鬼子母神6

33 名前:鬼子母神6 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/03/23(土) 23:56:35.22 ID:M60s1kHH [2/6]
「ここにこの公式を当てはめると…こうなるのよ」

ムギュ―――

「う、うん…」
「他の問題にも応用は出来るから―――」

ムニュムニュ―――

ユキと水族館に行ってから、一か月。
アサネのボディタッチは一層過激なモノへと昇華していた。
勉強だ何だと理由を付けては、コン太の部屋へ上がりこみこうして必要以上に胸を押し付ける…。

アサネの胸は決して小さくはない。
それは弟として一緒に成長してきたコン太にも分かっていることだ。
それを四六時中押し当てられては、意識せずにはいられない…。

しかし何故アサネがそんなことをするのか…、その理由がいまいちわからなかったのだ。



学校でもアサネはコン太と常に一緒にいたがった。
流石に、胸を押し付ける行為は人前ではやらなかったが。
休み時間になるごとに、コン太のクラスに赴き、一通り話すとチャイムが鳴る前に自分のクラスに帰っていく。
しかし、それを面白くないと思う者もいるわけだ。

「それで、キオナったら何て答えたと思う?」
「…さぁ?検討つかないや」
「あの…小泉さん、席どいて「これが傑作なの―――」

キーンコーンカーンコーン…

「あ、じゃあもう行くね」
「あ…うん」
「……コン君、最近お姉さんが良く来るけどどうかしたの?」
「いや、わからないんだよ。どうも最近アサ姉の様子が変なんだよ…。なんかゴメンね…席を勝手に…」
「ううん、気にしないで―――。あ、そういえばコン君。もうすぐ始まる文化祭のことなんだけどね」
「文化祭?」

小さな町ゆえに、この高校の文化祭は一大イベントであり、当日は町中の人間が集まり賑わうのだ。

「うちのクラスは何をやるか決まってないんだよね…」
「そっか…、王道で喫茶店とかは?」
「何の王道?―――ちょっと大変そうね…」
「駄目かな?」
「皆次第かな?あとでホ-ムルームで採決するから考えておいて」
「…うん、わかったよ。(アサ姉とユキちゃんが仲悪いのは本当なのかも…)」

34 名前:鬼子母神6 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/03/23(土) 23:57:46.70 ID:M60s1kHH [3/6]
「アサネ、最近機嫌がいいね。何かあったの?」
「ん、んふふふ…。秘密」
「なにそれー…」
「もっと早くにこうしておけばよかったなーって」
「コン太君のこと?」
「ふふふふ…」

アサネの中でコン太に対する考えに変化が起こっていた。
守るべき存在から共存する関係へと…。
少なくともアサネのなかでは―――そう思い込んでいた。

「今日の晩御飯は何にしたら喜ぶかなー?」
「………」

キオナは呆れ顔でそれを見てることしかできなかった。
いや、その裏には―――。



アサネが妄想に浸っているうちに、アサネのクラスは喫茶店を文化祭でやることが決まった。
服装は女子がバニーガールで接客する案が男子一同から提案されたが、女子と担任(女)によって阻止され、メイド風の露出が抑え目の衣装に妥協された。

ちなみに、コン太のクラスは露店での営業販売に決まった。



―――囲碁将棋部室

「というわけで、私らはメイド喫茶になったんだよね」
「へー、そうなの?うちは露店を出すよ」
「コンは料理できないでしょ」

ムギュ―――

「い、いや…調理は他の人に任せて僕は宣伝でも…」
「(機嫌がいいのはこれが理由か)コン太君はアサネのメイド姿見てみたい?」
「えっ?!」

アサ姉のメイド…。
この胸で出迎えて…、お帰りなさいませ、とか…。

「私はメイドやりたくないな。恥ずかしいし…」
「アサネはコン太君次第でしょ?で、どう?」
「…うん、見てみたい…かも…」
「ほらっ!アサネ決定ね。折角スタイルいいんだし…」
「えぇー…(まぁでもコンが言うんなら…)」
「そういえば、大久那さんはやらないの?」
「あたしは、裏で調理スタッフやらなきゃいけないのよ。こうみえても自信あるし」
「ふーん……」

コン太はキオナを見て……少し残念に思った。

ムギュゥゥゥ―――

「コン…何考えてるの?」
「えっ?!いや、別に…」
「いやらしー、コン太君…」
「そんなぁ…。―――あ、そういえば囲碁将棋部は何か出し物やらないの?」
「こんな幽霊部で何やれっていうのさ…」

35 名前:鬼子母神6 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/03/23(土) 23:58:46.77 ID:M60s1kHH [4/6]
―――文化祭まで前日
この時期は部活動が中止になり皆クラスの出し物に集中していた。

「テントは学校のやつを貸してくれるって―――」
「出すメニューと具材は―――」
「看板は今日中に仕上げろって―――」

放課後になるとそれぞれ自分の仕事に没頭し、学校中が騒がしくなっていた。
そんな中、コン太達も準備に追われていた。

「ど、どう…コン君…」
「…うん、似合ってるよ!」

ユキは露店の宣伝として当日は学校中を回らなければならない。
そのため目立つ恰好をしたのだが―――。

「が、学ランって初めて来たけど…不思議…」
「あとはハチマキを着けて、宣伝用の旗を持てば出来上がり!!」
「へ、変じゃないかな…?」
「大丈夫だよ、ユキちゃんは何着ても似合うし」
「そ、そう。嬉しいな、やっぱり…。ねぇコン君」
「うん、どうしたの?」
「文化祭終わったら、話がしたいから…何処か……。屋上!―――屋上で待ち合わせたいんだけど…」
「いいよ、じゃあ終わったら屋上ね」
「…ありがとう」

36 名前:鬼子母神6 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2013/03/23(土) 23:59:57.06 ID:M60s1kHH [5/6]
―――その夜
アサネはキオナからあるメールを受け取っていた。

「コン、明日の文化祭終わったらちょっと手伝ってほしいことがあるから」

ムニュ―――

「え?!…いやちょっと……」
「何?直ぐに済むからさ。文化棟の裏で待ち合わせね」

ムニュムニュムニュ―――

「(ま、まぁユキちゃんのあとでいいか…)わ、わかったよ…。でもクラスの片付けが残ってるから遅くなるかもよ?」
「しょうがないわね…。迎えにいくわ」
「(えっ?!…どうしよう)」

キオナからのメールには

『早狩さんとコン太君の仲がどうも怪しい。文化祭あたりで急接近してくるかもよ』

とあった。

それぞれの思惑が絡み秋の夜長は更けていく―――

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最終更新:2013年10月16日 08:07
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