虎とあきちゃん 第3話

320 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10:30:23 ID:A2MNZGBu


 その日の放課後の屋上───待っていたのは長い黒髪を後ろに縛った、俺と
同じくらいの身長の目付きの少しきつい隣のクラスの───男だった。あれ?

「こんにちは。青野虎之助君。」
 奴は男にしては高い声で俺のほうを向いた。まてまてっ!なんで俺の名前をっ!!
 俺は榛原さんに手紙を渡したはずじゃっ!!!下手すればこのままアッーーな関係に?
 俺様一生の不覚。

「君のことはよく知ってるよ。昨日榛原さんに相談されたからね。」
 彼の表情は読めない……。何考えてるんだ。てかなんで榛原さんと仲いいんだ?
 やつは、男の俺に呼ばれたことがわかっていてもそれほど不機嫌なふうもなく淡々としている。
 確か剣とかいったか…。こいつの名前。美形で女に人気のあるやつだ。
 馬鹿姉め。どうせなら今日乱入しろよっ!!

「まさか、話してもいないのに一目で僕のことを見抜くなんて…。」
 はっ?何いってんだこいつ。

「僕が女だって……どうしてわかったんだ?」
 えーっと。ちょっとまて。整理しよう。俺は朝、榛原さんに渡すつもりで下駄箱に
手紙を入れた。だけど、間違えた場所に入れてしまった。そいつは男のはずだったが
偶然にも男装した女だった………なってこった。何か言わないと!!!

「わかるに決まってるだろ。どこからどう見ても可愛い女の子にしかみえん。」
 俺はニヒルに笑って……あれ、これまずくないか?
 なんか剣さん赤くなってますよ?

「嬉しいことを言ってくれるな。親の都合で男として暮らしていたから…そんなこと
 言ってもらえる日が来るなんて思っても見なかった。」
 嬉しそうに笑う剣さん。だけど…俺は…。



321 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10:31:14 ID:A2MNZGBu


「剣さん…ごめんな。その手紙、榛原さんに宛てたものなんだ。昨日、姉と一緒にいて
 告白されたのに誤解されてしまって。君のことわかってたのは本当だけど、下駄箱を
 間違えてしまったみたいだ。可愛いっていったのは嘘じゃない。ほら、俺、女見る目は
 厳しいんだ。姉があんなのだから。」
 大嘘をつく俺。完璧だまされてました。はい。だけど嘘ってときには必要だよね?

「気にするな。なんとなくそうだろうとは思っていた。だが、僕も君に惚れたようだ。
 これからは榛原もライバルだな。彼女には悪いが…。手紙は僕から彼女に渡しておこう。」
 ちょ、おまおま…何がどうなってんだっ!
 どうやら、俺の学園生活には暗雲が立ち込めているようだ。そして、いつの間にやら
姉が屋上に来ていた。俺と剣さんは突然現れた美女のほうを向いた。

「あれ…あのお手紙、男の子に渡したの~?」
 なんでこんなとこに駄目姉が…手紙?

「おい、亜紀姉。ちょっとまて…なんで手紙のこと知ってるんだ。」
「それはね~。虎ちゃん寝てるときに読んじゃった。おねーちゃんにもあんな熱い
 手紙書いて欲しいなあ。そしたらすぐにOKだしちゃうのに。」
 こいつにはプライバシーという言葉が存在しないのかっ!

「だって、虎ちゃん心配だもん。あーんな、格好いいお手紙を男の子に渡すなんて…
 やっぱり、正しい道をお姉ちゃんが教えてあげないとね。そんな、男同士の禁断の
 関係なんて………どっちが攻め?どっちが受け?きゃーきゃーきゃー♪」
「いや、亜紀姉…その道も絶対間違ってるから…。てか、俺はホモじゃねえ!」
 完全放置状態の剣さんはそんな俺たちの様子を見ながらくすくすと笑っていた。



322 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10:32:08 ID:A2MNZGBu


「いや、失礼。私は剣薫です…青野亜紀さんですね。お噂どおり美しい。これから、
 私は正式に虎之助君とお付き合いさせていただこうと思っています。よろしくお願いします。」
 丁寧に姉に礼をする剣さん…って…俺の意思は!?

「あらあら、虎ちゃんの姉の亜紀です。だけど、だめよー?虎ちゃんは私のお婿さんの
 道しか決まってないんだからねー。」
「んなわけあるかあぁぁぁぁ!」
 こんな駄目姉の婿なんかになった日には二十代で禿げるわ。俺を放置して見詰め合う
姉と剣さん。おおバックにオーラが見える…。
 剣さんの後ろには竜。亜紀姉の後ろには太ったぶち猫…
「あうぅぅぅぅ…」
「…………」 

 あ、喰われた。 

「いやああああ~この人怖いよぉ………虎ちゃん~~~~!!!」
 そして泣きながら正面から抱きつく姉。理性を溶かすフェロモンを全快にした女の感触と匂いが
俺を侵食する。全身全霊を使ってなんとか俺は引き離した。

「やりますね…。だけど僕は負けません。今日のところはさよならです。マイラバー虎之助君。」
 男装少女、剣薫は大げさな身振りを入れて去っていった。どうして俺の周りには変な奴
ばっかり集まるんだろうか。春は遠い。


323 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10:33:07 ID:A2MNZGBu


 その夜、一日の疲れを癒すべく俺は風呂に入っていた。この時間は家事と勉強と姉の世話に
追われる俺にとって数少ない安らぎの時間だ。俺は湯船につかりながらささやかな幸せに
浸っていた。

「ふぃ~~~今日も大変だったなぁ。」
「だよね~~~びっくりだよね。」
「まさか、あんなことになるなんてなあ……っておい!」
 風呂の入り口にはバスタオル一枚で身体を隠した駄目姉がいた。

「今は入浴中だっ!帰れ!!」
「だめよ~。ちゃんと虎ちゃんに正しい道に戻ってもらわないといけないんだから。」
「はあ?」
「いくら恋人が出来ないからって男の子に告白しなくてもいいじゃない。」
 俺の制止も聞かず、狭い風呂に強引に入ってくる。柔らかいからだがいっぱいあたって
…ちょ、まずいことに…
 俺は大事な部分が過敏にならないうちに脱出しようとしたが姉に腕を掴まれた。
 う、動けない…なんて強さだ。

「それでなんで亜紀姉は俺の風呂に乱入することになるんだ。」
「正しい道に戻すには弟とは一緒にお風呂はいるべきなんだよ?お姉ちゃん天才っ!?」
「わけわからん……。」
 俺は何もかも諦めて脱力し、メリハリの利いた姉の肢体をみないようにしながら
身体を洗ってとっとと風呂を上がろうと心に決めた。が、

「あ、お姉ちゃんが虎ちゃんのお背中流してあげるね。嬉しいな~こんなの子供の頃以来だね。」
 と、姉は追いかけてきた。もう抵抗しても無駄なのはいつものことなので悟りを
開こうとしていたのだが…背中に当たるむにゅんという犯罪的に柔らかい感触が
俺を悟りの極みから呼び戻した。



324 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10:34:24 ID:A2MNZGBu


「ちょ!亜紀姉!!なにしてだあああ!」
「えっとぉ。正しいお背中の流し方…………なんだって。えへへ。恥ずかしいね。」
 鏡を見ると……バスタオルもつけていない裸の姉が身体に泡をぬりつけて、俺の
身体に擦り付けていた……思わず噛んじまった。姉は幸せな顔で俺に身体をすりすりしている。

「俺が恥ずかしいわっ!亜紀姉、やめろ~っこれはだめNG!」
「えええ。折角お姉ちゃん頑張ってるのに~~気持ちよくないの?」
 ええ、そりゃスタイル抜群で絶世の美人な姉にこんなことされるのは気持ちいい…だが!
人の道は確実に踏み外しているはずだ。

「ほら、お、俺達は姉弟だろうが。こういうのはだめだ!」
「姉弟とか関係ないよ虎ちゃん。男の子好きの虎ちゃんを女の子好きに戻すほうが大事なんだから。
 あれ………虎ちゃんのおちんちん………子供の頃と随分違うね。上向いてるよ?」
 ま、まずい……駄目だ駄目だと思っていたが、意味不明なくらい駄目だ。逃げよう、
何が何でも逃げようっ。これ以上の羞恥プレイはたえられん。

「えいっ!うわ、硬い~~それに熱くてどくどくいってるよ~。」
 逃げる前に、姉のしなやかで細い指先は、俺の息子を完全に拘束していた。背中から
両手を回しているために胸は完全に押し付けられ、逃れられない反則的な快感を俺に与える。
蒸気に曇った欲室内は徐々にピンク色に空気が篭っていっている錯覚に陥らせた。

「亜紀姉………俺、本当に怒るぞ?」
「うう、虎ちゃん怖い……ねー。酷いよねー。」
 泣きそうな声で俺の息子に語りかける馬鹿姉…って!!上下に動かすなっ!

「あれ?なんか出てきた…。お湯じゃないよね。もっともっとしてみよ…」
「うわああぁ馬鹿姉!!亜紀姉っ!!やめやめっ!!!」
 片手で俺を抱きしめ、あいた手で姉は俺のあそこを可愛がり始めた。柔らかい感触
だけでなく、姉の熱い吐息が無意識なのか俺の敏感な首元にかかった。

「うああぁぁ…やばい、やばいって亜紀姉…だめだ…くううう!!」
「うわあ、白いのがすっごいいっぱい……ああっこれがもしかして…。へえ~こんな風に
 なってるんだね。虎ちゃん…。気持ちよかった?ねえ気持ちよかった?」
「…………」
 俺は遊び半分で強制的にいかされたショックと、それを姉にされたことの二重のショックで
打ちひしがれた。姉は…それを舐めたり匂いを嗅いだりして好奇心を満たしていた。



325 名前:虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI [sage] 投稿日:2007/06/26(火) 10:35:33 ID:A2MNZGBu


「うう~~ごめんなさいいい、ね、虎ちゃん、怒らないで~」
 風呂から上がった俺は自分の部屋で駄目姉を正座させていた。見た目だけは美しい姉は
俺を涙目で上目遣いしている。

「あんなことはしちゃだめだ。第一男女七歳にしてといってだな。一緒に寝るのも駄目なのに
 裸であんなことしたら駄目なんだ。」
「でもでも~男の子好きになるくらいならお姉ちゃんがって思ったんだもん。虎ちゃんの
 ためなんだよ~?」
 この姉は本気だろう…だから、いつもあんまり強くはいえないのだが…。

「俺はちゃんと女の子が好きなの。それに剣は女らしいから大丈夫だ!」
「そうなんだ…ああ、でも愛する虎ちゃんが剣さんと仲良くなっちゃうのも困るなあ。」
「いい加減俺も彼女いない暦=年齢を卒業させてくれ。亜紀姉。」
 俺はため息をついた。そんな俺に姉は名案とばかりに手を叩いた。

「じゃ、お姉ちゃんが恋人になってあげる!!そしたら、卒業だよ。ないすあいであー!!」
「アホか。」
 あほなことをいう姉を一旦放置し、飲み物を用意するために部屋を出た。姉の宿題を
見てやんないとだめだしな。そして暫くして戻ると…

「虎ちゃん虎ちゃん虎ちゃん~~~~っ!」
 姉が俺のベッドの上で虎のぬいぐるみを抱きかかえ、転げまわっていた。俺は問答無用で
布団から引き剥がしてベッドから亜紀姉を叩き落し、軽く蹴りを入れた。

「いやん、虎ちゃん大胆…ああああ、嘘嘘。将軍様助けてー暴力反対よ~」
 そして、黙ってお茶菓子を出して自分の宿題を片付けさせた。

 ちなみにこの日は……すっきりしたせいかよく眠れた。畜生。

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最終更新:2007年11月03日 04:33
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