虎とあきちゃん 第2話

157 名前:虎とあきちゃん  ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/20(水) 18:02:42 ID:eEzj+cfW

「虎ちゃんおはようのちゅー」
 翌日、馬鹿な寝言をほざいてる亜紀姉の頭をはったおして叩き起こして
一緒に学校に向かうと、下駄箱にはラブレターが入っていた。

「放課後、屋上で待ってます。か…宛名はないが…俺にも春が来たきたきたっ!!!」
 俺は隣ですのこに躓いてこけている駄目姉に悟られないように気をつけながら
スキップして教室へと向かっていった。俺の時代は近い。

 放課後、シューマッハもびっくりなドリフトを演じながら猛ダッシュで屋上に
向かうとそこには気弱そうなおさげで眼鏡の女の子が立っていた。確か隣のクラスの…

「えっと、榛原和歌…さんだっけ。」
「あ…うん…。名前どうして……。」
「その……榛原さんの友達がそう呼んでいたのを聞いたことがあるんだ。」
 俺は飛び上がって喜びそうなのを堪えながら抑えて話していた。榛原さんは、
眼鏡を取ると可愛いし、実はスタイルもいいのだ。それを知っている男連中では
守ってあげたい感じで人気NO.1だ。俺もだめ姉の世話より可愛い女の子とラブラブしたいぜ。
 彼女はにこっと嬉しそうに微笑んで、

「嬉しいな。私その…地味だから…顔も忘れられているかと思ってた。」
「そんなことないよ。榛原さんは可愛いから。」
 うおおおおお言ってる俺が超はずかしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!

「それより…どうしてここに呼んだの?」
「それはその……あの……私…わたしっ!!青野君のことがっ…すっ!」
 彼女は俺の顔を見て真っ赤になりながら上目遣いで…俺はそのときを待っていた。


158 名前:虎とあきちゃん  ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/20(水) 18:03:53 ID:eEzj+cfW

が、

「きゃああああぁぁぁぁ!!!」
 そこには何故か姉が居た。何故かバケツを持っていて、こけて、自分で水をかぶっていた。
 榛原さんといえば、目の前に現れたドジ美人をあっけに取られたように見つめている。

「うえええ~~~~~~~~ん、ずぶぬれだよぉぉぉぉ~~虎ちゃん助けてぇぇ~」
「あ、おい。こっちくんな!」
 おい、こら俺に抱きつくな!!胸の感触がって違う!!!

「え…え……青野君……下の名前で呼び合う人が……しかも、こんな美人…えとえとっ!」
「まて、榛原さん誤解だ。こいつは!」
「私…私…知らなくてっ!!ごめんなさい!!!!」
 榛原さんは泣きながら走り去っていった。

「亜紀姉……説明してもらおうか?」
「いやん、虎ちゃん怒らないで~。」
 俺の怒りは臨界点を既に突破していたが、一応姉の言い分も聞いてやろうと思っていた。

「あのね~~。虎ちゃんのラブレター見たの。」
「いつっ!!!」
 俺は見せた覚えもないし、朝はさっさと隠して教室に入ったはずだ。

「昨日の放課後。」
「…………なんで俺の下駄箱を?」
「みやちゃんが浮気調査の基本だって。」
 頼むからみやちゃんとやら…プライバシーは大事にしようぜ。第一俺と亜紀姉は
姉弟だ。浮気関係ねえ!!


159 名前:虎とあきちゃん  ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/20(水) 18:05:04 ID:eEzj+cfW

「それでね~~相談したらね。泥棒猫には水でもかけとけって言われたの。」
「ほほう…。それを真っ正直にやろうとしたわけか。弟の恋路を邪魔しようと。」
 姉は嬉しそうにわらって頷いた。男なら百人中九十九人まで蕩ける様な笑み。
 例外は俺だ。

「この馬鹿姉がぁぁぁぁぁぁぁ俺の青春をかえせええええええ!!」
「きゃあああぁぁぁっ暴力反対暴力反対だよぉぉぉぉっ!!」
 とりあえず、頭をぐりぐりしカバンの中から体育で汗をかいたら使うつもりだった
タオル出して、姉の綺麗な髪の毛を拭いてやった。

「虎ちゃん優しい~~~お礼にはぐしてあげるね?」
「いらん。」
 俺の春は遠い。駄目姉を連れてため息を吐きながら帰途に着いた。二人で歩くと
通りすがる人が皆振り返るのは姉が無駄に美人なせいだろう…。いつまで、こんなことが
続くのだろうか。

 翌日、榛原さんと顔を合わせるのが気まずかった俺は寝ぼける姉を連れて、早めに
学校へと向かい誤解が解けることを祈って、俺の気持ちを全て書いた手紙を押し込んだ。

 焦っていたため、下駄箱を間違えていたことに気づいたのはその日の放課後だった…。

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最終更新:2007年11月03日 04:32
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