妹-I-妹

357 名前:妹-I-妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2007/06/03(日) 04:33:08 ID:sieKQt3d

僕にはちょっと危ない双子の妹がいる。
深高 射空(みたか いそら)と深高 断海(みたか たつみ)。
二人は本当にそっくりで、僕にしか見分けがつかない。
そして二人は、兄の僕を軸としていつも対象に並んでいる。

358 名前:妹-I-妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2007/06/03(日) 04:35:36 ID:sieKQt3d
「ねえ、兄様」
「ねえ、兄様」
「うん? 何だい、二人とも?」
「どちらが射空?」
「どちらが断海?」
「うーん。僕から見て右が射空だな。逆が断海」
「見事に正解、右が射空です。兄様」
「見事に正答、左が断海です。兄様」
「うん、よかった」
「所で、兄様。聞きたい事があります」
「時に、兄様。言いたい事があります」
「ん?」
「この間、帰り道で兄様と一緒にいた女は誰ですか?
 射空と断海が傍にいない間に」
「その間、帰る道で兄様と一緒にいた女は誰でした?
 断海と射空が傍にいない間に」
「ああ・・・彼女はクラスメイトだよ。委員長さんなんだ。
 提出物関係でちょっとお小言を貰ってね。途中まで道が同じだって言うから、帰りながら」
「あの女、兄様の敵? 射ち殺してもいいですか?」
「その女、兄様の敵? 斬り殺してもいいですか?」
「ダメだって。そもそも敵じゃありません。
 まったく、二人ともそうやってすぐに物騒なことを言わないって約束しただろ?
 ・・・・・・怒るよ?」
「そ、それは困ります! 射空は兄様に嫌われるのは、怖い」
「そ、それは困ります! 断海は兄様に怒られるのは、恐い」
「じゃあ、これからは気をつけること。
 あと間違ってもこの間みたいに僕の友達にボウガンとナイフで襲い掛かったりしないこと。
 問題にならないように土下座して謝り倒して、あの時は本当に苦労したんだから」
「しかし・・・兄様に近付く敵は」
「けれど・・・兄様に近寄る女は」
「言い訳しないっ!」
「はい。射空は了解しました、兄様」
「はい。断海は了承しました、兄様」
「分かればよろしい」
「では兄様、今日も夕飯の買出しに行きましょう。普段通りに手を繋いで」
「では兄様、今日も夕飯の買出しに行きましょう。言葉通りに手を繋いで」
「ん、そうしようか。今日は何がいいかな?」
「射空は兄様の作るハンバーグを希望します。ソースは断海が」
「断海は兄様の作るハンバーグを希求します。ソースは射空で」
「はいはい。本当、二人ともどんな料理でもソースやドレッシングだけは手作りだよね。
 あれは美味しいからいいけど」
「はい。楽しみにしていて下さい。
 断海、今日も兄様の口に美味しいソースを運びましょう? 美味しい水で」
「はい。楽しみに待ってて下さい。
 射空、今日も兄様の口に美味しいソースを運びましょう? 美味しい蜜で」
「じゃあ、行こうか。射空が右手、断海が左手ね」
「はい、兄様」
「はい、兄様」

概ねこのように。線対称で、左右対称の妹達に僕は挟まれている。

「ですが、兄様に近付く者を射空は許しません。必ずや鉄槌をその身に」
「だけど、兄様に近寄る女を断海は逃しません。必ずや鉄塊をその身に」
「下します」
「落します」
「兄様は離さない」
「兄様は渡さない」

僕はいつも妹達に挟まれていて、不思議とその間に誰かが入ることはない。
僕の左右は二人の定位置である。そして二人の間は僕の定位置なのだった。

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最終更新:2007年11月01日 22:15
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