865 :埋まらないネタ :2012/05/07(月) 21:58:47.45 ID:hKxVWorK
「へっへへ、これでここは埋まるんだ」
その時、俺はそう確信していた。
「もうお別れだよ、お前とは!」
妹を埋めた場所に向かってそう呟く。
別に妹が嫌いだった訳じゃない。
むしろ、思春期を迎えても仲の良い兄妹だったとは思う。
兄と妹、性別こそ違えど、家族として円満にやれていた、
そう思っていた。
だが、それは俺のただの勘違いに過ぎない。
妹が俺に向けてきた視線、
それは兄に対する妹のものじゃなかった。
異性に対する愛情、そんな生易しいものでもない。
狂気的な、どこか壊れているほどの情、
それは俺に恐怖を呼んだ。
その恐怖が現実の物となったのは、俺に告白してきてくれた女の子が死んだ時、
その女の子は惨殺された。
穴という穴に大量の鉄棒を突き刺され、特に女性器には念入りに何本もの棒が突き刺さった状態で発見されたのだ。
それを知った妹は、嘲笑った。
今まで見たことのない冷酷な顔で。
その時、俺は分かった。
コイツを始末しないと俺の未来はないと。
妹を埋めた場所から去り家に着くと、ようやく安堵感を覚える事が出来た。
”終わったんだ、何もかも”
そう考えてタバコに火を付けようとしたその時、誰かが俺のタバコに火を付けた。
「禁煙したらって、何時もいってるでしょう」
聞き覚えのある優しい声、
その声に俺は身を固まらせる、
「何を怯えてるの?私を殺そうとした事?」
柔らかい手の感触が俺の頬に伝わる。
「そんなのを恨む必要もないでしょう」
「兄さんが初めてを私に捧げてくれたんだから」
淡々と紡がれる言葉に俺は何も出来ない。
「兄さんがいる限り、私はずっと兄さんの側にいますから」
その言葉を聞いた後、俺は全ての意識を手離した。
最終更新:2012年06月10日 12:10