763 :風紀姉 ◆ou.3Y1vhqc [sage] :2011/11/25(金) 00:21:05.06 ID:1fnicmcA (2/7)
初めまして、初ねぇこと初音です。
私の朝は早く、スズメが鳴き出す一時間前に起床します。
理由は朝御飯の準備、二つ分の弁当の準備、これで一時間かかるのです。
さて…エプロンを着け、料理に取り掛かりましょうか。
まずはウインナーをタコさんにしましょう。
目も口も忘れません。
次に卵焼き。
甘いのは嫌いなので、塩で味付け。
塩分は控え目にしたいのですが、あの子はこれじゃないと食べません。
次々にオカズを盛り付け、最後にご飯を入れてさくらデンプでフィニッシュ。
蓋を閉めてあの子の学生鞄の底に入れます。
学生鞄の端に小さな水筒を差し込んで鞄を閉じます。
エプロンを脱ぎ自分の制服とあの子の制服にアイロンをかけ、制服に着替えるとあの子の制服をハンガーに掛けて二階から降りてくるあの子を待ちましょう。
……………………………………………来ました。
足音が聞こえます。
めんどくさそうな…あくびでもしているのでしょうか?
足音だけで眠たそうな顔をしているのがわかります。
椅子から立ち上がり扉の前に立ちます。
「ふぁ~あッ…初ねぇおはよう」
「はい、おはようショウくん」
――可愛い弟の起床です。
764 :風紀姉 ◆ou.3Y1vhqc [sage] :2011/11/25(金) 00:21:30.14 ID:1fnicmcA (3/7)
「ほら、早く歯磨いて服着替えて。ご飯もうできてるから」
「あぃ…」
眠た眼を人差し指で擦りながらショウくんが制服を掴んで洗面所へと歩いていきます。
それを見送り、作った料理を素早くテーブルに並べましょう。
ショウくんは待たされるのを嫌うからです。
ショウくんの食器をテーブルに並べて椅子に座ります。
数分後、制服姿のショウくんが戻って来ました。
いつ見ても制服が似合います。
姉の私から見てもカッコイイと思います。
いえ、カッコイイです。
「それじゃ食べよっか?いただきま~す」
「いただきます」
偉いですね。
やっぱり家の弟はできます。
最近の子は挨拶ろくにできないと言われていますが、家のショウくん違います。
優しいし、気遣いもできるし、何よりお姉ちゃん思いの出来た弟なのです。
しかし、最近ショウくんが思春期なのかあまりお姉ちゃんの言うことを聞かなくなってきました。
姉としてはこれを“成長”と喜ぶべきなのでしょうか?
難しい年頃です。
部屋に入ると「…なに?友達来てるんだけど」と早々に追い出されてしまいますし、お風呂に入ろうとすると突然「勝手に入ってくるなよ!」と怒鳴る事もあるのです。
765 :風紀姉 ◆ou.3Y1vhqc [sage] :2011/11/25(金) 00:22:15.98 ID:1fnicmcA (4/7)
しかし私はショウくんのお姉ちゃん。
身勝手な理不尽を見逃す訳にはいきません。
ショウくんを湯船から出して正座させて説教してあげました。
やはりお姉ちゃんだから、ショウくんにもちゃんとした大人になってほしいから…。
目を下に向けてまったく私を見ようとしないのでショウくんの顔を掴んで説教してあげました。
弟に間違った道を歩かせないように教育するのも私の仕事なのです。
「それでショウくん、今日もいつもの時間に校門で待っててね」
「今日は友達とカラオケに行くから先に帰ってていいよ」
驚きました…思春期=反抗期です。
「何時ごろにカラオケは終わりそうなの?夕飯作る時間もあるから教えて」
「友達と食べて帰るよ」
またです。
最近このような反抗的な態度が頻繁に目につきます。
「だめよ、5時には帰ってきて」
季節はもう冬。
6時になると外も暗いのです。
「5時?もう高校生だよ?早く帰れても8時ぐらいにはなるよ」
「8時!?だ、だめよ!ショウくん何を考えてるの!?ショウくん前に段差で躓いて頭にぶつけて血がっy「小学生の時だろ!そんな昔の話しするなよ!」
766 :風紀姉 ◆ou.3Y1vhqc [sage] :2011/11/25(金) 00:22:46.87 ID:1fnicmcA (5/7)
「お姉ちゃんになんて口の聞き方するの!ショウくん前々から言いたかったんだけど、ショウくん最近夜中部屋で何してるの!?」
「な、なにって…」
「9時には寝なさいっていつも言ってるでしょ!?それにショウくんのパンツに白いカピカピしたモy「い、いってきます!」
慌てたように立ち上がると、そのままリビングを飛び出し玄関から外に飛び出していってしまいました。
「ショウくん車に気をつけるのよ!あ、後鞄忘れてる!」
鞄を掴んで玄関へ向かいますが、既にショウくん姿はありません。
「まったくショウくんは……はぁ」
ため息を吐いてリビングに戻ります。
ショウくんも17歳。
エッチな事に興味があるのでしょう…しかしまだ子供には早いと思います。
そう言えばショウくんカラオケに行くとか言ってましたが、その中に異性は居るのでしょうか?
ショウくんから好きな女の子が居るなんて事は聞いたことがありませんけど…。
居たとしたら大問題です。
学生のショウくんは彼女なんてものは必要ありません。
そうです……この鞄を届けるついでに私からクラスの皆に言ったほうがいいかも知れないです。
――ショウくんを悪い道に連れていかないでくださいと。
767 :風紀姉 ◆ou.3Y1vhqc [sage] :2011/11/25(金) 00:23:21.65 ID:1fnicmcA (6/7)
これは産まれた時から私の使命。
ショウくんを立派な大人に育て、どこに出しても恥をかかない大人の男に…。
そして私の夢はショウくんに「初ねぇ…本当にありがとう。初ねぇが居たから今まで生きてこれたんだ。今度は俺が初ねぇを守るよ…大好きな初ねぇを」
………………むふっ…最高ですね。
やはり私がいないとショウくんはダメになります。
まだ、姉離れは早いですよね。
「まったく…仕方ないわねぇショウくんは」
ショウくんの鞄を掴むと私もショウくんの後を追うように家を後にしました。
ショウくんはまだ卵…まだまだこれから汚れた世界を見ていくでしょう。
汚れを見るのは仕方の無いことです…しかしショウくんが汚れに“触れる”のは我慢できません。
ショウくんが知らない間に汚れが付着するかも…そうなれば一大事です。
だから姉である私がショウくんに付着しそうな汚れをショウくんに付着する前に落とすのです
そう……私はショウくん専用の風紀委員でもあるのです。
早くしないと今にもショウくんに……。
――と言うことで、今回はこれで……初ねぇこと初音でした。
最終更新:2011年11月26日 17:42