650+1 :名無しさん@ピンキー [sage] :2012/01/16(月) 17:39:37.78 ID:8e9uXk6G
「お兄ちゃん、ゴメンなさい!」
「いいから、早く離せ! 今ならまだ間に合うかもしれないんだ!」
俺はすがりつく妹を引き剥がそうと苦労していた。
「ゴメンなさい、ホントにゴメンなさい、身体でも貞操でも処女でも何でもあげるからぁ!」
人の話を聞かないで泣いている妹。だが、泣きたいのは俺のほうだ。
なにせ今日は、俺のセンター試験の日なのだ。
そんな大事な日、バカ妹が珍しく早起きして俺を起こそうと思ったらしいが、そこはそれ超バカ妹。
俺のベッドで二度寝、しかも目覚ましは止めていたという最悪なコンボ。
今の時刻は遅刻寸前、というかほぼ確定だ。
しかし諦めるわけにはいかない。なにせセンター試験なんだから。
「俺は行くから、だから、離れろ!」
「ぐすっ、ならせめて、私が作った朝ごはんは食べていって」
「いいって、時間ないし」
「せっかく、せっかく、お兄ちゃんのために、早起きして作ったのに。頑張って豪勢なの作ったのに」
「分かったから、時間ないから少しだけな。もしくは持っていけるようなものがあれば」
「うん、茹でたカニと、伊勢海老、それにチーズフォンデュ、どれにする?」
「どれもいらねー!」
なんとか試験会場に辿りつき遅刻ながら受験はでききたものの、時間は短いし腹は減ってるし疲れてるし、で。
失敗した。浪人である。
そして翌年、今度こそは合格。
しかし、バカだバカだと思っていた妹が、学校ではそこそこ良い成績をしており、しかも俺と志望校が同じだったらしく同時合格。
まあ、妹と同級生というのはちょっと格好悪いが、めでたしめでたし、かな。
最終更新:2012年01月21日 17:29