妹としての常識が欠落している。

309 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20:26:36.24 ID:55Hq5p4Z
「お兄ちゃん」
「うぅ・・・」
「早く起きてってば~」
「・・・ぐぅ」
「・・・まだ寝てるんだよね?」
「・・・・・・では」
「何をしようとしてるのかな?」
「・・・ちっ」
「舌打ちはいいから状況を説明してくれるかな?場合によってはこの手が唸るかもしれない」
「普通の兄妹でよくあるスキンシップだけど?」
「兄妹のスキンシップなら仕方ないな・・・それでズボンを下げてるのか~」
「兄妹ならお兄ちゃんの寝顔を見てたらムラムラしてきて襲っちゃう事あるよね」
「・・・てい」
びしっ
「あぁん」
俺の妹はかなりおかしい。
常識外れ、天然、ブラコン。
そして何より―――――――――

「・・・ねぇ、お兄ちゃん・・・・・・もう一回だけ叩いて?」

変態だ。



310 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20:28:49.58 ID:55Hq5p4Z
「はぁ~」
「何で溜息なんて吐いてるの?」
「毎朝あの手この手で嫌がらせしやがって・・・」
「でも色々試してみたけどやっぱりお兄ちゃんの一番好きなシチュが反応いいよね。一昨日もやったやつ」
「・・・はぁ」
「20回目にしてこの威力!やっぱり朝起きたら隣に裸で添い寝してくれる妹がいると興奮するでしょ?襲ってこないのが不思議でしかたない」
心底不思議そうに首を傾げる歩。
確かに反応はしてしまう。男の子だもの。
岸川 歩。高一。まだ幼さの残る童顔に黒のツインテール。
年相応の身体のライン。可愛いのは否定出来ない。
だが、妹だ。
兄妹という関係が崩壊しかける理性を止める最後の砦だ。
歩は兄妹という関係を破壊する気満々だが。
「やだなぁ、お兄ちゃん。妹兼お嫁さんが私の最終目標だよ」
「心を読むな、心を」
「今日もお兄ちゃんテレパシーは絶好調なのでした~」
歩は本当にテレパシーでも持っているのかと思うぐらい勘が鋭い。
特に俺の異性関係に関しては常に監視されてるかと思うほどだ。
「そろそろ学校行くぞ」
「は~い」
でもそろそろ兄離れをしないといけないよな。色んな意味で。



311 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20:33:13.69 ID:55Hq5p4Z
学校までは二人で徒歩15分。
歩はまだ新入生だがかなり有名になってしまった。
ブラコンシスコンの岸川兄妹としてだが。
今だって当然の様に腕を組んでくるし。
周りの視線なんてお構いなし。鼻歌までしてやがる。
「何故か知らんがご機嫌だな」
「ふふん。この時間はお兄ちゃんが私のモノと周りに分からせるためにあるからね」
「さいですか」
あぁ戻りたい。一年前の高校生活に。
一年と三年は校舎が違うので校門で歩と別れる。
一人で歩いていても視線は感じる。
歩が来る前までは普通に過ごしてたのに・・・
今ではすっかり注目の的だよ。
自分の席に着き、ようやく落ち着く。
クラスの奴等は今の状況が歩からの一方的な愛情だと分かっているのでありがたい。
「おはよう岸川」
「あぁ、おはよう結花」
「まったく・・・毎朝見せつけてくれるね」
「俺としては今の状況を何とかしたいんだけどな」
「無理無理。どう見てもシスコン野郎だよ」
「だよな・・・」
悪態を吐いてくるこいつは荒井 結花。
ずっと腐れ縁の幼馴染。
クラス内のシスコン疑惑を解いてくれたりして意外と良い奴。
後、歩の女性フィルタリングを通り抜けた数少ない人物。
休日や放課後遊べる女友達はこいつ位だ。



312 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20:37:54.61 ID:55Hq5p4Z
「なぁ・・・結花。今日は空いてるか?」
「ん、別にいいけど何で?」
「ちょっと相談があってな」
「りょーかい。んじゃ放課後ね」
よく馬鹿にも付き合ってくれるし、結花は本当に良い奴だ。


「で?何の相談があってあたしを呼んだわけ?」
放課後に教室でちょっと話をする位でよかったのだが駅前のファミレスまで連行された。
結花曰くそれ位は奢れだそうだ。
別に奢るのはいいが、時間が無い。さっきから携帯が震え続けている。
確認するまでも無い。歩だ。
ここも直ぐに見つかるだろう。


313 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20:42:35.40 ID:55Hq5p4Z
「単刀直入に言う。俺と付き合ってくれ!」
「・・・・・・ふぇ!?」
「お前とならいける気がして・・・」
「そ、そんな急に言われても・・・あたしにも心の準備ってもんが・・・」
一瞬で結花の顔が真っ赤になった。
しまった焦り過ぎた。これじゃあまるで告白じゃないか。
「あ、すまん。言い方間違えた。正確には・・・」
「やっと見つけたっ!お兄ちゃんこんな所にいた~!」
「早っ!?」
最初に携帯震えてから五分も経ってないぞ!?
さっきの発言を結花に説明すら出来て無い。
「たとえ結花先輩でも女の子と出かける時は私が一緒じゃないと駄目だからね!」
「・・・すまん」
歩はそのまま俺の隣に座り延々と説教をしてるし、もう相談どころじゃないな・・・
「結花先輩、どうかしました?さっきから呆けてるようですがお兄ちゃんに何かされましたか?」
「・・・う、ううん何でも無い!・・・ただ、少し整理がついてないだけだから」
「・・・?それではそろそろ私達は夕食の買い物に行かないといけないので。お兄ちゃん行きますよ」
「・・・あぁ。また明日な、結花」
「・・・う、うん。また明日ね」


314 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20:44:47.01 ID:55Hq5p4Z
歩に引き摺られて店を出る。
結花には後で電話しておかないと・・・
歩に俺を諦めさせる為に恋人の振りをして欲しいと伝えるつもりだったのに。
そりゃあ本当に付き合えたら嬉しいけど結花は告白を片っ端から断ってるし無理だよな。
何とか今日の夜に誤解を解けば明日に蹴り一発位ですむかな。

「御馳走様でした」
「はい、お粗末さまでした」
歩が作った夕食を食べ終える。
両親は二人とも外国へ長期出張しているためずっと歩と二人暮らしだ。
その所為で益々歩が暴走しているのだが。
「少し自分の部屋にいるからな」
歩は俺の傍から離れないので電話が出来ない。
何とか一人にならないと・・・
「・・・その前にお兄ちゃんに話があるから聞いて欲しいな」
「なんだ?」
「お兄ちゃん最近女の人にだらしないよね?」
「そ、そんな事はないだろ」
「ちょっと手を後ろに組んで?」
ガチャリ
「歩、何故手錠なんてするのかな?そもそも何で手錠を持っているんだ?」
「手荒な事はしないから大丈夫だよ。でもこれを見てもし彼女さんなんて見つかったら・・・」
歩が俺の携帯を取り出す。何時の間に盗ったんだ。


315 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20:47:05.86 ID:55Hq5p4Z
「う~んこれなら大丈夫そうかな~。結花先輩とのメールが多いのと女子のメアドが二人増えてるのは気になるけど。とりあえずこの二人のメアドは消しておくね」
あぁ・・・折角仲良くなったのに・・・
歩のチェックが時々入るため俺の携帯には殆ど女の子のアドレスは残らない。
残っているのは母さん、歩、結花、歩の友達くらいかな。
「全く・・・お兄ちゃんは女の子にデレデレしすぎ!」
「そんなつもりは全然無いけどな・・・」
「罰として今日はこのまま一緒に寝ようね」
「ちょっと待て。その理屈はおかしい」
「何もしないから!本当に何もしないから!!」
女が言うセリフじゃない。
いつもの様に歩の勢いに負けて一緒に寝る事になるんだろうな・・・
携帯も返してもらってないし、結花には明日直接言うしかなさそうだ。

「それじゃあ、おやすみお兄ちゃん」
「一緒に寝るのはいいがせめてこの手錠は外してくれないか」
「嫌」
「・・・はぁ」
「それにしてもお兄ちゃん良い筋肉してるよね・・・この腹筋とか私大好きだもん」
「寝巻に手を入れて撫で回すな!・・・さっさと寝ろ!」
「おや?妹に触られてここもガチガチになって・・・ないか。・・・ちっ」
「何処触ってんだ!?」
結局一晩中セクハラから耐え続けた。


316 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20:49:35.17 ID:55Hq5p4Z
「おはよう。お兄ちゃん」
朝、起きると歩が満面の笑みでこっちを覗きこんでいる。
歩の猛撃を耐えきったから寝不足で頭が重いな。
「やっぱりお兄ちゃんは朝弱いよね。でもそろそろ気付くでしょ?」
そう言われてまず、口元に違和感。口に何か挟まれてる。
手足も自由に動かない・・・って縄で縛られてるし。
歩が鏡を出した。見ると口にはSMでよく見る様なギャグボールが付けられてた。
「今日、お兄ちゃんは風邪でお休みになりました」
状況を聞こうにも、うめき声しか出せない。
「今朝早くに結花先輩が家に来てね・・・あはは。何て言ったと思う?『孝弘君と付き合う事になりました』だって。本当なの?」
血の気が引く。かなり不味い。
「お兄ちゃんを名前で呼んでる女の人は初めてかなぁ。今までは私がさせなかったのにね」
ギャグボールを外されながら俺は全力でこの場を乗り切る事を考える。
「もし・・・これが本当なら今すぐお兄ちゃんを・・・」
歩は本気だ。もう止められない。

「犯すよ?」

恍惚とした表情を浮かべる歩。
俺は口が自由になっても、何も話せなかった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年09月20日 00:30
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。