとてもとても窮屈だ。
けれど、それを我慢すればお兄様が私に微笑みかけてくれる。私を見てくれる。
「冬也さま。聖さま。旦那さまからお電話です」
家のお手伝いさんが、息を切らせながらダイニングに駆け込んでくる。
その様子にお兄様が電話を奪うように取る。
「もしもし、父さん?何かあった・・・え?」
「どうしましたの?まさかお父様とお母様に何か?」
「本当なの!?・・・うん・・・うん・・・わかった」
お兄様の顔が見る間に笑顔へと変わる。
杞憂でしたね。何か嬉しいしらせのようです。
お兄様は電話をテーブルに置き、私の方を見る。
「それで、お兄様。何がありましたの?」
私もお兄様の笑顔につられて笑顔になる。
しかし・・・お兄様の言葉を聞いて、心が・・・凍りついた。
「え?・・・あの、お兄様」
「だから・・・瞳姉さんが目を覚ましたんだ!!」
続く-
最終更新:2007年11月01日 22:12